まず初めにことわっておくと、私はプロレスないし格闘技には全く興味がなかったし、ちゃんと観たこともない。
強いて挙げれば『キン肉マン』は好きではあるが、それはプロレスが好きというのとは違うしプロレス的表現やエピソードには実はピンと来ていない。
ただ何となく、知らない事を読んでみようと思い手に取ったの
...続きを読むが本書。
結論から言えばものすごく良かった。
おおよそ60〜80年代くらいまでに活躍をした、10名の外国人レスラーについて人柄・内面性をメインに、丁寧にさらっている人物伝集。
大抵の人物がパッと大きく華やかに開くが、やがて注目が離れては静かに散っていく生涯を送っており、また、えてしてその素顔というのが「レスラー」というイメージからは少し違った、豪放でありつつもどことなく素朴で繊細な、好もしい人達ばかりである。
職業の性質的には’アイドル’に近いのだろうか。
現代のようにSNSで私生活をオープンにしてきてはいないので、ミステリアスな部分や計り知れない部分が多々あり、その分、著者だけが知ることが出来た・過ごす事が出来た彼らの’素’の描写には血が通っている。息遣いのような、温もりを感じることができる。だからこそ、読んでいて心が揺さぶられるのだと思う。
この点、いまはSNSでリアルタイムに’今’を発信することは可能だが、そこに’生きている感’を見出すことは案外難しいのではなかろうか。
私は確かに、10名のレスラーの魂のバトンを受け取った。
使われている肖像写真も、良いものばかりだと思う。
個人的にはアンドレ・ザ・ジャイアントとバンバン・ビガロが好き。
1刷
2021.7.9