あらすじ
地球の滅亡、感染症、種の絶滅、大量消費……
《 解決の鍵はいつだって未来にある! 》
身に覚えのないことで突然、収容所に監禁された英語教師のスンギュン。16名もの教え子が殺人者になっているという。
そして、その原因が自分の“ 声” にあるというのだが……(「声をあげます」)
『フィフティ・ピープル』『保健室のアン・ウニョン先生』の人気作家が放つ初めてのSF短編集。
文明社会の行きづまりを軽やかに描き出し、今を生きる女性たちにエールを贈る、シリアスでポップな8つの物語。
二十三世紀の人たちを怒らせるのではないかと思うと私は恐ろしい。
この正常ではない、腹立たしい豊かさは最悪の結果に終わってしまうだろうと思う。
未来の人々に軽蔑されずにすむ方向へ軌道修正できたらいいのに。(「あとがき」より)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
何度も本を抱きしめたくなるほど、自分にとって最高の本になった!
よりリアルなストーリーや描写が好きという人にとってはあまりハマらないかもしれないが、
チョンセランの描くSF世界が好きすぎる、、!
一見、ありえない変な世界なのだが
読み進めていくとどれも『あれ、でもこれって現実とそんなに遠い話ではないのかもしれない』という気がしてくる。
そしてどれも過酷な希望を持ちづらい世の中に置かれた時の主人公の心の動きというかモノの捉え方や、その心情を伝えてくれる心のセリフがすごく良い。
タイトルも使うワードや比喩がすごくセンスがあって好き。。
Posted by ブクログ
「声をあげます」が抜群に面白かった。チョンセランと同時代に生きていることを、ハッピーに思う。高校生の頃、筒井康隆氏が大好きだったことを思い出した。SF、日本では懐かしい気のするジャンルだと思っていたけど、面白い。
Posted by ブクログ
軽やかにユーモアを交えながら描き出すのは、ときにディストピア、ゾンビが群れる世界、人間が絶滅しかけた世界、特殊な能力を持つ人々が強制収容されている世界。
舞台はそんな風にシリアスなのだけれど、物語を走る登場人物たちはたくましくしなやかに、そしてポジティブに楽しげに生き生きとその奇妙な世界を生きている。そのミスマッチさ、明るさがとても読んでいて心地よくて楽しくて堪らなかったです。
私が一番好きなのは「メダリストのゾンビ時代」。終末世界で自分らしく最後まで貫いて、切ない想いを閃かせて生きる主人公がとても素敵でした。
Posted by ブクログ
他の作品よりユーモアの中の皮肉成分が多いような一冊だったな。現在を生きる人の生活が未来の人の生活を左右することが強調されてると思う。特に『小さな空色の錠剤』と『七時間め』が好き
Posted by ブクログ
チョン・セラン(정세랑)のSF短編集。「ミッシング・フィンガーとジャンピング・ガールの大冒険」、「十一分の一」、「リセット」、「地球ランド革命記」、「小さな空色の錠剤」、「声をあげます」、「七時間め」、「メダリストのゾンビ時代」。
Posted by ブクログ
声をあげます、リセット、地球ランド革命記、メダリストのゾンビ時代、小さな空色の錠剤が面白かった。
メダリストのゾンビ時代でゾンビが流行っても電気とサブスクサービスが続いていることが妙にリアルな感じがした。
小さな空色の錠剤であらゆる記憶が完全に残るのも大変だなと思った。
地球ランド革命記は変な世界だった。
Posted by ブクログ
SFは文明批評の色彩を帯びることが少なくないが、そこで試されるのは作者の社会に対する洞察力である。どの作品についても作者は悲観的なだけでもなく楽観的なだけでもない。ただどのような状況でも、人間は人間であり続けるだろうことを、軽やかに物語っている。
Posted by ブクログ
本書を読んでチョン・セランは韓国の柞刈湯葉だぁ〜って思いました!
(他の作品は読んだことがありませんが…w)
著者の初めてのSF短編集らしいです
シリアスでポップな8作品が収録されていますが、これがまたよくわからないものが多い…(^.^;
(私の理解力が低いのかも…w)
よくわからないが何だかクセになります!
また発想もおもしろい!
(その辺が柞刈さんに似ている感じがする)
表題作の「声をあげます」と「十一分の一」は気に入りました!
Posted by ブクログ
CL 2022.4.27-2022.4.29
軽快なSF作品。
コミカルで軽いタッチの文体が好きかと言うとそうでもないのだけど、ディストピアを描くにはこれくらい軽やかなほうがいいのかもしれない。
リセット:この世界観はすごい。現代文明への痛烈な批判なんだけど、深刻になりすぎない書き振りであっさり読めるのがいい。
地球ランド:地球ランドには天使が生身の生物として存在するのか。あーこれは普通に愛の物語だった。
SFは基本的にそうなんだけど、この作家は、舞台設定がブッ飛んでいて、もうそこから面白い