斎藤真理子のレビュー一覧

  • アヒル命名会議

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    短編小説集には外れもあるけど、おもしろかった!
    珍しいサイズで珍しい横書きで進む、新世代価値観の物語。

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    2021年02月23日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    「イ・ギホの短編小説は一見とっつきやすいものが多い。だがその芯は意外に固い」と訳者解説にもあるとおり、とぼけたユーモアの漂う平易な文体でつづられていながら、厳しい倫理的な問いを突きつけてくる物語ばかり。それはこの短編集において作者が自分自身を、ひいては男性性を突き放す姿勢を貫いているからだと思う。
    「チェ・ミジンはどこへ」が特に良かった。電話越しの彼の非難の言葉は忘れられそうにない。

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    2021年01月22日
  • ディディの傘

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    「野蛮なアリスさん」「誰でもない」が大っ好きで今か今かと邦訳を待ち続けていた本作。読んでみると、これまでの作品と明らかにテイストが違う。テイスト?って言うのは適当じゃないか。例えば短編集の「誰でもない」は物語が太巻きだとすると最も米と具が詰まってておいしいところを、痛烈で切実なセンスで盛り付けてくれていたような作品だった。だが、本作は米粒一つぶ一つぶを確かめ疑いながら海苔に乗せてゆく様子を、読者もともに苦しみながら見守るようなそんな作品だ。ともに苦しむといっても、この作品は韓国の情勢、社会事情、街の様子、生活について実体験している人とそうでない人とでは入り込み方が違う。私にはその辺りに詳しくな

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    2020年10月02日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    とても面白かった!

    不甲斐なくて、情けなくて、矛盾に満ちていて。ほんと、ダメ男を描かせると巧いなあ、この人。パワフルな不甲斐なさが可笑しい。

    セットになっている『私を嫌悪することになるパク・チャンスへ』と『ずっと前に、キム・スッキは』は、シーラッハのようだとも思った。

    何かしてあげたいと思っているのに何も出来なかったり、こんなことしたら情けないと思うのにやってしまったり、人はだれでも矛盾を抱えている。完璧な人などいない。

    矛盾やダメさを見ないふりしないで、向き合うこと。
    不可能だと気づくこと。確かに、そこからしか始まらないよね。

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    2020年02月05日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    読んでてしんどくなる作品だった。でも内容は興味深いしもちろんストーリーとして良い。男女どちらも読むべき。
    韓国の文化をよく学べた本だった、一部フィクションもあるかもしれないけど。
    どの本よりも怖いしこんな世の中嫌だと思えるけど、日本でも身に覚えありそうなことばかりなのが余計しんどい。

    なんで女性というだけでレッテルを貼られて、中身を見てくれないんだろう。今はもう女性だから大学は行かなくて良いとかは言われない時代だけど、完全に男女差が無くなったわけじゃないよね。
    男女どちらも出産できるようにして、ほとんど身体の個体差もなくなれば、こんな嫌な世の中じゃなくなるんだろうか。

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    2026年03月14日
  • 光と糸

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    ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞記念講演や創作のことなど綴った書籍。とても辛い歴史を軸とした作品が多いのでご本人も精神的にとても辛いと思う。それでも、作品を世に出す意味、重要性を知っていらっしゃるから書かれるし、私たちもそれを読んで考えることができる。一つの作品に数年かかると書かれていた。それだけの思いが詰まった作品をこれからもずっと読み続けていきたい。

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    2026年03月13日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    1982年に韓国で生まれた女性の中で、最も多いとされる「キム・ジヨン」を主人公に、日常に根ざしたフェミニズムを辿る傑作

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    2026年03月10日
  • すべての、白いものたちの

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    生と死、時間、記憶、のような人間の根源的なテーマに関する圧倒的な不条理・不確定的な出来事を乗り越えようとするための小説、散文、詩歌あるいは写真という装置

    選択的な不透明さ

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    2026年03月09日
  • 回復する人間

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    自分には、何とも救いの無い話ばかりのように思えた。
    作者が提示する再生への希望を受け取ることができなかった。淡々と壊れていく登場人物たち。もうちょっと分かりやすい救いの手が欲しかったな。

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    2026年03月05日
  • 光と糸

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    ハン・ガンが何度が読んだという「朝のピアノ 或る美学者の『愛と生の日記』」に雰囲気が似ている。
    是非これも機会があれば手に取って欲しい。

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    2026年03月01日
  • 光と糸

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    ネタバレ

    ハンガンの文章、好きだなあ〜

    「光と糸」が一番印象に残ったかも
    過去が現在を助けることはできるか?
    死者が生者を救うことはできるのか?(p.20)

    …私たちはどこまで愛することができるのか?どこまでが私たちの限界なのか?どれだけ愛したら、私たちは最後まで人間でいつづけることができるのか?(p.26)

    図らずも、この後に『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を読んだ

    次のハンガン作品を読む日を楽しみにしている。

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    2026年02月28日
  • すべての、白いものたちの

