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世の趨勢につれ、亡霊のように消えては現れるヒトラー・ブーム。この無気味な現象は、いったい何を意味し、何を志向しているのか。その謎を解く鍵を秘めた本書、『わが闘争』。それは、独裁者ヒトラーの出現を許した混迷の政治風土と酷似する現代において、予想外の意味をもってわれわれに迫ってくる。ヒトラーが本書で語るその恐るべき政治哲学、魔術に近い巧妙な政治技術は、現代政治の虚構を見抜く有力な手掛かりとして、今なお多くの示唆を放っている。戦争体験のない世代が増えている現代において、若者はもちろんのこと、全国民にとって、批判的必読の書といえよう。ヒトラーが、世界制覇の戦略と思想とを自ら語った、世界史上稀有の政治的遺書を電子書籍で。
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Posted by ブクログ
まず、アドルフ・ヒトラーの生涯について。
1889年にオーストリア北西部に生まれ、青年期に画家を目指してウィーンに移住するが挫折し、この頃に反ユダヤ的・民族主義的思想を強める。第一次世界大戦ではドイツ軍に志願し従軍。敗戦後、ミュンヘンで政治活動を開始し、1920年にドイツ労働者党(後のナチ党)に参加、1921年に党首となる。1923年のミュンヘン一揆で逮捕され、獄中で『わが闘争』を執筆。その後、経済危機を背景に支持を拡大し、1933年に首相に就任、翌年「総統」として独裁体制を確立し、再軍備と侵略政策を推進。1939年ポーランド侵攻で第二次世界大戦を開始し、初期に西ヨーロッパの大半を制圧したが、対ソ連戦でモスクワ侵攻に失敗して戦争は長期化。1943年スターリングラードで決定的敗北を喫し、1944年ノルマンディー上陸を許し、戦局悪化の末、1945年ベルリンの総統官邸地下壕で自殺した。
本書は、上記の通り、ヒトラーがランツベルク要塞拘置所に収容されていた間に、後にヒトラーの片腕となったルドルフ・ヘスらを相手に口述したものである。
私は(穏健)リベラルの政治信条で、外交安保的には国際協調主義のスタンスだが、歴史を知ること、殊に、現在我々が住む世界に間違いなく大きな影響を与えたヒトラーの思想(例えば、ヒトラーがいなければ、イスラエルという国はおそらくできていなかった)を知ることは大切だと思い、今般本書を手に取り、一通りページを繰ってみた。
全体は、上巻の「Ⅰ民族主義的世界観」と下巻の「Ⅱ国家社会主義運動」に分かれており、上巻では、自らの体験や思想形成の過程を辿りながら、民族概念、国家観、反ユダヤ主義、社会ダーウィニズム、指導者原理、プロパガンダ戦略などのナチズムの核心概念が網羅され、下巻では、その後の具体的な戦略・行動に繋がる、運動の組織論、宣伝戦略、権力獲得の方法論、議会制批判などが述べられている。
上巻のポイントは概ね以下である。(尚、ヒトラーが何を考えていたのかという視点なので、批判的解釈は加えていない)
◆人類の歴史は、創造し秩序を築く人種(民族)と、破壊し溶解させる人種(民族)の間の闘争である。文化を生み出し、国家を作り、技術と芸術を高める力は、優れた人種の血に宿るのであり、アーリア人種は最も優れた創造的人種である。国家の使命は人種の純粋性を守ることであり、国家とは単なる領土や制度ではなく、その使命を守る仕組みでなくてはならない。よって、政治制度や経済制度は目的ではなく、人種の保存のための手段に過ぎず、婚姻・教育・衛生・法・芸術学問は、いずれも人種の純粋性の維持に資するものでなくてはならない。
◆ユダヤ人は、金融・報道・文化・政治を支配して社会を腐敗させ、民族共同体を破壊する存在である。ユダヤ人は、普遍的価値や平等を掲げ、民族の結束を解体する力を持つ。国家の再生のためには、ユダヤ人の影響を排除することが不可欠。問題は個々人の善悪ではなく、民族の生存に有利か否かであり、この戦いはそれを守るための戦いである。
◆議会制民主主義は、無能な多数による支配である。政党間の妥協は国家の力を弱め、危機に対応することができない。国家には強力な指導者が必要であり、この指導者は民族の意志を体現し、迅速に決断できなくてはならない。国家の力は、統一された意志と行動の速さによって決まる。
◆大衆は複雑な理論よりも、単純で感情に訴える言葉に反応する。政治運動には宣伝が不可欠であり、敵と味方を明確にし、繰り返し強調することが重要である。プロパガンダは嘘ではなく、真実を大衆に理解させるための方法である。
(下巻のレビューに続く)
(2025年12月了)
Posted by ブクログ
昔、読んだ時はナンとなく難しい内容だと思い込んでいたんだけど。
最近、本棚にあった、この本を何気なく開いたら、とても分かりやすく、感情に響いてくる文章で、引きずり込まれるように夢中になって一気に読んだ。
