斎藤真理子のレビュー一覧

  • 回復する人間

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    回復する人間とフンザがよかった。次点で明るくなる前に。
    想像をしすぎてどこにもないどこかになってしまった理想郷。理解し合えないことがだからといって愛していないことにはならない。
    いまのところ彼女の作品の中でどれかひとつだけ読み返すならこの短編集。

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    2024年11月17日
  • タワー

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    ネタバレ

    目次
    ・東方の三博士―犬入りバージョン
    ・自然礼賛
    ・タクラマカン配達事故
    ・エレベーター機動演習
    ・広場の阿弥陀仏
    ・シャーリアにかなうもの
    ・付録
     作家Kの「熊神の午後」より
     カフェ・ビーンス・トーキング―『520階研究』序文より
     内面表出演技にたけた俳優Pのいかれたインタビュー
     『タワー』概念用語辞典

    たぶん初めて読んだと思うのですが、想像以上に面白かったです韓国SF。
    974階建ての巨大なタワー国家「ビーンスターク」を舞台に繰り広げられる、緩くつながった連作短篇。

    21階までは外国人も自由に出入りできる非武装地帯、22階から25階までが軍隊が占拠している「警備室」という名の

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    2024年11月12日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    韓国のドラマを観ていると、本屋さんや本を読むシーンがたくさん出てくる。詩を読んだり書いたり朗読したりするシーンも。韓国や朝鮮の文学や詩を読みたいと思っていたけど何から読めばいいかわからなかったので、参考になった。『1982年生まれ、キム・ジヨン』や、ハン・ガンさんの本も読んでみたい。

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    2024年11月01日
  • ディディの傘

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    「「有事の際」という言葉は、非常なことが起きるときという意味だが、非常なことはいつも、日常の中に兆しを見せているんだとパク・チョベは言った。突然‥というものは、本当はそんなに突然ではないという話」d

    登場人物や物語の流れが独特なリズムがあって油断していると見失いそうになってしまうのだが、註釈や時代背景として語られるキーワードに気が付くとバラバラだった記憶が一気にいろいろ繋がりだし、現実のニュース映像で見た場面が蘇ってくるような感覚がおもしろい。
    『韓国文学の中心にあるもの』で紹介されていつか読もうと“積んで”おいた本なのだが、(衆議院選挙は終わったけれど米国の大統領選挙直前の)今、読むべきタ

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    2024年10月31日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    ノーベル文学賞を受賞されたハン・ガン氏の翻訳をされている方ということで読んでみた。

    結論から言うと、最初に読んだ韓国についての本がこの本で良かったと心底思う。

    特に歴史とハングルの成り立ちについて興味深く、また教養としても知っておくべきことの一つだ。

    茨木のり子氏の「ハングルへの旅」を紹介してくれていたのも私にとっては大きい(「詩のこころを読む」は私にとって大切な本)。

    この本をきっかけに、これから韓国について少しでも正しい歴史認識と文化の違いを知りたい。

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    2024年10月21日
  • 回復する人間

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    ネタバレ

    ハン・ガン4冊目、菜食主義者に続いて読んだ中では好きかもしれない。ギリシャ語の時間も面白かったのだけど。
    7つの短編集ということもあり、すらすら読んでしまった。エウロパ、左手も好きだったけれど、青い石、火とかげ、の二篇はさらに好きだった…。

    「エウロパ」
    僕とイナの"友情"について。僕はイナのことを愛しているし、女性の格好をして出歩くことをイナといる時にはできるといういくつもの設定で、エウロパというタイトルは僕でありイナなのだろうか?とまだ理解しきれていないところはあるのだけれど。
    …僕は黙ってベッドに近づき、イナに短くキスをする。イナの唇から苦いタバコの匂いがする。彼女

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    2024年10月18日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    ハン・ガンの『別れを告げない』が良かったので、訳者の斎藤真理子さんの本を。
    とても興味深い良い本でした。
    ハングルについて、韓国語について、歴史について、文学について、分かりやすく書かれています。

    文学や芸術は全てを内包していて、平等に存在していると改めて思いました。

    韓国は詩の国だと知りませんでした。
    日本とは詩人の在り方が違うのですね。比喩を使わなければ思いを公にできない時代が長かったから詩人は代弁者であり英雄。
    詩は書かれた時代や詩人の境遇や立場を知らないと分からないのかも。

    韓国語を日本語に翻訳する時の難しさの話に驚きました。
    韓国語では複数形の「たち」が何にでもつくらしく、副詞

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    2024年10月13日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    ハン・ガンのノーベル賞受賞の発表があった最中にタイミングよく読めた。斎藤さんの文章が詩的ですごくすてき、と思って読んでいたら、本当に詩もお書きになるとのこと。こちらも読みたい。付録に書いてある “「失敗」の反対語は「成功」ではなく、「無事」だと思う”という言葉も名言。

    ハングルをていねいに包んでそっと手渡されたような気持ちになった。それと同時に、隣の国が経験してきた悲しい歴史も。(そしてその原因のひとつはわたしたちの国がつくった)

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    2024年10月12日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    1章 말(マル)言葉
    2章 글(クル)文、文字
    3章 소리(ソリ)声
    4章 시(シ)詩
    5章 사이(サイ)あいだ

    本書の感想を書くにあたり、初めてキーボードを“韓国語”を入力できるように設定してみた。
    (正しく表記できているだろうか?)
    今まで、その初歩すら知らなかった隣国の言語を学ぶことを通じて、日本と世界の歴史をもっと知りたい。そんなふうに思わせてくれる一冊だった。読書案内としても素晴らしい!