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    初めは短編集のように一貫性のある物語だと気付かずによんでいました。解説を読んだ後に、自分の読み方が全く違ったことに気づかされました。
    生と死についての新しい着想。表現の仕方がとても美しいです。ただ1回で理解するのは難しい本でした。

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    2026年02月26日
  • すべての、白いものたちの

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    初めて著者の本を読みました。途中で私のイメージが追いつかなくて迷いながら読み進めました(訳者の補足のおかげで理解することができました)。白く静かな空間に著者の私的な感情が溢れていて、著者の姿になのか自分自身の何かになのか、はっきりと区別ができませんが胸を打つものがありました。著者の他の作品を読んだ後に、もう一度この本を読もうと思います。

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    2026年02月24日
  • 別れを告げない

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    読みながら、こんなに寒さを感じたのは初めてかも。静かで暗くて雪の降り積もる音しか聞こえないのに、何かいる感覚。
    ジェノサイドのあった場で、時空を超えて生と死の境も超えて、愛する人への思いが交錯する。大丈夫、鎮まって、忘れないから、一緒にいるから。
    読むのに時間はかかったけど、ハンガンの祈りに少し触れられて、心地よかった。

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    2026年02月24日
  • 光と糸

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    ネタバレ

    人の重厚さを語っている。そして世界の不均衡さを嘆いている。たくさんを感じ、たくさんの理解を本の中に認めている。

    "世界はなぜこれほど暴力的で苦痛に満ちている?
    と同時に、世界はなぜこれほど美しいのか?"

    私が感じ、見ているすべてを生き抜くのだから あなたが考え、愛するすべてを生き抜くのだから 私たちは自分の身長と体重だけに閉じ込められてはいないから

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    2026年02月22日
  • 光と糸

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    今までの作品の総ざらいのような一冊。最後まで静かで美しい佇まい。紙質も和紙のようであたたかい手ざわり。

    エンタメも大事だけど、たまにこうした文章も補給しないと魂がカラカラになる。

    ” 割れてしまったガラスを溶かして、再び、無傷のひとかたまりのガラスにする”

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    2026年02月21日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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     フェミニズム小説として評判になっていたのは知っていたので購入だけはしておいたが、ようやく読むことができた。
     解説にもあるとおり、確かにこの本を読めば、「これは、まさに私の話です!」と多くの女性が共感したことも納得できる。「男性と女性の扱いがこんなに違うのはなぜ」、「どうして私がこんな目にあうの」というように、家庭、学校、就職、職場、結婚、出産といった人生の様々な場所やステージにおいて、偏見や差別を受けてきたのだろう。
     82年生まれのキム・ジヨンに対して、自分は60年代前半生まれの男性。本書に書かれている「性の鑑別と女児の堕胎が大っぴらに行われていた」という韓国の状況ほどではないが、自分の

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    2026年02月20日
  • すべての、白いものたちの

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    ネタバレ

    すごく良かった。
    序盤はなかなかその世界観についていけなくて、途中から物語として読むことを半ば諦め詩集として読んだ。
    解説を読んでからもう一周、今度は物語的に読んでみた。
    でもやっぱり言葉にとても感動した。
    好きな章段がいっぱいあった。
    いいタイミングで読めたと思う。

    白く笑う
    白く笑う、という表現は(おそらく)彼女の母国語だけにあるものだ。途方に暮れたように、寂しげに、こわれやすい清らかさをたたえて笑む顔。または、そのような笑み。

    あなたは白く笑っていたね。
    例えばこう書くなら、それは静かに耐えながら、笑っていようと努めていた誰かだ。

    その人は白く笑ってた。
    こう書くなら、(おそらく)

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    2026年02月18日
  • すべての、白いものたちの

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    読後に皆さんの感想を眺めていくと文庫本の後書きがいいらしい。読みたいがハードカバーで読んだため無念、確認出来ない。

    でも手に取った時にビックリしたのは、違う質の紙がいくつも混ざっていた事。文庫本もそうなのか?最初は何かの間違いなのかと思った。でもそんなはずはない。途中でハッとする。
    そうか、

    白いものたちの

    だから同じ白でも違う白の紙を意図的に使ってるんだと気付く。
    途中フォントが違う作品もあった。

    静謐な雰囲気に細やかな仕掛け、モノクロ写真の挿入と本そのものが。全てが。白いものたちのだった。

    詩のような散文のような。
    訴えてくるテーマは重いけどそれが白というフィルターを通って透き通

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    2026年02月16日
  • 別れを告げない

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    済州島での虐殺を小説にしたものであるが、虐殺そのものではなく、主人公とその友人の現在の大雪の風景を背景として考えるものである。あとがきでは33ページで朝鮮戦争から済州島での虐殺が説明されている。なかなか日本では詳細を理解することが難しいので、この小説は済州島虐殺を知っている人が前提であるが、日本人にとっては地図があるほうが助かる。

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    2026年02月06日