斎藤真理子のレビュー一覧

  • 光と糸

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    この本は、訳者あとがきに書かれているとおり、ノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」を含む受賞関連の文章三つと、単行本未収録の詩と散文、そして庭仕事を通しての暮らしと心境を綴った「北向きの庭」と「庭の日記」から成っています。

    韓国のつらい歴史に対しての疑問と葛藤、そして愛についても考え、悩み、自分と向き合いながら小説が完成するまでの葛藤の日々がこの本に綴られていました。

    彼女が八歳のときに書いた一編の詩の始まりで、感性豊かな子どもだったこともわかりました。かわいいハングルの直筆の写真もありました。

    「庭の日記」では彼女が庭の木々を慈しむ日々が書かれていました。表紙の写真も、ハン・ガンさん自身

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    2026年01月28日
  • 光と糸

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    ハン・ガンはずっと何かに苦しんでいる。世界をより良くするため、世界から苦しみを取り除くため、自分も血を垂れ流しながら戦っている。だからなのか、彼女が書く文章はどこか寂しい感じがする。世界を諦めたいけれど、諦めきれていない。どうして世界はこんなにも美しい。そう問い続けている。8歳の時に書いたという詩に心打たれた。その年齢だからこそ書ける詩。その年齢の子が書いたからこそ大人の心を揺さぶる。

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    2026年01月17日
  • 光と糸

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    ハン・ガンさんの著書を読むと強く感じることがある。
    言葉が生きていて、自分の身体の内部に浸透すると。
    言葉を読まされているのではなく、読み進めたいと欲する感覚はなかなか味わえない。

    エッセイや詩、ノーベル文学賞受賞記念講演事の言葉達。
    冒頭からの過去作への制作過程や心情を知ると、間違いなく全部読みたくなります。
    ハン・ガンさんが人に対する愚かさや残酷さを考え絶望すると同時に、それでも美しさや愛を考え希望を探して生きていることに心うたれました。

    過去を想い知ることで、今を生きる喜びや意味を見つけたくなりました。
    ハン・ガンさんの綴る言葉には温かさと冷たさが混じっていて、闇がないと光もないのだ

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    2026年01月09日
  • 別れを告げない

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    現実と非現実が入り混じり、景色や空間、人の仕草が美しく描かれると同時に、済州島の悲惨な事件の残酷な様子が細かく書かれ、独特の静謐な世界観を味わいました。
    この作家さんの本はクセになります。

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    2025年12月31日
  • 別れを告げない

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    ノーベル文学賞受賞作家のハン・ガン氏による済州島四・三事件をテーマにした作品。
    ハン・ガン氏の文章は静謐で無機質な広い空間に置かれた美術館のオブジェのような印象を受ける。現実と幻想の境界線を曖昧にし、共感による痛みにより自己をバラバラにし昇華し再生し物語を紡ぐ。
    愚かさと哀しみに満ちた済州島四・三事件を決して忘れず哀悼を終わらせず語り継ぐという強い意志とともに、本作品の物語の本質は女性ふたりの繊細な感性の重ね合わせにあると思う。

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    2025年12月22日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    全人類に読んでほしい、特に男性に。
    最初から最後までしんどくて、生きてくのがうんざりする内容。この主人公でマシな方らしいので、もっと大変な目に合っている女性がかなりいるのかと思うと言葉が出ない。
    出てくる女性が皆かっこいい。

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    2026年01月24日
  • 別れを告げない

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    やっと読めたノーベル賞作家。とはいえ、最初に気になったのは受賞前のフリスタで、そこから読みたいとは思っていた作品。煽り調子の訳でなし、目まぐるしい展開があるのでもないんだけど、なんだかページを繰る手が止まらず、どんどん先を読まされる。題材選定やら、それに合う文体やら、諸要素が重なってのことだと思うんだけど、なかなかその正体が見えない。そんなちょっとしたモヤモヤも含めての文学なのかもしれないけど、言語化しにくいものだけに、得意とか好きになりにくいのかもしれない。文学を味わうにおいての自身の課題。

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    2025年12月19日
  • 光と糸

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    ハンガンのノーベル文学賞受賞スピーチ他、詩や庭にまつわるエッセイ等まとめた一冊。

    「過去が現在を助けることはできるか? 
    死者が生者を救うことはできるのか?」

    いつか答えは出るのかな。

    この美しい本を書店で手に取った時、通りかかった親子が「ギリシャ語の時間」を買って行くのを目にした。

    糸は繋がってる。

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    2025年12月19日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    「自分の感情に、もう決まっているシンプルな名前があるともっと早く知っていたら、いろんなことが違っていたのかな。みんな、この世のすべてに名前があることを知っているんだろうか。目に見えないものにも名前があることを知っているのかな。」

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    2025年11月22日
  • 別れを告げない

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    韓国済州島というと観光地としてのイメージしかありませんでした。韓国の歴史、済州の歴史を知ってこそこの作品を理解出来るのだろうと思います。この作品の底流に流れるもの、シンシンと降り積もりつづく雪は単に空から降り積もっているのみならず、心の中にも積もり続けているんだろう。

