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Posted by ブクログ
これは大人が読む本だと今さら気づいた。子供の頃読んだ気がするがたぶん子供向け版だったと思う。赤裸々な自伝である。子供時代の思い出は無邪気なだけではないはずである。両親のいやな面を見たり、残酷なことを楽しんだり(動物だけでなく人に対しても)、異性に性的な感情を抱いたり。みんなが平気で忘れて向き合わない恥ずかしい子供時代。これこそがこの作品の素晴らしさだ。読んだきっかけは大竹しのぶのミュージカル「にんじん」を見たからだが、原作には悪役の母親も正義の味方の女中も純粋な主人公も出てこない。とても人間らしく、時に懐かしく時に失望させられるそんな家族、仲間、知り合いたち、にんじん本人だ。
Posted by ブクログ
いじめられっ子の立場において
家庭内に居場所を見いだしている男の子がいる
彼は本当の名前を剥奪され
「にんじん」というあだ名でしか呼んでもらえない
家庭内にある歪みの中心に「にんじん」は立っていて
そこに決定的な亀裂が入らないよう押さえている
そんな「にんじん」を家族たちはむしろ
愚図で意気地なしのどうしようもない奴だと考えている
…そういう形で家族たちは「にんじん」を愛しており
また「にんじん」も家族を愛してはいるのだが
ときどきいたたまれなくなる彼は
自分より弱い誰かを見つけてきて
自分がされる以上の残酷な目にあわせたりもする
さて、この家族たち…直接「にんじん」をいじめるのは主に母親だが…
彼らの家庭生活における幸せはどこにあるのだろう?
あまり世間体を気にしている風でもないのだけど
Posted by ブクログ
なんともつかみ所のないと言うか、複雑な話だった。荒唐無稽であるようにも思う。
表向きな物語としては、その風貌から母親から疎まれ、イジメのような仕打ちをうけながらも賢明に生きる少年の物語となるのだろうか。
しかし、これはそうそう簡単な物語ではない。
ストーリーから考える少年像としては、素直で純粋だが、心の強い男の子というイメージがわくのではないだろうか。しかし、この物語の主人公、通称にんじんは、けして、誰もが愛する事の出来るような少年ではない。暴力的で、陰湿ですらあり、ハッキリ言って嫌な子供なのである。少年犯を犯す現代っ子の様な心理の持ち主なのだ。母親にしろ、ただ意地悪な母親ならば分かりやすいのだが、一言でそうと言える人物ではない。にんじんに対する言動の中に時に愛情をひしひしと示したりする。
詳しくは知らないが、この物語は作者の自叙伝的な部分があるのではないだろうか。実際の子供、実際の親子関係と言う物は、けして明く、純粋な物だけではない。父や、他の兄弟なども含めて、複雑怪奇であり、こうすればいい、こうすれば上手くいくなどという答えはない。
この物語は一見、荒唐無稽。だからこそリアリティがあるように感じた。
Posted by ブクログ
当時の両親、兄姉にしては心優しい家族。それよりにんじんの問題行動の多さ。モグラや猫への残虐行為の末、殺害。老婆の召使が嫌いで計略し解雇させる等。記憶力が良く暗唱はできるが応用が効かないので臨機応変に対応できない。
また妄想癖か虚言癖なのか、狩りでは父に「お前は本気でしゃべっているのか?」と説教される始末。主人公は発達障害?愛着障害?パーソナリティ障害?
にんじんは「父を愛しているのは僕の友人としてであって。父親としての資格は何一つもない」と父親に説く。にんじんの不可解な発言や行動に父親は感情的にならず、「しっかり考えて発言しろ」と人間らしさをにんじんに教える。
母親に関しては感情的な性格が合わないだけに見えた。
Posted by ブクログ
雰囲気的に、ほのぼのとしたものを期待して手に取ったこの本。
予想は見事に裏切られ、なんとも形容し難い、複雑…というか、あまり快い気分にはなれない本だった。
平易な言葉で書かれていながら、理解しがたい、という複雑。
何が理解し難いかって、その主人公の少年「にんじん」だ。
平気で動物を惨殺したり、嘘をついたり。
母親からは兄弟に比べても可愛がられない「にんじん」
同情したくなるが、なんとなく出来なかった。
それは、「にんじん」がただかわいそうな少年として描かれていないからかもしれない。
でも、父親との抱擁をもとめる話や、可愛がってくれる名付け親のおじいさんとの
話などは、素直な「にんじん」が描かれていて心地よい。
この日常を切り取ったような短編のエピソードが並ぶ小説が、一見一般的で理解しやすいように見えて、実はかなり複雑、何を伝えたいのかわからない、といった印象を与えるのは、もしかして正当なことなのかもしれないと思った。
それは、少年時代そのままの印象だ。
不安、期待、怒り、悲しみ、複雑な感情が入り混じって、今なんかよりよっぽど
心がいろんなことに敏感に反応してたな、なんて思い出した。
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