集英社新書作品一覧

  • なぜ働いていると本が読めなくなるのか
    4.0
    【人類の永遠の悩みに挑む!】 「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。 「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。 自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。 そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは? すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。 【目次】 まえがき 本が読めなかったから、会社をやめました 序章   労働と読書は両立しない? 第一章  労働を煽る自己啓発書の誕生――明治時代 第二章  「教養」が隔てたサラリーマン階級と労働者階級――大正時代 第三章  戦前サラリーマンはなぜ「円本」を買ったのか?――昭和戦前・戦中 第四章  「ビジネスマン」に読まれたベストセラー――1950~60年代 第五章  司馬遼太郎の文庫本を読むサラリーマン――1970年代 第六章  女たちのカルチャーセンターとミリオンセラー――1980年代 第七章  行動と経済の時代への転換点――1990年代 第八章  仕事がアイデンティティになる社会――2000年代 第九章  読書は人生の「ノイズ」なのか?――2010年代 最終章  「全身全霊」をやめませんか あとがき 働きながら本を読むコツをお伝えします
  • カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」
    4.7
    【どこにでもある「インドカレー店」からみる移民社会】 いまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。 そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか? どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか? 「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか……その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。 おいしさの中の真実に迫るノンフィクション。 【目次】 はじめに 「ナン、おかわりどうですか?」 第一章   ネパール人はなぜ日本でカレー屋を開くのか 第二章   「インネパ」の原型をつくったインド人たち 第三章   インドカレー店が急増したワケ 第四章   日本を制覇するカレー移民 第五章   稼げる店のヒミツ 第六章   カレービジネスのダークサイド 第七章   搾取されるネパール人コック 第八章   カレー屋の妻と子供たち 第九章   カレー移民の里、バグルンを旅する おわりに  カレー移民はどこへ行くのか
  • 働くということ 「能力主義」を超えて
    4.1
    他者と働くということは、一体どういうことか? なぜわたしたちは「能力」が足りないのではと煽られ、自己責任感を抱かされるのか? 著者は大学院で教育社会学を専攻し、「敵情視察」のため外資系コンサルティングファーム勤務を経て、現在は独立し、企業などの「組織開発」を支援中。本書は教育社会学の知見をもとに、著者が経験した現場でのエピソードをちりばめながら、わたしたちに生きづらさをもたらす、人を「選び」「選ばれる」能力主義に疑問を呈す。そこから人と人との関係を捉え直す新たな組織論の地平が見えてくる一冊。 「著者は企業コンサルタントでありながら(!)能力と選抜を否定する。本書は働く人の不安につけこんで個人のスキルアップを謳う凡百のビジネス本とは一線を画する」――村上靖彦氏(大阪大学大学院教授、『ケアとは何か』『客観性の落とし穴』著者)推薦! ◆目次◆ 序章 「選ばれたい」の興りと違和感 第一章 「選ぶ」「選ばれる」の実相――「能力」の急所 第二章 「関係性」の勘所――働くとはどういうことか 第三章 実践のモメント 終章 「選ばれし者」の幕切れへ――労働、教育、社会
  • 始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎
    4.0
    【秦は「ベンチャー的体質」ゆえに中華統一できた】初の中華統一を成し遂げた秦は、もともと「田舎の小国」に過ぎなかった。しかし、既得権者も少数だったため、リーダーが「抵抗勢力」を封じ込めることができた。「技術革新」にいち早く対応し、新たな社会体制を構築できたのだ。一方の六国は、フットワークが重く、テクノロジーがもたらす「新しい秩序」に背を向けたことで、秦に敗れた。【法家は歴代帝国に引き継がれた】秦が社会体制変革を行なう際に、理論的支柱となったのが「法家」の思想だった。これにより、国内の全リソースを「君主」一人が管理・収奪するシステムを作り上げる。秦の滅亡後も、法家は形を変え、歴代国家に引き継がれた。結果、人類史上、中国大陸でだけ、繰り返し統一帝国が興ることとなった。中国大陸の帝国が、広大な領土を中央から一律に支配し続けたのは、「始皇帝の遺産」を引き継いだからなのだ。そして、法家は現代中国でよみがえりつつあるように見える。【『キングダム』で通奏低音のように流れる法家】原泰久氏の漫画『キングダム』では、法家改革後の秦と、旧式の社会体制である六国の対比が見事に描かれている。本書では、『キングダム』という物語に流れる地下水脈を、25点もの名場面を引用しながら縦横に解説する。
  • アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」
    4.5
    大人気漫画「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修者による、唯一の公式解説本が誕生! 野田サトル先生によるオリジナル描き下ろし漫画も収録!! 2018年に手塚治虫文化賞でマンガ大賞を受賞し、アニメ化も果たした累計発行部数900万部超の大ヒット冒険活劇漫画「ゴールデンカムイ」。同作をきっかけにして、初めてアイヌ文化に興味を抱いたという方も少なくないのではないか。本書はそんな大人気作品のアイヌ語監修者が、漫画の名場面をふんだんに引用しながら解説を行った、画期的入門書である。「アシ(リ)パたちの名前はどのように決まったのか」「話題の“オソマ”と“チタタプ”にまつわる裏話とは?」「“ヒンナ”の正確な意味と、本当の使い方」など、原作ファンならば漫画が100倍面白くなること必至の知識が満載となっている。もちろん、それだけではなく「アイヌの先祖はどこから来たか?」「アイヌ語から解き明かす北海道の地名」「徹底解説! アイヌ文学」など、原作を知らない方でも楽しめる内容が盛り沢山。アイヌ文化について知りたいならば、まず最初に読むべき最高の入門書だと言えるだろう。
  • 「断熱」が日本を救う 健康、経済、省エネの切り札
    4.0
    日本の家はなぜこんなに寒い!? 誰でもできる住まいの改善策から持続可能なまちづくりまで――。 じつは日本の建築の断熱性能は他の先進諸国と比べて著しく劣っている。 夏は暑く、冬は寒い、そうした居住空間における「ガマンの省エネ」は、特に高齢者にとってヒートショックなど健康面での深刻な問題にもなっている。 しかし、断熱性能を改善することによって、わたしたちの暮らしは激変する。 世界的なエネルギー価格高騰の中、本書では断熱性能を向上させる具体策を紹介し、そうした実践が企業や自治体の経済を好転させ、持続可能なまちづくりにつながることも実証していく。 停滞する日本社会のブレークスルーを目指す画期的な一冊。 ◆目次◆ 第1章 「ガマンの省エネ」が寿命を縮め、お金を減らす 第2章 エコハウスってどんな家? 秘密と誤解を大解剖! 第3章 エコハウスの選び方と断熱リノベーション 第4章 断熱で社会課題を解決! 第5章 断熱は持続可能なまちづくりのカギ
  • ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化
    4.7
    「ゴールデンカムイ」原作者・野田サトル先生も絶賛! 大人気漫画のアイヌ語監修者による、公式解説本の決定版にして完結編 【推薦】 アイヌ文化は、まだまだ私の知らない面白いネタの宝庫だと本書を読んで知った。 連載中にもっと中川先生からお話を引き出しておけば良かった。 ――野田サトル氏(「ゴールデンカムイ」作者) コミックス累計2500万部を突破し、2024年1月には実写版映画が公開される大ヒット漫画「ゴールデンカムイ」。 同作をきっかけにして、アイヌ文化に興味を抱いたという方も多いはずだ。 本書はそんな大人気作品のアイヌ語監修者が、完結までの物語の全体を振り返りながら、アイヌ文化の解説を行った一冊である。 今回は作者・野田サトル先生の緻密かつ美麗な「絵」に注目する。 作中には、ストーリーの展開などの都合で詳しく説明されていないものの、細部までこだわって描かれた絵が多数存在する。 本書では、そうした絵をふんだんに用いてアイヌ文化の基本的知識をわかりやすく解説するとともに、作品の裏側の設定などにも深く踏み込んでいく。 また、北方少数民族ニヴフ、ウイルタや樺太アイヌ、ロシアといったテーマで監修協力を行った、超豪華執筆陣によるコラムも充実。 さらには原作者・野田サトル先生による取材裏話も収録! 原作ファンならば、漫画が100倍面白くなること必至の知識が満載だ。 もちろん、原作を知らない方でも楽しめる内容が盛り沢山となっている。 実写版映画の最高のガイドブックにもなる、究極の解説書! 【本書の主な内容】 ・そもそも「カムイ」とは何者なのか ・人間に災いをもたらす「黄金のカムイ」は実在するのか? ・気づかない人も多数!? あの1コマに隠された背景知識 ・完結記念! アイヌの全キャラクターの名前の由来を解説 ・「ソフィア・ゴールデンハンド」のモデルとなった2人の女性 ・樺太アイヌと北方少数民族・ニヴフ、ウイルタの基礎知識 ・監修者直伝! 作中のアイヌ語せりふ徹底解説 ・アシリパのコタン(村)はどこにあったのか ・創作秘話! 野田サトル先生が連載中に取材した狩猟の一部始終とは
  • 読むダンス
    -
    K-POPからJ-POPまで、老若男女問わず「見る/踊る」ダンスへの関心は高まっている。 しかし、そのダンスの何がすごいのか、どんな難しさがあるのかを説明するのは難しい。 本書では、世界を席巻した『Dynamite』や『Butter』といったBTSの代表曲からのSnow Man大人気曲の数々、そしてNiziU、NewJeans、XGというガールズグループのダンスまで、全72作品を徹底解説! ダンサーの目線、ダンス講師の目線、振付師の目線と、多角的かつマニアックに各アーティストのパフォーマンスを考察する。 YouTube大人気チャンネル「ARATA DANCE SCHOOL」主宰ARATA初の著書。 【主な掲載楽曲】 ◎BTS 『MIC Drop』 『Anpanman』 『I NEED U』 『Black Swan』 『ON』 『Dynamite』 『Butter』 『Blood Sweat & Tears』 『Set Me Free Pt.2』 『Standing Next to You』…… ◎Snow Man 『Crazy F-R-E-S-H Beat』 『KISSIN’ MY LIPS』 『Grandeur』 『ブラザービート』 『タペストリー』 『slow...』 『LOVE TRIGGER』…… ◎NiziU 『Step and a step』 『Take a picture』 『HEARTRIS』…… ◎NewJeans 『Attention』 『Hype Boy』 『Ditto』 『OMG』 『ETA』…… ◎XG 『MASCARA』 『SHOOTING STAR』 『LEFT RIGHT』 『NEW DANCE』 『PUPPET SHOW』…… ◎BE:FIRST ◎EXO ◎TOMORROW X TOGETHER ◎SEVENTEEN ◎NCT 127 ◎ENHYPEN ◎EVERGLOW ◎ITZY ◎IVE ◎Number_i
  • ゾーンの入り方
    3.8
    大事な舞台やプレゼンテーションで結果を出すための集中力はどうすれば身に付くのか? 集中状態である「ゾーン」とは何か? つねに自己と記録に向き合い、男子ハンマー投げ選手として活躍した著者が、良質な集中状態とはどんなものなのかを語り、集中するための方法論と哲学を満を持して公開する。アテネ・オリンピックでは金メダル、ロンドン・オリンピックでは銅メダルを獲得するなど、多くの大会で好成績を残し、2016年に引退後は学者、指導者として活躍する著者が今だからこそ語る、スポーツや仕事、人生にも役立つ究極の集中法をまとめた一冊。 【目次】はじめに/第一章 究極の集中力をつける/第二章 ゾーンに入る/第三章 限界の超え方/第四章 ゴールへのアプローチを最適化する/第五章 「自然体」が一番強い/第六章 体を整える/おわりに
  • 自分探しと楽しさについて
    4.0
    老若男女を問わず、「自分探し」を続けている人は少なくない。自分の存在は、自分にとって最も明らかなはずなのに、なぜ見つけることができないのだろうか。現実に多くの人が、自分の生き方に悩み、自分探しを続けている。もちろん、個々人が置かれた状況はさまざまであり、万能薬は存在しない。その事実を踏まえたうえで、人気作家が、「あなたの中の前向きな気持ち」を、そっと引き出してくれる一冊。【目次】まえがき/第1章 自分はどこにあるか/第2章 楽しさはどこにあるのか/第3章 他者は自分のどこにあるのか/第4章 自分は社会のどこにあるのか/第5章 ぶらりとどこかへ行こう/あとがき
