高校で「歴史総合」という科目が登場するということだ。その「歴史総合」なるモノを念頭に、「考える材料」というような内容のシリーズが出ているようで、本書はその一冊であるのだということだ。「高校の科目」というようなことになると、自身で直接に関与していたのは「余りにも昔」で最近の様子は余り判らない。それはそ
...続きを読むれとして、「歴史総合」という科目は本当に「これから」という代物であるようだ。
歴史上の様々な事実が示され「それを如何思う?」ということに関しては、そういう問いを投げかけられた人の数だけ回答案が在るように思うのだが、とりあえずそういうことを「科目」にして行くのが「歴史総合」というモノであるらしい。が、それはそれとして「“日本史”と現在の社会」という中で「論じられて然るべき何か」を考える材料を供するというのが、本書の内容で大きな位置を占めたのかもしれない。そういうことを思った。
現在、史越し漠然と「国」とでも言った場合、「一定の国土に多くの国民が住んで居て、或る程度統一的な統治機構が機能し…」という、所謂「国民国家」というような姿を思い浮かべるように思う。その「国民国家」の成立は、日本史の中では「明治維新」に求めるのが妥当なのであろう。本書では、その「明治維新」を色々な角度で論じて来た経過に触れている。前半の大きな部分がそれで占められている。
そうやって所謂「国民国家」としての「日本」が成立し、歩んでいた中、結局「近代化」、「大衆化」、「グローバル化」というようなことで現在に至る歩みを辿っている。そういうような歩みを論じているのが、本書の以降の各章である。
或いは、積み重ねながら得た知識を基に色々と考えてみるようなことが、何処かに越智座理にされていたのかもしれない。そこで「総合」なるモノが現れたという一面が在るのかもしれない。が、それはそれとして、「国民国家」たるモノが現れた後の「近代化」、「大衆化」、「グローバル化」というような、「大雑把に切り分けた歴史理解」というようなことには大いに共感した。
高校で「歴史総合」という科目が登場ということを前提に語っていて、そういう事柄に縁が薄い立場では、最初に「取っ付き難い…」と思った面は否定出来ない。が、所謂「近現代史」を「近代化」、「大衆化」、「グローバル化」というように大きく分けて語ってみるというような切り口には大いに共感出来る。
少し面白い一冊に出くわしたという感だ…