著者らはアミロイド仮説にもとづいて、Aβ分解酵素の開発を行っている。とはいえ、タウ仮説やこれまでの死屍累々たる治験の歴史などについても過不足なく触れられており、此の分野を概観するにはちょうどよい量と内容
・セクレターゼ阻害剤として最初に開発されたのはγセクレターゼ阻害剤であった、Lillyのsem
...続きを読むagacestat がPhaseIII までいったが副作用が多く、2010に中止になっている。おそらく、γセクレターゼにはAβを切り出す以外のタンパク質にも作用しているため副作用がおこったのだろうと考えられている
・βセクレターゼ(BACE1)も大きな期待が寄せられていた。BACE1ノックアウトマウスでは脳内Aβはほぼ完全に抑制されており、他に大きな異常もなかった。しかし、よく調べてみると、無菌状態では異常のなかったマウスも普通の環境下では死亡率が高かった。これもβセクレターゼが免疫に関わっているためだと考えられている。
・タウをリン酸化する酵素の一つにGSK−3βがあり、Liはこれを阻害する。現在、軽度から中等度のADに対する臨床試験が行なわれている。