作品一覧

  • 誘拐された西欧、あるいは中欧の悲劇

    誘拐された西欧、あるいは中欧の悲劇

    小説・文芸

    3.3
    1巻1,045円 (税込)
    中欧のチェコに生まれたミラン・クンデラは20世紀後半の歴史と文学を「中欧」という視点から体現した作家。2023年の没後、作品の再検証を試みる機運が高まるなか、クンデラが生涯をかけて探求した概念「中欧」と「小民族」を巡る両論考は作家の世界観を理解するための貴重な証言と言える。また、主体的な関与がないまま自国の運命が一変するという「小民族」の置かれている状況は、現在のウクライナやパレスチナの情勢にも援用可能な視点であり、その警鐘は鳴りやむどころか世界中に響き渡っている。
  • ほんとうの自分

    ほんとうの自分

    小説・文芸

    3.0
    1巻913円 (税込)
    ある山のホテルで知り合った中年男女。その直後女は離婚を決意し、その男と暮らすようになる。平穏な同棲生活を送っていたが、ある日女のもとに一通の匿名の手紙が届いた。「私はスパイのようにあなたの後をつけています、あなたは美しい、とっても美しい」とだけあった。最初は不愉快さをつのらせていたが、女の心は好奇心に変わり微妙に揺れ動き、それを機にふたりの愛の糸は絡まり、幻想が現実を脅かしていく。愛し合うふたりの心のバランスの危うさを名手クンデラが描く。
  • 緩やかさ

    緩やかさ

    小説・文芸

    3.5
    1巻869円 (税込)
    20世紀末。パリ郊外の城に滞在するため車を走らせるクンデラ夫妻。速さに取りつかれた周囲の車は、まるで猛禽のようだ。クンデラは、18世紀の小説に描かれた、ある貴婦人と騎士が城に向かう馬車の旅、そしてその夜の逢瀬に思いを馳せる。一方、城では昆虫学会が開催されていて…。ふたつの世紀のヨーロッパの精神を、クンデラならではの、重さと軽さ、哲学と冗談、夢と現実世界が往来する。それまで母語であるチェコ語で書いていた小説を、初めてフランス語で執筆したことでも注目される作品。
  • 笑いと忘却の書

    笑いと忘却の書

    小説・文芸

    3.8
    1巻1,166円 (税込)
    党の粛清により、隣の男に貸した帽子を除いて、すべての写真から消滅した男。一枚の写真も持たずに亡命したため、薄れゆく記憶とともに、自分の過去が消えてしまうのではないかと脅える女…。7編のさまざまな物語を通して〈笑いと権力〉〈記憶と忘却〉〈愛と孤独〉といったモチーフが、繰り返しバリエーションを奏でながら展開され、精緻なモザイクのように編み上げられる、変奏形式の連作短編集。哲学的な洞察と独特のユーモアが詰まったクンデラ文学の原点であり、かつ哲学的な考察の集大成でもある作品。
  • 別れのワルツ

    別れのワルツ

    小説・文芸

    4.0
    1巻1,221円 (税込)
    舞台は東ヨーロッパの紅葉に染まった谷間にある不妊症に効くとされる小さなリゾート温泉保養地。亡命を決意したヤクブは、友人らに永遠の別れを告げるべく、ここにやってくる。ふとした成り行きから薬の小壜に混入された毒薬……物語が動き出す。医師、若い女、高名なトランペット奏者と美貌の妻、アメリカ人湯治客――幾組もの男女がすれ違いもつれ合い交錯する。愛、欲望、裏切り、個々の選択が引き起こす予測不可能な結果……。めくるめく円舞とともに演じる五幕のヴォードヴィルは「小説の魔術師」クンデラの初期の傑作!
  • 存在の耐えられない軽さ

