斎藤真理子のレビュー一覧
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女性が、職場や家庭や社会全般から求められている立ち位置や役割。自分が時に窮屈で、理不尽にも感じていたさまざまな事柄がこの小説のあちこちに出てきて、時空を超えて同志を得た気分になったー「ああ、私はひとりではなかった」と。自分の頑張りや堪え性が足りないからなのではないか。悪いのは自分なのではないかと思い悩んでいたあの頃を、腕いっぱいに受け止めてもらえた気分。
特にこの文庫本は、巻末の解説や訳者あとがきがすばらしい。併せて読むことで、この作品の魅力と反響の理解が倍増する。ゼッタイに読んだ方がいい。
本書を読んだ男性から、「(妻や家族に)謝りたい」「男性こそ読むべき本」との感想も寄せられていると、あと -
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この本を手に取るまで、済州島四・三事件についてひとつも知らなかった。知らなかったことにショックを受けるような衝撃的な事件だった。
何も知らずに「済州島旅行行きたいなあ」なんて行っていた過去の自分が恥ずかしくなった。
第二次世界大戦で日本が負けた後、朝鮮の人々としては「やっと朝鮮半島でも独立国家をつくれる…!」と考えていた矢先に、ソ連とアメリカがやってきて、朝鮮半島を勝手に北と南の2つに分割して、社会主義と民主主義の国をつくった。
済州島の人々は、朝鮮半島の人々よりも独立の意思が強く、初めての南側だけでの選挙が行われることに反対して、350人程度が武装蜂起して警官たちを襲ったり、選挙をボイコ -
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恥ずかしながら、本作を読むまで、済州島4.3事件のことは知りませんでした。夢なのか現実なのか分からない状態の中でのキョンハとインソンの語らいは淡々としているようでいて、心に深く染み入って来ます。作中で丁寧に描写されている雪の様子や、キョンハが思い浮かべる深海の様子とも深く重なるように感じました。読み進めるのは辛い内容であったけれど、この本を通じて事件のことを知れたことをありがたく思います。またこの事件に限らず、歴史上人が人に行ってきた残虐な行いを忘れないこと、過去のことにせず考え続けること(別れを告げないこと)の大切さを改めて感じることができました。
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韓国語原書『사냥한 폭력의 시대』
生活の底の方にじっとりと横たわっているけれども見て見ぬふりをしてやり過ごしている、そういう悪意や諦めをすくい上げたような短編集。全体的に重たくて、わかりやすい救いもないし明るい読後感ではないが、こんなふうに生活は続いていくし人間は暮らしていくものだよなという妙な納得があった。こういう痛みをちゃんと見て書いてくれる作家は信頼できて好きだ。
"사람에게는 사람이 필요하다. 원망하기 위해서, 욕망하기 위해서, 털어놓기 위해서."(p.216『안나』)
"예의 바른 악수를 위해 손을 잡았다 놓으면 손바닥이 칼날에 -
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読んでよかった。
在日コリアンという言葉は知っていたけれど、韓国にルーツのある人がたくさんいて、日本の植民地支配が関係しているのだろうなぁくらいにしか思っていなかった。
外国人登録制度によって、日本国籍にさせられたコリアンの人々が「朝鮮」籍(特定の国家を指すものではなく、出身地を表す記号。北朝鮮のことではない)や「韓国籍」になり、さらに日本は北朝鮮を未承認国家としていることから、朝鮮籍の人は事実上の無国籍状態または国籍未確認の状態であるということに衝撃を受けた。
今ほど2つの言語と文化が好意を持って歩み寄った時代はないが、今ほど露骨に敵意や憎悪を直接的・継続的に向けられる時代もなかった、と -
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ネタバレ最終章、ジンギョンが総理館に乗り込んで行くシーンは映画さながらだが、結局ウミもトギョンも生きていたのかどうかわからず、唐突な感じで終わるので不完全燃焼。
ただしサハマンションの薄暗い感じや湿度、物音、そこでの生活の描写とここに逃げ込まずにいられなかった人の背景などのストーリーと文体はとても引き込まれた。
チョ・ナムジュはもっと読みたい
■214号室、サラ
「ナプキンを出して鶴を折った。ナプキンとしては厚くてしっかりした紙で、気をつけて折ると十分に思い通りの形に折れた。以後、ヨナは夫に殴られるたびにナプキンで折り鶴を折った。一日に一個だけの日もあれば、三羽、四羽と折る日もあった。窓枠の上に一列 -
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喪失や絶望、苦悩を抱えて生きている現代の人々の姿を、寄り添うように、逆に突き放すようにも鋭い視点で描いた短編集。独特だけれど読みやすい展開や表現が癖になりそうな、面白く読めた短編集でした。
「ヤンの未来」での突然目にした不幸を気に病みつづける女性の姿、「上流には猛禽類」の好きだけでは埋められない溝、「誰が」のユーモアとホラーテイストが両面となった畳みかけるような描き方、「誰も行ったことがない」で夫婦の辿る旅路の果てに待つ膨大な絶望の姿。
どれもが幸せな物語とは言い難いけれど、やたらと重く悲劇的に描くのではなく、冷静な俯瞰的な視線と明快なテーマが描かれていて、すらっとした読みやすさがあるのも -
Posted by ブクログ
8つの短篇集。
韓国文学の、社会問題を描くのに深刻に重くなりすぎないタッチが好きなのですが、この作品は重苦しくなりそうなギリギリの読後感。
淡々と語る後の不穏な余韻。
老い、家族、雇用、労働者‥向き合って、描き出しているのがぐっと響きます。
特によかったのが、
『笑う男』。
心にずしんと響きます。
誰にでもある一瞬の選択、
とっさの行動が導く結果。
それが予期せぬ不幸を招いた時、ずっとその後悔を抱えて生きていくことになる怖さ。
その選択を一瞬で正しいものを選んだり、とっさに正しい行動ができるようにするためには、日々正しい行動や思考をを積み重ねて、心に余裕がないとできないような気がします。
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