斎藤真理子のレビュー一覧

  • 誰でもない

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    すごかった。
    今の社会で生きるままならなさというか、なんともいえない感情がクッキリとらえられていて…ありふれているけどみんな真正面から見ないようにしてる残酷さを、私たちの社会ってこうですよね、と目の前に差し出されるような感じの読書だった。

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    2025年06月15日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    数々の韓国文学の翻訳や「韓国文学の中心にあるもの」などの著作で知られる著者のエッセイ。韓国語の音、表記、発話そして詩についてたいへん読みやすく、かつ興味深いエッセイであった。
    ハングルの表記や発音の特徴など知識として少しは知っていたが、韓国文学の翻訳者の視点で語られるのはもう少し深い話だった。
    そして詩や小説が韓国の現代史や政治そして何度も起きた不幸な出来事と絡み合っていることを知ることができた。
    一方、日本の現代作家や詩人は日本の今日的問題に向き合っているのだろうかという疑問が浮かんだ。
    韓国語を少し勉強してみたくなった。

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    2025年06月08日
  • 未来散歩練習

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    この人の書くものに流れる空気感が好きだ。

    その心地に身を任せて読んでいるうちに、韓国の抱える決して古くない歴史を知り、日本の今の生きづらさにも通じるように感じ、このお隣の国のことをもっと知りたいと思い

    この作品はまた再読したいし、他の韓国文学も色々読みたくなった。

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    2025年06月08日
  • 回復する人間

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    静かで落ち着いた美しい文章なのに鋭利な刃物を突きつけられているよう。読みながら心のどこかがヒリヒリした。「左手」はとても怖かった。印象に残る短編が詰まっている。

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    2025年06月01日
  • 誰でもない

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    人の心の中にある、他人に話すことではないが影を落とすような出来事を淡々と聞いているような気持ちになった。小説を読むというより、他人の打ち明け話を聞いているような気持ちになる。
    明るさは無いけど、とんでもない暗さでもない。

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    2025年05月31日
  • ギリシャ語の時間

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    美しい痛みに満ちた物語。狂おしい寂寥に満ちた物語。言葉を失った女と視力を失い続ける男。ギリシャ語の授業で出会った二人の喪失を通してこの世界の闇を炙り出す。彼の彼女の数々の記憶から見出される孤独と悲しみ。生きていく上で欠かせない存在の消失。哲学的でありながら詩的な散文。ハン・ガンの見る世界は優しい儚さと繊細な苦痛に満ちている。生きることはあがくことかもしれない。生きることは辛いことかもしれない。それでも生を選択し続ける。神なんて存在しない。ただ、他者を求める狂気に似た感情と愛が存在するだけ。全てを許す愛が。

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    2025年05月23日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    知らなかったことは、知ろうとしなかったことだと痛感する。
    韓国語について言葉、文・文字、声、詩を通して語り、我々とのあいだにあるものを浮かべる。
    言葉を知ることは、歴史や文化を包括すること。そこに人がいる。もっと知りたい。

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    2025年04月27日
  • 影犬は時間の約束を破らない

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    ネタバレ

    美しくて飛躍してて詩みたいな文章から成る小説。
    女性を「彼」と表記するのが正直最初は誤字かと思って、次に作者の個性かと思って、でも解説を読むと韓国語においては元々性差表現が少なく、評論や報道記事では女性を「彼」と書くのは不自然なことではなく、そして文芸作品でも女性に「彼」を使う作家が増えているということで、性差表現に慣れきっている自分の感覚が照射されるようだった。

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    2025年04月19日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    読書案内のようなポップな内容かと想像して読み始めた。趣が違う。その実態は、韓国の歴史的背景から生まれる小説に対する重厚な考察本でした。

    数々の歴史的な事件による社会や政治に対する鬱憤が、小説という形で昇華され次世代へと橋渡しとなっている。
    記憶に残ってるセウォル号事件の掘り下げた考察から、全く予備知識がなかった朝鮮戦争とそれ以前の解放期間まで通底する韓国国民に蓄積している生きる力を感じることができた。

    民主化したのが1987年って、ついこの間じゃない。
    思ってたより現在の体制発足からまだ歴史が浅いのだな。K-POPや韓流ドラマのエンタメで享受している韓国感と、全く異なる側面による実態がある

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    2025年04月16日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    ハングルの素晴らしさ、日本語話者だから感じられる韓国語(朝鮮語)のおもしろさ、詩の魅力などが、わかりやすく親しみのもてる文章で書かれていて、読むと韓国語を勉強したくなる。そして日本人が知っておかなくてはならない歴史についても説明されている。「歴史を知ることは、不発に終わった夢のコレクションでもある」という言葉が印象的。

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    2025年04月16日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    Kコンテンツにハマって、ここ数年の韓国「だけ」を知るのではなく、その前史のようなものも知ってほしいと切に思う。韓国で表現の仕事にある人たちに受け継がれているもの、文化の芯について知るきっかけになる1冊

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    2025年04月12日
  • 増補新版 韓国文学の中心にあるもの

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    韓国文学のイメージが変わった。
    というか韓国文学についても、韓国(大韓民国、北朝鮮)についても、何も知らなかったことを知った。
    文学が韓国の人々の歴史に深く根付いている。紹介されている本を読んでみたい。

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    2025年04月05日
  • ギリシャ語の時間

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    ネタバレ

    「この本は、生きていくということに対する、私の最も明るい答え」。ハン・ガンはそう語る。なぜそう言えるのか?
    端的に言えば、人間は完全に理解し合えなくても互いに存在を認め合うことで、間に<剣>が置かれて触れられない世界でも、なんとか生きていけるから…だろうか?
    だからハン・ガンは「『ギリシャ語の時間』はまだ終わっていない。この本の結末は、開かれている」、開かれている…と語っているのではないだろうか?