  • 「おりる」思想 無駄にしんどい世の中だから
    3.0
    生きるために、なぜ我々はこんなにも頑張らなければならないのか? 大学に馴染めず、ひきこもり生活を送った著者は、この問いの答えを求め、「何もしない」ことを目的に1年間スペインに滞在。 帰国後、無職のまま、日本社会を包み込む生きづらさの原因を、映画『プーと大人になった僕』『パディントン』、『バトル・ロワイヤル』『仁義なき戦い』シリーズなどの深作欣二作品、『安心引きこもりライフ』『みちくさ日記』『ナリワイをつくる――人生を盗まれない働き方』などの書籍・漫画、そして作家・朝井リョウの小説などをもとに解き明かしていく。 競争に勝って生き残らなければならないと「思い込み」、しんどい思いをしている人へ、自分らしい生き方を送るために「おりる」ことを提案した一冊。
  • トランスジェンダー入門
    4.1
    トランスジェンダーとはどのような人たちなのか。 性別を変えるには何をしなければならないのか。 トランスの人たちはどのような差別に苦しめられているのか。 そして、この社会には何が求められているのか。 これまで「LGBT」と一括りにされることが多かった「T=トランスジェンダー」について、さまざまなデータを用いて現状を明らかにすると共に、医療や法律をはじめその全体像をつかむことのできる、本邦初の入門書となる。 トランスジェンダーについて知りたい当事者およびその力になりたい人が、最初に手にしたい一冊。 ◆目次◆ 第1章 トランスジェンダーとは? 第2章 性別移行 第3章 差別 第4章 医療と健康 第5章 法律 第6章 フェミニズムと男性学
  • ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち
    4.0
    【「教養=ビジネスの役に立つ」が生む息苦しさの正体】 社交スキルアップのために古典を読み、名著の内容をYouTubeでチェック、財テクや論破術をインフルエンサーから学び「自分の価値」を上げろ――このような「教養論」がビジネスパーソンの間で広まっている。 その状況を一般企業に勤めながらライターとして活動する著者は「ファスト教養」と名付けた。 「教養」に刺激を取り込んで発信するYouTuber、「稼ぐが勝ち」と言い切る起業家、「スキルアップ」を説くカリスマ、「自己責任」を説く政治家、他人を簡単に「バカ」と分類する論客……2000年代以降にビジネスパーソンから支持されてきた言説を分析し、社会に広まる「息苦しさ」の正体を明らかにする。 【おもな内容】 第一章 ファスト教養とは?―「人生」ではなく「財布」を豊かにする 「ファスト教養」と「教養はビジネスの役に立つ」/「教養」と「金儲け」をつなぐ「出し抜く」 第二章 不安な時代のファスト教養 「脅し」としての教養論/読書代行サービスとしての「中田敦彦のYouTube大学」/世界のエリートのように「美意識」を鍛える必要はあるか/ファスト教養は「オウム」への対抗策になるか 第三章 自己責任論の台頭が教養を変えた 「ホリエモンリアルタイム世代」が支えるファスト教養/勝間和代は自分の話しかしない/教養×スキルアップ=NewsPicks/橋下徹と教養の微妙な関係/ひろゆきが受け入れられた必然/ファスト教養に欠落しているもの 第四章 「成長」を信仰するビジネスパーソン インタビュー1 着々とキャリアアップする三〇代/インタビュー2 大企業で自問自答する二〇代 第五章 文化を侵食するファスト教養 「ファスト映画」と「ファスト教養」/ファスト教養視点で読み解く『花束みたいな恋をした』/AKB48と「ネオリベ」/利用される本田圭佑/「コスパとエンターテインメント」の先に何を見出すか 第六章 ファスト教養を解毒する ファスト教養をのぞくとき、ファスト教養もまたこちらをのぞいているのだ/リベラルアーツとしての雑談、思考に必要なノイズ/「ジョブズ」を理解する受け皿になる
  • 鈴木邦男の愛国問答
    4.0
    2023年1月に逝去した元一水会代表・鈴木邦男がウェブ週刊誌「マガジン9」に約10年にわたって連載してきた文章をテーマ別にセレクト。 「愛国心」「憲法」「表現の自由」「差別と格差」「宗教と政治」「憂国」「右翼と左翼」という7つの論点を、彼独特の軽妙でユーモアたっぷりの語り口で論じる、まさに鈴木邦男の「遺言」とも呼べる一冊。 その「遺言」の解説を、リベラル論客として知られる思想史家・政治学者の白井聡氏が担当。
  • ある北朝鮮テロリストの生と死 証言・ラングーン事件
    4.0
    政治学者・姜尚中氏、大絶賛! 北朝鮮が過激なテロ行為に走る背景にはどのような事情があるのか? 韓国読書界を騒然とさせた衝撃のノンフィクション、ここに刊行。 本書の主人公は、凄惨な事件を引き起こしたテロリストである。しかし、その正体は非人道国家により実行犯に仕立て上げられた、一人の青年に過ぎない。祖国に見捨てられ、異国の刑務所で寂しく生涯を終えたこの悲運のテロリストをめぐる物語は、国家というものがもつ暴力性と不条理を見事な形で浮き彫りにする。「個人の尊厳とは何か?」「国家とはいかなるものか?」といった問いを抱えた、すべての読者に手に取って欲しい名著である。(姜尚中・東京大学名誉教授) 1983年、ミャンマー訪問中の全斗煥・韓国大統領を狙い、合計21名の死者を出す大惨事となった「ラングーン事件」が発生する。本書はその実行犯である北朝鮮テロリスト、カン・ミンチョルの証言を記録し、周辺人物への聞き取りや関連資料の収集も丹念に行いながら、事件の全貌と南北関係の矛盾に迫った第一級のノンフィクションである。なぜ北朝鮮は過激なテロ行為に走るのか。カン・ミンチョルが属した北朝鮮特殊工作部隊の実態とはいかなるものなのか。そして、凄惨なテロはどのようにして起こったのか? 数々の歴史の謎を解き明かしてくれる、衝撃の一冊!
  • 自壊する欧米 ガザ危機が問うダブルスタンダード
    4.5
    中東、欧州移民社会研究の第一人者と新進気鋭のアメリカ政治学者が警告! ガザのジェノサイドを黙殺するリベラルの欺瞞が世界のモラルを破壊する。 もう、殺すな! ◆内容◆ 2023年10月7日、パレスチナ・ガザのイスラム主義勢力ハマスが、占領を強いるイスラエルに対して大規模な攻撃を行った。 イスラエルは直ちに反撃を開始。 しかし、その「自衛」の攻撃は一般市民を巻き込むジェノサイド(大量虐殺)となり、女性、子供を問わない数万の犠牲を生み出している。 「自由・平等・博愛」そして人権を謳(うた)いながら、イスラエルへの支援をやめず、民族浄化を黙認し、イスラエル批判を封じる欧米のダブルスタンダードを、中東、欧州移民社会の研究者とアメリカ政治、外交の専門家が告発。 世界秩序の行方とあるべき日本の立ち位置について議論する。 ◆目次◆ 序 章 イスラエル・ハマス戦争という世界の亀裂 内藤正典 第1章 対談 欧米のダブルスタンダードを考える 第2章 対談 世界秩序の行方 終 章 リベラルが崩壊する時代のモラル・コンパスを求めて 三牧聖子 ◆主な内容◆ ・パレスチナ問題での暴力の応酬と「テロ」 ・ガザから世界に暴力の連鎖を広げてはならない ・ダブルスタンダードがリスクを拡大する ・戦争を後押しするホワイト・フェミニズム ・反ジェノサイドが「反ユダヤ」にされる欧米の現状 ・アメリカとイスラエルの共犯関係 ・ドイツは反ユダヤ主義を克服できたか ・「パレスチナに自由を」と言ったグレタさんに起きたこと ・反ユダヤ主義の変奏としての反イスラム主義 ・民主主義のための殺戮の歴史を直視できない欧米の問題 ・バイデンとシオニズム ・トランプとバイデン ・欧米がなぜか不問に付すイスラエルの核問題 ・誰がイスラエルの戦争犯罪を止められるのか? ・「人殺しをしない」を民主主義の指標に
  • 特殊害虫から日本を救え
    4.3
    日本の食を守るための、 想像を絶する戦いの記録。 数十年前まで、九州以北では南西諸島で採れる農作物の多くを食べることができなかった。 当時、ウリ類や熱帯果樹をむさぼり食う“特殊害虫”が蔓延し、法律でこれら作物の移動が禁止されていたのだ。 それが今、ゴーヤやマンゴーが日本全国の食卓に並ぶようになったのは、 害虫根絶に人生をかけた現地職員の、想像を絶する戦いがあったからだ。 本書は、根絶事業に自ら携わり、死闘の現場を間近で見てきた現役昆虫学者による奮闘の記録である。 日本の食を支えた名もなき戦士たちの、努力と情熱と執念をぜひ知ってもらいたい。
  • なぜ豊岡は世界に注目されるのか
    4.3
    兵庫県豊岡市は、市内にある城崎温泉が「ロンリープラネット」のベスト温泉タウンナンバー1に選ばれ、インバウンドが急増。 豊岡演劇祭では1億3700万円の経済効果を達成。 移住したい街ランキングでも上位に入り、近年、国内外から注目を集める。 なぜそれが実現したのか。 人口が減少し、産業も衰退する中で、地方が輝きを放つ方法とは? 前市長が全国の自治体にも応用可能な視点を示しながら、その秘策を綴る。 【推薦コメント】 小島慶子氏(エッセイスト) 広まれ、豊岡モデル!「女、子どもは黙ってろ」で故郷が滅ぶと気づいた市長の本気のジェンダーギャップ解消作戦。胸熱です。子どもたちが、給食のお米をコウノトリ米にすることや震災の被災地にお米を送ることを思い立ち、真剣に大人に掛け合って実現するくだりでは涙が出ました。ここで子育てをしたいと思う人は多いのでは。 内田樹氏(思想家・芸術文化観光専門職大学客員教授) コウノトリ、有機農業、演劇、ジェンダーギャップの解消…着眼点はどれもすばらしいのですが、何よりもそれらを貫くのが「深さをもったまちづくり」という哲学である点を僕は高く評価します。その土地の土着の文化と整合しなければ、どんな「正しい」政策も成果を得ることはできません。中貝さんは豊岡の土着の文化が何を求めているのかを皮膚感覚でとらえ、それを政策的に展開できた例外的な市長だったと思います。 藻谷浩介氏(地域エコノミスト) 突き抜けた文化、世界とつながる地下水脈、経済力ある女性と生活力ある男性。小さな世界都市・豊岡に、ワクワクが止まらない。巨大化する東京でガラパゴス化する日本と心中するか。小さな世界都市で、世界に通じる文化と暮らしを担うか。あなたはどっちだ? 【目次】 序章 「小さな世界都市」の萌芽 第1章 コウノトリ「も」住めるまちを創る 第2章 受け継いできた大切なものを守り、育て、引き継ぐ 第3章 深さをもった演劇のまちづくり 第4章 ジェンダーギャップの解消 終章 これからのこと――子どもたちへ
  • スポーツする人の栄養・食事学
    4.0
    「スポーツ栄養学」は30年ほど前から著しく進歩し、食事の質や摂取の仕方によって、コンディションやパフォーマンスに大きな違いが生じることが明らかになった。競技種目や年齢層、性別はもちろん、練習期、試合前日、試合当日、試合後、減量中、増量中、ケガからの回復期などで、とるべき食事や栄養のタイミングはすべて異なる。プロアスリートだけでなく、ジュニアからシニアまで、よりよい結果を出すための栄養・食事術をQ&A形式で詳細に解説する。 【主な内容】 Q 好き嫌いが多く栄養が偏りがちです。改善するにはどうしたらいいですか? Q 筋肉をつけるためには、やはり肉を食べないといけませんか? Q どのような食事をすれば、骨をきたえることができるのでしょうか? Q 腱や靭帯を強くするにはどうしたらいいですか? Q スポーツをする人は、できるだけ体脂肪を減らしたほうがいいのでしょうか? Q 食が細く、栄養が足りているか不安です。なにか工夫できることはありますか? Q ケガや故障でスポーツができない間、食事で気をつけることはなんですか? Q かぜなどの体調不良を予防したり、回復を早める食事法はありますか? Q 食物アレルギーで食事が制限されています。どう対応したらいいでしょうか? Q 無理なく減量するために、食事で気をつけなければいけないことはなんですか? Q 無理なく体重を増やす食事のむずかしさはどこにありますか? Q 朝食をしっかりとる時間がないときはどうしたらいいですか?
  • 限界突破の哲学 なぜ日本武道は世界で愛されるのか?
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    日々の鍛錬を積み重ねることで、体力と年齢の壁を超える――日本武道は今や国境を超えて世界的な注目を集め、実践者を増やしている稀有な身体、精神文化であり、人生百年時代といわれる現代に必須の実践の道だ。勝敗を超えた「品格」を身につけること、相手への感謝と反省の気持ちを忘れないこと、そして常に向上心を持って修行を続けること…。17歳で日本に留学して以来、武道に魅せられたニュージーランド人の著者は、剣道七段をはじめ、なぎなた、銃剣道等各種武道合わせて三十段を超える武道家にして関西大学教授。NHK「明鏡止水」シリーズにも出演した武道家が説く、身体と心の作法!
  • 言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか
    4.0
    2018年、M-1審査員として名を轟かせた芸人が漫才を徹底解剖。M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法とは? 「ツッコミ全盛時代」「関東芸人の強み」「フリートーク」などのトピックから「ヤホー漫才」誕生秘話まで、“絶対漫才感”の持ち主が存分に吠える。どうしてウケるのかだけを40年以上考え続けてきた、「笑い脳」に侵された男がたどりついた現代漫才論とは? 漫才師の聖典とも呼ばれるDVD『紳竜の研究』に続く令和時代の漫才バイブル、ここに誕生!
