斎藤真理子のレビュー一覧

  • すべての、白いものたちの

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    出会ってしまいました!!

    小説という枠組みを越え
    詩のようであり、祈りのようでもある
    息を呑むほどに美しく静謐な文学世界_

     

    この世界に存在する「白」という
    色彩のなかに潜む
    儚さや生と死の記憶にそっと触れたとき…
    胸の奥にひんやりとした
    けれど不思議と温かい一筋の光が
    差し込んできたような感覚を覚えました

    あまりの美しさにしばらく言葉を失い
    幾重にも寄せては返す余韻が広がりました

     

    この作品が紡ぎ出すのは
    世界に散らばる「白いもの」をめぐる
    かつてないほど純度の高い言葉たち…

    生まれてまもなく、たった数時間で
    この世界から去ってしまったという
    著者の「かつていたはずの姉」の

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    2026年06月07日
  • 光と糸

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    訳者あとがきに取り上げられていた、静かにしていたい、という言葉が響いた。光は届いているし、糸も繋がっている。

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    2026年06月06日
  • 誰でもない

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    ハン・ガン作品から韓国文学に入り、こちらの作家も読むべしと聞いて読んだ。
    どの短編も、大小様々の不幸に見舞われた人々の懸命に生きた物語が、淡々とした語り口で進んでいく。
    ハン・ガン作品と比較することが適切かはわからないが、ハン・ガンさんが逃げようのない大きな不幸を描くのに対して、ファン・ジョンウンさんの不幸は直視を避けたり逃げたりできるくらいの大きさの不幸なだけに登場人物に選択肢があり、動けちゃうだけにその人間のありかたが湿度を持って立ち現れる感じがする。

    淡々とした語り口の中に、どうしても胸に刺さる言葉が多く混ざってくる。共感できない主人公もたくさんいたが、どれも嫌いにはなれない痛さがある

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    2026年06月06日
  • 増補新版 韓国文学の中心にあるもの

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    読み応えがありすぎて時間がかかってしまった。
    歴史や事件に即して読書案内をしてもらえる心地いい体験ができた。
    読みたい本リストが膨れ上がっていく・・・!

    なぜ、私は今まで、隣の国の歴史をこんなに知らなかったのか。
    なんでこんなに無関心でいたのか。
    その理由にちょっと近づけた。

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    2026年06月02日
  • 「なむ」の来歴

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    語学にしていいのか随筆なのかどっちかな。関東大震災後の虐殺の話、治安維持法の話、朝鮮戦争の話、帰国事業の話、重い話が続くのに。恨の話。隣だけど大きく違う。沖縄の話。これも隣。日本では、の話。アメリカーの話。
    短いものの方が長いものより好き。やはり詩の人なのかなあ。

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    2026年05月21日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    この物語には女性の誰もが実感できる悩みや苦しみが描かれている。

    フェミニズムとは男性と敵対するために存在するのでは決してない。
    生物学上どうしようもない不平等さに対して、互いに同じ熱量で、納得のいくまで話し合うための主義だ。

    だから男性の皆様にもこの本をぜひ手にとっていただきたい。
    SNS上で繰り広げられる匿名の論争ではなく、著者が勇気を持って発表したこの物語と対話することで、フェミニズムについて考えてみてほしい。

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    2026年05月18日
  • 翼~李箱作品集~

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    斎藤真理子さんの訳と解説が素晴らしかった。

    −−−−−−−

    “しばらくすると咽喉が乾いてきます。枕元に置いた水をーー深海のように落ち着きはらった冷水を飲みます。石英質の鉱石の匂いがして、肺腑に寒暖計を差し入れたように道ができるのを感じます。その冷ややかな曲線は、白紙の上に描こうとしたら描けるのかもしれません。”



    “明日は一日、草花ばかり見て遊んで過ごそう、脱脂綿にアルコールを染み込ませてありったけの気苦労を拭き取ろうと、心に決めてみたりします。あまりに夢見がめちゃくちゃだからそんなことを思うのでしょう。草花が満開になる夢、原色版のグラビアの夢、絵本を読んでいるような楽しい夢を見たいの

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    2026年04月28日
  • 別れを告げない

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    【人間が一番恐ろしい】
    そもそもこの、済州島四・三事件のことを知らなかったから、まずネットで調べてから読んだ。独裁政治が人間に何をさせ、何を奪うのか。
    戦争や権力の暴力というか圧力によって、人間が少しずつ崩れていくこともすごく恐ろしかった。
    人が人を殺すのが戦争。それを正当化するのが独裁者。
    国家の暴力によってどこにでもいる普通の人が少しずつ壊れていくことが怖くて悲しかった。
    それと同時に、人は圧力の中で簡単に沈黙してしまうんだな、という不安というか恐怖のようなものも強く感じた。
    だからこそ、独裁や暴力は絶対に繰り返してはいけないし、過去の悲劇を忘れずに考え続けることが大切だと思った。
    『別れ

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    2026年04月26日
  • フィフティ・ピープル[新版]

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    とにかくわかりやすく読みやすい文体で、直近10数年ほどの韓国で問題となった事件が取り上げられている。ベースになってるのはセウォル号事件だろうか。あることに関わる50人が主人公になるオムニバスで起承転結もそれぞれにちゃんとあるため喜怒哀楽の渦の中であっという間に読み終えてしまった。50人+αの主人公のキャラクターも愛おしく魅力的だった。

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    2026年04月05日
  • 声をあげます

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    ネタバレ

    初めての韓国の小説。翻訳だからなのか、文化なのか、独特の文章だったけど、読みやすかった。アメリカ人作家の小説を読んだ時のことを思いだした。「国民の恋人」という表現は韓国らしいと思った。

