ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
にんじん――。髪の毛が赤くてそばかすだらけのルピック家の三番目の男の子はみんなからそう呼ばれている。あだなをつけたのはお母さんだ。お母さんは、にんじんに夜の暗闇のなかをにわとり小屋の扉を閉めに行かせたり、おもらししたおしっこを朝食のスープに混ぜて飲ませたりする……。だが、にんじんは母親のいじわるにも負けずに成長してゆく。生命力あふれる自伝的小説の傑作。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
以下、中学2年生の時に書いた読書感想文をそのまま掲載: 「あなたの分のメロンはないわ。だって、あなたは私と同じでメロンが嫌いだから…ええ、まちがいないわ」 「そうか、ぼくはメロンが嫌いだったんだ。ママが間違いないと言うなら、間違いない。」 ジュール・ルナール作の「にんじん」。この本は、あらゆる面で私...続きを読むに大きな衝撃を与えたし、私なりの大きな褒め言葉としてあえてこう言いたい。「出来ることならもう二度と読みたくない」。それほどに悲しくて、痛い。 まず、この話の主人公の本当の名前は最後まで分からない。なぜかといえば、この主人公は終始周りから「にんじん」と呼ばれ続けるからである。にんじんは髪色が由来のあだ名だが、友達はもちろん家族からも文中で1度も名前で呼ばれない。そんなにんじんは、なんとも不器用な子供で、優秀な兄や姉と比べられながら精神的ないじめを母親から受け続ける。そんな母の酷い仕打ちや、にんじんの愛に飢える様子などが連作短編のかたちで描かれている。 にんじんの受けた仕打ちの中で、特に私の心を強く揺さぶったものをいくつか紹介しよう。 にんじんは大きくなってもおもらしが治らなかった。だから、ベッドの下にはいつもいわゆるおまるが置いてあったのだが、ある日の夜、母はわざとおまるを隠した。母の思惑通りににんじんがおもらしをすると「なんて臭いなの」「この年になって」「動物以下よ」と騒ぎ立てて兄と姉の前で中傷をくり返した。そして、にんじんのシーツに溜まっていたおしっこをとっておいて、スープに入れてにんじんに食べさせたあと、「自分のしたものをあなたは口に入れたのよ」と罵倒するのだ。それに対する「うん、たぶん、そうじゃないかなって思ったよ」という、とてもおもらしをする年の子供とは思えない大人びたにんじんの返事がすべてを物語っているように思えた。 こんなシーンもある。にんじんは兄と姉と一緒に寮に住んでいて、たまの休暇に帰省することになっていた。久々の両親との再会に心踊らせていたが、母と父どちらに先にキスをしたらいいだろうかと考えているうちに兄と姉はキスをもらい、その時にはにんじん分のキスは残っていなかった。にんじんは泣きたい気分になりながらこう言った。「きっと嬉しくて泣けちゃうんだ。だって、ぼくは思っていることが反対の形で表れてしまうことがよくあるから…」 さて、ここまで話して、にんじんが置かれた環境がどれほど不遇だったかはある程度わかってもらえたと思う。愛を十分に注がれないまま育ったにんじんは、さらに不器用で目立ちたがり屋になっていく。ある先生に特段気に入られている生徒に嫉妬をし、2人が特別な関係にあると校長先生に言いつけ、その先生を辞めさせたり、友達に「甘えるってどういうこと?」と尋ねて、もし甘えられるなら…と想像したりした。愛に飢え空回りしているにんじんの不器用さが、物語の節々から現れている。 そんな中、にんじんが初めて母に反抗した場面がある。理由もなく、バターを買ってきて欲しいという母のお願いを断ったのだ。にんじんは、パパのお願いというなら買ってきてもいいが、ママのお願いは聞かないと言った。そして父とふたりきりで今まで母に受けた仕打ちを余すことなく話し、自分が母親を嫌っていること、母と離れて暮らしたいことを初めて打ち明けた。母への嫌悪を認めることを長い間ためらっていたにんじんは、必死に母の機嫌をとって自分は母に愛されていると言い聞かせてきた。しかし、父との会話の中でいままでママだった人が母親になり、あの女になった。母のネグレクトを受け入れ、淡々と生活をしてきたにんじんが、嫌だという感情を表に出せるようになったのは大きな違いだと思う。しかし勇気を出したにんじんを最後まで肯定しなかった父は、あれでもお前の母さんなのだからとなだめる。 それに対してのにんじんの「別にママのことを言ったんじゃないよ」の一言から、「あの女」が急に「ママ」という建前の存在に戻り、にんじんの心の叫びはここで閉ざされたように思えた。この話に「最後の言葉」というタイトルが付けられていることからも、これが父への最後のSOSだったのではないかと思わせる。 この物語は、姉の結婚が決まった時に、「もう誰も僕を愛してくれない」と嘆いたにんじんの前に母親が現れて、慌てて「…ママ以外からはね!」と付け加えて幕を閉じる。変わりかけたにんじんは、また母親の影に怯えつづけるのだろうか、とすっきりしないままだ。 正直言って、この話は私の置かれている環境とはあまりに違いすぎて、感情移入はもってのほか、「かわいそう」と思うことしか出来ない。ただ、この本が「理解できない」こと、それがこんなにも幸せに感じるのである。