  • 水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと
    4.1
    水道民営化とは、地域窮乏化政策だ! 欧州の水道再公営化運動が生んだ、新たな民主主義から学び、日本の水道を、グローバル資本から守る。一九八〇年代以降、民営化路線を歩んできた欧州の水道事業。しかし杜撰な管理や財務の問題にスポットがあたり、再び、水道を公営化に戻そうという大きな流れが市民運動を起点に巻き起こっている。昨今、注目されている欧州の左派ポピュリズムのうねりの中核は、実は「水道の再公営化」を求める権利運動だったのだ。水は、人々の共有財・公共財<コモン>である。資本が利潤をあげるための対象として水を扱えば、たちまちその地域は窮乏化していく。民営化で疲弊した欧州の人々の怒りが地方自治体を動かし、「ミュニシパリズム」や「フィアレス・シティ(恐れぬ自治体)」など、新しい民主主義の形を作り出しているのだ。その成果である、水道事業の再公営化はなんと178件。水を再び自分たちのものへと取り戻す欧州の運動から日本が学び、各自治体において民営化をストップさせるにはどうすればいいのか。日本人でありながら、欧州・民主主義の最前線に立つ著者が、日本再生のためのカギを明かす。
  • スノーデン 監視大国 日本を語る
    4.3
    国谷裕子「アメリカはマルウェアを作動させて日本のインフラを大混乱に陥れることができるというのは本当のことでしょうか」/スノーデン「答えはもちろんイエスです」。2013年のリークで世界を震撼させた元アメリカ情報局員のスノーデン。そして2017年、日本関連の秘密文書が新たに暴露され、そこには大量監視システムXKEYSCOREがアメリカ政府から日本政府に譲渡されていることが記されていた。安全のためと称し増大する一方の国家による監視活動に対して、市民によるコントロールをどのように及ぼしていくべきか。スノーデンと日米の識者、プライバシー権に関する国連特別報告者が対策とヴィジョンを語る。 【目次】刊行にあたって エドワード・スノーデンのメッセージ/第一章 米国国家安全保障局による大量監視の実態と日本 エドワード・スノーデン、国谷裕子/第二章 9・11以降の監視強化の動きとACLUの戦い スティーブン・シャピロ/第三章 日本の監視の現状 出口かおり/第四章 大量監視とプライバシー保護のための仕組み ジョセフ・ケナタッチ/第五章 デジタル時代の監視とプライバシー ジョセフ・ケナタッチ、スティーブン・シャピロ、井桁大介、出口かおり/あとがき 浮かび上がった情報格差の深い溝 国谷裕子/付録1 スノーデン氏のメッセージ原文/付録2 ジョセフ・ケナタッチ氏の監視システムに対する保護措置に関するスライド資料
  • ジョジョの奇妙な名言集 Part1~3
    3.9
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 年齢・性別を問わずファンに愛され「ジョジョ語」と呼ばれる数々の名言を生み出した『ジョジョの奇妙な冒険』。その全てを網羅した名言集が満を持して登場ッ! 作中に登場する「フシギな力」を持った言葉の数々を、『ジョジョ』を貫くメインテーマ「人間讃歌」を軸にセレクト。なぜこれほどまでに『ジョジョ』の言葉は力強いのか。『ジョジョ』が生み出した新たな「概念」とは? 「言葉」に着目することで作品の新たな一面を見出す『ジョジョ』ファン必読の一冊。解説はフランス文学者の中条省平氏。
  • いとも優雅な意地悪の教本
    4.4
    意地悪は単なる悪口や暴力とも違って、洗練を必要とする「知的かつ優雅な行為」である。だからこそ、意地悪には人間関係を円滑にし、暴力的なエネルギーを昇華させる効果がある――。他者への罵詈雑言やヘイトスピーチといった、むきだしの悪意が蔓延する現代社会。橋本治は、その処方箋を「みなが意地悪になること」だとして、古今東西の例を挙げてその技術を具体的に解説する。読めば意地悪な人になりたくなる社会・文芸評論! 【目次】第一講 意地悪とはなにか/第二講 メリル・ストリープに学ぶ意地悪の意味/第三講 樋口一葉は頭がいい/第四講 紳士は意地悪がお好き/第五講 紫式部に陰険さを学ぶ/第六講 男と女はどっちが意地悪か/第七講 悪を考える/第八講 それで、この話はどうまとめればいいのだろう/あとがき 天才は意地が悪い
  • 名門校「武蔵」で教える東大合格より大事なこと
    3.7
    校内の一等地にやぎがいる。英語の授業で図画工作。おまけに、きのこを見つけたら成績が上がる!? 時代が急速に変わりゆく中、恐ろしいほどのマイペースさで独特の教育哲学を守り続ける名門進学校がある。それが本書の舞台、私立武蔵中学高等学校だ。ときに理解不能と評されることもある、武蔵の教育が目指しているものとはいったい何なのか……。斬新な視点から数々の学校や塾を論じてきた気鋭の教育ジャーナリストが「学校とは何か?」「教育とは何か?」に迫る、笑撃の「学校ルポルタージュ」。 【目次】はじめに/第一章 「ひつじ」になるな「やぎ」になれ!/第二章 目指しているのは“モヤモヤ”を残す授業/第三章 大学受験期に優秀生を海外で一人旅させる/第四章 小惑星探査機「はやぶさ」を生んだ天文台/第五章 現実離れした極論をぶつけ合え!/第六章 時が経つほどに沁みる武蔵の価値/第七章 校長は芸大出身/おわりに/参考文献
  • 腸が寿命を決める
    4.0
    病気から身体を守るため、人間には「免疫」と呼ばれる機能が備わっているが、その「免疫システム」の約80%を「腸」が担っていることが最新知見で明らかになった。それは腸がさまざまな病気に関係し、腸の健康が身体全体の健康に直結することを意味する。本書では「腸管免疫」のメカニズムを説明。腸の知られざる機能や自律神経との関係、糖尿病・がん・アレルギーなどの病気との関連性なども丁寧に解説し、腸をきれいにするための食生活や生活習慣はもちろん、腸の汚れを取りのぞく新しい病気予防法(コロンハイドロセラピー)も紹介する。【目次】はじめに/序章 汚れた腸が健康を破壊する/第一章 腸は栄養素と水分を吸収する大切な臓器である/第二章 腸は病気を防ぐ「免疫システム」を備えている/第三章 大腸の汚れはあらゆる病気の引き金になる/第四章 大腸をきれいにすれば病気にならない/おわりに
  • ひらめき教室 「弱者」のための仕事論
    3.9
    コミックスの売り上げが累計2000万部を超える『暗殺教室』の漫画家、松井優征。デザインオフィスnendoを率い、プロダクトから建築まで、デザイナーとして世界的に高い評価を集める佐藤オオキ。「ものづくりに関して考えることが、ほとんど共通している」という二人のクリエイターの対話から明らかになる、創作活動でのひらめきの法則と、仕事や人生における問題解決のスキルとは? 「才能」ではなく、自分の「弱さ」を自覚することから始まる、あらゆる職業に通じる驚きの仕事論。【目次】はじめに/第一章 漫画の時間/第二章 デザインの時間/第三章 ひらめきの時間/おわりに
  • 小説家という職業
    3.8
    小説家になるためにはどうすれば良いのか? 小説家としてデビューするだけでなく、作品を書き続けていくためには、何が必要なのだろうか? プロの作家になるための心得とは? デビュー以来、人気作家として活躍している著者が、小説を書くということ、さらには創作をビジネスとして成立させることについて、自らの体験を踏まえつつ、わかりやすく論じる。【目次】まえがき/1章 小説家になった経緯と戦略/2章 小説家になったあとの心構え/3章 出版界の問題と将来/4章 創作というビジネスの展望/5章 小説執筆のディテール/あとがき
  • スノーデン 日本への警告
    3.7
    2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロ防止の名の下に、アメリカ政府は技術発展の著しいインターネットを通じた大規模な監視体制を構築していた。ところが対象となっていたのはテロリストだけではなく全世界の一般市民すべてだった……。2013年6月、これらの事実を暴露したのが元情報局員のスノーデンである。権力が際限のない監視を行い、それが秘密にされるとき、権力の乱用と腐敗が始まる。本書では、日本人に向け、今起きている深刻な事態や権力を監視するための方途をスノーデンが明快に解説。後半はスノーデンの顧問弁護士やムスリム違法捜査を追及する弁護士、公安事件に詳しいジャーナリストら、日米の精鋭が、議論を多角的に深める。警世の一冊。【目次】刊行にあたって エドワード・スノーデンのメッセージ/第一章 スノーデン 日本への警告/第二章 信教の自由・プライバシーと監視社会――テロ対策を改めて考える/あとがきにかえて ベン・ワイズナーとの対話/付録 スノーデンのメッセージ原文
  • 老化は治せる
    3.7
    老いのメカニズムがついに解明された! 老化の原因は炎症、ならば「老化」は治せるのだ。すでに医学の世界では、炎症の治療法・治療薬の研究が進んでおり、「老化」はもはや治療可能な疾病なのだ。炎症と老化の関係に早くから着目し、早老症、老年症などを治療・研究してきた著者がやさしく解説する最新の「不老の医学」。「老化」を治して若返るための生活術も。現代人、必携の書。【目次】はじめに 老化学に新しい知見/第一章 老化イコール炎症という新方程式/第二章 不老の妙薬?/第三章 夢の「抗酸化剤」は老化を抑制できるか/第四章 老化は予防できる/おわりに 老いの意味を自問する/参考文献
  • 源氏物語を反体制文学として読んでみる
    3.0
    紫式部が『源氏物語』を書いた平安時代は、摂関政治(天皇に嫁いだ娘が男児を産むことで外戚として権力を得る)の全盛期にあった。しかし『源氏物語』は天皇親政の時代を舞台とし、「源」という元皇族が活躍するストーリーだ。摂関政治をあえて否定するという、いわばその時代の「反体制文学」として『源氏物語』は大ベストセラーとなり、多くの読者の支持を得た。なぜ紫式部はそのような果敢な挑戦をしたのか。紫式部が時代をどう感じ、またどのようなモチベーションで物語を綴ったのか。独自の視点で鮮やかに描く、新しい『源氏物語』論。 【目次】まえがき――『源氏物語』の謎/第一章 紫式部と『源氏物語』/第二章 源氏一族の悲劇/第三章 摂関家の権威と専横/第四章 紫式部の出自と青春時代/第五章 紫式部の恋と野望/第六章 摂関政治の終焉/あとがき/主な参考文献
  • 消えたイングランド王国
    4.0
    1066年、いわゆる「ノルマンの征服」によって、王や貴族、上級聖職者などイングランド王国の支配者層はことごとく、アングロサクソン人から仏語を母語とする「フランス人」に代わった。顧みれば、その僅か142年前にアングロサクソン諸王国を統一し誕生したこの王国の短い治世は、北欧世界から襲来する侵略者との戦いの歴史だった。だが、それは戦場に斃れたアングロサクソン人たちのヒロイックな生き様と共に、ひときわ眩しい光彩を放った時代として、今なおイギリス人の心に深く刻み込まれている。本書は、歴史の狭間に消えゆく故国に命を賭した、誇り高き、最後のアングロサクソン戦士たちの史録である。【目次】イングランド王系図/ウィリアム征服王系図/エゼルレッド無策王とクヌートの子供たち/プロローグ ある日の国連安全保障理事会/第一章 襲い来るデーン/第二章 勇者たち/第三章 終焉への足音/第四章 最後のアングロサクソン戦士/エピローグ 現代イギリス人のルーツたち/附録 モルドンの戦い
  • 創るセンス 工作の思考
    4.0
    かつての日本では、多くの少年が何らかの工作をしていた。しかし、技術の発展で社会が便利になり、手を汚して実際にものを作るという習慣は衰退し、既製品を選んだり、コンピュータの画面上で作業することが主になった。このような変化の過程で失われた、大切なものがある。それは、ものを作ったことのない人には、想像さえつかないものかもしれない。「ものを作る体験」でしか学べない創造の領域、視覚的な思考、培われるセンスとは何か。長年、工作を続けている人気作家が、自らの経験を踏まえつつ論じていく。【目次】まえがき/1章 工作少年の時代/2章 最近感じる若者の技術離れ/3章 技術者に要求されるセンス/4章 もの作りのセンスを育てるには/5章 創作のセンスが産み出す価値/あとがき
  • メリットの法則 行動分析学・実践編
    4.2
    「すぐに弱音を吐いてしまう」「ダイエットに失敗する」……日常にありがちな私たちの行動を分析するのに、難しい理論はいらない。心理学のメインテーマともいえる「なぜ、その人は○○をしてしまうのか」という問いへの答えを「心」ではなく、「外部の環境」に求めるのが行動分析学だ。「好子」「嫌子」「出現」「消失」。あらゆる行動は、四つのキーワードで分析可能であり、不登校から潔癖症まで、様々な問題行動を劇的に改善することができる。本書はそうした改善の実例を豊富に揃えるとともに、最新の知見も交えた実践の書である。【目次】まえがき/第1章 その行動をするのはなぜ?/第2章 行動に影響を与えるメカニズム (基本形)/第3章 行動がエスカレートしたり、叱られても直らないのはなぜ?/第4章 行動に影響を与えるメカニズム (応用形)/第5章 行動は見た目よりも機能が大事/第6章 日常のありふれた行動も/あとがき
