あらすじ
『82年生まれ,キム・ジヨン』など,数々の話題作の翻訳を手がける著者が綴った,珠玉の読書エッセイ.文学に刻まれた朝鮮と日本の歴史をたどり,埋もれた詩人や作家に光を当て,人間が疫病や戦争に向き合ってきた経験をひもとくなど,韓国文学に止まらない古今の本を取り上げながら,その普遍性を今に開く25篇.
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Posted by ブクログ
映画やドラマと違って、本はとてもパーソナルで感想はもちろん何を読んできたか、何を読んでいるか、何を読み返すかはなかなか知る術がない。この作品はそのパーソナルな部分を垣間見ることができるような新しいタイプのエッセイ。
古い作品が多く、知らない作家ばかりだったけれど筆者を通して語られる作品の魅力に惹きつけられた。
Posted by ブクログ
今まで読んだことのない味わいの書評集だった。チボー家の人々から始まっていることにまず驚いた。著者の年齢を考えると私が片田舎のごく小さな書店でくすんだ色の函に入った黄色い本を買ったのは同じ時期ではないだろうかと想像がふくらんだ。田辺聖子と『編み本』の章特に良かった。
Posted by ブクログ
選書のセンス、作品の解説、読書にまつわる個人史など、非常に多角的で、かつどの角度からも深い、というすばらしい本だった。もちろん紹介されている本を読んでみたいという気持ちにもさせてくれる。
わたしは、映画や本について、作品自体と同じくらい、それを鑑賞した人の感想や体験が興味深いと思うタイプなので、こんな本がもっと読みたいです!
Posted by ブクログ
古い本や、朝鮮文学の紹介が多かった。知らない本ばかりで読んでみたくなった。この100年も満たない間でどれだけ時代、文化、人そのものが変わったのかと、色々考えてしまう。
『朝鮮短篇小説選』の解説にある、“これだけの作品を一般の読者が手軽に読むなどということは、本国では南北いずれにおいても不可能であることを付け加えておく。日本の読者はその点、ある程度の概念を簡単に得ることができることになるわけである“というのが大変印象に残っている。
当時だけでなく、今現在もこのような状況下にある国はたくさんあろうかと思う。何気なく手に取り読むことのできる私たちは、もっと享受すべきではないか。
他にも気になる本が本当にたくさんあった。ぜひ読んでみたい。
Posted by ブクログ
「図書」に連載時から気になっていたが、このように一冊にまとまると、著者の根気が並々ではないことが実感できる.チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジョン』の翻訳を手掛けていることから朝鮮半島の言葉に堪能であることは知っていたが、韓国文学の紹介は初めてだったので非常に面白かった.特に堀田善衛と朝鮮の関連が意外で、堀田の視点の幅広さに驚いた.小生もある程度の数の本を読むが、これ程に視線を多方向に向けて考察するという行動は素晴らしいと感じた.
Posted by ブクログ
2024.1
まず、なんて素敵なタイトルなんだろうと思う
開いてみると読んだことのない本について
読んだことのない作家について
たくさん書かれていた
同じ時代に違う場所で生きた作者や
時代背景から想像できる作者についてなど
私が今まで考えたことのなかった
新しい読書の世界への扉が開かれるようで
とても楽しく興味深く勉強になる本だった
カフェで読んだ後に思わず
本屋でジョージオーウェルの本を買って帰った
名作と呼ばれる作品や戦後すぐの作品など
ほとんど読んだことがなかったし
私にとっては読書は娯楽だったけど
最近は読書を通して勉強したい思いが強い
それはビジネス本や自己啓発本のことではない
こういう本から学びたい
Posted by ブクログ
斎藤真理子さんは韓国文学翻訳の人。
私は全くそちらに疎い。
私の妹は「隣の国なのに何も知らない」と興味を持ち大学生の時に韓国に留学したのだが、私は一度も韓国を訪れた事がない。私はニラやニンニクの匂いがダメだったので行きたいと思ったこともなかった。
そんな私が、この本で少し韓国文学に興味を持って、ちょっと読んでみようかなという気分になった。斎藤さんのチョイスと紹介の仕方が巧いからだと思う。
もちろん韓国文学以外の本も多く紹介されていて、どれも読んでみたくなった。
堅苦しくなく、本に対して正直な感想と言葉で、とても読みやすかった。
びっくりしたのは斎藤さんが編み物をしながら読書をするという事で、編み物をしながら読むのに適した「編み本」の話が面白かった。
古い本好きの私には他の話も面白いものばかりだった。