斎藤真理子のレビュー一覧

  • 別れを告げない

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    やっと読めたノーベル賞作家。とはいえ、最初に気になったのは受賞前のフリスタで、そこから読みたいとは思っていた作品。煽り調子の訳でなし、目まぐるしい展開があるのでもないんだけど、なんだかページを繰る手が止まらず、どんどん先を読まされる。題材選定やら、それに合う文体やら、諸要素が重なってのことだと思うんだけど、なかなかその正体が見えない。そんなちょっとしたモヤモヤも含めての文学なのかもしれないけど、言語化しにくいものだけに、得意とか好きになりにくいのかもしれない。文学を味わうにおいての自身の課題。

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    2025年12月19日
  • 光と糸

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    ハンガンのノーベル文学賞受賞スピーチ他、詩や庭にまつわるエッセイ等まとめた一冊。

    「過去が現在を助けることはできるか? 
    死者が生者を救うことはできるのか?」

    いつか答えは出るのかな。

    この美しい本を書店で手に取った時、通りかかった親子が「ギリシャ語の時間」を買って行くのを目にした。

    糸は繋がってる。

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    2025年12月19日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    「自分の感情に、もう決まっているシンプルな名前があるともっと早く知っていたら、いろんなことが違っていたのかな。みんな、この世のすべてに名前があることを知っているんだろうか。目に見えないものにも名前があることを知っているのかな。」

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    2025年11月22日
  • 別れを告げない

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    韓国済州島というと観光地としてのイメージしかありませんでした。韓国の歴史、済州の歴史を知ってこそこの作品を理解出来るのだろうと思います。この作品の底流に流れるもの、シンシンと降り積もりつづく雪は単に空から降り積もっているのみならず、心の中にも積もり続けているんだろう。

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    2025年11月21日
  • フィフティ・ピープル[新版]

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    韓国の物語だからそんなに感情移入できないと勝手に思っていたが、読み終わってからその認識がいかに甘かったか考えさせられた。
    背景に持っている国や文化が違っても、私たちが直面している問題や考えにはさほど差がないことに驚かされたとともに、力強さ、そして非力さも感じた。
    私ごとだが、最近母親になったばかりで、今まで見たことがある作品を改めて見返した際、感情移入する登場人物が子供から母親に変わったことに自分自身困惑したことがあった。この本もきっと、私とともに成長してくれるのだろう、と感じた。

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    2025年11月17日
  • ギリシャ語の時間

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    言葉を話せなくなった彼女とギリシャ語講師以外の登場人物や、物語の中での「私」や「彼女」が誰のことなのか、誰が語っているのか、その場面ごとになかなか把握できなかったこともあり、感想を書けるほど読み深めることはできなかったけれど、ハン・ガン氏の抒情的な世界の一端に触れる良い経験になった。

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    2025年11月15日
  • 誰でもない

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    短編集の題名「誰でもない」という短編は収録されていません。冒頭に「誰でもない、をなんでもない、と読み違える」と書かれています。「誰でもないから、みんなのことでもある」って意味合いでしょうか。

    『上京』
    語り手の女性は、恋人のオジェとその母といっしょに田舎の唐辛子畑に行った。値上がりする都会の生活費、何でも安いけれど人がいない田舎。韓国経済の悪循環。
    オジェはソウル暮らしに疲れ、田舎に移住しようかと考えていたが、田舎でしっかり根を下ろすほどの確固たる決意もない。

    『ヤンの未来』
    語り手の女性は、就職難から契約職員として何度か転職し、その時はビルの地下の書店で働いていた。ある時店に来た女子高生

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    2025年11月14日
  • ディディの傘

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    韓国の小説である。2篇の別々の小説が掲載されている。dはタイトル通りのdとddの話であり、傘の貸し借りをするところからタイトルがとられている。韓国の状態を如実に感じることができる。「何も言う必要がない」は、女性二人の話である。そこには大学でのデモやその後のデモの参加が描かれているが基本的には女性が韓国で暮らしていくことの大変さを描いている。

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    2025年11月09日
  • ギリシャ語の時間

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    今まであまり読んだことのないスタイルの本で、小説であるものの詩的な表現に溢れており、現実と夢を行ったり来たりして、静謐で多層的な世界観を堪能しました。
    何日かに分けて読みましたが、一気に読むともっとこの世界に浸れそうな気がします。

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    2025年11月07日
  • ギリシャ語の時間

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    何か問題を抱える人たちの心情が表されており、イメージしやすい本であった。
    当たり前のように生きれている自分には想像することはできるものの、本当の意味での理解は難しいのではないかと感じた。