  • 日本語はなぜ美しいのか
    3.9
    「発音体感」つまり言葉の語感の大切さに着目した画期的な日本語論である。日本語はなぜ美しいのか。実は、母音を主体に音声認識する言語は、世界的にみても日本語とポリネシア語のみであり、その他の欧米及びアジア諸語は、すべて子音主体で音声を認識している。日本語は希有な言語なのである。本書は、この日本語の特殊性をふまえて、情緒の形成という観点から、ある固体の脳が最初に獲得する言語である母語の重要性と早期英語教育の危険性を説き、風土と言語の関わりから言葉の本質に迫っていく。【目次】第一章 母語と母国語/第二章 日本語の危機/第三章 母語形成と母語喪失/第四章 脳とことば/第五章 母語と世界観/第六章 ことばの本質とは何か/第七章 ことばの美しさとは何か/第八章 ことばと意識/結び――日本語への祈り
  • 米原万里の「愛の法則」
    3.9
    稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか――〈愛の法則〉では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また〈国際化とグローバリゼーション〉では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。4つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。【目次】本書に寄せて――池田清彦/第一章 愛の法則/第二章 国際化とグローバリゼーションのあいだ/第三章 理解と誤解のあいだ――通訳の限界と可能性/第四章 通訳と翻訳の違い
  • ルポ「中国製品」の闇
    3.5
    いまや「中国」と無縁で経済活動を営むことは難しい。消費者も、さまざまな形で「中国製品」を購入している。それが日本の現実だ。しかし、その背後には、生産する中国の「無秩序」と、輸入する日本の「無責任」という図式がある……。著者は「義歯」という入り口から、中国製品をめぐる問題に切り込む。発がん性物質の検出が報告され、現地では健康被害が訴えられている「中国産」義歯を、日本は厳格な安全検査を行なうことなく、単なる雑貨物として輸入しているのだ。中国の現場を取材し、日本の医療の実態を調査して浮かび上がった「闇構造」とは? 迫真のルポルタージュ!【目次】はじめに/第一章 義歯とギョーザ/第二章 中国産義歯による健康被害の実態/第三章 日本の歯科医療を蝕む「安全神話」/第四章 技術権威主義からの脱却/おわりに
  • ルポ 無料塾 「教育格差」議論の死角
    4.4
    教育格差は絶対悪なのか? 機会の平等が実現された先にある「本当の地獄」とは? 【内容紹介】 経済的余裕のない家庭の子どもに勉強を教える「無料塾」は、学歴が収入や地位に直結する現代で子どもを救う存在となっている。 一方、無料塾は重大な問いを社会に投げかける。生育環境による教育格差を埋めることは重要だが、受験戦争のさらなる先鋭化に加担することにならないか。また、仮に機会の平等さえ実現したら、そのなかで競争に負けた者は自己責任でいいのか。 さまざまなタイプの無料塾への取材からそれぞれのジレンマを明らかにし、これまでの教育格差の議論で見落とされてきた点をあぶり出す、迫真のルポルタージュ。
  • 刑務所改革 社会的コストの視点から
    3.0
    堀の中の実態と制度的な問題点。受刑者の更生を重視することで社会の負担は軽くなる! 明治以来、百年あまりの間、罪を犯した者を「隔離」し、「収容」することだけが目的だった日本の刑務所。日本の社会は「刑とは何か」「刑務所の果たすべき役割とは何か」について思考停止状態であり続け、塀の中は闇のまま放置されてきた。その結果が平成一三年に名古屋刑務所で起きた受刑者の死傷事件だ。この事件の反省から誕生した刑事施設視察委員会制度。偶然のきっかけから委員に任命され、塀の中の不合理なシステムに驚嘆した著者は、アメリカ、カナダなどをめぐり、社会に資する刑務所の姿を模索する。
  • 代理出産 生殖ビジネスと命の尊厳
    3.6
    不妊に悩む夫婦にとって「福音」といわれる生殖補助医療、代理出産。しかし、代理母の精神的・肉体的負担、貧困層のプリーダー階級化、親子関係の定義づけの難しさなど、現実はシビアな問題が山積みだ。日本でも法整備を進める動きがあるが、代理出産をめぐる議論はまだまだ不十分。このテーマを長年、追いかけてきた著者が複雑な代理出産の問題の核心に迫る!【目次】プロローグ―「代理出産問題」とは何か/第一章 混乱をきわめた人工授精型の時代/第二章 体外受精型代理出産の幕開け/第三章 代理母が引き受ける大きすぎる代償/第四章 代理出産で生まれた子どもたちの葛藤/第五章 各国の代理出産事情/第六章 生命操作はどこまで許されるのか/エピローグ―マーケル家からの伝言/あとがき/巻末資料―日本学術会議生殖補助医療の在り方検討委員会の提言
  • 言い訳【無料試し読み小冊子1】
    無料あり
    3.9
    【「ヤホー!」では調べられません!】「集英社新書プラス」での著者インタビュー(1)に加え、サンドウィッチマン・伊達みきおとの対談、『言い訳』の試し読み(1)を収録した無料電子小冊子第一弾です。M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法とは? 「ツッコミ全盛時代」「関東芸人の強み」「フリートーク」などのトピックから「ヤホー漫才」誕生秘話まで、<絶対漫才感>の持ち主が存分に吠える。M-1審査員として名を轟かせた芸人が漫才を徹底解剖。令和の漫才バイブル、ここに誕生。

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  • 集英社新書創刊20周年記念小冊子(試し読み付)
    無料あり
    1.7
    【祝!! 集英社新書創刊20周年!】集英社の<知の水先案内人>として、文化、芸術、政治、経済と幅広いジャンルを網羅する集英社新書が、2019年11月、創刊20周年を迎えました。そこで集英社新書でおなじみの著者の方々にご登場いただき、集英社新書や自身の著作への思いを語っていただきながら、その歴史を振り返ります。また、数々の名著の作品紹介と試し読みも収録。ぜひダウンロードしてお楽しみください。

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  • 集英社電子書籍ガイド2015【姜尚中編】
    無料あり
    3.0
    100万部突破の話題作『悩む力』から7年。テレビやメディアで大活躍の政治学者が、困難な時代に生きる人々に贈るメッセージとは。2015年9月時点で集英社より配信されている姜尚中の電子書籍を一挙ためし読みできる無料小冊子です。【収録作】『悩む力』『続・悩む力』『心の力』『【カラー版】あなたは誰? 私はここにいる』『リーダーは半歩前を歩け――金大中というヒント』『増補版 日朝関係の克服――最後の冷戦地帯と六者協議』『ニッポン・サバイバル――不確かな時代を生き抜く10のヒント』『姜尚中の政治学入門』『デモクラシーの冒険』(テッサ・モーリス-スズキ共著)『ナショナリズムの克服』(森巣博共著)『心』『母―オモニ―』『トーキョー・ストレンジャー』

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  • 愛国と憂国と売国
    3.5
    山紫水明、天壌無窮の祖国が、原発事故によって穢された。この未曾有の国難に、われわれが闘うべき、本当の敵は誰か――? 被災地を救った天皇陛下のお言葉と自衛隊のこと、脱原発デモと街宣車、故郷・東北への想い、右翼人の目覚め、憲法改正問題、左右両派の傑人との親交、三島由紀夫が問い続けるもの…など、かつて行動派、今は理論派右翼として半世紀近くにわたって日本を見つめてきた著者が、日本人に伝えたい想いのすべてを綴る。【目次】序章/第一章 右翼人の憲法論/第二章 右翼人の作られ方/第三章 右翼人の生活と意見/第四章 私が出会った素晴しい人々/第五章 右翼人と左翼人/第六章 右翼人にとっての三島由紀夫/あとがき
  • アイスダンスを踊る
    4.0
    日本と世界のアイスダンス界。その現在地。 2020年に高橋大輔が転向して以来、フィギュアスケートのなかでもアイスダンスという競技に光が当たり始めた。 アイスダンスは「氷上の社交ダンス」とも呼ばれるが、世界的にはシングル競技と同じくらいの人気を得ている。 練習拠点の少なさやカップル競技ならではの難しさなど、アイスダンスをめぐる状況は厳しいものの、日本のアイスダンサーたちの試行錯誤と挑戦のうえに現在の道がある。 五輪出場を果たした歴代の日本の選手たちの証言はもちろん、世界で絶賛された名プログラム解説、日本と世界のアイスダンス界の実情や問題点を細やかに描く!
  • 赤ちゃんと体内時計 胎児期から始まる生活習慣病
    4.3
    2歳で完成したヒトの体内時計は生涯、健康に影響する。赤ちゃんのひどい寝ぐずりや夜泣きの原因には諸説があるが、著者は長年の臨床経験から以下のように想定している。それは「誕生直後は『超日リズム』で生活していた赤ちゃんが、乳児期になり『概日リズム』を身につけるときに、自身の体内時計と社会活動のリズムとの間でずれが生じることで、睡眠障害や不機嫌さを起こす」というものである。この状態は赤ちゃんが〈時差ぼけ〉を起こしているようなもので、心身に様々な影響が出ることを意味する。ヒトの体内時計は生後1歳半から2歳にはほぼ完成し、生涯にわたり健康に強い影響をもたらす。本書では、体内時計の知識、睡眠障害と発達障害との関連性、睡眠治療の検証などを提示する。【主な内容】○体内時計の準備は胎児期後半に始まる ○概日リズムと超日リズム ○健康な乳幼児に必要な睡眠時間 ○脳の海馬は睡眠欠乏に弱い ○遅刻リズムと不登校リズム ○概日リズム睡眠障害と発達障害 ○眠るタイミングがつかめない赤ちゃん ○フランス人の睡眠教育 ○赤ちゃんに「時間」を教えよう ○夜間授乳は定期的な覚醒のリズムを作ってしまう ○うつ、糖尿病、認知症、がんとの関連性
  • 赤ちゃんと脳科学
    3.7
    極端な育児観をもつ親が増えている。赤ちゃんが集中しているからと1日7時間もテレビを見せる、手当たりしだいに育児教室に通わせる、赤ちゃんが思いどおりにならないからと自信喪失する。これらの行き過ぎた現象の背景には、20世紀的な右肩上がりの成長、発達観があるのではないか。「子どもの成功」にこだわりすぎることで、子どもからの自然な成長のメッセージを無視しているのではないか。本書では、脳科学、発達行動学を専門とする小児科医が、親を駆りたてる早期教育、臨界期等の“科学的根拠”をもう一度科学的に検証しなおすことで、「普通の育児」こそが今まさに重要であると説く。新しい「赤ちゃん学」の誕生である。【目次】序章 悩める母親の育児事情/第1章 誤解を生んだ「科学的根拠」/第2章 胎児の能力の不思議/第3章 生後二ヶ月革命/第4章 神経ダーウィニズムと子育て/第5章 テレビと育児/第6章 育児の目的と目標/第7章 子どもの発達を幅広く「見る」/あとがき/参考文献・引用出典
  • 悪の力
    3.5
    川崎市中一男子生徒殺害事件、群馬大病院事件、名古屋大女子学生の殺人・傷害・放火事件、酒鬼薔薇聖斗、ルフトハンザ系航空機墜落……。周囲では日々、「悪の力」が増大しているように映る。そして、ひとたび「悪」を見出したとき、人々は心の奥底からどす黒い感情が湧き出すのを感じるだろう――“こいつだけは許せない”、と。しかし、そうした憎悪のエネルギーは、実のところ「誰かと繋がりたい」という叫び声でもある。現代人を苦しめる「悪」はどこから生まれるのか。私たちはそれとどう向き合えばいいのか。100万部のベストセラー『悩む力』の著者が、人類普遍の難問に挑む。『教団X』の中村文則氏推薦!【目次】プロローグ/第一章 悪意に満ちた世界/第二章 悪とは何か/第三章 なぜ悪は栄えるのか/第四章 愛は悪の前に無力か/エピローグ/後書
  • 悪の脳科学
    3.7
