斎藤真理子のレビュー一覧

  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    私の中のミサンドリー(男性憎悪)が剥き出しになり、頭の中で、出てくる男性を片っ端から大ハンマーで殴り飛ばすなどした。そして、キム・ジヨンと自身を重ね、あの時のあの出来事など、嫌な記憶が蘇るたび、その都度、本を閉じ、天井を見た。過去の自分を、そして未来の自分を、はてまた、身近な女性のことをじっくりと思う一冊だった。

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    2026年03月16日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    7〜8年ぶりの再読。
    育児にまつわる辛かった経験を慰めてもらったようでもあり、いやいやまだまだ全然終わっていないし慰めきれてもいない思いもあり、でもみんな自分の辛さをどうにかして発露するために、対照的な生き方のひとを悪く言うんだよね、みんな生きるの辛いんだよねって思ったりもした。

    私自身は、やって当たり前とみなされている家事育児を夜遅くまで1人でこなし、夫も子供たちも非協力的、実の母は私の出産3年前に他界、離れて暮らす父は頼れず、同じく遠距離の義両親には「自分さえ良ければそれでいいのか。都会暮らしは愚の骨頂」とか言われていたりとにかくなんでも1人でやってるけど、もはや徳を積めるだけ積んで、い

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    2026年03月14日
  • こびとが打ち上げた小さなボール

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    韓国が1960年代にどうであったか、についてよく知ることができる本である。黒澤明の映画の天国と地獄、あるいは泥の河と同じ状況である。一方には会社の役員がいて、一方には労働者がいるという対比であるが、労働の実態が生々しい。

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    2026年03月06日
  • シソンから、

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    どの世界でも女の位置は低い。どん底から這い上がった女から始まった子供、孫たちがそれぞれの知る母親や祖母のことを語ったり思ったり。動物の世界はほとんどそうだけど、ヒトも母系社会になればいいのに。いちばん強くて偉いのはグランマ。でも登場人物の中でいちばん共感したの、長女の夫。遠い国でちらっと見かけたときに呼び止めたいと思ってもらえる人間でよかったって、わかるわ〜。それくらいのヒトでいるのがいいよね。

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    2026年03月04日
  • 別れを告げない

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    今年読んだ中で一番濃い読書体験になりました
    現実の世界から、異世界に誘われ、彷徨いました
    全ての音も、姿も消される恐怖を越えた無の雪世界。
    そこから、青い海、真っ赤な血に塗られた砂浜、全てを消し去った波。
    銃口とマッチの火など、最後までモチーフを繋げることで、人の思いを灯影している。
    記憶が繋ぐ凄惨な歴史がそこにはあり、消そうとしても消せない形とならない記憶がある。
    一文一文が詩的でした。
    とても曖昧な表現が続き、分かりにくいところもあったけど、それは作者の意図であるようですが、もう一度読んだらより深く心に入ってくるかもしれないです

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    2026年02月28日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    ん?全部見たことあるぞ?全て身近にあるぞ?日本の平成生まれの私にも経験あるぞ?どこが他国の少し前の物語なのか、意味がわからない。見えてないならそれこそ問題だぞ?

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    2026年02月27日
  • すべての、白いものたちの

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    最初は美しい散文だなと思って読んだが、著者の言葉や解説を読んで、替わりに生きるという構造に気づき、一気に深みが増した。そこまで深く読めなかった自分が歯痒い。何回読んでも新しい気づきを与えてくれそうな本。

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    2026年02月23日
  • 光と糸

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    淡々とした語り口のエッセイみたいな詩集みたいな、画集のような。
    とても作者さんの人となりを感じさせてくれる素敵な本でした。
    とくに、「本が出たあと」と「庭の日記」がとても好き。
    読みやすいからとかではなくハン.ガンさんの生き方が垣間見られて。
    世界のなかで叫びたいこと、この方にはまだまだあるでしょう。今後も手に取ってみたい作家さんでした。

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    2026年02月20日
  • すべての、白いものたちの

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    初のハン・ガン作品

    繊細かつ頑強、そしてやわらかい
    ヒリつく空気感も包み込む温かさも、距離も
    私は心地良かった

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    2026年02月15日
  • 光と糸

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    〜世界はなぜこれほど暴力的で苦痛に満ちている?
    と同時に、世界はなぜこれほど美しいのか?〜

    人間の暴力性に真っ向から向き合って、文章で戦うハンガンさん。
    世界が平和と反対方向に向かっているような気がしてならない今、読めてよかった。
    最初の方は2024年にノーベル文学賞を受賞したときの講演の全文。
    彼女がこれまで世に出した書籍がどういうプロセスで書かれたのかがわかって、またいろんな本を再読したくなった。
    中盤はエッセイ、そして後半は日記。
    庭木にアブラムシやハダニがついて、殺虫剤を噴霧したら全部枯れてしまったり、何匹もいたはずの虫が消えていて悲しんだり、花が咲いて喜んだり、花が咲かずに残念がっ

