斎藤真理子のレビュー一覧

  • 別れを告げない

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    ネタバレ

    主人公がたどり着いたインソンの家にインソンは確かに現れて、小鳥もいたのだと思う。
    インソンが語った島や母親たちの歴史にときに眉をしかめ、身震いした。
    激しく表現される怒りより静かな怒りの方が深いことはままあるが、作者の筆を動かしたのはその静かな怒りと忘却を拒む強い意志に違いない。
    ハン・ガンが描き出す美しく繊細で静謐な世界に浸るのはこの上ない喜びだが、詩のような美しい描写を続ける彼女の目は歴史の傷から逸らされることはない。
    じゃあ、自分に何ができるのかというと、事実を知り悼むこと。
    何処の国のできごとなのかとか、自分は何処の国の人間なのかなど関係ない。
    わたしたちは同じ血の通った人間なのだ。

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    2025年07月01日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    ちょうど韓国語の勉強を始めた今、とても楽しんで読める
    一気読みしてしまった

    韓国語(朝鮮語)の背景から、日常会話でのフレーズの使われ方まで、テキストとは違う視点から学ぶことができる

    韓国語と日本語のあいだ
    というサブタイトルが、読む前と後では全く違う重みが違う

    読みたい本がまた増えてしまった

    挿絵がオシャレ

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    2025年06月28日
  • 回復する人間

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    どれもこれもリアルな傷を抱える女性たちが(ひとりだけ、普通の男性が出てくる)でてきて、それぞれの回復の過程が描かれている。
    回復仕切らない人もいるし、回復を拒む人もいる。
    だけど、人は自然状態で回復していく生き物なのだと感じる。
    生きることは痛いことなのだろう。

    短編「回復する人間」の文章が好きでした。
    文字で遊んでるというような、軽いのに重く静かで、圧巻でした。
    「火とかげ」の痛みと鮮やかな色を感じさせる物語も良かった。
    復活に色がないという着地も見事。

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    2025年06月24日
  • 別れを告げない

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    構成が面白い
    初めて読む形態

    夢なのか現実なのか死んでいるのか
    後半辺りがよくわからなかったけれど
    そんなことはどうでもいいくらい静かに衝撃を受ける
    文体がとても美しい

    『菜食主義者』は少し気持ち悪かった
    次は『少年が来る』を読みたい

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    2025年06月22日
  • フィフティ・ピープル[新版]

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    「背負ってさしあげますよ」「それはだめだよ」「体のでっかい孫が孝行していると思って、そうしてください」
    セフンのような思いやりを持ってこんな行動ができたなら。

    「ずっと差別されずに育ってきたから、差別を見たときにこれは差別だってすぐにわかるのよ。自分の持ってる資源でできることをやってるだけなのに、何だっていうの?」
    有能で責任感の強いソラの言葉に胸がすく思いがする。

    「おばさん、助けて」会ったこともない人だ。でも、ジョンビンのママなら助けてくれると思った。大人が必要だった。
    まだ幼いジョンビンとダウンの物語が優しくて切ない。

    客観的で、でも細やかで、人間の善意のようなものが51人の物語を

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    2025年06月16日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    星6つつけたい…

    以前読んだときは、あまりぴんと来なくて、途中でやめてしまったのだけれど、
    最近韓国文学を読み出して、韓国語や韓国の文化、歴史背景、現代のことにも興味が出てきてから読むと、内容がすいすいと入ってきた。

    韓国には、昔の加害者側として、どこか後ろめたいけれどどうにもできない、みたいな、何も知らない顔してK-POPや韓国グルメにはしゃいでいるのはどうなんだろ、、みたいな気持ちがあって、
    もっとちゃんと韓国の辛い部分も理解してから、本当に仲良くなりたい大事なお隣さんだと思う。

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    2025年06月15日
  • 誰でもない

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    すごかった。
    今の社会で生きるままならなさというか、なんともいえない感情がクッキリとらえられていて…ありふれているけどみんな真正面から見ないようにしてる残酷さを、私たちの社会ってこうですよね、と目の前に差し出されるような感じの読書だった。

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    2025年06月15日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    数々の韓国文学の翻訳や「韓国文学の中心にあるもの」などの著作で知られる著者のエッセイ。韓国語の音、表記、発話そして詩についてたいへん読みやすく、かつ興味深いエッセイであった。
    ハングルの表記や発音の特徴など知識として少しは知っていたが、韓国文学の翻訳者の視点で語られるのはもう少し深い話だった。
    そして詩や小説が韓国の現代史や政治そして何度も起きた不幸な出来事と絡み合っていることを知ることができた。
    一方、日本の現代作家や詩人は日本の今日的問題に向き合っているのだろうかという疑問が浮かんだ。
    韓国語を少し勉強してみたくなった。

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    2025年06月08日
  • 未来散歩練習

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    この人の書くものに流れる空気感が好きだ。

    その心地に身を任せて読んでいるうちに、韓国の抱える決して古くない歴史を知り、日本の今の生きづらさにも通じるように感じ、このお隣の国のことをもっと知りたいと思い

    この作品はまた再読したいし、他の韓国文学も色々読みたくなった。

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    2025年06月08日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    (キム・ジヨン)という一人の患者のカルテという形で展開された、一冊まるごと問題提起の書である。女性であることの生きづらさがひしひしと伝わってきます。韓国も日本以上に男尊女卑が激しいのだなと感じました。続きが気になる終わり方でしたが、それも本書の良さだと思いました。