    藤子不二雄Aの名作漫画『笑ゥせぇるすまん』では、主人公の喪黒福造が日常のどこにでもいるような老若男女を言葉巧みに陥れていく。喪黒は<誘惑の悪魔>として、様々な手段でターゲットを破滅に導く――。人間は誰でも驚くほど簡単に騙すことができる。そして、人間の心は簡単に操ることができる。喪黒福造というキャラクターを分析しながら、喪黒の<騙しと誘惑の手口>を脳科学の視点で考察し、「人間の心のスキマ」を解き明かす! 巻末には藤子不二雄Aとの対談も収録。■主な内容:ココロと呼ばれるものの正体/「悪の教科書」というタブー/絶対に守れないルールを課す/「意志の力」は、いつか必ず負ける/人間の脳は、全体像ではなくパターンを認識する/心を開かせるために、相手の目を見て話す/相手が感じる「後ろめたさ」を利用する/優秀な営業マンが美男美女とはかぎらない理由/人間の「我慢の総量」はあらかじめ決まっている/喪黒福造が狙う月曜日/怖がらせることなく、命令する/サイコパスの世界観/喪黒福造が誕生するまで/感情と理性/嫉妬心を認める
  • 悪魔のささやき
    4.1
    人は意識と無意識の間の、ふわふわとした心理状態にあるときに、犯罪を犯したり、自殺をしようとしたり、扇動されて一斉に同じ行動に走ってしまったりする。その実行への後押しをするのが、「自分ではない者の意志」のような力、すなわち「悪魔のささやき」である――。精神科医、心理学者、そして作家として半世紀以上にわたり日本人の心を見つめてきた著者が、戦前の軍国主義、六〇年代の学園闘争、オウム真理教事件、世間を震撼させた殺人事件など数々の実例をもとに、その正体を分析。拝金主義に翻弄され、想像を超えた凶悪な犯罪が次々と起きる現代日本の危うい状況に、警鐘を鳴らす。【目次】はじめに 二十一世紀の日本を蝕む悪魔のささやき/第一章 悪魔はいかにして人を惑わすか/第二章 日本人はなぜ悪魔のささやきに弱いのか/第三章 人間を嘲笑い破滅させる、ささやきの正体/第四章 豊かさを餌に太り続ける現代の悪魔/第五章 いかにして悪魔のささやきを避けるか/おわりに
  • 「朝日新聞」問題
    3.0
    現役の朝日新聞社員である著者は、若手記者時代、阪神支局襲撃事件やサンゴ損傷事件を間近で体験し、その教訓をジャーナリスト活動の原点とした。しかし、慰安婦報道(吉田証言)、原発報道(吉田調書)をめぐって明るみに出た朝日新聞の「誤報」は、過去の事件に勝るとも劣らない衝撃的な出来事であった。「もう一度、原点にもどって考えなければならない」という思いで書き下ろされた本書では、当時の記事や第三者委員会の報告書等を仔細に分析し、“当事者”の立場から、厳しく、真摯に一連の問題を検証する。【目次】はじめに/第1章 そもそも慰安婦報道問題とは何か/第2章 記事を取り消しながら謝罪なし――慰安婦報道の2014年検証記事/第3章 池上コラム問題と元朝日記者へのバッシング/第4章 衝撃的な吉田調書報道とその取り消し/第5章 「重大な誤り」――吉田調書報道への見解/第6章 「読者の信頼を裏切るもの」――慰安婦報道への報告書/第7章 朝日新聞は原点に帰れ/おわりに/「慰安婦報道」関連 参考記事・資料/「吉田調書」関連 参考記事/慰安婦問題をめぐる関連年表
  • アジア辺境論 これが日本の生きる道
    3.9
    アメリカ、欧州で排外的な政治勢力が台頭する中、ロシア、中国の影響力が日増しに拡大している。米ソ対立の冷戦終結から四半世紀経ち、世界各地に複数の覇権の競合関係が生まれている。はたして、その狭間で日本が生き残るためには何が必要なのか? そのカギは日・台・韓の連帯にあり。アメリカとの一方的な従属関係を見直し、中国、ロシアなど、スーパーパワー間にある中小民主主義国家同士の協力関係の構築はいかにして可能か。世界史レベルの地殻変動と戦後の平和国家的な国のあり方を蹂躙する近年の日本の政策を目の前に、リベラルの重鎮ふたりがその理路を提示する。 【目次】はじめに 日本・韓国・台湾連携の夢 ――これがボクらの生きる道 内田 樹/序章 問題提起 ――自由主義はなぜこれほど脆かったのか/第一章 リベラルの限界 ――「モビリティー」に無力化された自由主義/第二章 ニッチな辺境国家が結ぶ新しいアジア主義の可能性/第三章 アジアの連携を妨げる「確執」をどう乗り越えるか/第四章 不穏な日本の行く末 ――たどり着けるか「日本の生きる道」/おわりに アジア辺境の「虚妄」に賭ける ――これがみんなの生きる道 姜尚中/主要参考文献
  • アジアを生きる
    3.0
    「この道を行こう――」 歴史の悲しみを乗り越えて 集英社創業95周年記念企画『アジア人物史』総監修・姜尚中による未来社会への提言! 【おもな内容】 新たな戦争と、覇権国家の台頭を前に、「アジア的な野蛮」に対する警戒心が強まっている。 だが、文明vs野蛮という図式を相変わらず持ち出しても、未来は暗いままだ。 単なる「アジア回帰」でも「アジア主義」の復権でもない突破口は、果たしてどこにあるのか? 朝鮮戦争勃発の年に生まれ、「内なるアジア」と格闘し続けてきた思想家が、自らの学問と実人生の土台を根本から見つめ直した一冊。 この世界に生きるすべての者が、真の普遍性と共存に至る道は、「アジア的なもの」を潜り抜けることしかない。
  • 「頭がよい」って何だろう――名作パズル、ひらめきクイズで探る
    3.6
    「頭がよい」という言葉は、日常的によく使われる。しかし、実際にその基準はどこにあるのだろうか。偏差値が高い、学校の勉強ができる……それが頭がよいということと、必ずしも同一でないのは、もはや自明になっている。では本当の意味で、頭がよいとは何だろうか? 本書は、柔軟な発想やひらめきを必要とする名作パズル、難問・奇問を紹介しつつ、「天才」たちのエピソード、知能(IQ)をめぐるさまざまな事象などに触れ、「頭がよい」とは何か、どうすれば頭がよくなるのかを探っていく。 【目次】01 はじめに/02 あなたは次の問題が解けますか?(1)/03 世界一知能の高い女性/04 モントリオール会議/05 何が測られるべきか、何が不必要か?/06 知能指数(IQ)/07 問題点/08 デボノの水平思考/09 なぞなぞ/10 トリックかいかさまか/11 考えられないことを考える/12 科学は何も証明しない/13 発想の転換/14 頭の体操/15 天才は学校ギライ/16 天才は計測できるか/17 あなたは次の問題が解けますか(2)/18 MENSA(メンサ)/19 視覚的思考(1)/20 視覚的思考(2)/21 カスパロフvs.ディープブルー/22 <間違える>って何?/23 チューリングテスト/24 フォークト・カンプフ検査/25 偶然の力/26 いったい誰が正しいのか?/27 すべての人に可能性あれ!/28 おわりに~巻末回答篇/註/参考文献/あとがき
  • あなたの隣の放射能汚染ゴミ
    4.0
    福島第一原発の事故で放出された放射性物質の総量は、ヨウ素換算値で約90京ベクレル。途方もない量が海や陸へ降り注ぎ、「放射能汚染ゴミ」となった。本書では、これらのゴミが、どこにどのような状態で存在するのかを調査した。そこで明らかになったのは、我々のすぐ身近な場所で、驚くほどずさんに処理・保管されている実態だった。一方、この放射能汚染ゴミが今、道路建設などの公共事業で地下に埋められようとしている。そうなれば日本中に放射性廃棄物がバラ撒かれ、史上類を見ない公害に発展する可能性がある。なぜこのようなことになったのか。その真相に迫る。【目次】はじめに/第一章 すでに隣にある放射能汚染ゴミ/第二章 放射能汚染ゴミのずさんな管理/第三章 誰が「八〇〇〇ベクレル」を持ち出したのか?/第四章 密室で決められた放射能汚染ゴミの再利用法/第五章 それでも放射能汚染ゴミを公共事業で使うのか?/おわりに
  • あの日からの建築
    3.9
    東日本大震災後、被災地に大量に設営された仮設住宅は、共同体を排除した「個」の風景そのものである。著者は、岩手県釜石市の復興プロジェクトに携わるなかで、すべてを失った被災地にこそ、近代主義に因らない自然に溶け込む建築やまちを実現できる可能性があると考え、住民相互が心を通わせ、集う場所「みんなの家」を各地で建設している。本書では、国内外で活躍する建築家として、親自然的な減災方法や集合住宅のあり方など震災復興の具体的な提案を明示する。【目次】はじめに/第一章 あの日からの「建築」/第二章 釜石復興プロジェクト/第三章 心のよりどころとしての「みんなの家」/第四章 「伊東建築塾」について/第五章 私の歩んできた道/第六章 これからの建築を考える/おわりに
  • アフガニスタンの教訓 挑戦される国際秩序
    3.0
    タリバンはなぜ復権したのか? タリバンの勝利、ウクライナ戦争という冷戦後秩序のゆらぎに迫る 2021年8月、アフガニスタンの首都カブールはタリバンに制圧された。9・11事件に端を発する2001年のアメリカを中心とする多国籍軍の侵攻でタリバンが政権を追われ20年。国連、欧米の支援下、自由と民主主義を掲げた共和国政府はなぜ支持を得られず、イスラーム主義勢力が政権奪回できたのか? アフガニスタン情勢のみならず、ロシアのウクライナ侵攻など、国際秩序への挑戦が相次ぐ中、国連事務総長特別代表を務め、国連アフガニスタン支援ミッションを率いて諸勢力と交渉をしてきた山本氏と中東学者が問題の深層と教訓、日本のあるべき外交姿勢を語る。揺らぐ世界情勢を読み解くための必読書。 ◆推薦◆ 「山本忠通、内藤正典両氏はアフガニスタン研究の双璧。 一人は国連における権威、もう一人は国内学会の第一人者。 この二人のタリバンの本質、I.S.やアルカイダとの関係などに肉薄する追及は、読者の興味を引かないはずはない」 明石康氏(元国連事務次長) 「国際社会がおのれと立場を異にする人々の言葉に耳を傾け、 そこに“一理ある”ことを受け入れない限り、 イスラームをめぐる問題は絶対に解決しない」 内田樹氏(思想家)
  • アフリカ 人類の未来を握る大陸
    3.9
    2050年、アフリカ大陸の人口は25億人に迫り、世界の4人に1人が「アフリカの人」になると言われている。人口激増は食糧問題や経済発展、環境破壊に大きな影響を及ぼす。つまり、人類全体の未来は、アフリカを抜きには語れないということだ。そのアフリカは、経済発展している一方で、砂漠化、飢餓、貧困、紛争など、グローバル資本主義の矛盾も多く抱えている。アフリカはこの先どうなっていくのか? その現状と未来を、現役NHK特派員が現地からレポート!
  • 安倍官邸と新聞 「二極化する報道」の危機
    3.5
    憲法改正、集団的自衛権、秘密保護法、靖国参拝、アベノミクス、対中・対米外交……。新聞は、それらをどのように報じた(報じなかった)のか。主要紙は「読売・産経・日経」VS「朝日・毎日・東京」という構図で分断され、相反する主張や論調が日々飛び交うなかで、私たちは何を信じればいいのか? 本書では、各紙の報道の“背景”を読みとり、立体的に情報を収集するコツを、実際の記事に即して具体的に解説。また、安倍官邸の巧妙なメディア操作の手法についても分析を加える。この一冊で「新聞の読み方」が変わる! 【目次】はじめに/第1章 「改憲」へのスタンス/第2章 秘密保護法をめぐる報道/第3章 二分化する集団的自衛権報道/第4章 靖国神社参拝とNHK会長騒動/第5章 原発とどう向き合うか/第6章 アベノミクスと経済報道/第7章 外交報道の読み解き方/おわりに――「言論の空洞化」に危機感をおぼえて
  • 安倍官邸とテレビ
    3.0
    安倍官邸は、時にはハードに、時にはソフトに、さまざまな手管を駆使しながら「免許事業」であるテレビ局を揺さぶり続けている。NHK人事への「介入」、選挙報道に対する「お願い」、番組内容に関する呼びつけと事情聴取、各局経営幹部との頻繁な会食、総理出演局の露骨な選別、放送法の解釈をめぐるBPOとの対立、スポンサーへの圧力を広言する議員、「キャスター個人攻撃」の意見広告、「電波停止」に言及する大臣――などについて解説し、政権に翻弄されるテレビ報道の実態を示す。【目次】はじめに 安倍政権にとってのテレビとは?/第一章 自民党とテレビ/第二章 安倍晋三氏とテレビ/第三章 NHKと民放/第四章 第二次安倍政権によるメディア介入/第五章 「表現の自由」は誰のために/おわりに
  • 安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ
    4.3
    コロナ禍の今、日本は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故以来の国家的危機に直面している。この歴史的な国難に対して、当時首相であった安倍晋三と菅直人はどのように対処したのだろうか。危機に際して国民に何を語り、国民をどう守るかは政治家の最優先事項であり、時の政府の姿勢は、国民に対する本音を浮き彫りにする。安倍元首相は常々、民主党政権を「悪夢」と呼んでいたが、はたして安倍政権は菅直人政権をこんなに非難できるほど優れていたのか。そこで、両者の「危機の認識力」「国民への言葉」「権力の使い方」「補償」など個々の対応を徹底比較し、危機における、あるべきリーダーシップを考察。最後に安倍政権を引き継いだ菅(すが)政権のコロナ対応も評価する。10年前の記憶・記録を掘り起こすことで、今の自民党政権の“実態”が明らかになる!
