斎藤真理子のレビュー一覧

  • 韓国文学の中心にあるもの

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    韓国文学が、この国が辿ってきた歴史、闘争、死の堆積のうえに紡がれているということを教えてくれる1冊。

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    2024年05月02日
  • 曇る眼鏡を拭きながら

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    J.M.クッツェーの翻訳者として知られるくぼたのぞみと、韓国文学の翻訳者であり紹介者でもある斎藤真理子が一年に渡り、幼少期の記憶から翻訳者という仕事、それぞれの訳業や社会情勢に至るまでさまざまに意見を交わした往復書簡。


    1950年生まれのくぼたさんと1960年生まれの斎藤さん、ちょうど10歳違いの二人は、元々藤本和子の本を復刊させたいという熱意を持つ女性翻訳者と編集者たちの集まり、〈塩を食う女の会〉での飲み友だちだという。
    そんなわけで、本書は翻訳者としてのスタートから藤本さんに師事していたくぼたさんと、ブローティガンの訳書より先に『塩を食う女たち』に出会っていたリアルタイム読者の斎藤さん

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    2024年03月14日
  • 回復する人間

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    ネタバレ

    ハン・ガンの短編集。気になっていた白水社のエクス・リブリスシリーズを初購入。

    訳者のあとがきにあるように、傷口が回復する前には痛むもの。人の心も同じで、様々な挫折、諦め、苦悩の果てに、回復の兆しが見えてくる。そんな作品が多い短編集だった。
    相変わらず文体や情景が綺麗で、読んでいるだけで心が洗われた。以下、作品毎の感想。

    ◎明るくなる前に ★おすすめ
    弟を亡くした姉。自分がもっと気にかければと後悔し、以後、自身を罰するように生きる。“そんなふうに生きないで”。この祈りが刺さる。

    ◎回復する人間
    誰かの視点で語られる、決して分かりあうことのできなかった姉に先立たれた“あなた”の話。回復するた

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    2024年01月03日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    もっと韓国の文学作品に触れてみたくなった。胸が苦しくなる部分も多いけど、この本を読んでから韓国文学に触れたり再読すると、より深みある読書になると思う。

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    2023年10月20日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    解放後(日本の「戦後」にあたる)の大きな出来事(解放、分断、済州、朝鮮戦争、維新、光州、IMF、セウォル、キム・ジヨン現象、等)について人々がどのような思いを持ってきたか。文学作品を紹介しながら、それらをたどっていく。それぞれの出来事が韓国の人々にどれだけインパクトのあることだったのかを教えられる。民主化前の出来事に関する部分は特にヘビーなので、現代から時代をさかのぼる構成にしたのは正解だったと思う。

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    2023年09月20日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    著者の斎藤真理子さんは韓国文学好きに知らない人はいないだろう翻訳者で、日本における韓国文学ブーム立役者のひとり。

    植民地支配、朝鮮戦争、南北分断、光州事件、IMF危機、セウォル号事故、女性問題...
    非常に重く複雑な韓国の歴史を読みやすい文章で解説してくれている素晴らしい一冊。文学作品を通して現代の朝鮮半島の根底にあるものに触れることができる。不条理な暴力や歴史的経緯が、韓国文学に感じる抗ったり切り開いていく雰囲気に影響しており、自分も胸を打たれ心が震えるのだろう。

    一度読んだだけでは到底理解できなくとも、本書は韓国文学を読むうえでの地図となる。紹介されている作品は次々手に取りたくなり、リ

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    2023年07月04日
  • シソンから、

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     作者チョン・セランは一九八四年生まれ(私は同い年)、この本が韓国で出版されたのは二〇二〇年、日本語版の出版は二〇二二年一月。私にとっては同時代感バッチリの小説だ。面白かった。
     タイトルのシソンは、シム・シソンというおばあちゃんの名前。訳者あとがきから彼女を紹介している部分を引用すると、「朝鮮戦争の中で家族を皆殺しにされたが、海外に渡って第二の人生を切り拓いた勇気ある女性。男性芸術家の暴力によって惨憺たる目に遭うが生き延びて、ユーモアを忘れずにたくさんの仕事をし、二度結婚して四人の子供を育て、世の評判をものともしなかったおばあちゃん。美術評論をはじめ数々の随筆を書き、各種メディアに登場しつづ

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    2023年05月14日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    書評集を好んで読む。しかしこの本は書評集ではない。韓国と言う国、日本という国について、韓国文学という側面から描き出そうという試み。こころ、あるいはからだのどこかに重く沈み込む鎖のようだ。

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    2023年03月26日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    2023.3

    この3年で触れてきた本・映画のことや、その間色んな作品に触れながら自分なりに学んできたことを振り返っている。と同時に読みたい・観たい作品が増えていく。知りたいことが増えていく…(そして気付けばまた夜更かしをしている)

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    2023年03月15日
  • ディディの傘

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    ネタバレ

    晴眼者という言葉も、墨字という言葉も、私は知らずに今まで生きてこられた。
    「墨字の状態が常識だから、それをそうと呼ぶ必要もなく、それがあまりに当然だから、私たちはそうと自称することさえしない。」

