無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
世の趨勢につれ、亡霊のように消えては現れるヒトラー・ブーム。この無気味な現象は、いったい何を意味し、何を志向しているのか。その謎を解く鍵を秘めた本書、『わが闘争』。それは、独裁者ヒトラーの出現を許した混迷の政治風土と酷似する現代において、予想外の意味をもってわれわれに迫ってくる。ヒトラーが本書で語るその恐るべき政治哲学、魔術に近い巧妙な政治技術は、現代政治の虚構を見抜く有力な手掛かりとして、今なお多くの示唆を放っている。戦争体験のない世代が増えている現代において、若者はもちろんのこと、全国民にとって、批判的必読の書といえよう。ヒトラーが、世界制覇の戦略と思想とを自ら語った、世界史上稀有の政治的遺書を電子書籍で。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
(上巻のレビューから続く)
下巻のポイントは概ね以下である。(尚、ヒトラーが何を考えていたのかという視点なので、批判的解釈は加えていない)
◆ドイツ民族の未来は、人口増加・資源確保・農地拡張のための領土の拡大にかかっており、植民地政策ではなく、地続きのヨーロッパ大陸内部への進出が必要である。国境は固定的なものではなく、民族の力に応じて変化すべきものであり、国家は生存圏の拡張のために戦う義務がある。
◆平和主義は民族を弱体化させかねず、戦争は生存競争の自然な手段である。国家は常に軍備を増強し、国民に戦闘精神を植え付けるべき。戦争は恐れるものではなく、民族の力を証明し、未来を切り開くための手段である。
◆国際市場や輸入に依存する経済は危険であり、国家は自給自足を目指すべき。農業は重要であり、領土拡張によって食料と資源を確保する戦略が必要。経済活動は個人の利益ではなく、民族の生存のためにあるべきであり、国家はそのために計画的に産業を組織しなければならない。
◆ナチ党は国家の前衛であり、民族再生のために機能すべき。党は厳格な階層構造と規律を有して、忠誠心と能力により人材を選抜し、政権獲得後は、司法・教育・報道などを掌握し、党と国家を一体化させることで民族目的を実現する体制を築く。
◆ドイツ民族は世界秩序を再構築する使命を負い、アーリア人種の覇権を確立すべき。個人の幸福や自由は民族の存続に従属し、国家はそのために全ての力を集中すべき。歴史は力によって決定されるのであり、民族の強化と拡張が至上価値である。
ドイツ出身の著名なジャーナリストであるセバスチャン・ハフナー(1907~99年)は、著書『ヒトラーとは何か』の中で「今日の世界は、それが私たちに気に入ろうが入るまいが、ヒトラーがつくった世界である・・・かつて歴史上の人物で、さして長くない生涯のうちに、これほど根底から世界をひっくり返し、しかもその影響があとあとまで長く続いた人間が、ヒトラーをおいて他にいただろうか」と書いており、私は、それを意識して、二つの問いを立てて本書を読み進めた。
一つは、当時のドイツ人の中でヒトラーは特別だったのか、また、特別だったとすれば、何が特別だったのかである。この点については、第一次世界大戦後のドイツでは、敗戦、経済危機、ヴェルサイユ条約の屈辱から、国民の不満が極限に達し、また、反ユダヤ主義、民族主義、議会制への不信も広く存在しており、ヒトラーの思想は極端であったものの、当時のドイツ社会で完全に孤立したものではなかった。そうした中で、ヒトラーが特別だったのは、大衆心理を理解し、カリスマ性と卓越した演説力を持ち、政治戦術に長けていたという点なのである。
もう一つは、現代の国際情勢において、ヒトラーを他山の石とするなら、どういう視点を持つべきかであるが、こちらは枚挙にいとまがないであろう。単純なスローガンで人々を扇動し、(移民や反対政治勢力という)敵を設定して社会の分断を煽り、選挙や議会を軽視して民主主義制度を形骸化するアメリカ。議会制民主主義を否定して指導者に権力を集中し、民族主義に基づいて少数民族を弾圧する中国。国家主義のもと他国への侵攻を行うロシア。そして、反ユダヤ主義というタブーを逆手にとって、自ら民族主義・国家主義に基づきパレスチナを絶滅させんとするイスラエル。。。ヒトラーの思想・政治手法の全てではなくても、その一部または多くを実践する国は少なくない。
私は、「人間はもっと賢くなれる。もっと良い社会を作れる。」と考えるという意味で、理想主義者であり、「リベラル」である(但し、成長至上主義・科学万能主義は否定するし、「人間は過去に学ぶべき」という意味での「保守」には賛同する)。よって、仮に、今後ヒトラーのような素養を持った人間が現れても、「ヒトラーの悲劇」が再び起こることはないと信じているのだが、それは、民衆・社会が成熟し、そのリスクを見抜けることが前提なのだ。
究極の「他山の石」として、一度触れておいてもいい一冊かもしれない。