  • 安倍政治 100のファクトチェック
    4.0
    ファクトチェックとは、首相、閣僚、与野党議員、官僚らが国会などで行った発言について、各種資料から事実関係を確認し、正しいかどうかを評価するもの。トランプ政権下の米国メディアで盛んになった、ジャーナリズムの新しい手法である。本書は、朝日新聞でいち早く「ファクトチェック」に取り組んできた南彰と、官房長官会見等で政権を厳しく追及する東京新聞の望月衣塑子がタッグを組んだ、日本の政治を対象にした本格的ファクトチェック本。第二次安倍政権発足後のさまざまな発言を100の項目別に整理し、○、△、×で判定。何が「嘘」で、何がフェイクなのかを明らかにした。平成末期の日本政治を記録する、貴重な資料でもある。【目次】はじめに 望月衣塑子/第一章 森友・加計学園問題/第二章 アベノミクス/第三章 安全保障法制/第四章 憲法・人権・民主主義/第五章 官房長官会見/おわりに 南 彰
  • 荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論【帯カラーイラスト付】
    4.0
    【帯カラーイラスト付】荒木飛呂彦がこよなく愛するホラー作品の数々は、『ジョジョの奇妙な冒険』をはじめ、自身が描いた漫画作品へも大きな影響を与えている。本書では、自身の創作との関係も交えながら、時には作家、そして時には絵描きの視点から作品を分析し、独自のホラー映画論を展開する。巻頭には「荒木飛呂彦が選ぶホラー映画 Best20」も収録。ホラー映画には一家言ある著者の、1970年代以降のモダンホラー映画を題材とした偏愛的映画論!
  • 荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟【帯カラーイラスト付】
    4.0
    【帯カラーイラスト付】アクション映画、恋愛映画、アニメ……取り上げたジャンルを問わぬ映画作品の数々には、その全てに、まさに荒木飛呂彦流の「サスペンスの法則」が潜んでいる。本書は、その一つひとつを徹底的に分析し、作品をまったく新しい視点から捉え直した映画論であり、エンターテイメント論である。『ジョジョの奇妙な冒険』を描かせたとも言える、荒木飛呂彦独特の創作術とは? 映画の大胆な分析を通じて、その秘密が明らかに!
  • 荒木飛呂彦の漫画術【帯カラーイラスト付】
    4.4
    【帯カラーイラスト付】全く人気が衰えることなく長期連載が続く『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦。「漫画は最強の『総合芸術』」と言い切る彼が、これまで明かすことの無かった漫画の描き方、その秘密を、作品を題材にしながら披瀝する! 絵を描く際に必要な「美の黄金比」やキャラクター造型に必須の「身上調査書」、ヘミングウェイに学んだストーリー作りなど、具体的な方法論からその漫画術を明らかに! 本書は、現役の漫画家である著者が自らの手の内を明かす、最初で最後の本である。【目次】はじめに/第一章 導入の描き方/第二章 押さえておきたい漫画の「基本四大構造」/第三章 キャラクターの作り方/第四章 ストーリーの作り方/第五章 絵がすべてを表現する/第六章 漫画の「世界観」とは何か/第七章 すべての要素は「テーマ」につながる/実践編その1 漫画ができるまで――アイディア、ネーム、コマ割りの方法/実践編その2 短編の描き方――「富豪村」(『岸辺露伴は動かない』)を例に/おわりに
  • アルツハイマー病は治せる、予防できる
    4.3
    【ノーベル生理学・医学賞受賞者 理化学研究所脳科学総合研究センター長、利根川進氏推薦!】超高齢化社会へひた走る日本。認知症高齢者の数は今や約462万人と推計されており、2025年には700万人を超えるという。その認知症のうち約60%を占めるとされるのがアルツハイマー病だが、根本的な治療薬はいまだ存在しない。しかし、理化学研究所のプロジェクトチームが、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβを分解する酵素「ネプリライシン」を発見。同病の治療・予防に大きく道を開いた。同プロジェクトのリーダーである研究者が、アルツハイマー病治療をめぐる最新の研究成果を明らかにする。【目次】はじめに/第1章 認知症とは何か/第2章 アルツハイマー病の症状と治療薬/第3章アルツハイマー病の病変に迫る/第4章アルツハイマー病の遺伝子/第5章 アルツハイマー病治療法開発への道のり/第6章 アルツハイマー病は治せる、予防できる/第7章 アルツハイマー病克服へ向け、今できること、必要なこと/あとがき
  • 安吾のことば 「正直に生き抜く」ためのヒント
    3.5
    日本が焦土と化した昭和の激動期に、痛烈な批評精神で人々の心をつかんだ作家、坂口安吾。その名言は、かの「人間は生き、人間は堕ちる」だけではない。「戦争をいたしません、というのは全く世界一の憲法さ」「人間は、国家繁栄のためにギセイになってはならぬ」「家の制度があるために、人間は非常にバカになる」「夫婦は愛し合うと共に憎み合うのが当然である」等々、今もリアリティを失わず、むしろ、価値観が揺らぐこの時代だからこそ響く名フレーズの数々を、安吾を敬愛する同郷の芥川賞作家が編む。【目次】はじめに 稀有なる正直者・坂口安吾/I 生きるということ/II 戦争/III 政治/IV 文学・芸術/V 日本人/VI 家庭/VII 恋愛と性/おわりに 何かあったら海へ行け
  • アントニオ猪木とは何だったのか
    3.3
    2022年10月1日、享年79。 不世出のプロレスラー、アントニオ猪木は死んだ。 わたしたちは「猪木ロス」を乗り越えて、問わなければならない。 わたしにとって、あなたにとって、プロレス界にとって、時代にとって、社会にとって、アントニオ猪木という存在は何だったのか。 アントニオ猪木とは果たして何者だったのか。 哲学者から芸人まで独自の視点を持つ7人の論客が、あらゆる枠を越境したプロレスラー、アントニオ猪木という存在の謎に迫る。 全て書き下ろし。 ◆目次◆ 壁抜けしつつ留まる猪木――入不二基義 馬場派からの猪木論――香山リカ A LONG TIME AGO……――水道橋博士 存在無意識に生きたプロレスラー――ターザン山本 1000万人に届く言葉を求めた人――松原隆一郎 アントニオ猪木 あれやこれやの語――夢枕 獏 猪木について考えることは喜びである――吉田 豪
  • いい人ぶらずに生きてみよう
    4.0
    国際社会の中で孤立し、頼りない大人が右往左往する。そんな現代の日本と日本人を、茶道界の長老、鵬雲斎大宗匠が意見する。たくさんの欲望を抱えながら、無理やり善人ぶって生きるより、己の分に正直に生きる。まずはそれでいいではないか、と。自らの弱さを肯定し、現実を受けとめることを出発点にする。実はそれこそが、端正・謙虚・清廉な日本人の心を、私たちみんながもう一度取り戻すための極意なのである。【目次】はじめに/第一章 過ちから学んだこと/第二章 海の向こうで考えたこと/第三章 魂を磨くために/第四章 日本の教育を憂える/第五章 家が教えてくれたこと/第六章 この国の未来のために/あとがきにかえて/裏千家系図
  • 生きるチカラ
    3.9
    われわれの人生は、気にすればきりがないような小さな課題の連続である。人は、無数の選択を強いられながら生きており、ときには大きな困難に出合うこともある。だが、少し見方を変えてみると、正しい選択や誤った判断があるわけではないことがわかる。また、ふりかかる災難が、人生のきっかけにもなることもあるのだ。生きるのに正しいも間違いもない―-。世界の聖地を調査してきた宗教人類学者だからこそ書ける、自分の生き方を手に入れる道とは何か。「生きるチカラ」が不足している現代日本人に必読の書。【目次】はじめに/1 生きるのに「正しい」も「間違い」もない/2 あらゆる選択は誤りを含んでいる/3 金持ちはみんな不幸?/4 ふりかかった災難こそ人生のきっかけ/5 人間は支離滅裂でかまわない/6 自分の身に起こることはすべていいことなのだ/おわりに
  • イギリスの不思議と謎
    3.5
    一般にイギリスは礼儀としきたりを重んじる保守的な国と思われている。しかし、実際のイギリスは昔も今も伝統を守りながら、どんどん新奇なものを受け入れる国である。紳士を尊重する一方でフーリガンが存在したり、ミニスカート発祥の地であったり、茶樹がないのにアフタヌーン・ティーの習慣が根付くなど、さまざまな不思議を抱えているのだ。本書では、多くの人を惹きつけるイギリスという国の謎を解き明かす! 【目次】まえがき/第一章 歴史に名を残す最初の紳士は強盗殺人犯?/第二章 エディンバラがイギリスの地図にない!/第三章 茶の木がないのに紅茶の国?/第四章 パブリック・スクールはだれのため?/第五章 やがて恐ろしきナーサリー・ライム/第六章 カクテルに名を残す女王はだれ?/第七章 イギリス方言の多様性/第八章 フーリガンは「二つの国民」の生き証人か?/あとがき
  • 戦雲 要塞化する沖縄、島々の記録
    4.0
    戦力配備が進む南西諸島の実態に迫った8年の記録 「圧殺されたのは沖縄の声だけではない。 いつか助けを求める、あなたの声だ」 ◆内容◆ アメリカと日本政府が主導する、近隣諸国を仮想敵とした防衛計画のもと、戦力配備が続く沖縄、南西諸島は予断を許さない状況が続いている。基地の地下化、シェルター設置、弾薬庫大増設、離島を含む空港と港湾の軍事化が、民意をよそに急ピッチで進んでいるのだ。著者は2015年以来、沖縄島のみならず与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島など島々を歩き、実態を取材してきた。 2022年末の安保三文書では「南西諸島にミサイルを並べ、最悪の場合報復攻撃の戦場になるもやむなし」という現地の犠牲を覚悟したものであることも暴露された。本土メディアがこの問題をほとんど報じない中、沖縄から日本全土に広がる戦雲の予兆に警鐘を鳴らす。
  • 「イクメン」を疑え!