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    2025年06月01日
  • 回復する人間

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    静かで落ち着いた美しい文章なのに鋭利な刃物を突きつけられているよう。読みながら心のどこかがヒリヒリした。「左手」はとても怖かった。印象に残る短編が詰まっている。

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    2025年06月01日
  • 誰でもない

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    人の心の中にある、他人に話すことではないが影を落とすような出来事を淡々と聞いているような気持ちになった。小説を読むというより、他人の打ち明け話を聞いているような気持ちになる。
    明るさは無いけど、とんでもない暗さでもない。

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    2025年05月31日
  • ギリシャ語の時間

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    美しい痛みに満ちた物語。狂おしい寂寥に満ちた物語。言葉を失った女と視力を失い続ける男。ギリシャ語の授業で出会った二人の喪失を通してこの世界の闇を炙り出す。彼の彼女の数々の記憶から見出される孤独と悲しみ。生きていく上で欠かせない存在の消失。哲学的でありながら詩的な散文。ハン・ガンの見る世界は優しい儚さと繊細な苦痛に満ちている。生きることはあがくことかもしれない。生きることは辛いことかもしれない。それでも生を選択し続ける。神なんて存在しない。ただ、他者を求める狂気に似た感情と愛が存在するだけ。全てを許す愛が。

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    2025年05月23日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    めちゃくちゃ面白かった。ていうか男たちはこれまで何を見て生きてきたんだろうって思い知らされた。全男は読むべき本だと思う。これ読んで「韓国の女性ってめちゃくちゃ差別されてるじゃん」って憤るのももちろんいいでしょう。でも、これって確実に日本とも地続きの話だなと思った。

    きれいごとを言う気はなくて、俺たちはこうして社会を支えてきた女性たちに甘えて生きてきてると思ってるし、申し訳なくも感じる。でもだからこそちゃんと自覚的でいたいし、どうすれば少しでもマシにできるかは考え続けたい。

    読んでて驚いたのは、昔韓国で女の子の中絶が流行って、男の人口が女性比116%になってたって話。賃金格差も日本よりずっと

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    2025年05月01日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    2025年3冊目 『82年生まれ、キム・ジヨン』

    韓国旅行の前に

    恋愛、結婚、出産、就職——女性が直面する悩みや理不尽さがリアルに描かれていた。これまで「差別」とは思っていなかった違和感も、実は立派な差別だったのだと気づかされた。特に男性にこそ読んでほしい一冊。

    少しずつ女性が生きやすい世界になってきているけれど、それでもまだ差別は至るところにある。その現実を忘れずに、悩む人たちの心に寄り添える人でありたい。

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    2025年04月28日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    衝撃を受けた。何故もっと早く読まなかったのか、アイリーンが叩かれた時にちゃんと読んで声を上げればよかった。沈黙は加担なのに、これは自分の話でもあるのに。フェミニズムについて学ぶにはもちろんだが、小説としても構成が本当に素晴らしい。最後の数行はおぞましくて鳥肌がたった。きっとこうやって反フェミニズムは無意識に日常にあるんだと思った。女性だけでなく男性もこの本を手に取って何かを感じてもらいたい。

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    2025年04月28日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    知らなかったことは、知ろうとしなかったことだと痛感する。
    韓国語について言葉、文・文字、声、詩を通して語り、我々とのあいだにあるものを浮かべる。
    言葉を知ることは、歴史や文化を包括すること。そこに人がいる。もっと知りたい。

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    2025年04月27日
  • 影犬は時間の約束を破らない

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    ネタバレ

    美しくて飛躍してて詩みたいな文章から成る小説。
    女性を「彼」と表記するのが正直最初は誤字かと思って、次に作者の個性かと思って、でも解説を読むと韓国語においては元々性差表現が少なく、評論や報道記事では女性を「彼」と書くのは不自然なことではなく、そして文芸作品でも女性に「彼」を使う作家が増えているということで、性差表現に慣れきっている自分の感覚が照射されるようだった。

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    2025年04月19日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    読書案内のようなポップな内容かと想像して読み始めた。趣が違う。その実態は、韓国の歴史的背景から生まれる小説に対する重厚な考察本でした。

    数々の歴史的な事件による社会や政治に対する鬱憤が、小説という形で昇華され次世代へと橋渡しとなっている。
    記憶に残ってるセウォル号事件の掘り下げた考察から、全く予備知識がなかった朝鮮戦争とそれ以前の解放期間まで通底する韓国国民に蓄積している生きる力を感じることができた。

    民主化したのが1987年って、ついこの間じゃない。
    思ってたより現在の体制発足からまだ歴史が浅いのだな。K-POPや韓流ドラマのエンタメで享受している韓国感と、全く異なる側面による実態がある

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    2025年04月16日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    ハングルの素晴らしさ、日本語話者だから感じられる韓国語(朝鮮語)のおもしろさ、詩の魅力などが、わかりやすく親しみのもてる文章で書かれていて、読むと韓国語を勉強したくなる。そして日本人が知っておかなくてはならない歴史についても説明されている。「歴史を知ることは、不発に終わった夢のコレクションでもある」という言葉が印象的。

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    2025年04月16日