斎藤真理子のレビュー一覧

  • 韓国文学の中心にあるもの

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    東アジアで隣同士の国。日本と韓国。似た風土であるが、過去からの文化も違い、また歴史も違っている。その韓国の文学を最近から遡って日本からの解放までの時間軸で文学を論じている。沢山の読んでみたい本を紹介された。それらの本で少しでも韓国の風に触れたいと思う。

    第一章:キム・ジヨンが私たちにくれたもの、第二章:セウォル号以後文学とキャンドル革命、第三章:IMF危機という未曽有の体験、第四章:光州事件は生きている、第五章:維新の時代と「こびとが打ち上げた小さなボール」、第六章:「分断文学」の代表「広場」、第七章:朝鮮戦争は韓国文学の背骨である、第八章:「解放空間」を生きた文学者たち、終章:ある日本の小

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    2022年09月28日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    隣国を知ることで、自国の特徴を知ってみようと、本書を取る。
    が、本当にここまで悲惨な状況なのだろうか。文学では過剰に表現されるためなのか。
    彼我の差を感じずにはいられない。

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    2022年09月24日
  • 年年歳歳

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    斎藤真理子さんの翻訳がとても読みやすいです。そして巻末の後書きの中の、韓国社会の解説を読むとより深く本作を理解できます。

    長女である私にとって、作中のハン・ヨンジンの気持ちに痛いほど共感できました。個人的に日本在住の韓国人の知人がたくさんいるのですが、偶然なのか末っ子長男が多い気がします。「キム・ジヨン」でもそうでしたが、末っ子長男たちの後ろにいるヌナたちのことが気になってしまい、少し苦い気持ちになりました。

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    2022年09月08日
  • 年年歳歳

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    最近よく韓国の女性が書いたものを読んでいる気がしていたが違っただろうか。
    母親と2人の娘を主人公にした連作小説集。
    セリフにカギカッコがないので、口に出された言葉なのか考えているだけの言葉なのかの境界が分からない不思議な文章。
    日本もそうなのだけれど家父長制のもとで苦しめられている女性がたくさんいる国。近くて遠い国。私にとって。

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    2022年09月04日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    私だけかどうかわからないが、いやー、相当にヘヴィだった。

    斎藤真理子が出てくるまで韓国の文学は金芝河くらいしか知らなかった。それが『カステラ』以降、なんでこんなに面白いの、力があるの、とぐいぐい読まされてきたが、いかに表面的だったことか。セウォル号事件や光州事件、そして朝鮮戦争などを今に至るまで背負い続けその影響下にあるからこそ(若い世代の作家まで含めて)の、力だったんだな、と思い至る。その重さ。読み終えて、ぐったりくたびれてしまった。面白いけど、重い本だと思います。そして確認したい本、読みたい本が増える。

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    2022年07月29日
  • シソンから、

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    シソンの文章が所々に散りばめられ、群像劇として描かれている書き方が良かった。それぞれの人物像がリアル。ただ、なにか一つ物足りなかった。

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    2022年07月13日
  • 年年歳歳

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    イ・スンイルには二人の娘と一人の息子がいる。下の娘のハン・セジンはイ・スンイルを待っていた。今日はイ・スンイルの母方の祖父の墓参りに行く。その墓は、軍事境界線の近くの山にある。朝鮮戦争の時に両親と親戚の多くが死んでしまい、残った祖父がイ・スンイルを引き取ったという。十四歳になった時、遠い親戚だという者が住む金浦へやって、そこでイ・スンイルは市場の仕事を手伝い、そのうち商店主の仲介でハン・ジュンオンと結婚した。今年が祖父の墓参りが最後になる。足が悪く、もう山にまで登ることが出来なくなるから、廃墓することにしたという。墓参りにはハン・セジンだけが付いてきた。長女のヨンジンも末っ子のマンスも行ったこ

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    2022年06月06日
  • 年年歳歳

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    言葉にすることが難しい。とても静かな小説。

    物語は、順子(スンジャ)、イ・スンイル。その娘のハン・セジン、ハン・ヨンジンの3名の視点で綴られていく。

    冒頭に家系図があり、家族の話なのかな、と読み進める。たしかに、家族の話ではあるのだけれど、イ・スンイル、ハン・セジン、ハン・ヨンジン3名の、個人の話。作者の言葉として、家族の話として読まれることを心配している、というような言葉が記されており、なるほどな、と感じた。

    順子(スンジャ)、イ・スンイルは1946年、38度線付近に生まれる。時代に翻弄された、という言葉ではあまりに簡単だが、順子たちは、忘れること、従順であることを求められた。奴隷のよ

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    2022年05月31日
  • サハマンション

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    この作品、韓国史についてきちんとした知識があればより面白く読めるのだろうなと思う。やや上級者向け韓国文学のように感じたがそういう本こそ読むべきだし、訳者あとがきを読むとわかるように、隅々まで配慮され尽くした素晴らしい一冊なので、星4。

    登場人物の機微の表現にはやはり感服させられるというか瑞々しい。これは訳者である齊藤真理子さんの力でもあるとは思うのですが、もはや二人のプロによる共同作業のパワーが強すぎて、どの作品を読んでも自分の心が今まで見たことのないような感情の動きをするのでいつも驚きます。

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    2022年05月08日
  • 声をあげます

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    声をあげます、リセット、地球ランド革命記、メダリストのゾンビ時代、小さな空色の錠剤が面白かった。
    メダリストのゾンビ時代でゾンビが流行っても電気とサブスクサービスが続いていることが妙にリアルな感じがした。
    小さな空色の錠剤であらゆる記憶が完全に残るのも大変だなと思った。
    地球ランド革命記は変な世界だった。

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    2022年02月14日
  • サハマンション

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    37.

