斎藤真理子のレビュー一覧
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差別の問題が個人の倫理観の問題ではないということを突きつけられる。
善人、悪人という二項対立で物事を単純に切り分けることはできない。特に流動性の高い現代において、普遍的にみえる価値観というのは少なくなっている。気がする。
その変化に合わせて社会のあり方もアップデートしていかないといけないのだが、実際問題そんなに早く変わっていくわけもない。
社会が人間の集団なのであれば、それらを作るのは個々人の心、しかし個々人の心は社会構造によって形成されているからだ。
個々人の心と社会構造は、お互いに制約と促進という関係で結ばれている。であれば、個々人の心の変化が社会構造に制約されることによって差別というも -
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話すことができない女性と、視力を失いつつある男性。二人はギリシャ語教室で、生徒と教師として出会う。
二人は身体的な喪失だけでなく、それぞれの人生で大切な人を失った痛みも抱えている。
ボルヘスやギリシャ哲学に詳しければ、この作品の構造やモチーフをもっと深く読み解けたのだろう。例えば古典ギリシャ語の「中動態」は、二人と彼らを取り巻く世界との関係性を考える上で重要な鍵になっているように思えた。残念ながら私にはそこまでの知識はなく、その奥行きを十分に味わい切れたとは言えない。まるでアトリビュートを知らずに西洋絵画を鑑賞しているような、もどかしさも残った。
最終章の番号は「0」。そこには、喪失を抱 -
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はっきりした言葉が書かれているわけではないけれど、読み始めから終わりまで、ずっと白い、冷たい、部屋の中にいる気持ちになる。
作者自身もずっとこのような気持ちだったのだろうか。自分が生まれなかったかもしれないとか、姉と比べてしまうこととか。
私は姉の立場なので余りピンとこないが、お姉ちゃんがいることが羨ましくもあったり(実際にいたのだから)、想像することもあるのかと思う。
22歳で一人で出産したと言っていた。私と同じような歳で、そんな壮絶な出来事を味わっていることに自分の弱さを感じる。私の悩みがちっぽけに思えた。息を吸って、吐いて、好きなことをして、本を読んで、人と話せること。それだけで十分生き -
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ハン・ガンさんの二冊目。
まず、タイトルに惹きつけられた。
真っ白な「ハヤン」でなく、生と死の寂しさをたたえた白い色「ヒン」の物語。散文詩の研ぎ澄まされた言葉の中に著者の痛みを感じた。
1 私
2 彼女
3 すべての、白いものたちの
おくるみ、産着、タルトック、霧・・と白いものたちの65の短編が綴られる。
「産着」は哀しみと痛みを感じる一編。
人里離れた官舎に住んでいた父と母。
たった一人で赤ん坊を産んだ母の「しなないで しなないでおねがい。」悲痛な叫びが聞こえてきた。
選び抜かれた言葉で情景が紡がれる。
たとえば「波」の一編。
遠くから走ってくる冬の海が迫り、高く -
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本作のテーマは「言葉」。わたしたちは何気なく言葉を発したり文字を打ったりするが、言葉というものの重みがずっしりと感じられた。
物語は視力を失いつつある古典ギリシャ語の先生と、言葉を失ってしまった受講生の女性が軸になる。人生で傷ついた人たちが、冷たい雨が降りしきる中、そっと肩を寄せ合うような様子が浮かぶ。ハッピーエンドではない。ただバッドエンドでもない。わからないもの、わかりあえないもの、わかりたくないものが曖昧かつ混沌に混じり合うこの世界を包み、読者に提示している。
前編を通して静かな詩のような文章で構成されており、訳者の斎藤真理子さんの力も相まって、プロットをを一字一句しっかりと味わいた -
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著者の生に関する人々。両親、姉、弟、自身との関係について。生後すぐに亡くなった姉についての物語が描かれています。姉が生まれたときの両親、その死に対しての両親。異国の地を歩きながら、姉がその地で生きた場合について思いを巡らせ、そして姉が生きていたら自分は生まれていなかっただろう不思議ともいえる確率について考え、読者もまた考えさせられるものがあります。それらを考えるのに、白いものにまつわる話から、一つ一つの話を結びつけていって、その独特の解へと辿り着くようになっています。エッセイのようにバラバラに感じる文章になっているので取っ付きにくいのかと読み始めると、ちゃんと全てがつながっていて、そしてそれぞ