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    2024年09月30日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    最高でした!言葉への感度が上がるし、歴史の説明もわかりやすい。もう一度しっかり読み込もうと思います。

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    2024年09月23日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    韓国文学の翻訳者である斉藤真理子さんによる韓国語と日本語にまつわるお話。
    10代以上すべての人のための人文書シリーズ『あいだで考える』の中の1冊として刊行されてていることもあり、とても読みやすく、理解しやすいです。
    ハングルに関する思想や歴史、韓国における詩、戦争と現代史など知っておくべきことがわかりやすくて、本当に読んでよかったです。

    「世宗大王とのチューニング」がとっても素敵、
    ハングルの発音の魅力がとてもよくわかりました。

    日本語には「雨脚」しかないけど、韓国語には「雨脚」も「雪脚」という言葉もあること。
    韓国語には無機物や抽象概念にも複数形があること、
    例えば「問題たち」とか「静か

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    2024年09月15日
  • 優しい暴力の時代

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    ネタバレ

    島崎和歌子さんが出てませんが、めっちゃくちゃ面白かった!!

    何か奇をてらった派手な表現をしてるわけじゃなく、丁寧に書かれた小説、小説を読んでる!小説って面白い!って鮮烈に感じました。

    筆箱くらいの大きさの肉の塊に黒板消しくらいバターを乗せました、みたいな料理ももちろん好きだし良いんだけど、結局ちゃんと出汁とってちゃんと丁寧に作られた美味しいお味噌汁飲むとうわっこりゃ敵わないな、ファーストインパクトとか過激な何かに頼らない、筋肉隆々な人よりもパッと見強そうじゃなくて強い人ってもうそんじょそこらの生命体じゃ勝てないみたいな、私が例えれば例えるほど伝わりづらくなっている気がしますが、とにかく、小

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    2024年07月27日
  • 本の栞にぶら下がる

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    映画やドラマと違って、本はとてもパーソナルで感想はもちろん何を読んできたか、何を読んでいるか、何を読み返すかはなかなか知る術がない。この作品はそのパーソナルな部分を垣間見ることができるような新しいタイプのエッセイ。
    古い作品が多く、知らない作家ばかりだったけれど筆者を通して語られる作品の魅力に惹きつけられた。

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    2024年07月11日
  • 優しい暴力の時代

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    韓国を代表する女性作家の短編集(+おまけ)
    チョンセ賃貸や、競争社会、受験戦争、地区毎の貧困格差が背景にあり、物語に湿った影を落としている。
    絶妙な言葉選びや、複雑な心情の言語化が所々にあり、うんうんと頷いてしまう。
    例えば、タイトルの「優しい暴力の時代」は、SNSをみていると分かる気がする。
    「あなたのため」「世間のため」と他者を思いやるような言葉や情報で、誰かの劣等感や罪悪感を刺激しようとする。
    優しい、けれど緩やかに負担になっていく。
    物理的な暴力や、直接的な言葉の暴力は厳しく咎められるようになった現代。
    安心で生きやすくなったはずなのに、周りくどく傷つけられてる気がする。
    それが優しい

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    2024年07月08日
  • 本の栞にぶら下がる

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    今まで読んだことのない味わいの書評集だった。チボー家の人々から始まっていることにまず驚いた。著者の年齢を考えると私が片田舎のごく小さな書店でくすんだ色の函に入った黄色い本を買ったのは同じ時期ではないだろうかと想像がふくらんだ。田辺聖子と『編み本』の章特に良かった。

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    2024年07月06日
  • 本の栞にぶら下がる

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    選書のセンス、作品の解説、読書にまつわる個人史など、非常に多角的で、かつどの角度からも深い、というすばらしい本だった。もちろん紹介されている本を読んでみたいという気持ちにもさせてくれる。

    わたしは、映画や本について、作品自体と同じくらい、それを鑑賞した人の感想や体験が興味深いと思うタイプなので、こんな本がもっと読みたいです!

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    2024年06月11日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    韓国文学が、この国が辿ってきた歴史、闘争、死の堆積のうえに紡がれているということを教えてくれる1冊。

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    2024年05月02日
  • 曇る眼鏡を拭きながら

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    J.M.クッツェーの翻訳者として知られるくぼたのぞみと、韓国文学の翻訳者であり紹介者でもある斎藤真理子が一年に渡り、幼少期の記憶から翻訳者という仕事、それぞれの訳業や社会情勢に至るまでさまざまに意見を交わした往復書簡。


    1950年生まれのくぼたさんと1960年生まれの斎藤さん、ちょうど10歳違いの二人は、元々藤本和子の本を復刊させたいという熱意を持つ女性翻訳者と編集者たちの集まり、〈塩を食う女の会〉での飲み友だちだという。
    そんなわけで、本書は翻訳者としてのスタートから藤本さんに師事していたくぼたさんと、ブローティガンの訳書より先に『塩を食う女たち』に出会っていたリアルタイム読者の斎藤さん

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    2024年03月14日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    もっと韓国の文学作品に触れてみたくなった。胸が苦しくなる部分も多いけど、この本を読んでから韓国文学に触れたり再読すると、より深みある読書になると思う。

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    2023年10月20日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    解放後(日本の「戦後」にあたる)の大きな出来事(解放、分断、済州、朝鮮戦争、維新、光州、IMF、セウォル、キム・ジヨン現象、等)について人々がどのような思いを持ってきたか。文学作品を紹介しながら、それらをたどっていく。それぞれの出来事が韓国の人々にどれだけインパクトのあることだったのかを教えられる。民主化前の出来事に関する部分は特にヘビーなので、現代から時代をさかのぼる構成にしたのは正解だったと思う。

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    2023年09月20日