斎藤真理子のレビュー一覧

  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    「お姉ちゃんの長女病」が心に残った。
    全編を通して出てくる家族という呪いに力尽き果てた姉が印象的だった。
    姉にはどうしても大好きな家族が必要だったけど、必死に守ってきたその家族は姉のことを搾取することしか考えていなかった。
    本当に誰も正しく愛する術を学ばなかったし、持たなかったんだなと思う。

    著者の素直な言葉から、これまでつけられた無数の傷から回復しようともがく思いがよく伝わってきた。愛すべき友人たちがどんどん失われていく箇所も壮絶だった。
    著者の人生に穏やかな日が1日でも多く訪れてくれることを願ってしまうような、祈ってしまうような本だった。

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    2025年12月15日
  • 別れを告げない

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    1948年済州島の4・3事件をモチーフに、作家と事件のサバイバーの娘との友情を超えた愛の物語

    歴史を乗り越えて今、を生きる2人の結びつきに感嘆してしまいました…

    そして事件の哀悼を終わらせないメッセージをじっくりと受け止めました

    主人公キョンハの片頭痛の発作の痛みと娘インソンの切断された指の医療措置に呼応する、不思議なあらすじの枠組みも印象的でしたし、

    雪の描写が択一で、あくまで静かなのに、哀悼がしんしんと迫るような感じがやはり素晴らしかったです

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    2025年12月05日
  • ギリシャ語の時間

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    哲学の先生の推薦があって読んだ。一度目に読んだ時には今ひとつ主題がつかみきれなかったが、それでも、中動態という今は失われた文法様式を持つ古典ギリシャ語が読解の鍵なのかな、と思った。それで、國分功一郎氏の『中動態の世界』を読んで、再度、読んだ。今度は、ストーリーが自分の中で、クッキリと浮き上がってくるようにわかった。

    言葉=聴覚、映像=視覚によるコミニケーション、それぞれに、意思疎通の限界を越えて、いかにして互いに理解しあって行くか、そんなことが小説のテーマとしてあるのかな、と感じた。

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    2025年11月27日
  • 別れを告げない

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    「少年が来る」がどうしても読み進められなくて、迷ったけど、帯の文章の描写をじっくりと読みたくなって購入。幻影?のような内容の文章は苦手だけど、差し出されている事実の重さを読み続けていると美しい描写で救われていく。だから最後まで読めた。愛と痛みと忘れないことの話だと思った。解説までが一冊の本だと感じた。

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    2025年11月24日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    著者の言葉遣いが好きです。
    たとえば、マル(言葉)について。
    p11 「マル」。この朝鮮語の音は日本語にはない。だから、くり返して発音するだけで、口の中にちがう風が吹いてくる。
    昔から、この言葉を第二言語として学ぶ人は、口の中に起きる風に誘われて、気がついたらどこかちがう場所に立っていることが多かったのじゃないかと思う。

    『目の眩んだ者たちの国家』を編纂したツン芸評論家のシン・ヒョンチョルは、あとがきにこんなことを書いている。

    私たちが本を読む理由のうちの一つは、私たちが知らないことがあるということを知るためである。人が経験できる事件は限られているので、実際に感じられる感情も限られている。

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    2025年11月21日
  • 別れを告げない

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    読んでよかった。

    ごく個人的な感想。
    こんなにも柔らかく感覚に染み渡るように「虐殺」のことを書けるのかと、「少年が来る」以上に鋭利で鮮烈で仔細にわたった描写に感嘆してしまう。歴史のことを書いていながら物語であることを諦めていず、出来事ではなく人を描くことに終始する姿勢には尊敬しかない。こんなふうに書けるんだと。そしてこの感覚的な作家が決して内省的な物語としてではなく現代社会と地続きの、今もなお人類というものが抱える悪魔的な部分として描き続けていることに、そしてそういう作家が評価されているということに、ほんの少しの光を見た思いだった。

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    2025年11月20日
  • すべての、白いものたちの

    匿名

    購入済み

    美しい世界

    白をテーマにして次々に繰り出される白い世界。
    失ったものを抱えながら白い世界に吸い込まれていくような感覚。
    何よりもこれが翻訳された作品とはまったく感じずに本の世界に入り込むことができました。

    #エモい #切ない

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    2025年11月12日
  • 曇る眼鏡を拭きながら

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    くぼたのぞみと斎藤真理子の雑誌でのやりとりを書籍にしたものであるからとても読みやすい。雑誌「すばる」は大学生はほとんど読まない雑誌であるので、こうした書籍が出ることえ、韓国文化について触れている内容を読むことには意義があると思われる。

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    2025年11月08日
  • 別れを告げない

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    主軸になってる済州島3.4事件をよく知らないので、読みながら調べたら、書かれていることの重みが増した。
    太平洋戦争の後に朝鮮戦争が起こったことは知っていたけど、朝鮮半島が今のように落ち着く(?)までにはかなり長い時間がかかったということが分かった。
    最後はきれいな形で終わるけど、読後感はなにやら引きずります

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    2025年11月07日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    大きな棘がグサグサと心臓に刺さるような作品でした。
    対岸の火事では全くなく、解説に書かれているようにまさに日本で起こっていることそのものです。

    第三者視点でキムジヨンをドライに描くことは
    女性を取り巻く環境がいかに歪なものかを客観的に示し、
    歪さに引っかかりを覚えた自分自身がその歪さに加担したことはなかったのかと自問する効果があると思いました。