(2025年12月了)
Posted by ブクログ
どんな題目から出発しても、回答は一貫している。はっきり言ってここまで同じことを繰り返し繰り返し言われると、かえって頭に入らないような気がする。というよりか結論までの流れが頭の中に入ってるので、そこに行きつくまでの文章の印象が読めば読むほど薄くなっていくような感じ。ただ繰り返し言われたことは頭の中にはいる。ヒトラーはこの文書を演説化することで全ドイツを動かしたわけだから、ヒトラーの『一貫性』という才能は天才の領域と言っていいのだろう。
天才には2種類あると思う。驚くほど複雑な方と、驚くほど単純な方だ。ヒトラーは後者であり、後者の天才は現代においても絶大な支持を得やすい。ヒトラーは本書で「有能な政治家は有能な扇動者でもある」と語っている。さらに扇動の容量は「要点を絞って表現を変えながら繰り返し」言うことであり、大衆を扇動するためには単純さが必要であるようだ。実際政治家はシンプルに見られるものであるらしく(その論文はイグノーベル賞を受賞している)、だからこそより天才的な単純さが勝利し、人々の心を動かすのであろう。
『わが闘争』上下とも読んで、とにかく体力のいる本であり、国家政策を語るにしては内容はかなり抽象的ではあったものの、やはり当時のドイツの不満と理想(いまの日本に通じるものがかなりあると思う)をより正確につかみ取り表現した本であるのだと思う。つまりドイツ国民に共通する深層心理の何かを一気に引き上げたのである。同じドイツ国民であるユングの深層心理学を学べばこの点はもっと深く分析できるような気がしている。(手始めにマンガを読んだ。)
ナチ行動開始から90年近く経った今であるが、大衆心理はほとんど変わらないようだ。ヒトラーの大衆に関する分析はがかなり正確であったこともそこに証明される。ナチズムは死なない、というのが一番の感想である。
Posted by ブクログ
ナチスがどうして力を得たのか、それを知りたくて読み始めました。人間の弱った時に共通の敵を見つけ(悪いことはなんでもユダヤ人のせい)、選民意識(アーリア人種あげ)を持たせて自己を救うその理論がエグかった…。いろんな潜在的な差別や自尊心をくすぐっていくのがうまくて恐ろしい。
ヒトラー大衆を扇動する方法を知っており、その実行力があったと言う部分はやはり天才だったのかなと思います。
ただ、数々の虐待や戦争はヒトラー1人で成したものではなく、多くの人が賛同した故であることを刻んでおかねばなりません。ヒトラーは無から全てを作り出したのではなく、人々が潜在的に思っていることを都合のいいように言語化して展開したと。それがめちゃくちゃうまかった天才なんだと。
私もいつかその1人にならないように。戒めの本ですね。
ちなみに、読み物としては何度も何度も同じことをいろんな言い回しで書かれてます。なので、読みにくい。多分箇条書きにしたらすごい薄い本になるのに、ここまで言葉を尽くして言えるのかと言うくらいあれこれ言ってる。しかも賛同しえない理論展開なので(そらそう)頭に入ってこない文章も多いです。文章自体もよくわからないと言うのもあります。
Posted by ブクログ
上巻同様の理由で星は3つ。
上巻がヒトラー自身の神格化と思想の謳詠にあったわけだが、下巻は思考を凝縮化し仮想敵すなわちマルクシズムとユダヤ人を作り出し当時の大衆を惹き付け政権掌握をした手法と論説が述べられている。
書籍としては読み難いこと極まりないしアドルフ・ヒトラーが書いたものでなければ読まなかったであろうが、「窮鼠、猫を噛む」が如く賠償と外圧に苦しみ追い詰められたドイツ国民が世紀の大悪人に希望の光を見つけて一縷の望みを託してしまったことに第二次世界大戦の悲劇がある。諸悪の根源をシンプルにヒトラー単独に帰すのではなく、人類すべての連帯責任であったことは留意する必要はあろう。
Posted by ブクログ
上巻よりも更に斜め読み。難解。
ほとんど頭に入ってないかも……
私は否定的な感情を盾にしながら、覗き穴から常にチラチラ…怖いもの見たさとはこのこと。
ヒトラー。彼が独裁者になる前の本である。
国家社会主義ドイツ労働者党の党首として、彼は民主主義を民主主義で破壊し、最も優秀なヒトラーが大ドイツ帝国の復活を成すことに全てを懸けて行く。
彼はユダヤ人を世界から駆逐し、共産主義を倒し、最も崇高なアーリア人種の世界を作ることを夢見た。
その後、首相から国家元首として、独裁者に君臨し、ことごとく思想の具現化を進めるに至る。
よくもまあ、こんな本を書いたなぁと思う。
その時代にしか起こり得ない英雄的な発想と、狂乱の大衆扇動はたしかに、高揚感すらある。
ちなみにヒトラーの首相就任演説は一見の価値有り。
YouTubeなどでも見れるので、チェケラ!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