【感想・ネタバレ】闇の奥 頽廃する権力とメディア、そして仄かな光をめぐるルポ・時評集のレビュー

あらすじ

大川原化工機冤罪事件から統一教会問題や裏金問題、さらに抵抗を忘れたメディアまで。「闘うジャーナリスト」が絡み合う権力の最暗部に踏み込み、腐蝕の核心を白日の下に晒す決定的な一閃。

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Posted by ブクログ

青木理が長編のルポルタージュと並んで力を注ぐ短編ルポルタージュや時評コラムを編み直した一冊。
だから書かれている問題・課題が多彩で、そんなこともあったなあと復習するような感覚で読めた。

中でも「大川原化工機事件」については「世界」誌上で青木さんの文章を読んで初めて知った件であり、ひどさは際立っているのにマスメディアはなかなか書かなかった。
いわゆる「経済安保」案件で、何がなんでも法の適用に当てはめたい公安がゴリ押ししようとした冤罪創作事件である。後の国賠訴訟での公安側の捜査員の証人尋問で飛び出した言葉「まあ、捏造ですねー」「個人的な欲で立件した」が象徴している。法を遵守すべき警察が長期にわたる不当勾留の挙句、一名を病死させてさえいるのだ。
検察も裁判所も加担した。
権力が武器を持つとこんなことが起こるということを見過ごしてはいけない。

読後の感想はいくつもあるのだが、もう一つだけ書き残しておこう。
著名な哲学者、リチャード・ローティの本「アメリカ 未完のプロジェクト」(晃洋書房 2000年)について

彼は、90年代末、新自由主義の蔓延とグローバリズム化の急進の結果何が起きるかを論じた。

『アメリカでは、もっとも豊かな25%が文化世界主義を享受し75%は生活水準が下がっていくだろう。世襲的な社会カーストに区分されたアメリカになる。
そして絶望した有権者は投票すべき有力者を捜し、その有力者が政権を取れば何が起きるかわからない。
差別が氾濫し、その有力者はアメリカと世界にとって災厄となる。
有力者はただちに国際的な超大富豪と手を結ぶ』

ポピュリズムと差別主義の跋扈する現在を見事に言い当てている。トランプのトの字もない時点での予言である。
つまりトランプは諸悪の根源や原因ではなく、必然的な結果だということになる。

青木さんが「月刊日本」という、名前が右翼誌のような雑誌に書いているのがわかり、興味をもって最新号を手に入れた。

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

青木節炸裂。時の権力が引き起こした問題・事件に対する的確な批判を集めた自評集。

書かれた媒体は、世界、月間日本、しんぶん赤旗、毎日新聞など。

こうした文章を書けるになりたいと思いつつ、なかなか文章自体を書けていない今日この頃・・・。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

ラジオや配信番組などで日頃活躍する青木理氏をチェックしていれば本書はほぼ既知な内容だが、口語と文語の差異が楽しめる。リベラルな姿勢と権力を茶化す著者は読み応えのある文章を媒介して日本の社会情勢に警鐘を鳴らす。この問題点に私たちは看過してはならず、声をあげるアクションを見定める手段のひとつとして彼の道程は知る価値がある。

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2025年12月28日

Posted by ブクログ

 「結びに」(pp234-236)に記された著者自身の定義によるとルポ・コラム集ということになるらしい。二〇二〇年代前半の時評集という読み心地。内部告発・リークの話題が多く取り上げられるのは、体制のなかで人は生きざるをえず、しかし体制が誤っているなかで人がどう行動するべきかを常に著者が考えているからだと思う。「理解増進法」に「すべての国民が安心して生活できるよう留意する」という文言が追加されたことについて「少数者の人権は多数者の「安心」のために制約されうる、と堂々公言したに等しい」という指摘(p172)に絶望しつつ深く頷く。

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2026年01月18日

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