激甘の父親の本を読んだ後は、激辛の母親… 読むの辛かった…けど、にんじんが本当に健気で冷静で思慮深くて。今すぐ助け出しに行きたくなるけど、ちょくちょくと入る隠喩やにんじん自体の考え方が素敵すぎて。 そして一編あたりが短いのも助かる…見てられないよ。 じわじわと自立、成長する人参のほんの一部分を垣間見...続きを読むれました
すばらしかった。名作と評判だったので読んでみました。 最初あまりに主人公が家族にいじめられるので、 知的障害があるのかとか、ものすごい人格に問題があるとか理由があるのかとおもったら、何もない。 兄や姉、たまに父親とは一対一だと普通に接しているし、愛情を感じる。 主人公に悲しさを感じた時、時々現れる残...続きを読む忍性に裏切られたような気持ちにもなる。 そして、最後の反抗、そして父の告白。 少年の葛藤と自立がそこにあって、頭を殴られたような衝撃を受ける。
1894年の作品。自伝小説。母親によるDVからサヴァイヴしていく話‥‥想像していたより切なくて深かった。
にんじんって大人が考えてることがわかってしまう非常に切れ者な少年であると思う。先回りして色々なことをするから。でも、そんな風に行動するのも家での扱いのせいで自然と身についた自分を防御する方法なのかなって思うとすごく胸が痛い。ひねくれ者の少年だけど、誰よりも愛に飢えている感じがあってそこがまたいじらし...続きを読むくて…。でも淡々と進んでいくストーリーを読んでいても彼決して家族(特にお母さん)に負けていないと思う。
にんじんへの、母親からの精神的虐待はすごい。 ときどき優しさをみせる辺りがいやらしい。 にんじんは、といえば子供らしくズルをしたり、嘘をついたりしながらも、強く逞しく日々を過ごしている。 その成長する姿に痛ましさと、愛おしさを同時に感じる。短編集のようでありながら、巧みな構成に沿って描かれているとこ...続きを読むろも面白い。
レジリエンス。 母親から精神的虐待を受けている少年(にんじん)の話。反旗を翻す後半の内容は読み応えがある。終始可愛そうだなぁ…としか思えなかったが、ちょっとだけ希望を感じた。 本の表紙とは裏腹に胸糞作品。 訳者のあとがきで頭が整理できた。
ジュール・ルナール『にんじん』新潮文庫 はじめの方は、読み進めれば進めるほどに憤りや嫌悪感、不快感が募るばかりだった。 一言で片付けるなら、かわいそうなにんじん。 しかし、話が進むにつれて、段々とお母さんの方がかわいそうに思えてくる。 なぜなら、お母さんは誰にも好かれていないからだ。 一方...続きを読むのにんじんは、母親からの精神的虐待はあるものの、彼を想う人は周りにいく人もいる様子だ。 特に、名付け親のおじさんは、この話のなかで唯一と言っていいほどにまともで暖かい人物である。 ルナールの自伝的小説である本書の大きなメッセージの一つであり、ルナール自身が最も求めた言葉が、次に述べる名付け親のおじさんのセリフのように感じる。 「わしには子供がおらんが、自分の子供が猿だとしたら、猿のケツでも舐めるがね。」
初めてのフランス文学。 原宿ブックカフェで紹介されて気になってた。内容がまあ凄まじい。そして本の中にも挿絵があって可愛い! 赤毛のにんじんが母親に虐待されるんだけど、重苦しくなくユーモラスな話。可哀想って思うけど笑える変な感じ。 文化の違いで理解し難いとこもあるけど、テンポ良くて読みやすかったで...続きを読むす。
「人には言えないこと」の話。 一度、慣れてしまったら、世の中にはひどいと感じなければいけないことなんか、ひとつもないのだ。 慣れって怖ろしい。 今度は原文で読みたい。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
にんじん
新刊情報をお知らせします。
ジュール・ルナール
高野優
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
あなたを想う花 上
エッセイマンガ 高野優の育児ハピネス百科
エッセイマンガ 高野優の子育て番長
エッセイマンガ 高野優の空飛ぶベビーカー
怪盗紳士 アルセーヌ・ルパン
怪盗紳士 アルセーヌ・ルパン 奇岩城
黄色い部屋の秘密〔新訳版〕
作者のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲にんじん ページトップヘ