斎藤真理子のレビュー一覧
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「お姉ちゃんの長女病」が心に残った。
全編を通して出てくる家族という呪いに力尽き果てた姉が印象的だった。
姉にはどうしても大好きな家族が必要だったけど、必死に守ってきたその家族は姉のことを搾取することしか考えていなかった。
本当に誰も正しく愛する術を学ばなかったし、持たなかったんだなと思う。
著者の素直な言葉から、これまでつけられた無数の傷から回復しようともがく思いがよく伝わってきた。愛すべき友人たちがどんどん失われていく箇所も壮絶だった。
著者の人生に穏やかな日が1日でも多く訪れてくれることを願ってしまうような、祈ってしまうような本だった。 -
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著者の言葉遣いが好きです。
たとえば、マル(言葉)について。
p11 「マル」。この朝鮮語の音は日本語にはない。だから、くり返して発音するだけで、口の中にちがう風が吹いてくる。
昔から、この言葉を第二言語として学ぶ人は、口の中に起きる風に誘われて、気がついたらどこかちがう場所に立っていることが多かったのじゃないかと思う。
『目の眩んだ者たちの国家』を編纂したツン芸評論家のシン・ヒョンチョルは、あとがきにこんなことを書いている。
私たちが本を読む理由のうちの一つは、私たちが知らないことがあるということを知るためである。人が経験できる事件は限られているので、実際に感じられる感情も限られている。 -
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ビリヤードみたいだった。
ある人がある人にぶつかって、その人が今度は別のあるにぶつかって、の繰り返し。人がある場所にいるのは、別の誰かにぶつかったからで、それはまた別のある人が、、、と考えると、今自分は膨大な人と人がぶつかり合った軌跡の延長線上にいるのだ、と壮大な気持ちになった。
赤の他人の51人は本人たちも知らないところで互いに影響を及ぼしあっている。他人だけど他人じゃない、誰も気づいていないし見えないけれどそこには確かに連帯があるのだと思った。
ということは、見知らぬ誰がが困っていたとして、それは周り回って自分に繋がるかもしれない、と思った。「個人の問題は社会の問題」というフレーズを思い -
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詩の素晴らしさに出逢わせてもらい星5。
この本を通して教えてもらったこと。↓
詩においては“美しい”とは、そのものの(あるものや事柄)について良さを表さない。台無しにする言葉でもある。
“美しい”と言う一言はかけがえのなさを表せる。唯一無二のそのものの様子やあらゆるどんな比喩を失うほどの完璧さを表すのだけれど。それ故にディテールや本来持つ個性を表現しないが故に大切な物を同時に失わせてる。
そこにこの言葉の素晴らしさと残酷さと完璧さが表現できる。とても深い想いを巡らせられている言葉だと感じました。
光に彩色色彩が。その様な表現の様。
ですが、私は“美しい”を知っています。
とても大切な -
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ネタバレハングルの文字を手がかりに韓国の歴史を説明している。イテウォンの事故についてはほんの僅かしか言及していないが、セウォル号の座礁事故では船長も船員も非正規雇用者であることは日本では報道されていない。また訓民正音については日本の井上角五郎の新聞でハングルを広めた役割は書かれていないものの、ハングルが使われるまでの中国語を使う役人の説明は詳しい。(従軍)慰安婦や朝鮮戦争での米軍相手の慰安婦やベトナムでのタイガー部隊やライダイハンは意図的に避けられている。また、日韓併合前の奴隷制度について書かれていないのは文学としての記録がないためであったのかもしれない。韓国における詩の重要性を認識することができるで
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苦しい。けれど傷を見せてくれるように紡がれる言葉から目が離せない。私は幸運なことにとても死と暴力から遠い人生を今のところ歩んでいる。本当に大切な人を失ったことがまだなく、自分自身も一度も死にたいと思ったことがない。だからこそ、こうして身近な死をたくさん経験して、失いながらも生きる言葉にしてくれていることが本当にありがたい。
何より、「カッコの多い手紙」を読んで以降、ずっと猫のジュンイチのことが気がかりだった。
この本の目次を開いて、ジュンイチが先に眠ってしまったことを察して、まだ本文を一文字も読んでいないのに泣いた。最後の方の、恐らくジュンイチとの別れについて書かれているであろう箇所を読む -
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今まであまりにも韓国の本を読んでこなかったので、この国の文学の歴史はどのようなものなのかを知りたくて手に取った。
第1章で、読んだことのある本「82年生まれキム・ジヨン」について書かれていたが、まずその本の解釈が私はあまりにも浅かったのだということに気づかされた。
この本は2016年に韓国で出版されているが、第2章以降、歴史をさかのぼって韓国文学が紹介されている。
文学はそれが書かれた時代の影響を受けるものなので、韓国の歴史がかなり深く説明されている。
例えば第2章では、2014年に起きたセウォル号沈没事故の詳細が書かれており、この事故が韓国人に与えた影響の深さがよく分かった。
当時のことは覚