    存在の耐えられない軽さ

    小説・文芸

    4.3
    1巻1,320円 (税込)
    舞台は東西冷戦下のチェコスロバキア。「プラハの春」と呼ばれる1968年に実現した束の間自由主義体制とその後のソビエト連邦の侵攻、「正常化」という名の大弾圧という歴史的な政治状況下で、苦悩する恋人たち。不思議な三角関係など、四人の男女のかぎりない愛と転落を、美しく描きだす哲学的恋愛小説。チェコ出身の作家ミラン・クンデラの代表作にして世界的ベストセラー。原著は1985年に刊行され、1988年にフィリップ・カウフマン監督、主人公トマシュにダニエル・デイ=ルイス、テレーザにジュリエット・ビノシュを起用して映画化されたことでも広く知られている。
  • 不滅

    不滅

    小説・文芸

    4.2
    1巻1,826円 (税込)
    パリ。プールサイドに寝そべっていた「私=作者」は、見知らぬ中年女性の、軽やかにひるがえる手の仕草を見て、異様なほど感動し、彼女をアニェスと名づけた…。こうして生まれた「女」の、悲哀とノスタルジアに充ちた人生が、時空を超えて、文豪ゲーテと恋人の「不滅」を巡る愛の闘いの物語と響きあう。詩・小説論、文明批判、哲学的省察、伝記的記述など異質のテクストが混交する中を、現実と虚構、過去と現在、個人の運命と歴史が交錯し、軽やかに駆け抜けていくポリフォニック(多声的)な、壮大な愛の変奏曲。
  • 小説の技法

    小説の技法

    小説・文芸

    4.0
    1巻858円 (税込)
    セルバンテス,カフカ,プルーストなど,誰もが知っている名著名作の作者たちとその作品に言及しながら,「小説とは何か」「小説はどうあるべきか」を論じるクンデラ独自の小説論.2011年刊行の改訂版を底本とした新訳決定版.存命の,世界で最も著名な作家の一人,クンデラ(1929- )による知的刺激に満ちた文学入門.

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  • 冗談

    冗談

    小説・文芸

    4.5
    1巻1,430円 (税込)
    絵葉書に冗談で書いた文章が,前途有望な青年の人生を狂わせる.十数年後,苦しみに耐え抜いたすえ,男は復讐をもくろむが…….政治によって歪められた1人の男の流転の人生と愛の悲喜劇を軸にして,4人の男女の独白が重層的に綾をなす,ミラン・クンデラ(1929-)の最高傑作.作家自らが全面的に改訂した決定版からの新訳.

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ユーザーレビュー

  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この本を通してクンデラはあらゆる二元的なものに対する警鐘を鳴らしていると感じた。
    軽さに走ったサビナの結末、自分の中のキッチュ(理想)に対する重さによって滑稽な死を遂げたフランツ。逆に軽さと重さの両端が歩み寄ろうとし、ボロボロになっていくトマーシュとテレザ。
    そしてこの対比を理解する上で必要な考え方が本書の後半で出てくるキッチュだと思う。
    キッチュは苦しみや矛盾、汚いものなどには目を向けず、理想の状態を美とする態度のこと。
    この登場人物の4人は愛や生き方などに自分の理想を持っており、その反対側から目を背けシフトするとどのような生涯を送ることになるのかを本書を読むことで感じ取ることができる。
    私たちは理想だけでなく、現実にしっかり目を向けた上で人生の選択や考えを持つようにするべきであるとクンデラは伝えたかったのではないかと私は思う。

    あとこの本からはヘルマンヘッセのデミアンや福田恒存の人間この劇的なるものと通ずるものがあると感じた。

    0
    2026年10月21日
  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    人間は偶然のできごとを運命と呼んで意味を与え、その意味を信じながら人生を生きていく。何も保証されていない世界に、そうやって自分だけの意味を作っていくが、それが自分を救うこともあれば自分を縛ることもある。

    愛は人を軽くするのか、重くするのか。
    軽さは自由なのか。それとも、何ものにも深く結びつけないことの空虚さなのか。
    重さは愛なのか。それとも、愛という名前を与えられた執着なのか。

