斎藤真理子のレビュー一覧

  • ギリシャ語の時間

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    多少の難解さがあり、通読する根性が必要かもしれないが、文章の綺麗さ、表現の美しさで読み通せた。

    訳者さんが後書きで述べられている通り、複雑な構造(哲学や他の文学作品の知識があるほうが理解が深まる)を持ってはいるけれど、すべて理解できなくとも楽しむことはできる。

    個人的には、今まで出会ったことのない新たな文学作品に出会えてよかったな、と思うし、また著者の別の作品にも触れてみたいと思う。

    ただひとつ希望を付け加えるとしたら、原書の著者後書きも引用ではなく、丸ごと訳して欲しかったな…と残念な気持ちが残る。著者がどういう気持ちで記したのかを知りたかったな…。

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    2026年03月26日
  • 光と糸

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    人間の持つ愛と暴力に、書くという行為で立ち向かった際の苦しみが綴られている。『庭の日記』がよかった。途中に挟まれる写真も美しく、植物を愛していたことが伝わってきた。

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    2026年03月26日
  • 光と糸

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    文章から血が滴り落ちるようだった。
    暖かく生臭く、それでいて赤く美しい。

    こんな感性を持ち合わせて、突き詰めるように文章を書いていたらいつか彼岸に行ってしまいそうで怖くなった。
    さぞやこの世は生き辛かろうなぁ

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    2026年03月24日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    職場で男女差別を感じることが幸いにも殆どない。しかし、幼少期からのひとつひとつの出来事で、心に鎖ができていると思う。男性が先と、どこかで思っている気がする。

    でも、女性だけが被害者かというと違う。男性側も不公平感を感じているという視点が大事と思った。

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    2026年03月23日
  • 誰でもない

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    韓国が抱える社会問題が下地にその中で生きる人々を描いた作品
    IMF危機や都会で仕事をなくした人が田舎で職を探す、セウォル号沈没事故を思わせる水難事故などを織り込んで綴られる

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    2026年03月20日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    読んでてしんどくなる作品だった。でも内容は興味深いしもちろんストーリーとして良い。男女どちらも読むべき。
    韓国の文化をよく学べた本だった、一部フィクションもあるかもしれないけど。
    どの本よりも怖いしこんな世の中嫌だと思えるけど、日本でも身に覚えありそうなことばかりなのが余計しんどい。

    なんで女性というだけでレッテルを貼られて、中身を見てくれないんだろう。今はもう女性だから大学は行かなくて良いとかは言われない時代だけど、完全に男女差が無くなったわけじゃないよね。
    男女どちらも出産できるようにして、ほとんど身体の個体差もなくなれば、こんな嫌な世の中じゃなくなるんだろうか。

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    2026年03月14日
  • 光と糸

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    ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞記念講演や創作のことなど綴った書籍。とても辛い歴史を軸とした作品が多いのでご本人も精神的にとても辛いと思う。それでも、作品を世に出す意味、重要性を知っていらっしゃるから書かれるし、私たちもそれを読んで考えることができる。一つの作品に数年かかると書かれていた。それだけの思いが詰まった作品をこれからもずっと読み続けていきたい。

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    2026年03月13日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    1982年に韓国で生まれた女性の中で、最も多いとされる「キム・ジヨン」を主人公に、日常に根ざしたフェミニズムを辿る傑作

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    2026年03月10日
  • 波の子どもたち

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    斎藤真理子さんの翻訳のヤングアダルト小説。
    16歳のソル、ヨルム、クァンミンの3人がそれぞれのルートで脱北を成し遂げる。
    北朝鮮の現状と脱北者の困難が、わかりやすく親しみやすい翻訳で語られている。
    主役が子どもたちというのが新鮮。

    最後の訳者あとがきがとてもよいです。さすが斎藤真理子さん!

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    2026年03月10日
  • 回復する人間

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    自分には、何とも救いの無い話ばかりのように思えた。
    作者が提示する再生への希望を受け取ることができなかった。淡々と壊れていく登場人物たち。もうちょっと分かりやすい救いの手が欲しかったな。

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    2026年03月05日
  • 光と糸

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    ハン・ガンが何度が読んだという「朝のピアノ 或る美学者の『愛と生の日記』」に雰囲気が似ている。
    是非これも機会があれば手に取って欲しい。

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    2026年03月01日
  • 光と糸

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    ネタバレ

    ハンガンの文章、好きだなあ〜

    「光と糸」が一番印象に残ったかも
    過去が現在を助けることはできるか?
    死者が生者を救うことはできるのか?(p.20)

