斎藤真理子のレビュー一覧

  • 声をあげます

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    軽やかにユーモアを交えながら描き出すのは、ときにディストピア、ゾンビが群れる世界、人間が絶滅しかけた世界、特殊な能力を持つ人々が強制収容されている世界。

    舞台はそんな風にシリアスなのだけれど、物語を走る登場人物たちはたくましくしなやかに、そしてポジティブに楽しげに生き生きとその奇妙な世界を生きている。そのミスマッチさ、明るさがとても読んでいて心地よくて楽しくて堪らなかったです。

    私が一番好きなのは「メダリストのゾンビ時代」。終末世界で自分らしく最後まで貫いて、切ない想いを閃かせて生きる主人公がとても素敵でした。

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    2024年11月28日
  • ギリシャ語の時間

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    「未来散歩練習」を読んでから、韓国の女性作家の本をもっと読みたいという気持ちになって、ずっと積読してあった「ギリシャ語の時間」に手を伸ばした(ノーベル文学賞もあったし!)。
    ぼんやりとした暗闇と、それと対をなすみたいなギリシャ語の教室の蛍光灯(私にはそんな印象)の明るさが、印象に残る。私はこの暗さも明るさも知っているようだなと思った。暗さの方がかえって、自分にとって正しいと感じられることをわからせてくれる、底力のような明るさがある感じ。ギリシャ語講師の男が、明るすぎるよりよく見えると言っていたのはもしかして、そういうことかなとも思った。
    途中まではこの話はどこへ行くんだろうとチロチロ進んでいく

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    2024年11月17日
  • ギリシャ語の時間

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    ノーベル賞を受賞していたから、という不純な理由で彼女のいくつかの本を読んだ。
    恢復と再生の話、まだきちんと産まれ直してないものの。ずっと暗闇を歩いて、終わりなのか、途中なのかもわからないような薄明かりが見えて終わる。読後感は不思議といい。すべて解り合えることはないけれど、という諦念が結局生きるために必要なのかも。

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    2024年11月17日
  • 回復する人間

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    私にとって、なんとも言えないくらい、とても衝撃を受けた本でした。落ち着いた場所で、静かに読むべき本のように思いました。じっくりと読んでも1度では足りないようにも思いました。

    自分の目の前でその情景を見ているような感じがしました。登場人物の心の中の細かい描写に吸い込まれそうな感じを受けたときもありました。人の繊細な部分の表現の仕方が秀逸に思えました。身体の傷、心の傷、両方とも回復を願うだけではないときがあることを知りました。ハン・ガンさんがどういう思いでこの本を書いたのか、知りたいと思いました。(あとがきに訳者の説明がありました。)

    今は、私よりもきちんとこの本を理解した方のレビューが読みた

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    2024年11月11日
  • 未来散歩練習

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    終始不思議な本だったけど、この本にしかない不思議な時間が心地よくて、時々何を言っているのかわからない(わかるけど、意味するところがわからない)こともあったけど、それすらもフワフワと心地よかった。読んでいる時間に自分の心をそのままにしておけるような丁寧さがあって、自分も自分の心に無理せず素直にいられるような気がした。
    手繰り寄せたい未来のためにどんな今を反復すべきかという問いの意味は私にはまだしっくりと分からなくて、未来なんて来なければわからないし、きっとここでいう未来は、想像した先の未来のことも含んでのことだと思うんだけど、それがどうも自分にはカラダで理解できてる感覚じゃなかった。
    もしかして

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    2024年11月11日
  • 翼~李箱作品集~

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    難解すぎて、よくわからなかった、の一言で終わらせるには惜しい。難解さの原因は、作者が植民地下の京城、東京にすっぽりと入る時間に生きた青年だったこと、日本語と韓国語の両方を駆使していたこと、時代が芥川の自殺やプロレタリア、モダニズム文学などの文学史上のターニングポイントを迎えていたことなど、多岐にわたる。できれば韓国語と日本語の両方をよく理解できる能力を持った上で読んでみたい作品だけれども、村山槐多や夢野久作を思わせる、人を食ったようなシュールレアリスムな世紀末的世界観はなかなか嵌りそう。

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    2024年10月27日
  • 優しい暴力の時代

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    家族や恋人、同級生などの閉ざされた関係性の中にある苦痛を社会問題や階級社会、韓国独特の不動産制度を交えながら書かれててすごかった…

    ちょっと読んだ後疲れた…「ずうっと、夏」が一番好き。

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    2024年10月22日
  • 声をあげます

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    他の作品よりユーモアの中の皮肉成分が多いような一冊だったな。現在を生きる人の生活が未来の人の生活を左右することが強調されてると思う。特に『小さな空色の錠剤』と『七時間め』が好き

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    2024年10月21日
  • 回復する人間

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    受賞後に読み始め、3冊目。
    左手、が特に印象的だった。
    自分が無意識に抑圧してきたことや
    傷ついてきたこと
    それらを無かったことにしないで、自分の一部として大切にして良いのだと感じつつある。
    影が深まることで、光がより明瞭に感じられて。

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    2024年10月16日
  • ギリシャ語の時間

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    ネタバレ

    祝ハン・ガン、ノーベル文学賞受賞!ちょうど『すべての、白いものたちの』を読み終え、本作『ギリシャ語の時間』を読み出したところだった。Youtubeで発表会見を見ていて、South Korean author Han Kangと読み上げられ、ハン・ガン?!とテンション上がりました。そのテンションであっという間に読んだ。

