斎藤真理子のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・東方の三博士―犬入りバージョン
・自然礼賛
・タクラマカン配達事故
・エレベーター機動演習
・広場の阿弥陀仏
・シャーリアにかなうもの
・付録
作家Kの「熊神の午後」より
カフェ・ビーンス・トーキング―『520階研究』序文より
内面表出演技にたけた俳優Pのいかれたインタビュー
『タワー』概念用語辞典
たぶん初めて読んだと思うのですが、想像以上に面白かったです韓国SF。
974階建ての巨大なタワー国家「ビーンスターク」を舞台に繰り広げられる、緩くつながった連作短篇。
21階までは外国人も自由に出入りできる非武装地帯、22階から25階までが軍隊が占拠している「警備室」という名の -
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「「有事の際」という言葉は、非常なことが起きるときという意味だが、非常なことはいつも、日常の中に兆しを見せているんだとパク・チョベは言った。突然‥というものは、本当はそんなに突然ではないという話」d
登場人物や物語の流れが独特なリズムがあって油断していると見失いそうになってしまうのだが、註釈や時代背景として語られるキーワードに気が付くとバラバラだった記憶が一気にいろいろ繋がりだし、現実のニュース映像で見た場面が蘇ってくるような感覚がおもしろい。
『韓国文学の中心にあるもの』で紹介されていつか読もうと“積んで”おいた本なのだが、(衆議院選挙は終わったけれど米国の大統領選挙直前の)今、読むべきタ -
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ネタバレハン・ガン4冊目、菜食主義者に続いて読んだ中では好きかもしれない。ギリシャ語の時間も面白かったのだけど。
7つの短編集ということもあり、すらすら読んでしまった。エウロパ、左手も好きだったけれど、青い石、火とかげ、の二篇はさらに好きだった…。
「エウロパ」
僕とイナの"友情"について。僕はイナのことを愛しているし、女性の格好をして出歩くことをイナといる時にはできるといういくつもの設定で、エウロパというタイトルは僕でありイナなのだろうか?とまだ理解しきれていないところはあるのだけれど。
…僕は黙ってベッドに近づき、イナに短くキスをする。イナの唇から苦いタバコの匂いがする。彼女 -
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ハン・ガンの『別れを告げない』が良かったので、訳者の斎藤真理子さんの本を。
とても興味深い良い本でした。
ハングルについて、韓国語について、歴史について、文学について、分かりやすく書かれています。
文学や芸術は全てを内包していて、平等に存在していると改めて思いました。
韓国は詩の国だと知りませんでした。
日本とは詩人の在り方が違うのですね。比喩を使わなければ思いを公にできない時代が長かったから詩人は代弁者であり英雄。
詩は書かれた時代や詩人の境遇や立場を知らないと分からないのかも。
韓国語を日本語に翻訳する時の難しさの話に驚きました。
韓国語では複数形の「たち」が何にでもつくらしく、副詞 -
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韓国文学の翻訳者である斉藤真理子さんによる韓国語と日本語にまつわるお話。
10代以上すべての人のための人文書シリーズ『あいだで考える』の中の1冊として刊行されてていることもあり、とても読みやすく、理解しやすいです。
ハングルに関する思想や歴史、韓国における詩、戦争と現代史など知っておくべきことがわかりやすくて、本当に読んでよかったです。
「世宗大王とのチューニング」がとっても素敵、
ハングルの発音の魅力がとてもよくわかりました。
日本語には「雨脚」しかないけど、韓国語には「雨脚」も「雪脚」という言葉もあること。
韓国語には無機物や抽象概念にも複数形があること、
例えば「問題たち」とか「静か -
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ネタバレ島崎和歌子さんが出てませんが、めっちゃくちゃ面白かった!!
何か奇をてらった派手な表現をしてるわけじゃなく、丁寧に書かれた小説、小説を読んでる!小説って面白い!って鮮烈に感じました。
筆箱くらいの大きさの肉の塊に黒板消しくらいバターを乗せました、みたいな料理ももちろん好きだし良いんだけど、結局ちゃんと出汁とってちゃんと丁寧に作られた美味しいお味噌汁飲むとうわっこりゃ敵わないな、ファーストインパクトとか過激な何かに頼らない、筋肉隆々な人よりもパッと見強そうじゃなくて強い人ってもうそんじょそこらの生命体じゃ勝てないみたいな、私が例えれば例えるほど伝わりづらくなっている気がしますが、とにかく、小 -
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韓国を代表する女性作家の短編集(+おまけ)
チョンセ賃貸や、競争社会、受験戦争、地区毎の貧困格差が背景にあり、物語に湿った影を落としている。
絶妙な言葉選びや、複雑な心情の言語化が所々にあり、うんうんと頷いてしまう。
例えば、タイトルの「優しい暴力の時代」は、SNSをみていると分かる気がする。
「あなたのため」「世間のため」と他者を思いやるような言葉や情報で、誰かの劣等感や罪悪感を刺激しようとする。
優しい、けれど緩やかに負担になっていく。
物理的な暴力や、直接的な言葉の暴力は厳しく咎められるようになった現代。
安心で生きやすくなったはずなのに、周りくどく傷つけられてる気がする。
それが優しい -
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J.M.クッツェーの翻訳者として知られるくぼたのぞみと、韓国文学の翻訳者であり紹介者でもある斎藤真理子が一年に渡り、幼少期の記憶から翻訳者という仕事、それぞれの訳業や社会情勢に至るまでさまざまに意見を交わした往復書簡。
1950年生まれのくぼたさんと1960年生まれの斎藤さん、ちょうど10歳違いの二人は、元々藤本和子の本を復刊させたいという熱意を持つ女性翻訳者と編集者たちの集まり、〈塩を食う女の会〉での飲み友だちだという。
そんなわけで、本書は翻訳者としてのスタートから藤本さんに師事していたくぼたさんと、ブローティガンの訳書より先に『塩を食う女たち』に出会っていたリアルタイム読者の斎藤さん