    十一分の一
    退廃的で耽美的。生き返った恋人を束の間あたたかい時間が流れ(回想の中では恋人になったという確たるシーンがあるわけではなく、雰囲気と様子からそれを感じ取り、再開の時に思いがちゃんと通じ合っていた、となったのがまた良い)、すぐあとに地球はほろびてしまう寸前の状態であることが読者に明かされ、ゾッとさせられる。そこが怖くもあり耽美的なところなのかも。
    ミミズの話の「リセット」は想像すると気持ち悪いけど、映

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    2026年04月04日
  • 回復する人間

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    翻訳らしい短編集。何となくアーウィンショーを思い出した。一貫して痛みを伴う回復がテーマ。中でも「エウロパ」は印象的だった。主人公はトランスジェンダーの男性とライブハウスで歌うイナ。2人の夜の散歩の場面は秀逸。「火とかげ」は映画を観ているようだった。主人公は事故により両手とも効かなくなった画家。そして疲れきって絶望しているその夫。ある時友人の子供が飼っているトカゲがその両手を千切られてもまた生えてくる事を知る。
    主人公が少しずつ希望を取り戻し生きていこうと決意してまた絵筆を取る過程が美しい。
    全ての言葉が一遍の詩のような何とも言えない透明感に満ち溢れた一冊。

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    2026年04月01日
  • 本の栞にぶら下がる

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    今イチオシの斎藤真理子さん。
    立て続けにブルーバックスを読んでおり、なんだかんだやっぱり、読み進めるのに力が必要で、斎藤さんの文章はすっと頭に入ってきてくれるのて、思いがけず止めてた息を吹き返した感がある。
    さあ、次はいよいよ少年が来るを読む予定。

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    2026年03月29日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    女性が年を重ねるごとに見ないようにしていた、言葉で形取らないようにしていた苦しさやどうしようもなさを、何気ない日常をもとに鮮やかに書いた小説でした。
    立場や呼ばれ方が家族の中でさえみるみるうちに変わっていき、私が薄くなっていく。だけど私だけは「私」を忘れられないでいる苦しさが胸に刺さりました。

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    2026年03月28日
  • 回復する人間

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    初ハンガンはとてもよかった特に表題作。動物の死が頻繁に出てくるのはキツいけど韓国作家何人か読んだ中で初めていいと思ったかも。他のもちょっとずつ読んでいきたい

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    2026年03月22日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    「キム・ジヨン」の和訳を担当なさった斉藤真理子さん、うっすら思った通り洞察力の深そうな、湿度のある文章を書く方で、大好きになった。

    マル말とクル글、そしてソリ소리、あいだのサイ사이にについて考える姿勢を忘れないでいたい。

    韓国の歴史や、ハングルの成り立ちについても知れて、薄くて読みやすい本なのにすごく知識量が増えたし、手にとってよかった。

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    2026年03月22日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    私の中のミサンドリー(男性憎悪)が剥き出しになり、頭の中で、出てくる男性を片っ端から大ハンマーで殴り飛ばすなどした。そして、キム・ジヨンと自身を重ね、あの時のあの出来事など、嫌な記憶が蘇るたび、その都度、本を閉じ、天井を見た。過去の自分を、そして未来の自分を、はてまた、身近な女性のことをじっくりと思う一冊だった。

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    2026年03月16日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    7〜8年ぶりの再読。
    育児にまつわる辛かった経験を慰めてもらったようでもあり、いやいやまだまだ全然終わっていないし慰めきれてもいない思いもあり、でもみんな自分の辛さをどうにかして発露するために、対照的な生き方のひとを悪く言うんだよね、みんな生きるの辛いんだよねって思ったりもした。

    私自身は、やって当たり前とみなされている家事育児を夜遅くまで1人でこなし、夫も子供たちも非協力的、実の母は私の出産3年前に他界、離れて暮らす父は頼れず、同じく遠距離の義両親には「自分さえ良ければそれでいいのか。都会暮らしは愚の骨頂」とか言われていたりとにかくなんでも1人でやってるけど、もはや徳を積めるだけ積んで、い

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    2026年03月14日
  • 波の子どもたち

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    仕事用に読んだのですが すばらしかった
    斎藤真理子さんのボイスがまたグッときます

    北朝鮮から自由を求め故郷を出てゆく
    16歳の3人の子どもたちを描く。
    ソル、クァンミン、ヨルム

    ソル
    貧しくも愛のある家庭
    何度も脱北を試み捕まっては脱走を繰り返してきた。最後の日、姉さんが信頼できるブローカーだと教えてくれた電話番号に頼って行ってみると…内モンゴルの花嫁に売られてしまう…

    クァンミン
    サッカー選手を目指す男の子。この国では何不自由ない裕福な暮らし。
    父親は体制側の役人で、優遇されている
    母親は夫に隠れて脱北のために動いており、息子を自由にしたいと考えているが…

    ヨルム
    父親が病気で働けず

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    2026年03月12日
  • こびとが打ち上げた小さなボール

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    韓国が1960年代にどうであったか、についてよく知ることができる本である。黒澤明の映画の天国と地獄、あるいは泥の河と同じ状況である。一方には会社の役員がいて、一方には労働者がいるという対比であるが、労働の実態が生々しい。

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    2026年03月06日
  • シソンから、

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    どの世界でも女の位置は低い。どん底から這い上がった女から始まった子供、孫たちがそれぞれの知る母親や祖母のことを語ったり思ったり。動物の世界はほとんどそうだけど、ヒトも母系社会になればいいのに。いちばん強くて偉いのはグランマ。でも登場人物の中でいちばん共感したの、長女の夫。遠い国でちらっと見かけたときに呼び止めたいと思ってもらえる人間でよかったって、わかるわ〜。それくらいのヒトでいるのがいいよね。

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    2026年03月04日