    -
    その神話は いま、解体される――。 『クレイマー、クレイマー』などの人気映画にひそむ罠とは? 新進気鋭のアメリカ研究者が「イクメン」の文化的イメージを斬る!! ----- 日常のいたるところで濫用され、消費されている「イクメン」という表現。本書は、自身も子育て中のアメリカ研究者が「イクメン」という言葉そのものに疑義を抱くところから始まる。 日米の保育史と実情を比較するとともに、『クレイマー、クレイマー』や『幸せのちから』をはじめとした誰もが知る映画、雑誌、小説、ビジネス書など、「イクメン」がテーマの日米(英)作品の文化的イメージを分析。その言説が新自由主義と手を組んで「男性の育児」をあくまでビジネス的な観点から評価し、「女性の育児」と区別している事実に迫る。 2022年10月から改正育児・介護休業法により「産後パパ育休」が施行され、23年4月からは育児休業取得状況の公表が義務化。「イクメン」という言葉の流布から10年以上が経ち、再び注目されるキーワードになった今こそ、その意味を構造的に問いなおす。無批判に「イクメン」文化を受け入れてきた日本社会に対する、強烈なカウンターオピニオン! ----- 私はつねづね、「イクメン」という言葉に違和感を持っていた。 この言葉に込められた「育児をする男性は格好良い」という軽いニュアンスが、どうにも好きになれなかった。 (中略)私は「男性は育児をしなくてよい」と主張しているわけではない。 そうではなくて、「男性が育児をするだけでは不十分である」というのが本書の提起する論点のひとつである。 母親に比べて父親が育児を担う割合が大幅に少ないという日本の現状を鑑みれば、「イクメン」という言葉にはある種の存在意義があったかもしれない。 けれども、いつまでもその言葉に固執していると、見えなくなるものがあるのではないだろうか?(「はじめに」より) ----- 【目次】 第一章 日本の父親は遅れている? 日英版『FQ』を比較する 第二章 アメリカの保育史 第三章 日本における保育と新自由主義 第四章 フレンチトーストの神話を解体する――『クレイマー、クレイマー』 第五章 見えない父親――『ミセス・ダウト』 第六章 黒人の父親と能力主義――『幸せのちから』 第七章 ビジネススキルとしての育児 第八章 ケアする男性、ケアされる男性
  • 池波正太郎「自前」の思想
    3.0
    二十三回忌を迎え、なぜ今なお池波正太郎が愛されるのか。そこには池波が描き、そして生きた、たとえ貧しくとも「世間」というセーフティネットが機能し、誰もが「自前」で生きていける社会に対する我々日本人の郷愁と憧憬があるのではないか。「ワーキングプア」「孤立死」「世代間格差」……社会が個人を分断し、突き放している今の日本。辛口評論家と江戸研究家の最強コンビが、『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』など池波のヒット作はもちろん、池波自身の人生をも読み解きながら、これからの日本人に相応しい生き方を共に考える。【目次】はじめに 佐高 信/序章 池波正太郎、愛される理由/池波正太郎年譜(1) 世間に学んだ一〇代/第一章 仕事の流儀/池波正太郎年譜(2) 戦中、戦後、二〇代/第二章 遊びに磨かれて/池波正太郎年譜(3) 脚本作者から小説家へ、直木賞の三〇代/エッセイ(1) 池波ドラマの演者たち 佐高 信/第三章 家族の肖像/池波正太郎年譜(4) 『鬼平』『梅安』『剣客商売』始動の四〇代/第四章 正義は誰のため?/エッセイ(2) 『鬼平犯科帳』を歩く 田中優子/池波正太郎年譜(5) 三大シリーズ充実の五〇代と早すぎる死/第五章 江戸と東京のメンタリティ/終章 答えは池波正太郎にあり/あとがき 田中優子
  • イスラエル軍元兵士が語る非戦論
    4.5
    「抑止力」という考えはもうやめよう――。 イスラエル空軍で兵役を務めた著者が、イスラエルとアラブ諸国、パレスチナとの間で長く続けられてきた戦争を見つめていくうちに、「国のために死ぬのはすばらしい」と説く愛国教育の洗脳から覚め、やがて武力による平和実現を根底から疑うようになる、その思考の足跡を辿る。武力放棄を謳う憲法九条の価値を誰よりも評価するのは、平和ボケとは程遠い、リアルな戦争が絶えない国から来た外国人アクティビストなのである。母国のさまざまな矛盾点を指摘しつつ、軍備増強の道を進む日本の在り方にも異議を唱える一冊。 望月衣塑子氏(東京新聞記者)、推薦! ◆目次◆ 第1章 罪深い教育 第2章 軍隊を疑う 第3章 虐殺された民族が虐殺する 第4章 「全ての暴力に反対します」
  • イスラム――癒しの知恵
    4.0
    イスラム教徒は自殺しない? イスラム教徒の実像は好戦的ではなかった。張り巡らされる癒しの知恵は、助け合いから性にまでおよぶ。我々はイスラムを、ふだん異質の文化、宗教としてしか認識していないかもしれないが、既存の価値観が崩壊しつつある今、実は彼らから学ぶべき事は多い。日本ではまったく伝えられていない、平安と癒しをもたらすムスリムのメンタリティーを学ぶと同時に、日本人の心の処方箋ともなる一冊。【目次】はじめに/第一章 信じることによる癒し/第二章 行いによる癒し/第三章 ひとりでいるのは悪いこと/終章 世俗主義の国家という不幸/あとがき
  • 「イスラム国」はテロの元凶ではない グローバル・ジハードという幻想
    4.5
    2015年11月のパリ同時多発テロ以降、世界各地にテロが拡散している。ダッカでは日本人7名も犠牲となった。いまや世界中の街角が「戦場」であり、我々も「標的」の一部である。それらは、中東で凶行を繰り返す「イスラム国」が裏で糸を引く、恐るべきグローバル・ジハード戦略だ……というイメージが流布しているが、果たして真実なのか? 本書は、長く中東報道に携わる著者が一連のテロを分析し、「イスラム国」の関与の有無を緻密に検証。そして、テロのグローバルな拡散は、中東情勢に誤った対応をとり続ける欧米にこそ責任があると立証する。【目次】はじめに/第1章 世界に拡散するテロと「イスラム国」の関係/第2章 「イスラム国」とグローバル・ジハード/第3章 「イスラム国」とアルカイダ/第4章 「イスラム国」とアラブの春/第5章 「イスラム国」を支える影の存在/第6章 スンニ派の受難とテロの拡散/第7章 「イスラム国」と中東への脅威/おわりに/参考文献
  • イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北
    4.0
    混迷を極める中東に突如現れたイスラム国。捕虜の殺害や少数民族への迫害が欧米経由で厳しい批判と共に報じられているが、その過激な行動の裏にある歴史と論理は何か? また、本書はイスラムそのものに対するメディアの偏見と、第一次世界大戦時に確立された欧米による中東秩序の限界を指摘。そして、集団的自衛権の行使容認で中東に自衛隊が派遣される可能性が高まる中、日本が今後イスラム世界と衝突することなく、共存するために何が必要なのかを示す。【目次】はじめに/序章 中東で起きていること/第一章 16億人のムスリムを見方にするか、敵に回すか/第二章 まちがいだらけのイスラム報道/第三章 イスラム世界の堕落とイスラム国の衝撃/第四章 日本人にとってのイスラム/おわりに 戦争は人の心の中で生まれる/あとがき
  • イスラムの怒り
    4.2
    06年サッカー・ワールドカップ決勝戦で、ジダンは何に激怒してマテラッツィに頭突きをしたのか。この問いかけから、イスラム教徒(ムスリム)は、何に怒っているのか、そして我々のイスラム理解はいかに間違っているか、なぜ西欧はイスラムを執拗に嫌うのか、をわかりやすく解きほぐす。ムスリムに対してしてはいけないこと、そしてそれはなぜいけないか、なども豊富な実例つきで解説。異文化交流への道を探る。【目次】序章 ジダンは何に激怒したのか/第一章 「テロとの戦い」の失敗/第二章 隣人としてのムスリム/第三章 西欧は、なぜイスラムを嫌うのか/第四章 すれ違いの相互理解/終章 ムスリムは何に怒るのか/おわりに
  • イスラーム 生と死と聖戦
    3.8
    絶え間ない緊張が続く、中東イスラーム諸国をとりまく情勢。「イスラーム原理主義」すなわち「過激」「危険思想」というイメージが再生産されるなか、本来は唯一神・アッラーの存在こそが、人間の人間による支配と国家の暴走、対立を食い止める秩序になりうると著者は説く。国境を越えて勢力を拡大する「イスラーム国」への評価も踏まえながら、ムスリムたちの死生観をわかりやすく解説する、必読の一冊。東京大学先端科学技術研究センター准教授・池内恵氏の解説付き。【目次】序章 イスラームとジハード/第一章 イスラーム法とは何か?/第二章 神/第三章 死後の世界/第四章 イスラームは政治である/第五章 カリフ制について考える/終章 「イスラーム国」と真のカリフ制再興/解説――自由主義者の「イスラーム国」論~あるいは中田考「先輩」について 池内 恵
  • イスラームとの講和 文明の共存をめざして
    3.7
    イスラームへの無理解と差別に根ざした欧米社会における軋轢。混迷を深める中東情勢。「文明の衝突」への憂慮から、これまで諸宗教や世俗主義者間の対話が様々な所で行なわれてきたが、現状を見る限り「対話」は残念ながら現実の紛争を止める力にはなりえなかった。イスラームと欧米の原理は、もはや「お互いを理解し合い、共約することは不可能である」という前提に立ち、これ以上の犠牲を避け、共存をめざすために「講和」を考える段階に来ているのではないか。中東研究の第一人者とイスラーム学者が、イスラーム法をふまえ、その理路と道筋を世界に先駆けて語り合う。【目次】はじめに 「文明の衝突」を超えるために 内藤正典/序章 世俗主義とイスラームの衝突/第一章 難民/第二章 新覇権主義時代の到来/第三章 講和という方法/第四章 日本がイスラーム世界と向き合うために/補遺 イスラーム法の講和規定について 中田 考/おわりに 西欧の「普遍理念」という偶像の時代の終焉 中田 考
  • イスラーム入門 文明の共存を考えるための99の扉
    -
    イスラーム教徒(ムスリム)が少ない日本では、その教え自体になじみが薄い。よくわからない一方で、日々の報道を通じ中東の戦争や、欧州のテロ事件、難民といった言葉でイスラームのイメージが形作られています。世界のムスリムの人口が16億人を超えると言われる今、無益な文明の衝突を減らすには、相手のロジックを知り考えることが何よりも大切なはずです。本書は、日本人イスラーム法学者が、「ムハンマド」「スンナ派」など、99のトピックでイスラームの教えと歴史をやさしく概説し、その多様性と共存への可能性へと目を開く一冊です。【目次】序 理解はできないけれども共存するために知っておくべきイスラームのこと/第一章 法の宗教/第二章 イスラームの下の暮らし/第三章 イスラーム人物伝/第四章 イスラームと現代/コラム 近代日本のイスラーム理解1 大川周明/コラム 近代日本のイスラーム理解2 井筒俊彦/あとがき/著者選 イスラームをさらに知るための文献リスト/資料 イスラーム関連年表
  • いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画
    4.4
    アート小説の旗手として圧倒的人気を誇る原田マハが、自身の作家人生に強い影響を与えた絵画はもちろん、美術史のなかで大きな転換となった絵画や後世の芸術家に大きな影響を与えた革新的な絵画などを厳選。画家の思い、メッセージ、愛や苦悩を、作家ならではの視点で綴る。『楽園のカンヴァス』でモチーフとなったルソー、『ジヴェルニーの食卓』で描かれたモネ、『暗幕のゲルニカ』のピカソといった、原田作品でおなじみの絵画はもちろん、古典、日本画、現代アートを含む全26点を掲載。豪華カラー図版収録。【目次】一枚目 アヴィニヨンの娘たち――パブロ・ピカソ/二枚目 秘儀荘「ディオニュソスの秘儀」――作者不明/三枚目 聖フランチェスコの伝説――ジョット・ディ・ボンドーネ/四枚目 プリマヴェーラ(春)――サンドロ・ボッティチェリ/五枚目 最後の晩餐――レオナルド・ダ・ヴィンチ/六枚目 セザンヌ夫人――ポール・セザンヌ/七枚目 バルコニー――エドゥアール・マネ/八枚目 大壁画「睡蓮」――クロード・モネ/九枚目 エトワール――エドガー・ドガ/十枚目 星月夜――フィンセント・ファン・ゴッホ/十一枚目 アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I――グスタフ・クリムト/十二枚目 真珠の耳飾りの少女――ヨハネス・フェルメール/十三枚目 ブリオッシュのある静物――ジョルジョ・モランディ/十四枚目 マドリッド、1808年5月3日――フランシスコ・デ・ゴヤ/十五枚目 ダンス――アンリ・マティス/十六枚目 夢――アンリ・ルソー/十七枚目 ゲルニカ――パブロ・ピカソ/十八枚目 おまえの口に口づけしたよ、ヨカナーン――オーブリー・ビアズリー/十九枚目 黒の正方形――カジミール・マレーヴィチ/二十枚目 Number 1A,1948――ジャクソン・ポロック/二十一枚目 シーグラム壁画――マーク・ロスコ/二十二枚目 テワナ衣装の自画像、あるいは私の考えの中のディエゴ、あるいはディエゴへの思い――フリーダ・カーロ/二十三枚目 聖マタイの召命――ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ/二十四枚目 オルナンの埋葬――ギュスターヴ・クールベ/二十五枚目 叫び――エドヴァルド・ムンク/二十六枚目 道――東山魁夷/あとがきにかえて
  • 一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教
    4.0
    「ユダヤ教、キリスト教、イスラームの神は同じ」「戒律を重んじるユダヤ教とイスラームのコミュニティは驚くほど似ている」「千年以上にわたって中東ではユダヤ教、キリスト教がイスラームのルールに則って共存してきた」。なのに、どうして近現代史において衝突が絶えないのか?本書は、日本ではなじみが薄い一神教の基礎知識を思想家内田樹とイスラーム学者中田考がイスラームを主軸に解説。そして、イスラームと国民国家、アメリカ式のグローバリズムの間にある問題を浮き彫りにし、今後の展望を探る。【目次】序 レヴィナシアン・ウチダ、ムスリム中田先生に出会う 内田 樹/第一章 イスラームとは何か?/第二章 一神教の風土/第三章 世俗主義が生んだ怪物/第四章 混迷の中東世界をどう読むか/第五章 カワユイ(^◇^)カリフ道/補遺 中東情勢を理解するための現代史 中田 考/跋 未だ想像もできないものへの憧憬 中田 考