    人生において、知っている事よりも知らない事が遥かに多く、知らないことを知りたいという意思が無ければ、それは永遠に知らないまま。

    「私たちが常識について語るとき、それは何らかの考えを述べるというより、まさにそれを考えていない状態に近い」「常識的にはね、と言う瞬間、それは何てしょっちゅう、なんにも考えていない状態」「それは固まってしまった思い込み」

    これまで生きてきた社会と時間に育てられた考え方や物

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    2023年02月07日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    大げさにではなく、いままで抱いていた戦後のイメージが180度変わった。
    通り一遍の韓国の歴史の本も読んでいたけれど、韓国と日本とでは、経験してきた歴史やそこから見える景色がこんなに違うのかと愕然とした。
    この先、ドラマを見たりアイドルが兵役に行ったりするたびに、きっと本書の内容を思い出すと思う。

    戦後、朝鮮特需や韓国への罪悪感とともに戦後を乗り越えてきたという日本人の姿は、ヘイト渦巻く現代には見えなくなってしまっているけれど、たしかにもう少し昔の人たちは日本の戦争責任や反省をもっと普通に口にしたり書いたりしていた気がする。ごく最近読んだ茨木のり子さんのエッセイでも、日本が朝鮮を植民地化してい

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    2022年11月11日
  • 年年歳歳

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    すばらしい小説だった。
    家族であろうと語られないこと共有されないことはその人個人の中に無限にあり、それは誰にも侵せない。朝鮮戦争の歴史と個人の歴史が交差して、それぞれ個人の、その人だけの人生が浮かび上がってくる。
    軽い物語ではないけれど、未来に開かれた小説だと思った。

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    2022年08月27日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    韓国社会が経験する苦難に作家はどう向き合い、そうして生まれる作品を読者はどう受容してきたか、の一端が見えてくる。

    また、1960年は日本と韓国にとって分水嶺だったんだな、と。市民運動の成功体験と失敗体験は、その後の両社会における主権者意識にも根深い影響を与えたことが、比較によって鮮やかにわかる。

    そして、知れば知るほど日本について、自分について考えることを余儀なくされる。韓国社会の痛みや苦しみを「よその国」の出来事とするには、日本の関わりはあまりに深い。
    個人的に物心ついたとき既に日本は経済大国だったし、それを享受してきた自覚もあるが、その発展の礎には隣国の悲惨な戦争が含まれ、その戦争が今

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    2022年08月11日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    ネタバレ

    チェ・ミジンはどこへ
    ナ・ジョンマン氏のちょっぴり下に曲がったブーム
    クォン・スンチャンと善良な人々
    私を嫌悪することになるパク・チャンスへ
    ずっと前に、キム・スッキは
    誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ
    ハン・ジョンヒと僕
    あとがき

    全編を通して迫ってくるリアルな"恥"とやるせなさ。読み進めながら私小説に近い作風なのかな?と思っていたので、あとがきが沁みた。

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    2022年08月06日
  • 年年歳歳

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    「廃墓」「言いたい言葉」「無名」「近づくものたち」四つの短編からなる本書。登場人物の名前と関係は冒頭の人物図に詳しいが、忘れられないのはそのほかの名前の無い大勢の「スンジャ」達や韓国と日本の長きに渡る歴史。習慣や伝統と言ったちょっとしたエピソードに親近感を覚え、親世代への苛立ちや恐怖、いろんな感情で泣きたくなる。生き延びて著者のバトンを受け取った以上は、時代の記憶とキャンドルの灯を次世代へ渡していきたい。作家の言葉、訳者あとがきも含めて素晴らしい一冊。

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    2022年04月20日
  • 年年歳歳

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    植民地解放後、朝鮮戦争を経験し、苦難を背負い生きた世代。
    彼らの多くがスンジャ=順子という名前を持っていた。

    “従順”とか“順調”とか、そういう思いを込められていたのか、はたまた植民地時代からの流行りだったのか。

    彼女らと次の世代とが、語られる物語と語られない物語の間の余白に様々な思いを込め、それが読者の前に情念となり揺蕩う。

    ファンジョンウンはこの物語の中で決して声を荒げたりしない。

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    2022年03月27日
  • 声をあげます

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    「声をあげます」が抜群に面白かった。チョンセランと同時代に生きていることを、ハッピーに思う。高校生の頃、筒井康隆氏が大好きだったことを思い出した。SF、日本では懐かしい気のするジャンルだと思っていたけど、面白い。

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    2021年12月01日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    表紙とタイトルでほっこり系短編集なのかと思いきや、恥、羞恥心について胸を突かれるような物語たちだった。圧倒された。

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    2021年05月28日
  • アヒル命名会議

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    短編小説集には外れもあるけど、おもしろかった!
    珍しいサイズで珍しい横書きで進む、新世代価値観の物語。

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    2021年02月23日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    「イ・ギホの短編小説は一見とっつきやすいものが多い。だがその芯は意外に固い」と訳者解説にもあるとおり、とぼけたユーモアの漂う平易な文体でつづられていながら、厳しい倫理的な問いを突きつけてくる物語ばかり。それはこの短編集において作者が自分自身を、ひいては男性性を突き放す姿勢を貫いているからだと思う。
    「チェ・ミジンはどこへ」が特に良かった。電話越しの彼の非難の言葉は忘れられそうにない。

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    2021年01月22日