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    2025年11月06日
  • 別れを告げない

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    ネタバレ

    「愛」についてのお話。
    翻訳者の力もあるのだろうけど、表現が独特で文章が美しかった。
    こちらでありあちらでもあり、この世でありあの世でもあり、現実であり夢でもあり、今であり過去でもある。象徴的に使われている(あとがきより)鳥や雪のように、寄るべなくふわりふわりと行きつ戻りつしながら話は進む。

    私は映画で光州事件や軍事政権をちらりと知るだけだったので、済州島四・三事件はもちろん知らず、あまりの惨事に驚いたけれど、韓国人ならみんな知っているはずなので、事件の衝撃性はこのお話のメインではないんだよね。

    兄の遺骨は見つからず、鳥も死んでたし、物語はちっともうまく進まないんだけれど、いろんな人が語る

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    2025年11月10日
  • 韓国文学を旅する60章

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    ほとんど読んだことがない韓国の文学や詩である。丁寧に説明している。著者の写真やその場面の写真がある。巻末には読書案内があるが、書誌なのでいまいち読もうという気にはさせなかった。

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    2025年10月25日
  • 別れを告げない

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    夏に読んだのに、自分の吐く息が白く思えた。見えないもの、二度とさわれないものを強く思うひとびとの眼差しに触れた。

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    2025年10月22日
  • 別れを告げない

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    長いこと韓国語学習書のデザインしていたにも関わらず、済州島四・三事件を詳しく知らなかったので、恥ずかしくもあり、かなり勉強にもなりました。

    友人インソンさんが制作した1948済州島モノクロドキュメント映画のシーンがかなり衝撃的なのか、トラウマのように回想する、主人公のキョンハ。

    かなり高度な文学書だと思います。
    現在と回想シーンを、いったりきたり、
    現実と夢の中を、いったりきたり、
    喋り言葉と心の言葉の境目がなく、
    とにかく読み慣れるまで時間かかりましたが、キョンハの心の中と読み手側の心の中が少しずつ近づいていきます。

    大事に飼われていた二匹の鳥、アミとアマ。
    途中でアミが死んでしまった

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    2025年10月10日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    死者との関係を紡ぎ直すことあるいはその意味合いを変えてゆくことが生きるものにできることなんだなと思う。
    精神と身体の変化を感じ、見つめ、言葉にすることが人間の営みだと語る覚悟とか切実さが詰まったエッセイだった

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    2025年10月09日
  • アヒル命名会議

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    ネタバレ

    表題作やはりいい。神様は横暴。
    悪い意味ではなく女性の書いた本なんだなあというのが伝わってきた。筆者の人間性?みたいなものが伝わってきて良い。

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    2025年09月18日
  • 声をあげます

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    わりと後味悪い話もあるのにびっくり。「十一分の一」「リセット」「七時間め」が好きかも。なんかねえ、ほんとに、人類今の状態相当やばいからなあ。

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    2025年09月15日
  • 優しい暴力の時代

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    韓国語原書『사냥한 폭력의 시대』

    生活の底の方にじっとりと横たわっているけれども見て見ぬふりをしてやり過ごしている、そういう悪意や諦めをすくい上げたような短編集。全体的に重たくて、わかりやすい救いもないし明るい読後感ではないが、こんなふうに生活は続いていくし人間は暮らしていくものだよなという妙な納得があった。こういう痛みをちゃんと見て書いてくれる作家は信頼できて好きだ。


    "사람에게는 사람이 필요하다. 원망하기 위해서, 욕망하기 위해서, 털어놓기 위해서."(p.216『안나』)


    "예의 바른 악수를 위해 손을 잡았다 놓으면 손바닥이 칼날에

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    2025年08月24日
  • 回復する人間

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    「明るくなる前に」と「火とかげ」が好きだった。
    ハン・ガンが書く物語には結婚生活が破綻している人しか出てこないが、本人も離婚しているので何か自身の経験に基づくものがあるのだろうと考えた。

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    2025年08月02日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    読んでよかった。

    在日コリアンという言葉は知っていたけれど、韓国にルーツのある人がたくさんいて、日本の植民地支配が関係しているのだろうなぁくらいにしか思っていなかった。
    外国人登録制度によって、日本国籍にさせられたコリアンの人々が「朝鮮」籍(特定の国家を指すものではなく、出身地を表す記号。北朝鮮のことではない)や「韓国籍」になり、さらに日本は北朝鮮を未承認国家としていることから、朝鮮籍の人は事実上の無国籍状態または国籍未確認の状態であるということに衝撃を受けた。

    今ほど2つの言語と文化が好意を持って歩み寄った時代はないが、今ほど露骨に敵意や憎悪を直接的・継続的に向けられる時代もなかった、と

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    2025年07月18日