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    2026年02月09日
  • 「なむ」の来歴

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    斎藤真理子さんを木にたとえたら、と考える。
    がっしりと張った根は、古い地層に蓄えられた水を汲み上げ、揺らぐことはない。
    稠密に重ねた年輪に支えられた頼もしい幹に、背中を預けて空を見上げてみると、光を求めて両手をいっぱいに差し伸ばしたかのような梢が見える。
    そよ風と戯れて、さんざめく枝先は、どこまでも軽やかだ。
    見慣れた馴染み深い木であるが、僕の中で欅のイメージが重なる。
    この季節のキリッと冷たい空気のなかで、青空を背景に立つ裸木の凛とした佇まいもまた、彼女に似つかわしいように思えてくる。

    木にたとえたくなった理由は、もちろん本書のタイトルからの連想だ。
     “「なむ」とは韓国語で木を指す。本は

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    2026年02月08日
  • 別れを告げない

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    物語の根底に、1948年4月3日に発生した済州島四・三事件がある。
    李承晩政権下の軍・警察、そして駐韓米軍が、1954年までの6年間で約3万人の島民を虐殺した凄惨な事件だ。
    朝鮮半島が南北に分断されることに反対する民衆が、済州島で武装蜂起したことが事件の発端だった。
    その後、韓国が本格的な民主化を迎える1987年6月の民主化宣言までは、済州島四・三事件を語ることはタブーとされている。

    主人公の作家キョンハは虐殺に関する本を出版した後、原因不明の酷い目の痛みと胃痙攣に悩まされていて、精神的にも疲れていた。
    そんな時に友人の映像作家インソンは、キョンハが提案した木製オブジェを製作中に指を切断する

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    2026年02月06日
  • すべての、白いものたちの

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    多くの読者の感想のように、文体は散文詩のようで、読めば深い心の底にある思いに気づく。
    過ぎた者たちや風景の懐かしさだったり今手に取っているものもいつか消えていくという寂しさだったり、それが時間によって、傷が治るように次第に癒され、さまよっていた過去が浄化されていくことだったり。

    心の深層に隠れていたものを鮮やかに語り、それを読み解き、自分の中でとらえどころがなかった出来事や時間がすべてが過去になっていくという。通り過ぎて、ある、あったと思って生きていた時間はもうとうに過ぎ去っている。ということ。
    人すべてに通じる生きることの普遍は、身近にある白いものに託して、思い出す過去の、今も湧き上がる悲

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    2026年02月04日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    韓国の小説を主に取り上げている。小説というよりも、小説を通して、日本の敗戦後から朝鮮戦争、全の独裁、済州島事件、朴のクーデターからセマウル号までを説明したものである。増補では韓国の繁華街での圧死が描かれている小説を掲載しているものだと想像する。
     学生が韓国の現代史を知るのには最適な本である。

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    2026年02月03日
  • ギリシャ語の時間

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    はじめて読んだ韓国文学。
    韓国語とギリシャ語の、言葉の美しさを感じることができたけれど、掴みきれなかったというのが本音。
    きっとまた読み返すと思う。

    独特の作品世界には魅了された。

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    2026年01月31日
  • 光と糸

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    散文短編であるかのようだが ひと繋がりの作品でもあるように感じた 人が人を虐殺する恐ろしく血生臭い事件を掘り下げ自分も血を流しながら書いていながらも 世界はなんて美しいのだろうと感じてしまう そして日が当たらない北向きの小さな庭に鏡で光を当てその成長を見守る ハンガンという人にどんどん引き込まれてしまう

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    2026年01月31日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    イ・ランさんとは生い立ちも境遇もまるで違うのだけれど、その世界の捉え方はものすごく腑に落ちる。本作は最初から最後まで死に満ちていて、ほとんどの章で涙をこらえられない。

    家父長制と男児選好思想に染まりきったイ一族の中にあって、「私は、自分の物語を世の中に示すことのできる狂女でよかった。だけどわたしだけではなく、お母さんの狂女の歴史もとても重要だから、広く世に知らせたい。」と言うランさん。そう、お母さんも本当にかわいそうなんだよ…。宗教に傾倒する理由が「聖書に出てくる唯一神=完全な父親像」で、宗教を持たないわたしでも深く納得してしまった。

    お姉ちゃんの死も本当にやるせない。ランさんは、長女病と

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    2026年01月31日
  • すべての、白いものたちの

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    かなり心にきた
    読んでた時の感情の起伏がめちゃくちゃ気持ちよくて幸せやった
    記憶消してもう一回一から読みたい
    間違いなく今まで読んできた小説の中でもトップに入ってくる
    大事な人たちにおすすめしたい

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    2026年01月27日
  • すべての、白いものたちの

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    すきだった。
    出産直後の話と死産の話で号泣してしまった。
    散文的だけど心にずしっとくる。
    読み返したい大切な本になった。

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    2026年01月24日
  • 未来散歩練習

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    民主化した韓国の現在が80年に起きた光州事件に対する高神大学の学生ムン・ブシクが中心として起こしたアメリカ文化院放火事件が契機となっていることの示唆とその緩やかな接点を「私」と「スミ」という二人の人物を通して描かれている。

    一つの作品の中に「私」と「スミ」の時間を曖昧な形で共存するように描くことは、小説でよくあるストーリーインストーリーのような入れ子構造でもなく、パノラマ写真のような異なる時間を並列に収める構造も独特で面白い。

    ユンミ姉さん、キム・ウンスクといったアメリカ文化院放火事件の実行犯も未来練習した人であり、本作の登場人物たちも未来散歩練習をしながら過去に未来散歩練習をした現在にい

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    2026年01月24日