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    2025年11月21日
  • フィフティ・ピープル[新版]

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    韓国の物語だからそんなに感情移入できないと勝手に思っていたが、読み終わってからその認識がいかに甘かったか考えさせられた。
    背景に持っている国や文化が違っても、私たちが直面している問題や考えにはさほど差がないことに驚かされたとともに、力強さ、そして非力さも感じた。
    私ごとだが、最近母親になったばかりで、今まで見たことがある作品を改めて見返した際、感情移入する登場人物が子供から母親に変わったことに自分自身困惑したことがあった。この本もきっと、私とともに成長してくれるのだろう、と感じた。

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    2025年11月17日
  • ギリシャ語の時間

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    言葉を話せなくなった彼女とギリシャ語講師以外の登場人物や、物語の中での「私」や「彼女」が誰のことなのか、誰が語っているのか、その場面ごとになかなか把握できなかったこともあり、感想を書けるほど読み深めることはできなかったけれど、ハン・ガン氏の抒情的な世界の一端に触れる良い経験になった。

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    2025年11月15日
  • 誰でもない

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    短編集の題名「誰でもない」という短編は収録されていません。冒頭に「誰でもない、をなんでもない、と読み違える」と書かれています。「誰でもないから、みんなのことでもある」って意味合いでしょうか。

    『上京』
    語り手の女性は、恋人のオジェとその母といっしょに田舎の唐辛子畑に行った。値上がりする都会の生活費、何でも安いけれど人がいない田舎。韓国経済の悪循環。
    オジェはソウル暮らしに疲れ、田舎に移住しようかと考えていたが、田舎でしっかり根を下ろすほどの確固たる決意もない。

    『ヤンの未来』
    語り手の女性は、就職難から契約職員として何度か転職し、その時はビルの地下の書店で働いていた。ある時店に来た女子高生

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    2025年11月14日
  • ディディの傘

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    韓国の小説である。2篇の別々の小説が掲載されている。dはタイトル通りのdとddの話であり、傘の貸し借りをするところからタイトルがとられている。韓国の状態を如実に感じることができる。「何も言う必要がない」は、女性二人の話である。そこには大学でのデモやその後のデモの参加が描かれているが基本的には女性が韓国で暮らしていくことの大変さを描いている。

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    2025年11月09日
  • ギリシャ語の時間

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    今まであまり読んだことのないスタイルの本で、小説であるものの詩的な表現に溢れており、現実と夢を行ったり来たりして、静謐で多層的な世界観を堪能しました。
    何日かに分けて読みましたが、一気に読むともっとこの世界に浸れそうな気がします。

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    2025年11月07日
  • ギリシャ語の時間

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    何か問題を抱える人たちの心情が表されており、イメージしやすい本であった。
    当たり前のように生きれている自分には想像することはできるものの、本当の意味での理解は難しいのではないかと感じた。

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    2025年11月06日
  • 別れを告げない

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    ネタバレ

    「愛」についてのお話。
    翻訳者の力もあるのだろうけど、表現が独特で文章が美しかった。
    こちらでありあちらでもあり、この世でありあの世でもあり、現実であり夢でもあり、今であり過去でもある。象徴的に使われている(あとがきより)鳥や雪のように、寄るべなくふわりふわりと行きつ戻りつしながら話は進む。

    私は映画で光州事件や軍事政権をちらりと知るだけだったので、済州島四・三事件はもちろん知らず、あまりの惨事に驚いたけれど、韓国人ならみんな知っているはずなので、事件の衝撃性はこのお話のメインではないんだよね。

    兄の遺骨は見つからず、鳥も死んでたし、物語はちっともうまく進まないんだけれど、いろんな人が語る

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    2025年11月10日
  • 韓国文学を旅する60章

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    ほとんど読んだことがない韓国の文学や詩である。丁寧に説明している。著者の写真やその場面の写真がある。巻末には読書案内があるが、書誌なのでいまいち読もうという気にはさせなかった。

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    2025年10月25日
  • 別れを告げない

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    夏に読んだのに、自分の吐く息が白く思えた。見えないもの、二度とさわれないものを強く思うひとびとの眼差しに触れた。

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    2025年10月22日
  • 別れを告げない

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    長いこと韓国語学習書のデザインしていたにも関わらず、済州島四・三事件を詳しく知らなかったので、恥ずかしくもあり、かなり勉強にもなりました。

    友人インソンさんが制作した1948済州島モノクロドキュメント映画のシーンがかなり衝撃的なのか、トラウマのように回想する、主人公のキョンハ。

    かなり高度な文学書だと思います。
    現在と回想シーンを、いったりきたり、
    現実と夢の中を、いったりきたり、
    喋り言葉と心の言葉の境目がなく、
    とにかく読み慣れるまで時間かかりましたが、キョンハの心の中と読み手側の心の中が少しずつ近づいていきます。

    大事に飼われていた二匹の鳥、アミとアマ。
    途中でアミが死んでしまった

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    2025年10月10日