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川崎市中一男子生徒殺害事件、群馬大病院事件、名古屋大女子学生の殺人・傷害・放火事件、酒鬼薔薇聖斗、ルフトハンザ系航空機墜落……。周囲では日々、「悪の力」が増大しているように映る。そして、ひとたび「悪」を見出したとき、人々は心の奥底からどす黒い感情が湧き出すのを感じるだろう――“こいつだけは許せない”、と。しかし、そうした憎悪のエネルギーは、実のところ「誰かと繋がりたい」という叫び声でもある。現代人を苦しめる「悪」はどこから生まれるのか。私たちはそれとどう向き合えばいいのか。100万部のベストセラー『悩む力』の著者が、人類普遍の難問に挑む。『教団X』の中村文則氏推薦!【目次】プロローグ/第一章 悪意に満ちた世界/第二章 悪とは何か/第三章 なぜ悪は栄えるのか/第四章 愛は悪の前に無力か/エピローグ/後書
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Posted by ブクログ
資本主義社会の歪みが "勝ち負け" といった基準をつくり敗者には自己責任といった烙印を押す。勝者は過ちがあっても認めず責任から逃避する。このシステムでは決して互いに助け合う手段が選択されず弱者は一部の有志によるボランティアや少ない援助に期待するしかない。この理不尽な現状に怒りはうまれやがて "悪の力" が作用する。これが "悪" の全てではなく不安という思考がやがて排除という行動へ向かい果てに虐殺という惨劇もあり得る。ではどこに解決策があるのか、私たちは責任追及といった答えではなく "赦す" という持続を伴う心の変容を試みるべきなのだろう。苦難を要するが、共生する社会こそ悪を派生させない土壌ではないだろうか。筆者・姜尚中の言葉はわかりやすさの裏に困難な道程が見えてくる。しかし諦めることなく踏み出していこう。
Posted by ブクログ
今現在の、世界中の社会に立ち現れた悪意が起こした事件の様相を紐解きながら、悪とはそもそも何か、私たちは悪に対してどう抗って行けるのか、悪に負けないための共生という考え方などを説いています。
新書版であり、エッセンスだけを本書に込めたとのことですが、厚み以上の濃い内容です。
「人は大きな虚無に捕らえられたとき、自分であれ、他人であれ、死への刃を振るいたくなるのでしょうか。」
この一文を読んだ時ぶるっと震えが来ました。
「空っぽ」の中に悪が巣くう。言い得ていると思いました。
これまでの「力」シリーズのように、多くの世界や日本の文学が引用されています。純文学(一部ですが)へのブックガイドとも読めます。
著者のおっしゃるように、悪の連鎖がいつか人間的な連鎖へ全て変わっていく希望は持ち続けて生きたいものです。
Posted by ブクログ
悪とは何かに対する一つの答えであるが、あくまで筆者の考える悪の形であるから、これが正解というものでは無い。だがカラマーゾフの兄弟や過去に発生した悪魔的とも思える殺人事件などを例に挙げ、悪の形を明らかにしている。
「魔が刺した」とか、「他人の不幸は蜜の味」など我々の周りには小さな悪もたくさん潜んでいる。確かにニュースから流れてくる戦争やテロ、犯罪の報道を見ていると時に目を覆いたく、耳を疑いたくなるような凄惨な出来事が世界中で起きている。それを見た大半の人は、許せない気持ちや、被害者への「可哀想」という感情を抱くだろう。だが一方で身近な悪を成敗するような正義ぶったユーチューバーの動画を見てきっと恐らく「ザマアミロ」という感情も抱いた事はないだろうか。そこには筆者が言うように、同じ感情を抱く者同士の共感性があり、言ってみれば悪の感情によって繋がれた社会が存在する。
普段真面目で清廉に見える人が、スーパーマーケットで万引きする事がある。本人は魔が刺したとか、スリルを味わいたかったと言う事であろうが、側から見ると理解し難いことの一つだ。良い人間であろうとする反動が表に出る事を完全には防ぎ切れないと言う事なのだろうか。私なんかも、勿論他人に対して、怒りや嫉妬の感情を持つし、場合によっては嘘だってつくこともある。そんな風に普段の生活の中で小さな悪を小出しにしているからか、幸いにも万引きや痴漢などに手を染める事はないし、殺人などもやろうとは思わない。
悪が何故生まれ、悪に染まる人が現れてしまうのは何故か。そもそも悪とは一体何か。難題ではあるが自分なりの悪に対する考えを持つきっかけにする様な内容である。
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