    人生は一度きりでやり直すことができず、自分の選択が正しかったのかどうか比較することも、重い人生と軽い人生を実際に生き比べることはできない。
    人生が一度きりだからこそ、その存在の軽さに耐えるために、あえて誰かを愛し、運命という比喩を背負い、自分の人生に重さを与えようとするのかもしれない。

    0
    2026年10月18日
  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    人生のドラマというものはいつも重さというメタファーで表現できる。われわれはある人間が重荷を負わされたという。その人間はその重荷に耐えられるか、それとも耐えられずにその下敷きになるか、それと争い、敗けるか勝つかする。しかしいったい何がサビナに起こったのであろうか?何も。一人の男と別れたかったから捨てた。それでつけまわされた?復讐された?いや。彼女のドラマは重さのドラマではなく、軽さのであった。サビナに落ちてきたのは重荷ではなく、存在の耐えられない軽さであった。
    これまではそれぞれの裏切りの瞬間が裏切りという新しい冒険に通ずる新しい道を開いたので、彼女を興奮と喜びで満たしてきた。しかし、その道がいつかは終わるとしたらどうしたらいいのか?人は両親を、夫を、愛を、祖国を裏切ることができるが、もう両親も、夫も、愛も、祖国もないとしたら、何を裏切るのであろうか?

    0
    2026年10月10日
  • 冗談

    冗談

    小説・文芸

    Posted by ブクログ

    しかし、途中で挟まる喩えや論考の深み重みよ!作者の声で語られているところが多い小説、大好き

    一人一人の憎しみや罪が交錯していくと思ったら、いつのまにかそれら全てを時間が過去にしてしまう

    時代の狂気に従うのが上手い人間は降りるのも上手くて、時代の罪は被ろうとしない いじめていた側はしたことを覚えてないという話と同じ

    誰も他人のすべてを知ることも理解することも出来ない みんなルツィエの断片しか知らないで、そこに自分の人生を映そうとする それしかできないよな!ほんとに 真実を知るなんてできないから 自分にとってその人が何を意味するか/したか を考えないとしょうがないんだよ たとえ自分が加害者で その人が被害者だとしても
    色んな人が語り手になるけど、ルツィエは語らない 読み手もルドヴィークらと同じように、ルツィエの断片を見て、自分がそれをどう思うかを見出すしかないわけだ

    最終章のスピード感が素晴らしい

    野原に横たわるヤロスラフにルドヴィークが話しかけたところで終わりそうだったけど、そうはならなくて、ルドヴィークの故郷との和解と、歴史に見捨てられつつも続いていくしかない命の寂しさが描かれきったのがよかった

    最後の、ヤロスラフの心筋梗塞によって民謡演奏が1人ずつ欠けていく場面の物悲しさったらない

    0
    2026年09月06日
  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    とてもよかった。好きでした。
    村上春樹を読んでいるときのように、人の人生や生活を少しカッコつけて捉えられるような感覚になる。少し綺麗な場所に自分の人生というものを持って上がって、眺めて考えることができるような感覚。
    特定の人や物をとてつもなく大切と思っている自分と、「それってそんなに重いものでもないのでは」と客観的に見ている自分がいて、それでもまたその盲目的愛情に戻っていく登場人物たちのさまが自分を見ているようだった。世の中の愛情というものはこれだと思う。
    「トマーシュ、あなたの人生で出会った不運はみんな私のせいなの。私のせいで、あなたはこんなところまで来てしまったの。こんな低いところに、これ以上行けない低いところに」
    テレザのこのセリフに泣きそうになった。

    人生は軽いものというのには共感する。全ては軽い「たまたま」の結果。「耐えがたい偶然性」。
    文章自体もとてもよかった。好きな人の前でお腹が鳴ったということを、「2人の仲を駄目にしようとげらげら笑う母親をおなかの中に抱えているようなもの」と表現したり。最高。

    0
    2026年09月15日

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