    そしてあのラスト……。
    あのラストはまさに韓国や日本を取り巻く無関心そのものかと思います。

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    2025年11月05日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    感情や体の感覚まで手放して、生きなければならなかった__家族という地獄の中を。
    彼女が強く欲した"愛"と"死"が切実に鋭利な言葉で綴られていた。このヒリヒリとした感覚は自分の痛みに繋がったからなのか。無数の傷を抱え私たちは生きていく、死に向き合うことは生に向き合うことと等しい。

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    2025年10月26日
  • フィフティ・ピープル[新版]

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    ビリヤードみたいだった。
    ある人がある人にぶつかって、その人が今度は別のあるにぶつかって、の繰り返し。人がある場所にいるのは、別の誰かにぶつかったからで、それはまた別のある人が、、、と考えると、今自分は膨大な人と人がぶつかり合った軌跡の延長線上にいるのだ、と壮大な気持ちになった。
    赤の他人の51人は本人たちも知らないところで互いに影響を及ぼしあっている。他人だけど他人じゃない、誰も気づいていないし見えないけれどそこには確かに連帯があるのだと思った。

    ということは、見知らぬ誰がが困っていたとして、それは周り回って自分に繋がるかもしれない、と思った。「個人の問題は社会の問題」というフレーズを思い

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    2025年10月25日
  • 翼~李箱作品集~

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    ネタバレ

    戦前ないし戦争中に日本で学び日本で逮捕されて獄中で死亡した詩人である。それほど学生が読んでいるとは思えないし、教科書に訳詩が掲載されたこともないであろう。
     韓国もこの詩人は日本に宣伝していないのかもしれない。

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    2025年10月23日
  • ギリシャ語の時間

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    詩の素晴らしさに出逢わせてもらい星5。
    この本を通して教えてもらったこと。↓


    詩においては“美しい”とは、そのものの(あるものや事柄)について良さを表さない。台無しにする言葉でもある。
    “美しい”と言う一言はかけがえのなさを表せる。唯一無二のそのものの様子やあらゆるどんな比喩を失うほどの完璧さを表すのだけれど。それ故にディテールや本来持つ個性を表現しないが故に大切な物を同時に失わせてる。

    そこにこの言葉の素晴らしさと残酷さと完璧さが表現できる。とても深い想いを巡らせられている言葉だと感じました。

    光に彩色色彩が。その様な表現の様。
    ですが、私は“美しい”を知っています。

    とても大切な

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    2025年10月09日
  • シリーズ「あいだで考える」 隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ

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    ネタバレ

    ハングルの文字を手がかりに韓国の歴史を説明している。イテウォンの事故についてはほんの僅かしか言及していないが、セウォル号の座礁事故では船長も船員も非正規雇用者であることは日本では報道されていない。また訓民正音については日本の井上角五郎の新聞でハングルを広めた役割は書かれていないものの、ハングルが使われるまでの中国語を使う役人の説明は詳しい。(従軍)慰安婦や朝鮮戦争での米軍相手の慰安婦やベトナムでのタイガー部隊やライダイハンは意図的に避けられている。また、日韓併合前の奴隷制度について書かれていないのは文学としての記録がないためであったのかもしれない。韓国における詩の重要性を認識することができるで

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    2025年10月08日
  • 年年歳歳

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    家族それぞれの話だが、家族がテーマではない。韓国の歴史の中で生きた「無名の人たち」の深い有りようを詩的に綴られ、その詩的さ故にシンプルで美しいのに哀しみが重く伝わり…忘れられそうに無い。訳者の後述の解説にも糸口を教えてもらった。
    スンイルの人生は大きな時の山を飲み込み続けて来たのだろう。
    私もあなたも皆、人生にゴールなどなくそれぞれの時を飲み込んでいるのだと感じた。

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    2025年10月06日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    苦しい。けれど傷を見せてくれるように紡がれる言葉から目が離せない。私は幸運なことにとても死と暴力から遠い人生を今のところ歩んでいる。本当に大切な人を失ったことがまだなく、自分自身も一度も死にたいと思ったことがない。だからこそ、こうして身近な死をたくさん経験して、失いながらも生きる言葉にしてくれていることが本当にありがたい。


    何より、「カッコの多い手紙」を読んで以降、ずっと猫のジュンイチのことが気がかりだった。
    この本の目次を開いて、ジュンイチが先に眠ってしまったことを察して、まだ本文を一文字も読んでいないのに泣いた。最後の方の、恐らくジュンイチとの別れについて書かれているであろう箇所を読む

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    2025年10月05日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    今まであまりにも韓国の本を読んでこなかったので、この国の文学の歴史はどのようなものなのかを知りたくて手に取った。
    第1章で、読んだことのある本「82年生まれキム・ジヨン」について書かれていたが、まずその本の解釈が私はあまりにも浅かったのだということに気づかされた。
    この本は2016年に韓国で出版されているが、第2章以降、歴史をさかのぼって韓国文学が紹介されている。
    文学はそれが書かれた時代の影響を受けるものなので、韓国の歴史がかなり深く説明されている。
    例えば第2章では、2014年に起きたセウォル号沈没事故の詳細が書かれており、この事故が韓国人に与えた影響の深さがよく分かった。
    当時のことは覚

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    2025年10月03日
  • 別れを告げない

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    ネタバレ

    背中がゾゾゾとなるほどの、すごい読書体験だった。

    雪国出身なのと、著者の描写の巧みさで、雪景色が手に取るように想像できた。

    思いが強ければ、同時に遠くにも存在できる……認知できていないだけで、確かにそうなのかもしれない。

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    2025年09月30日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    一冊に詰められたメッセージと情報量が多すぎて一回じゃ受け取りきれない。
    今置かれている環境が過去の女性たちが闘い続けてくれた結果だということが身につまされた。
    私も次の世代がより生きやすくなるように何か残せたらいいな。

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    2025年09月27日