斎藤真理子のレビュー一覧
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彼女の著作は何冊か読んできたけれど、今回がもっとも理解しやすかった。このぐらい余白があって文字組みがゆったりしているとちょうどよい。
とはいえやっぱり抽象的な表現が多いので、気を緩めるとすぐに置いていかれてしまうのだけど。
「いちばん暗い夜にも」と題されたノーベル文学賞受賞所感がやけに胸に残った。
〈降りしきる雨脚を眺め、腕やふくらはぎを包む湿気を感じながら待っていたその一瞬、突然気づいたのです。私と肩をくっつけ合って立っている仲間たちも、向かいのビルの前にいるあの人たちも、その全員が全く同じように、「私」として生きているのだという事実を。私が雨を見ているのと同じように、あの人たち一人一人も -
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ネタバレえ、ここで終わり?!
というところでブツっと終わった。
(全部で253ページあるけど、物語は195ページで終わる。あとは著者後書きとか解説。)
なるべく直訳になっているせいなのか、
???となる文章がちょこちょこあった。
内容自体は、少し前の日本を見ているようだし、
私も昭和かよ。みたいな文化が残ってる会社で働いているから、想像より「酷い世界だ、、!!」とはならなかったかも。(感覚が麻痺してそう、こわっ。)
といいつつ最後はすっごい胸糞。
キムジヨンの精神科医の先生(男性)。
「私は精神科医だし、妻も病んでいた時期あるから子どもを持つ女性の大変さなどはよく分かってるだよね。」的なこと言って -
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医療行為として冬眠がとれるようになり、冬眠者を見守る「ガイド」という職が生まれた社会が舞台。といってもSF小説ではなくて、ちょっとした会話とか動物のしぐさとか風景のことがふわりふわりとか書かれている、装丁のほんの少し黄味がかった淡いシアンのような地色の短編小説。カルグクス(包丁麺)とかタコ炒めといわしの包みご飯(ミョルチサンバプ)とか豆腐トゥルチギとか、おいしそうな韓食がしばしば登場するのがたまらない。
P58 こういう冗談は冗談でしかないのに、なぜ、口の外へ出してみるといい気分になるのだろう?完全に冗談だとわかっていても、ほんのちょっと、三秒くらい、誰かが私にこのマンションをあげると言って -
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「翼」だけ読んだ。
怠惰なヒモ男の話。はじめの「剥製にされた天才」云々の部分は意味がよく分からず読み解けなかった。それ以降はするする読めたが、特別印象に残った部分はなく。結構あっさり終わった。
ヒモ男は子どものようで、読んでいて意外とイライラしないが、かといってチャーミングだと感じるほどでもない。
ヒモ男の魅力(?)ならば、坂口安吾「いずこへ」や「私は海をだきしめていたい」の主人公の方が断然優っていると個人的には思う。魅力といってよいのかはよく分からないが…とにかくかなり印象的ではあった。
解説曰く、彼らや彼らの部屋は「資本主義化された京城(ソウル)のメタファー」とのこと。そして、冒頭の私に -
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ネタバレ本作も数年前に話題になっていたし、私がお邪魔するブログでも結構取り沙汰されていたと思います。
読みたいなー、読みたいなー、と思っていましたが、今般やっと許容範囲のお値段で手に入れることができました。
で、読んでみてびっくり。というか想定しておらず。
これはいわゆるフェミニズムの本であります。そして、とにかく暗い。
女性という性に対し、後天的に付与された窮屈な立場、逃げ場のない袋小路が淡々と描かれます。こういうのはきっと男性こそ読むべきものだと思いました。
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1982年生まれのキム・ジヨンは、結婚・出産を機に退職し、育児と家事に追われる日々を送る33歳の主婦。ある日突然、他人が乗り -
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女性キャラクターが「男性性」を、男性キャラクターが「女性性」をあからさまに担わされているところがある。
本書のプロテストは「男性」に対するものにとどまっており、「男性性の称揚」自体は認めているように感じられてならない。
また、作者が「女性」という性にかなり肩入れしており、シソン一族の女たち=被害者vs外部男性=加害者の構造がはっきり分かれすぎているきらいがあるが、こうした二元論的な描き方はちょっと古臭くないか。
今のところ現代の男性ほどには意識しないでいられる自身の加害性を、女性(あるいはその他の性)もまた自覚せざるを得ない時代が来た時、はたしてこの作品はその時の人々の鑑賞に耐えることがで