斎藤真理子のレビュー一覧

  • 翼~李箱作品集~

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    植民地時代の朝鮮にも
    モダニズム文化は日本から流入した
    そしてやはり古い文化との軋轢が生じたんだ
    李箱という人は新旧文化の…
    別の言い方をすれば日本と朝鮮のはざまで
    一足早くポストモダン的なものに目覚めたらしい
    将来の家父長たるべき若旦那として
    消費社会の恩恵もいっぺんに受けたいという
    ぼんくらの願いそのもの、と僕には見えるんだけど
    でもまあそれが人の本音というものですよね
    ドストエフスキーなんか捨てちゃって
    マルメラードフのように生きたいね

    「烏瞰図 詩第一号」
    群衆のなかに「私」は存在しない
    透明な存在として溶け込んでいる

    「翼」
    妻に飼われて生きてる亭主
    飯を出してもらった上に寝てば

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    2025年06月30日
  • タワー

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    巨大タワーを独立国家として物語が展開されるというシチュエーションが斬新。収録作の「タクラマカン配達事故」が特に良かった。コミカルに描きつつ、社会風刺の緩急が絶妙だった。ただ、抽象化されている部分が多く、物語への没入のしづらさも感じた。

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    2025年06月19日
  • 影犬は時間の約束を破らない

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    淡々と話が進んでいく物語。冬眠する人と観察し世話をする仕事をする人との出会いや繋がり、日常をふんわりとした雰囲気でしかも生活感を感じさせないので疲労している時や心穏やかになりたい時に何も考えずに読むことで浄化できる気がする。
    冬眠を見守る仕事はある程度の期間1人の人と接触し、しかもほとんど話す事もない、そして孤独感もないと思うのであったらやってみたいなぁ。

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    2025年06月03日
  • サハマンション

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    これは面白くなかった〜。これもチョ・ナムジュの作品なんだけど、近未来の架空の都市国家舞台にした連作短編なんだけど、設定も展開もやたら意味深で思わせぶりで、最後までほとんど何も語られない。そもそも物語として喜びを感じられるシーンが皆無だった。読んでて苦痛だったな。めちゃくちゃ時間かけてしまった。ボストンに持って行ったのにほとんど読み進められなかった。つまらなかった。

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    2025年05月30日
  • 優しい暴力の時代

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    暴力の連鎖は止まらない__
    絶望的な世界で生きる痛みを記録した短編集。
    生きているから傷つき、傷つける。被害者意識が強くなりがちだが加害者でもあることを忘れてはいけない。優しいと暴力の組み合わせに違和感を感じたがあとがきを読んで納得した。

    すっと入ってくる内容ではなかったので、読み進めるのに時間がかかりました。

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    2025年05月24日
  • ギリシャ語の時間

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    中動態。能動態と受動態、そのどちらでもない行為。
    和解のできなさと明確に分類されない態とともにたゆたう2人がゆっくりと出会う。
    やはり今作も静かに物語は進むのだが、心の奥底にじんわりと炎立つ力強さも携えている。

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    2025年05月16日
  • 誰でもない

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    情景は、リアルに感じられるのに、そこと、ストーリーの繋がりを、汲み取るのが、私には、難しかった

    それでも、読み終わった後のなんとあわらしていいかわからない、気味の悪い感じ、虚無感?胸が、締め付けられるような痛みが、忘れられない

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    2025年05月07日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    生物学的な男女の違いを理解し
    調和のために何が必要か
    という観点で社会を見たほうがいいな
    という気付きを得た。
    そもそも男女平等という考え方自体も
    個人によって解釈が違ってくるし、
    エゴが入ってくるものだと思う。
    難しかった。

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    2025年07月25日
  • 優しい暴力の時代

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    故意ではなく誰かを傷つけたり、傷つけられたりする日常を切り取った短編集。
    物語を読み進めていくと、この『傷』を『優しい暴力』と表現されていることに納得がいきました。『何でもないこと』という作品で、10代の妊娠と出産に直面した母親が大きなショックを受けつつも、自分たちの日常を止めることが出来ず、産まれた未熟児の生をなかったことにする様子がとても生々しい痛みに感じました。
    誰にでも起こり得て、自分も加害者になっていることに気付かされる作品でした。

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    2025年03月20日
  • ギリシャ語の時間

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    ハンガンの著作を読むのは4冊目。他の作品と比べると私にはちょっと難しかったです。

