青木理の作品一覧
「青木理」の「安倍三代」「暗黒のスキャンダル国家」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
自分もなんてことのない一般人ですが、文雄さんに想いを馳せてしまいます。
ルポルタージュってなぜこんなにも大変な作業だろうにこんな僕でさえ読めてしまうくらいに分かりやすく、その努力が分からないくらいにまとめられてしまうのか、いつも感心してしまう。
田畑の憤りから始まり、諦念に尽き、まさか戦争も絡んでくるその筆致で、一瞬で読み終えてしまいました。
『自身の人生のすべてが詰まった宝物である水田群が、放射性物質に汚染された土壌を詰めこんだフレコンバッグの山に埋め尽くされて、この無惨な光景までもを見ずに世を去ったのは、むしろ幸いだったのかもしれない。ー自死を肯定してしまうようで強烈な躊躇いはあるが、』
Posted by ブクログ
舞台は福島県相馬郡飯舘村。
言わずと知れた福島第一原発事故で放射線の被害を受け、
全村避難となった村。
その村で生まれ、育った102歳の老人が、その避難指示を受けた直後に、
自ら命を絶った。
やせた土地を耕し、米だけでなく様々な作物を育てた土地から離れることを
よしとしなかった男の自死。
この男の生涯を、
ジャーナリストで、物書きで、温泉ライターの青木理が追い続けた。
TBSラジオセッションや文化放送ゴールデンラジオ、
はたまたYoutubeポリタスで説得力のある語りをする青木さん、
いつこんな取材をしたの、という力作。
10年かかったそうだ。
読み進めるにつれ疑問に思ったのが、
どうして青木さんはこの老人の自死を知り、取材をしたのだろう、と。
答えはこの本の後半にあった。
大震災、原発事故、夫が癌、義父が自死という大変な中を生き抜いた妻が、
義父の無念に対し、何か働きかけをしなくてはいけない、と、
3年越しに東電を訴えたからだ。
青木さんがどの段階で取材に入ったか、読み飛ばしてしまったが、
この裁判に妻は勝訴。霊前に東電が手を合わせた。
話はこれだけではなかった。
老人の弟が硫黄島で戦死していた。
サイパン陥落で全土がB29の標的になり、
さらに硫黄島が米軍に奪われたらいよいよ日本はもたない、
日本兵より米兵の死者のほうが多かった唯一の戦いがこの硫黄島だったという。
弟もここで死に、骨は硫黄島に残された。
滑走路の下なのか、山の中なのか。
青木さんが言わんとしているのは、
兄弟そろって国に殺された、ということ。
兵役を逃れた老人は、弟が身代わりになった、という思いがあったようだ。
弟は戦争で、兄である老人は原発政策に殺された。
国家権力は正しく使えば国を、国民を富ませることができるが、
失敗したら人を殺せるのだ。
むろん、人間のやること。失敗はまぬがれまい。
しかし、失敗しそうになったら軌道修正を図る、これが当然のことだ。
それを許さない、無謬性神話が、国民に不幸を招いたのではないか。
だから、国民一人一人が国家権力の使い方を見張らなくてはいけない。
任せてはいけない。
青木さんはそう言いたいのではないか。
私はそう思う。
宮台真司さんの 『任せてぶーたれる』のではなく『引き受けて共に考える』だ。
国会議員も官僚も、任せられるような人たちではないのだ。
序章 衝撃の朝
1章 美しかった村
2章 交錯する生と死
3章 運命を変えた雨
4章 じいちゃんの生涯
5章 「国策」に殺された兄弟
6章 残された者たちの闘い
終章 それでも美しい村