斎藤真理子のレビュー一覧
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ネタバレ「この本は、生きていくということに対する、私の最も明るい答え」。ハン・ガンはそう語る。なぜそう言えるのか?
端的に言えば、人間は完全に理解し合えなくても互いに存在を認め合うことで、間に<剣>が置かれて触れられない世界でも、なんとか生きていけるから…だろうか?
だからハン・ガンは「『ギリシャ語の時間』はまだ終わっていない。この本の結末は、開かれている」、開かれている…と語っているのではないだろうか?
この物語は、視覚を失っていく男と自ら口を閉ざす女、の両面から「断片的」に語られる(この断片的、はハン・ガン作品の特徴、特に『すべての、白いものたちの』では)。
断片的な表現により、読者を積極的に言 -
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ここ3ヶ月ほどの間に『すべての白いものたち』『菜食主義者』『そっと静かに』の3冊を読みハン・ガンさんに強く惹かれる自分と向き合う充足した時間を過ごしてきました。
『回復する人間』は詩的で静謐な文章が美しい『すべての白いものたちの』と同じ斎藤真理子さんが翻訳された短編集です。
初出年月日の1番古い「火とかげ」が7つの短編のうち最後に掲載されていて2003年初出。韓国でのタイトルにも使われたこの作品が、韓国の文芸評論家シン・ヒョンチョルに「この本の関心事は(中略)〈傷と回復〉だ」と言わしめた7つの物語のいずれの基底ともなっているテーマが2003年の時点で作者にとって重要でその後ほぼ10年に亘り深く -
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非常に良本だった。
たくさん自分のノートにメモをとりながら読んだ。
なぜ私は日本人なのに自国が行った悪い歴史のすべてを知らないんだろう。
31歳で延世大学語学堂に留学され1年半ソウルに住んだ。韓国留学から戻ってきた、1992年以降学んだことが役に立つ機会はあまり多くなかった。文芸翻訳をやるようになったのはふとしたきっかけからで、50代半ばになってからだった。
2つの言語がほんとに重なったと感じることもある。韓国語でなければ日本語でもない、もしかしたら言葉さえない、言葉になる前の何かを重層的に体験しているような。
言葉は文脈によって花開きもするし、人を殺しもする。日本列島と朝鮮半島の長い歴史 -
Posted by ブクログ
ノーベル文学賞が韓国のハンガンに贈られ韓国文学に触れてみようと思いまずはこの本を手にとった。まず感じたのは、韓国は隣国であり、儒教社会の根強い男社会である。1945年まで日本の圧政に苦しみ国を持てなかった人たちである。そこから南北の対立、朝鮮戦争をへて朴正熙の独裁体制がしかれ軍事政権が続き、1987年に民主化され、経済成長し今にいたっている。今格差に苦しみ、新自由主義による経済どなってしまい、少子高齢化社会で苦しんでいるのは日本とおなじである。
この本を読むと韓国は日本の鏡であるように思える。大きく違うのは韓国は今も北と戦争状態であり、現在は休戦にあるということ、徴兵制であり、男子若者は二 -
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ネタバレ静かに、繊細に紡がれていく言葉が印象的だった。
主人公が捉えている景色や感覚、思考が、詩のようだった。
この小説は、章ごとに視点が入れ替わる。
女主人公のときは三人称、男主人公のときは一人称で書かれている。
手紙文で構成されている章があったり、詩が挟まったりもしている。
小説ってこんなに自由でいいんだ、と思い、視界が開けたような感覚になった。
話せなくなった女性は、これから先、話せるようになるかは分からない。
ギリシャ語講師の男性は、今後も少しずつ視力を失っていくだろう。
問題は解決されないまま残っている。
しかし、二人の人生は光に満ちていくのではないかと思える。
彼らが身体を触れ合わせて -
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私は語学が好きで韓国語ものすごく面白いと思っているので、韓国語がどう面白いか、日本人に生まれた自分が韓国語/韓国とどう向き合うか〜みたいな内容が読めてとっても期待通りだった!
ハングルの歴史、文学史などを追いながら韓国の文字や言葉、文学について解説する本。言葉や文学の歴史は弾圧との戦いの歴史でもあるので、必然的に日本の植民地時代のことにも触れるし、それに続く朝鮮戦争、そして地続きの現在についても書かれている。
知らないままカルチャーを消費したくないな、隣の国のことをちゃんと知ってみたい、韓国語に限らず言葉そのものに興味がある方は期待してよいのではと思います。
そういう気持ちがなくても、韓国 -
Posted by ブクログ
本当に読んで良かった。
韓国についてずっと勉強してきたがこんなにわかりやすい本はなかったと思う。
文学についてだけではなく、それを理解するために必要な背景知識が以前より増えた。
韓国語を勉強すれば韓国文学を読めるようになるかなと安易に考えていたところもあったが、単に言語の壁を越えたとしても、日本と韓国の間にこれほどまでに大きな、考えないといけない、考えられるべきことがあることも忘れてはいけないなと思った。
どうして自分が韓国文学にこれほどまでに吸い込まれるのかを明らかにしてくれた本だった。いつか自分も行動できるときがきたら良いなと思う。
우리 안에 진정한 평화가 깃들기를.
-以下メモ-