ちょうど石原莞爾の『最終戦争論』や、片山ナントカ?の『未完のファシズム』を読み終えた直後であり、北一輝 の『日本改造法案大綱』を読んでる最中だったせいかもしれない。
または、リフレーションに関する本をいろいろ読んでる最中だったからかもしれない。
一言で言うなら、ヒトラーは天才だ。
どういう天才かと言えば、メディアと大衆を操る天才。
昔、電通から内定もらった先輩と飲んでたとき、彼が、電通に入社して富士山に登るまでに『聖書』と『我が闘争』を徹底的に読んでおけと先輩から薦められて今読んでる最中だ、と話していた。
『聖書』は世界一のベストセラーで、そこには、売れる要素やキャッチーなフレーズや、ようするに宣伝広告のエッセンスが詰まっている。
そして『我が闘争』には、いわゆる「B層」を操る魔術が詰まっている、ということだ。
ヒトラーに比べれば、安倍のショボい人気なんて、やっぱりボンボンにすぎない。
安倍ボンボンがやろうとしている日本国憲法の改悪案99条には
「緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる(後略)」
とある。
これは、ナチスの全権委任法と同じ。
全権委任法は全5条から成る。
前文:
国会(ライヒスターク)は以下の法律を議決し憲法変更的立法の必要の満たされたのを確認した後、第二院の同意を得てここにこれを公布す
①ドイツ国の法律は、憲法に規定されている手続き以外に、ドイツ政府によっても制定されうる。本条は、憲法85条第2項および第87条に対しても適用される。
②ドイツ政府によって制定された法律は、国会および第二院の制度そのものにかかわるものでない限り、憲法に違反することができる。ただし、大統領の権限はなんら変わることはない。
③ドイツ政府によって定められた法律は、首相によって作成され、官報を通じて公布される。特殊な規定がない限り、公布の翌日からその効力を有する。憲法68条から第77条は、政府によって制定された法律の適用を受けない。
④ドイツ国と外国との条約も、本法の有効期間においては、立法に関わる諸機関の合意を必要としない。政府はこうした条約の履行に必要な法律を発布する。
⑤本法は公布の日を以て発効する。本法は1937年4月1日と現政府が他の政府に交代した場合、いずれか早い方の日に失効する。
日本国憲法の改悪案99条も、ナチスの全権委任法も、非常事態に立法府が行政府に立法権を委譲する法律である。
しかし、安倍のようなバカボンボンには、ヒトラーがやったようなことは到底できないだろう。
途中で、お腹が痛くなって、投げ出すだろう。
ヒトラーは扇動の天才であり、広告の天才であり、彼の分析は恐るべき鋭さだ。彼はすばらしく明晰で、すぐれた戦略家で、行動力もあった。
ただ、ユダヤ人虐殺が、結果的に、彼を殺した。
大衆の間にくすぶる差別意識をうまく利用して扇動する手法をサル真似したのが、石原慎太郎とかいうサルなんだけど、あまりにサルすぎて話にならない。
慎太郎とかいうアホを見てると、ヒトラーが述べた通り、日本民族はサル真似しかできねえ低級な民族なんだと、つくづく悲しくなる。
Posted by ブクログ
要約すると
・ドイツ良い国
・ヒトラー行動的
・マルクス主義はクソ
・ヒトラー賢い
・ブルジョワはクソ
・ドイツ陸軍優秀な軍
・陸軍で一次大戦に参加したヒトラー偉い
・ドイツ帝国はクソ
・ユダヤ人は諸悪の根源
・アーリア人優秀
・民主主義はクソ
になる。
上記要約をさらにまとめると、
ターゲットの読者は次大戦で負けて貧困な生活送っているドイツ人をヨイショする。
会ったこともない不特定多数に特別感を与えるために「ドイツ人」の括りを利用する。
集めた人間に進む方向性を与えるために、既存の特権階級に矛先を向ける。
つまりどういうことかって言うと、大成してる宗教とやり方のアウトラインが全く同じ。
当時その辺の研究がされてたかどうかは知らないけど、されてないなら独自に考えだしたヒトラーは実際頭いいと思う。
ちなみにアーリア人優秀説のくだりは他と比べてガッカリするけど、当時の人がその内容でも納得するような話なのか、あるいはそもそもヒトラーが作家ではなく演説家である話なのかはわかりません。
Posted by ブクログ
ヒトラーの演説とナチスの宣伝方法は、大戦に敗北し政府の無能さを呪う大衆を惹き付けずにはいられなかったのだろう。
現代にヒトラーというカリスマが出てきてないだけ幸いだが、今の日本にそれを望む風潮は間違いなく存在する。
石原慎太郎氏や橋下徹氏は、彼らの欲求に応えていると言えるが、重要なのは、ポピュリズムに陥らずにどれだけ未来の日本の為になる政策を実行できるかであろう。
今、ネットには数え切れないほど人々を扇動するような文句が並び、少数者を排除するのを煽る風潮がある。
若者は特にナショナリズムに影響を受けやすいだけに、彼らが過激な行動に出ることを私は危惧している。
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