斎藤真理子のレビュー一覧

  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    ネタバレ

    チェ・ミジンはどこへ
    ナ・ジョンマン氏のちょっぴり下に曲がったブーム
    クォン・スンチャンと善良な人々
    私を嫌悪することになるパク・チャンスへ
    ずっと前に、キム・スッキは
    誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ
    ハン・ジョンヒと僕
    あとがき

    全編を通して迫ってくるリアルな"恥"とやるせなさ。読み進めながら私小説に近い作風なのかな?と思っていたので、あとがきが沁みた。

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    2022年08月06日
  • 年年歳歳

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    「廃墓」「言いたい言葉」「無名」「近づくものたち」四つの短編からなる本書。登場人物の名前と関係は冒頭の人物図に詳しいが、忘れられないのはそのほかの名前の無い大勢の「スンジャ」達や韓国と日本の長きに渡る歴史。習慣や伝統と言ったちょっとしたエピソードに親近感を覚え、親世代への苛立ちや恐怖、いろんな感情で泣きたくなる。生き延びて著者のバトンを受け取った以上は、時代の記憶とキャンドルの灯を次世代へ渡していきたい。作家の言葉、訳者あとがきも含めて素晴らしい一冊。

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    2022年04月20日
  • 年年歳歳

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    植民地解放後、朝鮮戦争を経験し、苦難を背負い生きた世代。
    彼らの多くがスンジャ=順子という名前を持っていた。

    “従順”とか“順調”とか、そういう思いを込められていたのか、はたまた植民地時代からの流行りだったのか。

    彼女らと次の世代とが、語られる物語と語られない物語の間の余白に様々な思いを込め、それが読者の前に情念となり揺蕩う。

    ファンジョンウンはこの物語の中で決して声を荒げたりしない。

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    2022年03月27日
  • 声をあげます

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    「声をあげます」が抜群に面白かった。チョンセランと同時代に生きていることを、ハッピーに思う。高校生の頃、筒井康隆氏が大好きだったことを思い出した。SF、日本では懐かしい気のするジャンルだと思っていたけど、面白い。

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    2021年12月01日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    表紙とタイトルでほっこり系短編集なのかと思いきや、恥、羞恥心について胸を突かれるような物語たちだった。圧倒された。

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    2021年05月28日
  • アヒル命名会議

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    短編小説集には外れもあるけど、おもしろかった!
    珍しいサイズで珍しい横書きで進む、新世代価値観の物語。

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    2021年02月23日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    「イ・ギホの短編小説は一見とっつきやすいものが多い。だがその芯は意外に固い」と訳者解説にもあるとおり、とぼけたユーモアの漂う平易な文体でつづられていながら、厳しい倫理的な問いを突きつけてくる物語ばかり。それはこの短編集において作者が自分自身を、ひいては男性性を突き放す姿勢を貫いているからだと思う。
    「チェ・ミジンはどこへ」が特に良かった。電話越しの彼の非難の言葉は忘れられそうにない。

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    2021年01月22日
  • ディディの傘

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    「野蛮なアリスさん」「誰でもない」が大っ好きで今か今かと邦訳を待ち続けていた本作。読んでみると、これまでの作品と明らかにテイストが違う。テイスト?って言うのは適当じゃないか。例えば短編集の「誰でもない」は物語が太巻きだとすると最も米と具が詰まってておいしいところを、痛烈で切実なセンスで盛り付けてくれていたような作品だった。だが、本作は米粒一つぶ一つぶを確かめ疑いながら海苔に乗せてゆく様子を、読者もともに苦しみながら見守るようなそんな作品だ。ともに苦しむといっても、この作品は韓国の情勢、社会事情、街の様子、生活について実体験している人とそうでない人とでは入り込み方が違う。私にはその辺りに詳しくな

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    2020年10月02日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    とても面白かった!

    不甲斐なくて、情けなくて、矛盾に満ちていて。ほんと、ダメ男を描かせると巧いなあ、この人。パワフルな不甲斐なさが可笑しい。

    セットになっている『私を嫌悪することになるパク・チャンスへ』と『ずっと前に、キム・スッキは』は、シーラッハのようだとも思った。

    何かしてあげたいと思っているのに何も出来なかったり、こんなことしたら情けないと思うのにやってしまったり、人はだれでも矛盾を抱えている。完璧な人などいない。

    矛盾やダメさを見ないふりしないで、向き合うこと。
    不可能だと気づくこと。確かに、そこからしか始まらないよね。

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    2020年02月05日
  • すべての、白いものたちの

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    ハン・ガンさんの二冊目。
    まず、タイトルに惹きつけられた。
    真っ白な「ハヤン」でなく、生と死の寂しさをたたえた白い色「ヒン」の物語。散文詩の研ぎ澄まされた言葉の中に著者の痛みを感じた。

    1 私
    2 彼女
    3 すべての、白いものたちの

    おくるみ、産着、タルトック、霧・・と白いものたちの65の短編が綴られる。

    「産着」は哀しみと痛みを感じる一編。
    人里離れた官舎に住んでいた父と母。
    たった一人で赤ん坊を産んだ母の「しなないで しなないでおねがい。」悲痛な叫びが聞こえてきた。

    選び抜かれた言葉で情景が紡がれる。
    たとえば「波」の一編。
    遠くから走ってくる冬の海が迫り、高く

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    2026年06月06日
  • ギリシャ語の時間

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    ノーベル文学賞受賞のハン・ガン氏による長編小説。言葉を失った女性と視力を失いつつある男性との魂の物語。ハン・ガン氏の根底のテーマであるトラウマと蘇生。そこに社会性を反映させ、詩的な物語を紡ぐ。とにかく言葉の表現が凄い。普段組み合わせない動詞と名詞を配置し、横たわる情景や感情を的確に表現する。物語のあらすじや意味するところは難解だが、不思議と心に迫ってくる作品。