    この物語は、視覚を失っていく男と自ら口を閉ざす女、の両面から「断片的」に語られる(この断片的、はハン・ガン作品の特徴、特に『すべての、白いものたちの』では)。
    断片的な表現により、読者を積極的に言

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    2025年03月31日
  • 回復する人間

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    ここ3ヶ月ほどの間に『すべての白いものたち』『菜食主義者』『そっと静かに』の3冊を読みハン・ガンさんに強く惹かれる自分と向き合う充足した時間を過ごしてきました。
    『回復する人間』は詩的で静謐な文章が美しい『すべての白いものたちの』と同じ斎藤真理子さんが翻訳された短編集です。
    初出年月日の1番古い「火とかげ」が7つの短編のうち最後に掲載されていて2003年初出。韓国でのタイトルにも使われたこの作品が、韓国の文芸評論家シン・ヒョンチョルに「この本の関心事は(中略)〈傷と回復〉だ」と言わしめた7つの物語のいずれの基底ともなっているテーマが2003年の時点で作者にとって重要でその後ほぼ10年に亘り深く

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    2025年03月29日
  • 誰でもない

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    “適切な鎮痛剤を充分な量。それは常に、充分なお金があるときにだけ可能な話です。単なるお金じゃなくて、充分なお金。それが前提で、前提が整ってなかったらただ立って見てるしかないんです、間抜けみたいに。いつもそのことを考えておかなくちゃいけないの。それを想像して、余力を確保しておかなくてはなりません。人間らしさの条件は、余力の有無じゃないですか。”(p.218)

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    2025年03月22日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    SNSで紹介されていたのを見て、とても興味が湧きました。ハングルを勉強しながら読むと、難しく思えたものも楽しく感じられる本です。
    最後のサイ(間)で生きる話は、今の自分にぴったりで、間で生きる意味を考えてしまいました。

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    2025年03月21日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    非常に良本だった。
    たくさん自分のノートにメモをとりながら読んだ。
    なぜ私は日本人なのに自国が行った悪い歴史のすべてを知らないんだろう。

    31歳で延世大学語学堂に留学され1年半ソウルに住んだ。韓国留学から戻ってきた、1992年以降学んだことが役に立つ機会はあまり多くなかった。文芸翻訳をやるようになったのはふとしたきっかけからで、50代半ばになってからだった。

    2つの言語がほんとに重なったと感じることもある。韓国語でなければ日本語でもない、もしかしたら言葉さえない、言葉になる前の何かを重層的に体験しているような。
    言葉は文脈によって花開きもするし、人を殺しもする。日本列島と朝鮮半島の長い歴史

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    2025年03月03日
  • 増補新版 韓国文学の中心にあるもの

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     ノーベル文学賞が韓国のハンガンに贈られ韓国文学に触れてみようと思いまずはこの本を手にとった。まず感じたのは、韓国は隣国であり、儒教社会の根強い男社会である。1945年まで日本の圧政に苦しみ国を持てなかった人たちである。そこから南北の対立、朝鮮戦争をへて朴正熙の独裁体制がしかれ軍事政権が続き、1987年に民主化され、経済成長し今にいたっている。今格差に苦しみ、新自由主義による経済どなってしまい、少子高齢化社会で苦しんでいるのは日本とおなじである。
     この本を読むと韓国は日本の鏡であるように思える。大きく違うのは韓国は今も北と戦争状態であり、現在は休戦にあるということ、徴兵制であり、男子若者は二

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    2025年03月03日
  • 増補新版 韓国文学の中心にあるもの

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    韓国文学は何冊か読んだあとなんとなく止まっていたが、これを読んで俄然また読みたい気持ちが湧いてきた。こんなにも素晴らしい韓国文学案内書があって本当に幸せだ。知らなかった歴史の数々が作品とともに紹介され、とにかくおもしろくて一気読みだった。とりわけ『こびとが打ち上げた小さなボール』(チョ・セヒ)と『苦海浄土』(石牟礼道子)の対比が興味深く心に残った。巻末の作品リストもありがたい。幼いころに聴いた「イムジン河」が頭のなかを巡っている。

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    2025年02月18日
  • 増補新版 韓国文学の中心にあるもの

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    隣の国でこんなことが起きていたのかと驚き、今までの自分の無関心さに愕然とした。どうして自分は今まで知らずにいられたのかと。

    韓国(朝鮮半島)の近代史を知らない人は読んだ方が良いと思う。歴史的出来事に対して国はどう動いたのか、市民がどう受け止めたのか、作家たちがどう声をあげたのか、作品に表したのか、後の世代はどんな影響を受けたのかが分かりやすくまとめられている。年表や参考文献も充実している。
    様々な作品の翻訳を手掛ける斉藤真理子さんが肌で感じた当時の空気感や経験談も組み込まれていてリアルな緊張感も感じた。

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    2025年02月12日