    …私たちはどこまで愛することができるのか?どこまでが私たちの限界なのか?どれだけ愛したら、私たちは最後まで人間でいつづけることができるのか?(p.26)

    図らずも、この後に『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を読んだ

    次のハンガン作品を読む日を楽しみにしている。

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    2026年02月28日
  • 別れを告げない

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    読みながら、こんなに寒さを感じたのは初めてかも。静かで暗くて雪の降り積もる音しか聞こえないのに、何かいる感覚。
    ジェノサイドのあった場で、時空を超えて生と死の境も超えて、愛する人への思いが交錯する。大丈夫、鎮まって、忘れないから、一緒にいるから。
    読むのに時間はかかったけど、ハンガンの祈りに少し触れられて、心地よかった。

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    2026年02月24日
  • 光と糸

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    ネタバレ

    人の重厚さを語っている。そして世界の不均衡さを嘆いている。たくさんを感じ、たくさんの理解を本の中に認めている。

    "世界はなぜこれほど暴力的で苦痛に満ちている?
    と同時に、世界はなぜこれほど美しいのか?"

    私が感じ、見ているすべてを生き抜くのだから あなたが考え、愛するすべてを生き抜くのだから 私たちは自分の身長と体重だけに閉じ込められてはいないから

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    2026年02月22日
  • 光と糸

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    今までの作品の総ざらいのような一冊。最後まで静かで美しい佇まい。紙質も和紙のようであたたかい手ざわり。

    エンタメも大事だけど、たまにこうした文章も補給しないと魂がカラカラになる。

    ” 割れてしまったガラスを溶かして、再び、無傷のひとかたまりのガラスにする”

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    2026年02月21日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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     フェミニズム小説として評判になっていたのは知っていたので購入だけはしておいたが、ようやく読むことができた。
     解説にもあるとおり、確かにこの本を読めば、「これは、まさに私の話です!」と多くの女性が共感したことも納得できる。「男性と女性の扱いがこんなに違うのはなぜ」、「どうして私がこんな目にあうの」というように、家庭、学校、就職、職場、結婚、出産といった人生の様々な場所やステージにおいて、偏見や差別を受けてきたのだろう。
     82年生まれのキム・ジヨンに対して、自分は60年代前半生まれの男性。本書に書かれている「性の鑑別と女児の堕胎が大っぴらに行われていた」という韓国の状況ほどではないが、自分の

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    2026年02月20日
  • 別れを告げない

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    済州島での虐殺を小説にしたものであるが、虐殺そのものではなく、主人公とその友人の現在の大雪の風景を背景として考えるものである。あとがきでは33ページで朝鮮戦争から済州島での虐殺が説明されている。なかなか日本では詳細を理解することが難しいので、この小説は済州島虐殺を知っている人が前提であるが、日本人にとっては地図があるほうが助かる。

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    2026年02月06日
  • 別れを告げない

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    今ではすっかりリゾート観光地として有名な済州島。80年弱前のその島で、怖ろしい虐殺事件が起こっていたことをうかがわせる影はまるで無いように見えてしまう。

    けれどそうではなく、実際に今もなお数知れないほどの遺体が土の下や海の底に埋もれたままで、縁者を探す人、真実を求める人たちがいる。そのことを、この本を通じて、そしていくらか調べることで、きっとほんのわずかにすぎないだろうけれど知った。知れて、良かったと思った。

    私小説に近い体裁で綴られる二人の女性の物語の現在では、しんしんと重苦しく雪が降り続ける。あらゆる生命の活動を抑えつけるような圧迫感のある静かな雪は、一方であたたかな命を持つ頬では他愛

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    2026年02月03日
  • 翼~李箱作品集~

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     母国である観光ではその名を冠する賞も樹立されているほどの評価を受けている李箱さんの作品集。全体的に厭世的で無気力な雰囲気が漂っている作風で、この世を俯瞰しているかのような達観した思考を持った主人公が多かったです。
     話の流れはどれも不明瞭かつ難解だと感じましたが、左記も登場人物の各々が、自己の殻に閉じこもって一人この世の実質を思考し続けた末の結果なのかなと考えました。
     表題にもなっている「翼」においては収録作の中では最も理解しやすい話だと感じており、また相当な感動を受けました。左記作品を読むためだけに買ってもおつりが来ると私は思いました。
     本作の約1/3ほどは作者である李箱さんの解説に費

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    2026年01月31日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    なかなかの地獄一家のお生まれ。でも冷静に自分の感情を分析して、飲み込まれないようにサバイブする能力に長けていると思った。命のやりとりをあまりにも身近に経験しているからこそ研ぎ澄まされていく芯みたいなものを感じる。

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    2026年01月31日