  • 一神教と戦争
    4.0
    なぜキリスト教徒は戦争に強いのか? なぜキリスト教圏とそこから派生した世俗国家が覇権を制しているのか? そして、西欧とイスラームの衝突の思想的な原因はどこにあるのか? 本書は、この大きな「なぜ?」に答えを提示している。西欧思想に通じた社会学者とイスラーム学者による、互いの立場に妥協せずに展開されるスリリングな対話からは、紛争の時代を見通す智慧が見えてくる。一神教とその社会、そして戦争の関係を考察する文明論の決定版。【目次】はじめに 橋爪大三郎/第一章 戦争観の違い イスラームvsキリスト教/第二章 ナショナリズムと戦争/第三章 キリスト教徒はなぜ戦争がうまいのか/第四章 ヨーロッパのシステムは普遍的なのか/第五章 核の脅威と国際社会/第六章 イスラームは国際社会と、どのように調和するのか/第七章 破滅的な核戦争を防ぐ智慧を持てるか/おわりに 中田 考
  • 一神教と帝国
    3.5
    オスマン帝国の終焉から100年 日本は「帝国」の智慧に学べ 紛争と閉塞を生む「国民国家」の限界を超えるために 第1次世界大戦後、西欧列強が「国民国家」を前提とし中東に引いた国境線。それが今なお凄惨な戦争の原因になっている。そのシステムの限界は明白だ。 トルコ共和国建国から100年。それはオスマン帝国崩壊100年を意味する。以来、世俗主義を国是とし、EU入りをめざしたトルコ。だが、エルドアン政権のもと、穏健なイスラーム主義へと回帰し、近隣国の紛争・難民など国境を超える難局に対処してきた。ウクライナ戦争での仲介外交、金融制裁で経済危機に直面しても折れない、したたかな「帝国再生」から日本が学ぶべきこととは? 政治、宗教からサブカルチャーまで。ひろびろとした今後の日本の道筋を構想する。 ◆目次◆ プロローグ 「帝国」をめぐる、新しい物語を探して 内田樹 第1章 現代トルコの戦国時代的智慧に学ぶ 第2章 国民国家を超えたオスマン的文化戦略を考える 第3章 東洋に通じるスーフィズムの精神的土壌 第4章 多極化する世界でイスラームを見つめ直す 第5章 イスラームのリーダーとしてトルコがめざすもの 第6章 日本再生のために今からできること エピローグI トルコに学ぶ新しい帝国日本の転生 中田考 エピローグII 明日もアニメの話がしたい 山本直輝
  • 「井上ひさし」を読む 人生を肯定するまなざし
    -
    【戦後日本社会の抱えてきた問題、実に大きい問題が、たとえば天皇の戦争責任が問いかけられている――大江健三郎】【東日本大震災で私たち劇作家が何より痛感したのは、井上ひさしさんの不在なんです――平田オリザ】【井上ひさしが生きていたら、その目には、この日本の状況がどう映っていただろう。――没後10年。いまこそ読み直したい、井上ひさしの文学。】大人気テレビ番組「ひょっこりひょうたん島」の脚本をはじめ、岸田國士戯曲賞を受賞した『道元の冒険』、直木賞受賞作となった『手鎖心中』、さらには日本SF大賞や読売文学賞に輝いたベストセラー小説『吉里吉里人』など、多彩な活躍を見せた作家・井上ひさし。本書は、井上に共鳴する人々が、生前の交流を明かしながら、その作品を論じる初の論考集。井上に刺激を受けながら創作活動を行ってきたと明かす作家・大江健三郎をはじめ、国内外から評価の高い劇作家・平田オリザなど、錚々たる創作者がそのメッセージを読み解く。
  • 猪木と馬場
    3.4
    “燃える闘魂”と“東洋の巨人”の終わりなき物語。 昭和のあの頃、金曜夜8時に「男の子」はみんなテレビの前にいた――。 アントニオ猪木とジャイアント馬場は力道山門下で同日デビューし、やがて最強タッグ「BI砲」で頂点に上り詰めた。 その後、独立してそれぞれの道を歩み、二人は仁義なき興行戦争へと突入していく。 プロレスラーとしての闘いからプロデューサーとしての闘いへ。 猪木と馬場のライバル物語を追うことは、もちろん日本のプロレス史を辿ることであるが、本書の内容はそれだけではない。 プロレスの本質を理解するための視座を伝える一冊である。
  • 胃は歳をとらない
    4.0
    胃痛、胸やけ、酸っぱいものが込み上げる……その理由は? 胃が痛い、胸やけがする、食べると重苦しい、酸っぱいものが込み上げる……そんな胃の症状で悩む人はとても多い。 しかし実は、胃はほとんど加齢の影響を受けない臓器である。 胃の不調や疲労は、胃そのものの異常によって起こるのではなく、別の原因があるのだ。 さらに「機能性ディスペプシア」(検査で異常は見られないが胃痛や胃もたれが続く病気)や、患者数が急増している「逆流性食道炎」、また突然痛む「胃潰瘍」などについて、消化器内科の権威がその謎を解明。 適切な治療とセルフケアで、健康不安を解消する情報を網羅する。 【主な内容】 胃の最大の働きは「消化」と「送り出し」 加齢ではない、胃の老化の原因1 ピロリ菌 加齢ではない、胃の老化の原因2 自律神経 検査で異常なしでも「気のせい」ではない 強い胃酸が逆流してくる原因は? ピロリ菌を治療すると逆流性食道炎になる!? ストレスは胃潰瘍の原因なのか? 市販薬の選び方のポイント
  • いま、なぜ魯迅か
    3.0
    魯迅に学ぶ「批判と抵抗の哲学」。「まじめナルシシズム」を捨てよ! 「会社国家」であり、「官僚国家」でもある日本では、「精神のドレイ」が主人の意向を先取りする、いわゆる忖度が大流行りである。まじめ主義者と多数に従ういい人ばかりのこの国に、いま必要なのが魯迅の「批判と抵抗の哲学」だ。魯迅を自らの思想的故郷とする著者が、血肉となった作品を論じ、ニーチェ、夏目漱石、中野重治、竹内好、久野収、むのたけじら、縁の深い作家・思想家を振り返る。「永遠の批評家」魯迅をめぐる思索の旅は、孤高の評論家の思想遍歴の旅でもある。○私が名づけた「まじめナルシシズム」の腐臭はそこから立ちのぼる。魯迅がそうした腐臭と無縁なのは、己れの力などなにほどのものでもないことをハッキリ知っているからであり、「努力」が報われがたい<現実>であるからこそ、「絶えず刻む」努力が必要であることを知っているからである。「私は人をだましたい」や「『フェアプレイ』は時期尚早」といった魯迅の刺言を読んで、私は「至誠天に通ず」式のマジメ勤勉ナルシシズムから自由になった。(「はじめに」より)
  • いまを生きるカント倫理学
    4.4
    この現代社会、いったい何が善くて何が悪いのか? カントだったらこう考える――。 さまざまなテクノロジーの発達も手伝い、善悪の基準がますます曖昧となっている現代社会。 ビジネス、道徳教育、生殖・医療、環境問題、AI、差別問題……。 現代社会で巻き起こるあらゆる倫理的な問題について、私たちはどう判断すればよいのか。 その答えは「カント」にある。 哲学・倫理学における重要な古典としてつねに参照され続ける一方、難解と評されることの多いカントだが、本場ドイツでカント倫理学の博士号を取得した著者が、限界までやさしくかみ砕いて解説。 その上で、現代を生きる私たちが「使える」実践的な倫理として提示する一冊。
  • イミダス 現代の視点2021
    4.0
    日本の「現在地」を俯瞰する! 現代用語事典として1986年に刊行が始まった「情報・知識事典imidas」は、現在はオピニオンやコラム、エッセイを掲載するウェブサイト「情報・知識&オピニオンimidas」として運営されている。本書には最近の掲載記事から24本を厳選して収録。執筆陣にはジャーナリストや弁護士、研究者、活動家など幅広い分野の専門家が集結している。新型コロナウイルス、政治経済、環境、労働、教育、差別、ハラスメント、全体主義……。日々に流されがちな問題の一つ一つを掘り起こしてみれば、私たちがいま、さまざまな局面で岐路に立っていることがわかるだろう。日本の現在地を俯瞰し、一歩先の未来を読み解くための一冊。
  • 癒されぬアメリカ 先住民社会を生きる
    5.0
    『ヒルビリー・エレジー』では決して描かれることのない悲哀……。トランプ政権下のアメリカ、もうひとつの今。あらゆる局面を「取り引き」になぞらえる今日のトランプ政権下にあっては、アメリカ先住民社会もまた、かつてない苦境に立たされている。ネイティブ・アメリカンは何を守り、何を奪われてきたのか。貧困、ドラッグ、アルコールに染め抜かれたコミュニティを通して見える悲哀、アメリカ社会の実相に迫る。開拓者精神、古きよきアメリカ、正義の国……。今日の米国が掲げる「理想」によって徹底的に踏みにじられてきたのが、先住民の存在だ。無二の研究者が交流を通じて記録したノンフィクション。
  • イランの野望 浮上する「シーア派大国」
    5.0
    2015年7月、欧米諸国との核開発問題協議が劇的な「合意」に達した。これによって、イランは国際社会のキープレイヤーとして大きく浮上する。シーア派イスラム大国として中東地域の「勝ち組」となり、「反米」というスタンスを利用しながら諸外国としたたかに渡り合い、シリア情勢の「黒幕」として暗躍するイラン。特派員として現地に駐在し、政治状況から庶民のメンタリティにまで精通する著者が、世界情勢を読み解くポイントとなるこの国の「素顔」と「野望」について詳細にリポートする。【目次】はじめに/第1章 シーア派大国への野望/第2章 核開発問題協議――「合意」へのプロセス/第3章 うごめく諸外国の思惑/第4章 「反米」の表と裏/第5章 等身大のイラン社会/第6章 日本はイランとどうつき合うべきか/おわりに
  • 医療再生 日本とアメリカの現場から
    3.5
    医師不足や医療不信が同時多発的に拡大し、社会問題化した「医療崩壊」は、その後どのような道を辿ったのか。本書では、繰り返される医療事故をはじめ、「医療崩壊」後の日本医療が今なお抱える問題を、独自の職業観や医局運営術も交えながら検討し、米国での無給研究員時代より続く著者自身の実践から捉え直す。新医療事故調査制度や新専門医制度などの相次ぐ制度改革や、アメリカ型医療の流入といった目まぐるしい変化について、日米両国の現場で外科医療に携わった体験を交えて考察した一冊。【目次】はじめに/第一章 米国医療の光と影/第二章 日本の医療はなぜ崩壊したのか/第三章 外科医療はトキメキの宝庫/第四章 意識改革で外科医局再生――トキメキと安らぎのある村社会/第五章 日本医療の未来像/参考資料 「読売新聞」連載コラム
  • インド残酷物語 世界一たくましい民
    4.1
    世界有数の大国として驀進するインド。その13億人のなかにひそむ、声なき声。残酷なカースト制度や理不尽な変化にひるまず生きる民の強さに、現地で長年研究を続けた気鋭の社会人類学者が迫る! 日本にとって親しみやすい国になったとはいえ、インドに関する著作物は実はあまり多くない。 また、そのテーマは宗教や食文化、芸術などのエキゾチシズムに偏る傾向にあり、近年ではその経済成長にのみ焦点を当てたものが目立つ。 本書は、カーストがもたらす残酷性から目をそらさず、市井の人々の声をすくいあげ、知られざる営みを綴った貴重な記録である。 徹底したリアリティにこだわりつつ、学術的な解説も付した、インドの真の姿を伝える一冊といえる。 この未曾有のコロナ禍において、過酷な状況におけるレジリエンスの重要性があらためて見直されている。 超格差社会にあるインドの人々の生き様こそが、「新しい強さ」を持って生きぬかなければならない現代への示唆となるはず。
  • 上野千鶴子の選憲論
    3.5
    「護憲」VS「改憲」。いまや70歳に届こうとしている私たちの憲法は、これまで手つかずのままにきた。それを変えようという改憲派のほうが勢いがあり、護憲派は分が悪そうに見える。というのも改憲派のほうが改革派の旗を掲げるのに対し、「護憲」派こそが「守旧」派に見えるからだ。そんななかに、著者は、第三の選択肢を提示する。すなわち「選憲」――現行の憲法を功罪共に検討したうえで、もう一度選び直しましょう、という提案である。横浜市弁護士会主催の「憲法講演会」において、斬新な切り口で憲法を論じた講演をもとに、社会学者・上野千鶴子が書き下ろした!【目次】はじめに/第一章 憲法の精神/第二章 自民党の憲法草案を検討する/第三章 護憲・改憲・選憲/おわりに/註/日本国憲法と自民党改憲草案の対照(抄)/琉球共和社会憲法C私(試)案 川満信一
  • ウクライナ侵攻とグローバル・サウス
    4.0
    ロシアによるウクライナ侵攻。 この暴挙は明らかな侵略戦争にもかかわらず、アフリカやアジアなどのグローバル・サウス諸国の一部は、ロシアに対して明確な非難姿勢を見せず、欧米と一線を画す態度をみせている。 この分断は、グローバル・サウスのグローバル・ノースに対する不信感、さらには植民地主義時代から始まった西洋の軍事、経済による世界支配の終焉の表れなのではないだろうか。 ウクライナ戦争が浮き彫りにした、この大きな歴史的うねり・変化の深層を、ウクライナの戦場とアフリカ諸国の現地ルポを通して、NHK記者が立体的に描き出す。
  • 宇沢弘文のメッセージ
    4.0
    宇沢は走り続けた。走りながら考えた。社会を本当によくするためには何が必要か――。ノーベル経済学賞にもっとも近いと評された宇沢は、その評価を自ら否定する形で自動車の社会的費用、成田闘争、地球温暖化、教育問題等々、20世紀後半に日本社会が直面していた困難な課題に立ち向かっていった。本書では、宇沢理論とマルクス経済学との関係を始め、これまで語られることのなかった側面にも言及。およそ30年間、宇沢の仕事に伴走してきた岩波書店の名編集者が、“人間が真に豊かに生きる条件”を求め続けた天才経済学者の魂のメッセージに肉薄する! 初の宇沢思想入門。【目次】はじめに/序章 数学から経済学へ/第一章 アメリカでの活躍とベトナム戦争の影/第二章 自動車の社会的費用/第三章 近代経済学の再検討―宇沢思想の出発―/第四章 「豊かな国」の貧しさ/第五章 「成田」問題とはなにか/第六章 地球温暖化に抗して/第七章 著作集の刊行、そして教育問題への提言/終章 社会的共通資本という思想/あとがき

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