斎藤真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「背負ってさしあげますよ」「それはだめだよ」「体のでっかい孫が孝行していると思って、そうしてください」
セフンのような思いやりを持ってこんな行動ができたなら。
「ずっと差別されずに育ってきたから、差別を見たときにこれは差別だってすぐにわかるのよ。自分の持ってる資源でできることをやってるだけなのに、何だっていうの?」
有能で責任感の強いソラの言葉に胸がすく思いがする。
「おばさん、助けて」会ったこともない人だ。でも、ジョンビンのママなら助けてくれると思った。大人が必要だった。
まだ幼いジョンビンとダウンの物語が優しくて切ない。
客観的で、でも細やかで、人間の善意のようなものが51人の物語を -
Posted by ブクログ
読書案内のようなポップな内容かと想像して読み始めた。趣が違う。その実態は、韓国の歴史的背景から生まれる小説に対する重厚な考察本でした。
数々の歴史的な事件による社会や政治に対する鬱憤が、小説という形で昇華され次世代へと橋渡しとなっている。
記憶に残ってるセウォル号事件の掘り下げた考察から、全く予備知識がなかった朝鮮戦争とそれ以前の解放期間まで通底する韓国国民に蓄積している生きる力を感じることができた。
民主化したのが1987年って、ついこの間じゃない。
思ってたより現在の体制発足からまだ歴史が浅いのだな。K-POPや韓流ドラマのエンタメで享受している韓国感と、全く異なる側面による実態がある -
Posted by ブクログ
ネタバレ「この本は、生きていくということに対する、私の最も明るい答え」。ハン・ガンはそう語る。なぜそう言えるのか?
端的に言えば、人間は完全に理解し合えなくても互いに存在を認め合うことで、間に<剣>が置かれて触れられない世界でも、なんとか生きていけるから…だろうか?
だからハン・ガンは「『ギリシャ語の時間』はまだ終わっていない。この本の結末は、開かれている」、開かれている…と語っているのではないだろうか?
この物語は、視覚を失っていく男と自ら口を閉ざす女、の両面から「断片的」に語られる(この断片的、はハン・ガン作品の特徴、特に『すべての、白いものたちの』では)。
断片的な表現により、読者を積極的に言 -
Posted by ブクログ
ここ3ヶ月ほどの間に『すべての白いものたち』『菜食主義者』『そっと静かに』の3冊を読みハン・ガンさんに強く惹かれる自分と向き合う充足した時間を過ごしてきました。
『回復する人間』は詩的で静謐な文章が美しい『すべての白いものたちの』と同じ斎藤真理子さんが翻訳された短編集です。
初出年月日の1番古い「火とかげ」が7つの短編のうち最後に掲載されていて2003年初出。韓国でのタイトルにも使われたこの作品が、韓国の文芸評論家シン・ヒョンチョルに「この本の関心事は(中略)〈傷と回復〉だ」と言わしめた7つの物語のいずれの基底ともなっているテーマが2003年の時点で作者にとって重要でその後ほぼ10年に亘り深く