呉下の阿蒙の故事も絡めてあったんだなと、思いながらも「男子3日あわざれば刮目して見るべし」が、阿Qが成長するのではなく、阿Qの立場や財産で世間の阿Qを見る目がどんどん変わっていく所に人間の恐ろしさと、自分への戒めも感じた。自分も阿Qになるかもしれないし、阿Qを見る周りの人になるかもしれない。昔はワイ
...続きを読むドショーや写真週刊誌。今はSNSなどで、面白半分に人をつるし上げる。自分だって金持ちや偉い人を見れば、それだけでその人を判断してしまうし、阿Qのように、自分の才能に似つかわしくない金や名誉を求めてしまう。今風に言うと承認欲求だが、しかし結局誰も他人には興味はなく、他人の動向は単なる暇つぶしでしかない。刑場にひかれていく阿Qを見る群衆の目。同じように恐ろしい目で、宮迫やベッキーらを見ている自分たち。身近でも知り合いで出世した人がいたら、何か自分にも利益を得ようとしてしまう自分たち。人間の本能と言ってしまえばそれまでだが、多分知的障害である阿Qから見た私達は、狼よりも、もっと恐ろしい目をしている。充分戒めねば。と思った作品だった。