斎藤真理子のレビュー一覧
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「野蛮なアリスさん」「誰でもない」が大っ好きで今か今かと邦訳を待ち続けていた本作。読んでみると、これまでの作品と明らかにテイストが違う。テイスト?って言うのは適当じゃないか。例えば短編集の「誰でもない」は物語が太巻きだとすると最も米と具が詰まってておいしいところを、痛烈で切実なセンスで盛り付けてくれていたような作品だった。だが、本作は米粒一つぶ一つぶを確かめ疑いながら海苔に乗せてゆく様子を、読者もともに苦しみながら見守るようなそんな作品だ。ともに苦しむといっても、この作品は韓国の情勢、社会事情、街の様子、生活について実体験している人とそうでない人とでは入り込み方が違う。私にはその辺りに詳しくな
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82年生まれ、キム・ジヨン
著者:チョ・ナムジュ
子育て中に異常行動が表れた1人の女性患者のカウンセリング記録という形で進行していく小説。
過去から現在に至るまでの韓国社会における女性差別の実態を告発するかのような内容で、フェミニズム本のような読み味だった。
出生、進学、就職、所得、結婚、育児
様々な点においての男女格差を極めて普遍的に描いており、その普遍さが薄い膜のように作品を纏い、とても不気味で恐ろしいものに感じた。
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「でもさ、ジヨン、失うもののことばかり考えないで、得るものについて考えてごらんよ。親になる事がどんなに意味のある、感動的なことかをさ。それ -
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斎藤真理子さん曰く「編集は世界を作ること、翻訳は世界を歩くこと」。他人の世界を丁寧に歩いてこられたお二人だからこそ、言葉の扱い方/拾い上げ方、お互いの書簡の読み取り方が、とんでもなく細やかで心地よい。
「塩食いの会」「ヴィーヴァ!藤本和子ルネサンス、ヴィーヴァ!」などのパワーワードが頻出する、藤本和子とリチャード・ブローティガン(わたしは文字のタトゥーを入れるとしたら、『アメリカの鱒釣り』の一節にしようと思っているので)の話を筆頭に、各々が担当された作家やお二人の育児話など、読み応えがありすぎる。
あと、わかってはいたけれど、読みたくなる本の話題がドカドカ出てきて、リストがパンクしそう。 -
Posted by ブクログ
海外文学、翻訳作品に縁遠く、シドニィ・シェルダンの超訳ものまで遡らないと読んだ記憶がないです。
翻訳作品は日本語が硬く感じてしまいリズムで読めないので苦手意識があります。
ところが、この作品はその日本語の硬さが登場人物の孤独を際立ててとても冷たく感じマッチしているように感じました。
最後二人の体温を感じる場面へのグラデーションの美しさと速度に映画を観ているような気持ちになりました。
韓国ドラマはたまに観ますが文学は初めて触れたかもしれません。
なんと美しい文章なんでしょう。
少し難解なところもありますが「これぞ文学」という作品のひとつかもしれません。
海外文学といえば欧米が舞台の作品を多く目に -
Posted by ブクログ
多少の難解さがあり、通読する根性が必要かもしれないが、文章の綺麗さ、表現の美しさで読み通せた。
訳者さんが後書きで述べられている通り、複雑な構造(哲学や他の文学作品の知識があるほうが理解が深まる)を持ってはいるけれど、すべて理解できなくとも楽しむことはできる。
個人的には、今まで出会ったことのない新たな文学作品に出会えてよかったな、と思うし、また著者の別の作品にも触れてみたいと思う。
ただひとつ希望を付け加えるとしたら、原書の著者後書きも引用ではなく、丸ごと訳して欲しかったな…と残念な気持ちが残る。著者がどういう気持ちで記したのかを知りたかったな…。