    文章は他作品と同様に美しいです。

    好きな一文:
    「まるで、時間が私に口づけしてくれたようでした。」

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    2025年01月20日
  • 回復する人間

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    韓国語は会話文に括弧を使わないのかなと思っていたら、ごく稀に出てくる。どういう基準なんだろう。
    「左手」がこの並びだとちょっと浮いてるし、なんか怖かった。それ以外は静謐で、ひたすら生きるとは、死ぬとはに向き合おうとしているような作品群。

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    2024年11月10日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    ネタバレ

    韓国文学は傷を描くものが多いと。
    歴史も含め全く把握できてなかったので、勉強になった。
    ちょうど見た韓ドラでもナチュラルにIMF危機が出てきて、なるほどとなった。
    過酷な歴史が多く暗い気持ちになりそうなので手はすぐには伸びないが、読んでみたいと思う本はいくつか見つかった。

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    2024年10月31日
  • タワー

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    ネタバレ

    関連のある短編集?なんだけど、爆破するつもりだったのに住んでるうちに愛着が湧いて爆破できなかった人達の話が好き。

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    2024年10月22日
  • 増補新版 韓国文学の中心にあるもの

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    韓国文学がいかに社会問題・歴史特に朝鮮戦争の問題と関わっているかが分かる一冊だった…自分があまりにも戦争に対して無知(学校でも特需の部分しか習わなかったことやそのまま勉強もせずにいたこと)が恥ずかしかったけど『今新しい韓国の文学を読む行為は(朝鮮戦争を生き延びて日本に来た人が体現した)受け取り損った何かを掬い取ることにつながらないだろうか』という言葉と『恥があることは恥ずべきではありません。後世に恥を残さない方法を考案するしかない』という言葉にもっと韓国文学読もう、学ぼうって思ったよ。

    各章で出てきた本の紹介もあったからたくさん読むよー!

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    2024年10月22日
  • 年年歳歳

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    本名とは違う順子(スンジャ)と呼ばれて叔母の家で働かせられた女性とその娘たちの話なんだけど、スンジャさんのような目にあった人はたくさんいたのではと思う…脈々と少しずつ形を変えながら続いてる家父長制の中で生きてる人たちの話です。

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    2024年10月21日
  • 翼~李箱作品集~

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    旅先で購入。
    初めて知った作家。
    詩、随筆、小説。
    ちょっと入りきれないものもあった。
    ままならない生、暮らし、諦念、苛立ち、悲哀。
    そんなのを感じた。

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    2024年09月05日
  • サハマンション

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    再読。
    以前読んだときには、救いがなくただ苦しくて、どう受け止めればよいのかわからなかったが、この作品をもう一度読んでみて感じたのは、何かちょっとしたきっかけでこれが現実になりうるのではないかという恐怖だった。
    現実になりうるというより、すでに私たちの現実としてのリアリティがあった。
    自分が全く同じ経験をしたわけでなくとも、共感できずとも、なぜか理解できる。理解できてしまった。

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    2024年06月24日
  • アヒル命名会議

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    韓国人作家の小説はいくつか読みどれも挑戦的な内容でしたが、本作も然り。
    フェミニズム、キリスト教、貧困がブラックユーモアたっぷりに表現されていた。
    女性が描く女性性の問題提起だからか、同性の私は共感できるものがあった。これが男性側からのメッセージだったら、きっと頓珍漢で憤りをもよおさせるものになったかもしれない。
    どんな人もお互いに尊重して気持ちよく生きていける社会になれたらいい。

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    2024年01月10日
  • 翼~李箱作品集~

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     作者李箱(イサン)は、日韓併合直後の京城に生まれ、短い作家活動の末、1937年東京にて死去した人とのこと。韓国文学にはほとんど触れたことがなく、本書で初めてその作品を読んだ。
     正直、詩は苦手なのだが、ましてモダニズム系の詩なおさらだ。
     それに対し小説は、「翼」といい、「蜘蛛、豚に会う」といい、妻との奇妙な関係が男に鬱屈した感情を抱かせる、そのモヤモヤしたところを上手く表現化していると思った。

     植民地下で作家として生きることの困難など作者が当時置かれていた状況や作品自体の鑑賞の手引きなど訳者の丁寧な解説が付されており、大変参考になる。

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    2023年11月28日
  • アヒル命名会議

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    短編集11篇+2篇
    神と天使達の会議「アヒル命名会議」エキストラのまさかのブレイク「手違いゾンビ」コンドームの誤配達のドタバタ喜劇「後で来てください」が好みです。

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    2023年05月09日