    すごい。
    自分の中に虚無感と力強い心をどちらも感じる。
    現実世界の問題が物語に詰め込まれてる。
    7年かけて書かれたという事実にも圧倒される。

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    2021年10月07日
  • 声をあげます

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    SFは文明批評の色彩を帯びることが少なくないが、そこで試されるのは作者の社会に対する洞察力である。どの作品についても作者は悲観的なだけでもなく楽観的なだけでもない。ただどのような状況でも、人間は人間であり続けるだろうことを、軽やかに物語っている。

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    2021年09月29日
  • アヒル命名会議

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    何なのだこの本は。フィクションなんだけど、どこかで私たちが思ってる「あれ?これっておかしいのでは?何かちょっと違う?」みたいなことを、不思議で可愛くユーモラスに書かれている。
    私が感じている違和感を、数々の登場人物が一緒に持ってくれる。そしてその違和感は、決しておかしいことじゃなくて、それを限りなく自分の世界へと落とし込んでくれる。

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    2021年07月15日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    著者曰く「平凡な日常に起きた予期せぬ出来事」を集めた短編集。どの短編も一筋縄では話は進まず、そこに様々な想いをめぐらすことができた。面白かった。

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    2021年05月01日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    短編?中編?集です。
    わたしは作者が事故の当事者にインタビューする形式で書かれたひと作品が特に好きでした(題名は忘れたが)。
    韓国文化をわかってる人が読むとさらに面白いんじゃないのかなと思いました。別に知らなくても読めるんだけど、例えば教会のお兄さん교회오빠 とかは韓国歌謡にも出てくる割とよく使われているきまり文句で、一口じゃ説明できないニュアンスを含んだ言葉ですから、実体験として知ってる人の方が人物の想像はしやすいかなと思いました。(わたしも大して知らないですけど、知ってたらもっと面白く読めたという想像)
    でも、知らなくてもめっちゃ面白く読めると思います。大体は「普通の人の話」なんですが、社

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    2021年04月19日
  • ディディの傘

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    この小説に描かれている圧倒的な絶望感、閉塞感、人々の怒りは一体どこからくるのだろう…とずっと思いながら読んでいた。韓国に生きる登場人物のこの揺れ動く心情を、そのまま自分のことのように実感するには、私の知識が不足しているのが口惜しい。
    訳者解説にある「現実は混沌としており、激しく変動する。そして正しさは常に一様ではない」この言葉が韓国の情勢の全てを表しているのだろう。
    様々なことを考えさせられる小説だった。

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    2021年03月30日
  • アヒル命名会議

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    はじめ、わ、横書き! とおどろいて、それから後書きにお母さんが寄稿していることでまたびっくり。
    よみすすめていくと、けっこう母親との相克を題材にした作品がちょこちょこあるので(キョンヒ台風とか)それはきっとテーマのひとつなんだろうなと思い、そうなるとあとがきがまた、いっそう重く感じられたり(^_^;;

    じつは、毎日、お風呂に入りながら一編ずつ読んでいたのだが、どこからでも読めるし、それぞれの作品の感触がちがって、全体としてとてもよかった。
    表題作の「アヒル命名会議」は、大丈夫なの?と思うくらい神がひどい(笑) 神がこしらえたアヒル様生物を命名することになって、サタンがduckはいかがでしょう

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    2021年02月12日
  • ディディの傘

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    2021 #3

    私の知らない韓国を知った
    とても丁寧に翻訳されているのが伝わってきて
    日本語で読ませてもらってありがたかった
    日本の読者へのメッセージと訳者解説まで
    おいおい泣きながら読んだ


    ---メモ---


    P192 彼はキム・ソリに大人であれと要求したが、彼自身もキム・ソリに対しては大人なのに、彼はキム・ソリに対して何も、キム・ソリが大人になることについて何も、何らの責任も負わず、非難するだけして行っちゃったんだ。彼の大人らしさはキム・ソリを観察し、判断を下し、ことが終わった後に寄っていって非難するときだけ有効に働いたが、大人らしさがそんなものならあまりに御都合主義で下品じゃない

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    2021年01月23日
  • ディディの傘

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    "まっ昼間から、恨めしくて、恥ずかしくて、涙が出たよ。そのとき私、たいがい驚いて、気がついたのさ、私が泣いてる、恥ずかしいのがわかるんだ、ああ生きてるなあと。そしたらこんどはそれが嬉しくて、涙が出て出てきりがなくて。生きなくちゃ、せっかくここまで生きたんだから最後まで生きてみようって確かに覚悟を決めたんだ……そうやってしっかりはっきり心が決まったのはあの恥ずかしさのおかげで、あれが私を生かしたの。"(p.22)



    "私は自分の答え方や考え方が子どもに及ぼす影響が怖い。"(p. 183)

    "大人になることは、恥ずかしさの後に来るんだよとキム

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    2020年12月20日
  • ディディの傘

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    個人は個人で様々な考えや思い、問題を抱えて生きてる。
    それは大切な人を亡くしたことだったり、両親との隔たりだったり、性差、同性愛だったり、過去の運動や争いだったり。

    そういうものを胸に抱く個人にも、世の中の大きな流れは影響を与え、またその個人が、各々の抱えたものを持ち寄ってより大きな流れに響きあい、新しい流れを作っていく。時に後退しながら、時に迂回しながらも。

    韓国の現代、「セウォル号事故」「キャンドル革命」を背景に語られる、個人の「小さな記憶」と人々の歴史としての「大きな記憶」。
    今は過去となり、語られながら「記憶」は紡がれる。

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    2020年11月04日