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Posted by ブクログ
1967年チェコスロバキア第二回作家大会の冒頭で演説された「文学と小民族」、および1983年フランスの『ジュルナール・デバ』誌に掲載された標題評論の2編と、訳者阿部賢一の長めの解説が収録されている。
1つ目の講演では、19世紀初頭のユングマンらによる「民族再生」運動から語り起こされ、チェコ民族の非自明性や、それが絶えず東のロシア、西のドイツという「大民族」への同化の危機に晒されていた「小民族」であることが語られ、自分たち「小民族」が存立する理由を文化の多様性、その特殊性に求め、文化を破壊する「破壊者」たる政治的な検閲を暗に批判している。この背景には、60年代に演劇や映画、文学の領域で起きた文化発展(映画では「チェコ・ヌーヴェルヴァーグ」と呼ばれた。講演ではヴィェラ・ヒチロヴァー監督『ひなぎく』が言及されている))というチェコの文化が国際的に評価された事実があった。自身作家として確立し始めたクンデラの決意が読み取れ、チェコ民族の位置付けはのちの「誘拐された西欧」につながる。
2つ目の評論「誘拐された西欧」では、パリに亡命した著者が自らの作品を「東欧の」作品、「スラヴ魂」の溢れた作品と評されたことに対する違和感から、チェコスロバキアやハンガリー、ポーランドをスラヴ文化圏としての「東欧」とは別の、かつてオーストリア帝国の一部であり絶えず大国に翻弄された「中欧」として、文化的には西欧でありながら政治的には東欧と見做される小国の悲運を描いている。
印象に残ったのは、チェコの文筆家カレル・ハヴリーチェクのロシアからの手紙の次の引用文だ。
ロシア人はことあるごとにロシア語ではなく、スラヴ語で話し、書いていると述べているが、それは、のちにスラヴ的なものをことごとく、ロシア的と呼ぶためである。
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