作品一覧

  • 戦雲 要塞化する沖縄、島々の記録
    4.0
    戦力配備が進む南西諸島の実態に迫った8年の記録 「圧殺されたのは沖縄の声だけではない。 いつか助けを求める、あなたの声だ」 ◆内容◆ アメリカと日本政府が主導する、近隣諸国を仮想敵とした防衛計画のもと、戦力配備が続く沖縄、南西諸島は予断を許さない状況が続いている。基地の地下化、シェルター設置、弾薬庫大増設、離島を含む空港と港湾の軍事化が、民意をよそに急ピッチで進んでいるのだ。著者は2015年以来、沖縄島のみならず与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島など島々を歩き、実態を取材してきた。 2022年末の安保三文書では「南西諸島にミサイルを並べ、最悪の場合報復攻撃の戦場になるもやむなし」という現地の犠牲を覚悟したものであることも暴露された。本土メディアがこの問題をほとんど報じない中、沖縄から日本全土に広がる戦雲の予兆に警鐘を鳴らす。
  • 証言 沖縄スパイ戦史
    4.4
    【第7回城山三郎賞受賞(角川文化振興財団)・第63回JCJ賞受賞(日本ジャーナリスト会議)・第20回石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞草の根民主主義部門大賞受賞(早稲田大学)】 ◆推薦◆ 「被害者だけでなく加害側、虐殺を命じた側の視点からも語り直していくことによって、そこで起きたことが立体的に見えてくる」 ――荻上チキ氏(評論家) 「映画『沖縄スパイ戦史』を見終わった時の感慨を遥かに上回る、切迫感をともなうファクトの重みを喉元に突きつけられた。」 ――金平茂紀氏(TBS「報道特集」キャスター) 陸軍中野学校「秘密戦」の真相。証言と追跡取材で迫る、青年将校の苦悩と少年兵が戦った沖縄戦、最暗部の記録。軍隊が来れば必ず情報機関が入り込み、住民を巻き込んだ「秘密戦」 が始まる――。第二次大戦末期、民間人を含む二〇万人余が犠牲になった沖縄戦。第三二軍牛島満司令官が自決し、一九四五年六月二三日に終わった表の戦争の裏で、北部では住民を巻き込んだ秘密戦が続いていた。山中でゲリラ戦を展開したのは「護郷隊」という少年兵達。彼らに秘密戦の技術を教えたのは陸軍中野学校出身の青年将校達だった。住民虐殺、スパイリスト、陰惨な裏の戦争は、なぜ起きたのか? 二〇一八年公開後、文化庁映画賞他数々の賞に輝いた映画「沖縄スパイ戦史」には収まらなかった、三〇名余の証言と追跡取材で、沖縄にとどまらない国土防衛戦の本質に迫る。
  • 標的の島
    -
    今、島の自治を求めて島人が起つ! 沖縄を再び捨て石にするのか? 最南端の島々で抗う住民たちによるドキュメント!

ユーザーレビュー

  • 証言 沖縄スパイ戦史

    Posted by ブクログ

    護郷隊という組織を初めて知った。

    護郷隊の個人経験のインタビューから、護郷隊隊長の調査、そして国土防衛隊、スパイ虐殺、虐殺者たち、戦争マニュアルと、少年の子供から、大人、社会へと包括的に沖縄戦についてヴェールを剥ぎ取っていく。

    個々人の思い、考えは当時から戦後を経ても多様であり、加害者被害者が同じ地域に生きているから、戦後70年経っても言えないこともある…。隊長、日本軍も戦後も沖縄に来て慰霊などしてた人と、存在すらしてないかのように消えようとする指導者。

    今の価値観を当時、当時を経験した人に適用するわけではなく、先島諸島はじめ、沖縄に増強し戦争の準備を目に見える形で進めていく今に、当時の

    0
    2025年09月13日
  • 戦雲 要塞化する沖縄、島々の記録

    Posted by ブクログ

    37章すべてに動画がついており読むだけでは分からない沖縄の離島のとんでもない変貌や住民の憤懣やる方ない思いに触れることができた。
    南西シフトと呼ばれる自衛隊の展開は沖縄の人々を守るのでなくアメリカの戦略の一翼を担うためのものであることは明々白々。戦争になると殺されるのは沖縄の人々にとどまらず多くの軍事基地を有する本土の我々も間違いなく殺される。アメリカの肩代わりをするばっかりに。
    「島嶼部」を検索すると陸上自衛隊の広報動画に行き着くが、三上智恵さんが本書で指摘する通りのことが誇らしげにPRされている。災害時にとても活躍してくれる自衛隊の真の姿はとんでもなく怖いものだ

    0
    2024年03月01日
  • 証言 沖縄スパイ戦史

    Posted by ブクログ

    750ページ。新書らしからぬ分厚さは、手軽に読めるという感覚ではない。手軽でなくても手をつけた。思ったより速く読めた。2018年に公開された映画の原作というものではなく、その後に加筆されたもので追加の取材も入っている。戦争が行われるその場所で起き得ること。住民は軍事物資の一部となり、また信じられない対象となる。軍隊による住民の殺害、住民同士の殺害。守る対象であるそのものを犠牲にする戦争に大儀はあるのか。尖閣・竹島・北方領土・拉致・ミサイル。現代にも存在する紛争の種。力による力への対抗が何を招くか。大事なのは我々国民の感情。短絡的にならず、冷静に対処を見極るようにしたい。

    0
    2020年08月17日
  • 戦雲 要塞化する沖縄、島々の記録

    Posted by ブクログ

     2016年以後、奄美から先島に至る南西諸島の軍事化が日々刻々と進められていく過程と、そこで誇りと尊厳を失わず戦い続けた人々を追いかけた貴重な記録。各エピソードのトビラに掲げられたQRコードで直接取材された人々の姿と声を実見できるという試みも。実際にいくつか映像を見てみたが、確かに文字だけより痛切に、生々しく内容が伝わってきた。
     宮古・石垣・与那国で急速に進む軍事基地化を見ていくと、岸田政権の「安保三文書」改定が何を意味しているのかが具体的に理解出来る。離島・島嶼防衛の主体は日本自衛隊であり、米軍はそれに少し手を貸す、という構図。しかも、戦場は沖縄の更に南に局限させるという意図さえ透けて見え

    0
    2024年05月28日
  • 証言 沖縄スパイ戦史

    Posted by ブクログ

    ●は引用、その他は感想

    ●「今日只今の事に死力を尽くせ」これが隊員らが今日まで、すべて暗記するほどに徹底された村上隊長の訓示だった。死ぬ気でやれ、と言ってはいるが村上隊長は少年兵に繰り返し「絶対死ぬな」とも言っている。(中略)兵士の命など鴻毛より軽いと叩き込まれた当時の軍隊教育と、中野式の教育はこの点でかなり異なっていた。スパイも、生きて帰らなければ任務は達成できない。捕虜になっても敵情を視察して戻って来いというのが大前提であり、決して「死んで来い」という部隊ではなかった。しかし場面によっては戦車爆破隊など自爆も辞さないテロ作戦もあったのは事実である。
    ●辺野古問題。敵は陣地にしか撃たないか

    0
    2023年01月21日

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