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    2026年06月04日
  • ギリシャ語の時間

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    読んでいる最中は少しとっつきづらく、難しいと感じる場面もあった。しかし、読み進めるうちに、いつの間にか静謐な世界に引き込まれていく不思議な作品だった。

    ハン・ガンさんの文章は非常に練り上げられており、一つひとつの表現に深い思索が感じられる。その繊細な言葉の積み重ねが、この作品ならではの魅力だと思った。

    派手な展開を楽しむというよりも、言葉や登場人物の心の動きを静かに味わう作品だと感じた。

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    2026年06月06日
  • ギリシャ語の時間

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    本作のテーマは「言葉」。わたしたちは何気なく言葉を発したり文字を打ったりするが、言葉というものの重みがずっしりと感じられた。

    物語は視力を失いつつある古典ギリシャ語の先生と、言葉を失ってしまった受講生の女性が軸になる。人生で傷ついた人たちが、冷たい雨が降りしきる中、そっと肩を寄せ合うような様子が浮かぶ。ハッピーエンドではない。ただバッドエンドでもない。わからないもの、わかりあえないもの、わかりたくないものが曖昧かつ混沌に混じり合うこの世界を包み、読者に提示している。

    前編を通して静かな詩のような文章で構成されており、訳者の斎藤真理子さんの力も相まって、プロットをを一字一句しっかりと味わいた

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    2026年06月01日
  • すべての、白いものたちの

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    著者の生に関する人々。両親、姉、弟、自身との関係について。生後すぐに亡くなった姉についての物語が描かれています。姉が生まれたときの両親、その死に対しての両親。異国の地を歩きながら、姉がその地で生きた場合について思いを巡らせ、そして姉が生きていたら自分は生まれていなかっただろう不思議ともいえる確率について考え、読者もまた考えさせられるものがあります。それらを考えるのに、白いものにまつわる話から、一つ一つの話を結びつけていって、その独特の解へと辿り着くようになっています。エッセイのようにバラバラに感じる文章になっているので取っ付きにくいのかと読み始めると、ちゃんと全てがつながっていて、そしてそれぞ

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    2026年05月24日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    韓国って日本に似てる。だけど、30年くらい後だと思う。男尊女卑とかは昔からの流れだろうけど、その意識から脱却するのに日本より遅れていると思う。
    今から10年前の時代を描いている章があったけど、その頃日本は子供を産まないのか、いつできるのか等の質問は既にご法度だったし。個人でも組織でも国でも、やはり余裕が無いと変わっていくこと、変化には対応しずらいのかなと思った。旧態のままでいることにしがみつくというか。
    後は、韓国のそれぞれの家庭があまりに男系を重視する日常過ぎて、気づかないうちに文化にまでなってしまっていたのにも驚きだと思う。

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    2026年05月22日
  • 別れを告げない

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    太平洋戦争後に韓国のチェジュ島で発生した虐殺事件をテーマに、サバイバーとなった女性の娘インソンとその友人キョンハ(本書の主人公)が島の過酷な歴史と被害に遭った家族の痛みを辿る物語。
    これまで読んだものの中で、こんなにも寒くて痛くて、深い悲しみを感じた小説は他にない。本当に。

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    2026年05月10日
  • 増補新版 韓国文学の中心にあるもの

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    初めて韓国に行ったので、旅行のお供に連れて行った。とても良いお供だった。
    改めて朝鮮半島の近現代の壮絶な歴史に触れ、それを下地にして成り立っている韓国文学の底力みたいなものを感じた。

    考えてみると韓国の民主化は80年代でつい最近のこと。それまで植民地時代、朝鮮戦争、軍事独裁政権…と苦難が続いた。日本に主権を奪われた植民地時代だけでなく、同じ民族同士で殺し合った朝鮮戦争、国が市民に銃を向けた独裁時代があった。
    私はいつも中国の近現代をみるとその凄まじさに圧倒されそれを乗り切ってきた人民たちに敬意を持ってひれ伏したくなるのだけれど、そしてそんな中国の陰に隠れてきたかもしれないけど、朝鮮半島もかな

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    2026年05月06日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    ネタバレ

    女子校出身、女性ばかりの職場で働いているからなのか女性だから損してると感じた経験は少ないけど自分が気づいていないだけで損をたくさんしているのかもしれない
    キムジヨンには幸せになってほしい

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    2026年05月01日
  • すべての、白いものたちの

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    ネタバレ

    2026/04/16 - 2026/04/17

    柔らかな綿でキュッと心を締め付けられるような苦しさと、まだ誰も踏み入れていない新雪のような静謐さがずっと交互にやってきて、ページを進める手を止めることができなかった。

    ハン・ガンの本はこれが初めてで、正直、このご時世にノーベル賞を獲った人が女性であり、アジア人であった、ということが読むきっかけだった。受賞で話題になった際に、すぐに購入したが、「韓国文学について知ってからのほうがいい」などの情報が多く、勝手に億劫になり、今まで読んでいなかった。

    しかし、読んでみたら、私にはとてもすんなり、まるで水が染み込むように心の中に文章や物語が溶けていっ

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    2026年04月27日
  • 光と糸

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    ノーベル賞の文学賞を得た韓国の韓江(한강)さんのエッセイ。光と糸はノーベル賞の受賞記念講演だそうだ。「菜食主義者」、「風が吹いている、行け」、「ギリシャ語の時間」、「少年が来る」、「別れを告げない」。のそれぞれを書きだした時の動機のような背景が書かれている。この本を読むことで韓江さんの思いを少しだけ感じられるのではないだろうか。

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    2026年04月21日