    訳者あとがきでよく解説されているのだが、
    ...彼女のテーマが徐々に、恢復と再生の方向へ向かって変化してきたことがわかる。
    とあるように、著者自身が「この本は、生きていくということに対する、私の最も明るい答え」とあるように、あとがきに戻るが
    ...繁栄と孤独が背中合わせになった

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    2024年10月12日
  • 年年歳歳

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    登場人物すべてが、ずっとフルネームで書かれていたので、家族の物語が個人の物語のように思えました。最後の作者の言葉で、家族の物語としては書いていないことがわかり、納得しました。

    韓国は夫婦別姓で、子どもは父親の名字を継ぐのがほとんどです。登場人物を把握するのにとまどいましたが、人物図があったので助かりました。私は、一人一人が胸に秘めた思いを吐露する文章を読み進めていくうちに、だんだんこの物語に惹かれていきました。

    まだ数多くの韓国の小説を読んでいないし、歴史も詳しくないので、訳者のあとがきで理解が深まりました。現代の韓国人の典型的な人生や朝鮮戦争前後のことを知ることもできました。『年年歳歳』

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    2024年10月06日
  • 未来散歩練習

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     神戸の古本屋さんを探して『散歩』している時、レトロな建物の2階に入っているお店で偶然目に留まり、手に取った。
     パク・ソルメさんの著作を読むのは初めて、事件のことも初めて知った。この本に出会えて良かった。私の『散歩』はこれからも続けていきたい。

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    2024年09月29日
  • 本の栞にぶら下がる

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    古い本や、朝鮮文学の紹介が多かった。知らない本ばかりで読んでみたくなった。この100年も満たない間でどれだけ時代、文化、人そのものが変わったのかと、色々考えてしまう。
    『朝鮮短篇小説選』の解説にある、“これだけの作品を一般の読者が手軽に読むなどということは、本国では南北いずれにおいても不可能であることを付け加えておく。日本の読者はその点、ある程度の概念を簡単に得ることができることになるわけである“というのが大変印象に残っている。
    当時だけでなく、今現在もこのような状況下にある国はたくさんあろうかと思う。何気なく手に取り読むことのできる私たちは、もっと享受すべきではないか。
    他にも気になる本が本

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    2024年09月28日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    K-POP好きの人はある意味で、必読だと思う。韓国のことが言語を通じてより深く知れることができた。読みやすさもあるし多くの人に受け入れやすい内容だとも思う。

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    2024年09月11日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    第一章:말 言葉、第二章:글 文、文字、第三章:소리 声、第四章:시 詩、第五章:사이 あいだ。韓国語と日本語のあいだを考えた本。斉藤真理子さんの経験も書かれています。

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    2024年08月27日
  • 優しい暴力の時代

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    読後、何とも言えない気持ちになる短編集。人の中には優しさと残酷さが共存してるよなーと思う。そんな中でも、割と爽やかな「ずうっと、夏」が1番好きかな

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    2024年08月22日
  • 本の栞にぶら下がる

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    今まで聞いたことのないような著者や人物のオンパレード。しかもどれも面白そう。斉藤真理子がどんな人かも何かわかる。

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    2024年07月25日
  • 翼~李箱作品集~

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    リンバスカンパニー イサンより。
    同ゲームのキャラの元ネタで興味を持った。

    李箱は、韓国では非常に高い評価を得ており、生前の売れない時代との対比がある。

    詩に関しては正直全く分からないが、「翼」は面白い。
    天才なんだろう。
    常人には分からないが、韓国では解説の探究が続いているらしい。

    作品集は短編小説の部分はかなり上手く纏まっている。
    抽象・観念的すぎず読みやすい。
    読んでみれば分かるが前衛的な小説家であった事が伺える。翼なんかは二重線で囲まれた部分から始まる。
    (グッバイと聞くとロボトミーを思い出すからやめてほしい)

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    2024年07月09日
  • 優しい暴力の時代

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    ・自分は彼の国、韓国の事を映画、ドラマ、音楽等エンタメを通じて知る事が殆どなのだけど、それらに触れる度にほんと、羨ましいなぁと思う事が多い。
    ・端的に言ってどれも非常に元気に感じる。表現として健全で外向きのエネルギーを強く感じる。日本の今の表現のどこか閉塞感を感じる(明るい表現でも)のと対照的だな、と思ってる。
    ・果たして、この小説も凄いLOWなトーンの日常と心情を描きながらも、受け取った印象はやはり表現としての健全さだ。日本に住む自分も非常に「分かる」と感じた。
    ・日本でも個々で格闘している表現者の方達はいるのだけど、そこから自分が感じてしまうのは「何処にもいけない」感じだ。
    ・なんか羨まし

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    2024年06月23日
  • サハマンション

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    架空の都市、超格差社会の「タウン」の中でもさらに最下層の人々が住む「サハマンション」。
    職業選択の自由もなく、お金もなく、健康的な暮らしもなく、救いもなく。
    そんな状況が、どこか本当にありそうで、いつかこんなことになる日が来るかもしれなそうで、心がひやっとします。
    架空の国のストーリーだけど、韓国社会の生きづらさや日本での貧困や格差の問題、どこかつながってリアルに感じます。
    それでも、暗くなりすぎないチョ・ナムジュさんの文章に救われつつ、こんな未来がこないことを願います。

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    2024年06月08日