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【どこにでもある「インドカレー店」からみる移民社会】
いまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。
そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?
どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?
「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか……その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。
おいしさの中の真実に迫るノンフィクション。
【目次】
はじめに 「ナン、おかわりどうですか?」
第一章 ネパール人はなぜ日本でカレー屋を開くのか
第二章 「インネパ」の原型をつくったインド人たち
第三章 インドカレー店が急増したワケ
第四章 日本を制覇するカレー移民
第五章 稼げる店のヒミツ
第六章 カレービジネスのダークサイド
第七章 搾取されるネパール人コック
第八章 カレー屋の妻と子供たち
第九章 カレー移民の里、バグルンを旅する
おわりに カレー移民はどこへ行くのか
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
今やどの町にもあると言っても過言でないくらいたくさんあるインド料理の店。しかし、そこではたいている人の多くはネパール人である。そんなお店は「インネパ」とも呼ばれる。
で、どうしてネパール人なのか。なんでこんなに店がたくさんあるのかなどがよくわかる。
また、ネパール人同士の攻防やカレー屋の彼らが日本に呼び寄せる家族、特に子供についての現状などそこにある様々な問題についても書かれており、単なるインネパレストランの話にとどまらない。
日本に移住する彼らの地元バグルンでも、彼らが日本に来ることより、過疎化が進んでいるという事態には大変驚いた。何とも皮肉な話である。
また、ネパール人とインド人の違いもよくわかって興味深い。例えば「インド人は男性が稼いで女性を養う。でもネパール人は奥さんも、家族で働く。みんなで商売をする。インド人は男ひとりだから、日本でビジネスが広がらなかったんじゃないかな」(p82)や「「たとえばインドのコックさん、自分の仕事しかやらない。カレーだったらカレーだけ。タンドールだったらタンドールだけ。洗い場だったら洗い場だけ」それはインドのカースト制度の意識が影響した、伝統的な分業制だ。カーストは階層でもあり、また細分化されて職業とも密接に結びついている。このカーストはこの職業、というように仕事と身分が固定化・世襲化されているのだが、だから同じ厨房で働いていても自分の仕事しかやらない人がほとんどだ」「ましてや店の掃除や、お客の対応なんかは全く異なる仕事と認識される。兼務するものではないのだ」(p109)
これらの理由から、インド人よりもネパール人の方が重宝されるのだろう。
また逆に、儲かっているお店のコピペばかりして創意工夫をしなかったり、と教育レベルの問題で失敗してしまうといった側面もある。
インネパを通して、移民の問題やネパールの現状を知ることが出来て、とても有意義だった。読みごたえのある一冊だった。
執筆時期のタイミングからか、本書では言及されていないが、「経営・管理」のビザ要件が厳しくなるようで、それが彼らに与える影響も心配である。
Posted by ブクログ
面白かった!街中にたくさんあるインドカレー屋(インネパ)の実態に迫った本。ネパール国内は産業が少なく海外出稼ぎに行く人も多い、人口の1割は出稼ぎに行くというのは驚いた。ネパール人がインドカレー屋を始めるようになった歴史から、成功した先人達を真似して(何ならメニューも丸パクリしたりして)、現在のように街中に溢れるようになった経緯まで載っていて面白かった。昔は高級路線だったけど、乱立する中でランチなど安価で提供するようになり、そのイメージが定着している。でも、この本を読んで、その苦労とか手間を考えるともっと高い値段をとってもいいように感じた(しかし日本は不景気なのでそれだと売れないジレンマ…)また、カレー屋を始めた親を持つ子の問題というのも興味深かった。激務から愛情不足だったり、いきなり日本に来て適切な教育が受けられなかったり、そのせいでグレてしまったりと中々ダークな一面もあるようだった。でも親もお金を稼いで子どもにいい暮らしをさせたい故なんだろうなとは感じた。そういう意味で、夜間中学に通い日本語を覚え、うまんぱさるを経営したラジーヴさんの話は希望が持てた。また、ビザの問題も中々大変そうで、ビザが一年しかなく先が見通せなかったり、家族滞在故の問題があったりと皆苦労が伝わってきた。よく近くのインドカレー屋さんがチラシを配っていたが、あれは宣伝もあるが、そういうことをするとちゃんと経営実態があると入管に判断してもらいやすいから(曖昧)と聞いて納得した。最近は英語圏への流出が増えているらしいが、不景気といい言語といい、ビザの問題といい、ネパール人がわざわざ日本にいたい理由もないよなと思う。北米圏に行けば給料倍らしいし。そういう意味でも街中のインドカレー屋はどんどん減っていってしまうのかもしれない。とにかく、途中からどんどんインドカレーを食べたくなってきて、近隣のインドカレー屋(インネパ)を調べてながら読んでいた。初めて食べてみようと思う。
Posted by ブクログ
自宅の近くにアジア人が営むインドカレー屋さんがある。
客はいつ行っても私ぐらいしか居らず、私が通うのをやめたら潰れてしまうのでは?といつも心配している。
「ナンを焼く窯を世界に広めるために店を出してるらしく、窯があれば国から補助金が出るから潰れないらしい」とかいう噂を聞いた。なるほど、だからあの店はいつもガラガラだけど潰れないわけね、と本当か嘘かわからない噂に妙に納得していた。
が、どうやらそういったことではないようだ。自分達の店に客が来ようが来まいが関係ない、ここ日本で楽して金を稼いでいるとばかり思い込んでいたが、それは大きな勘違いで「インネパ」界隈には負の面が多数存在している。「楽して金を稼いでいる」どころか、搾取的とも言える労働環境に身を置きながら、日本での成功を目指さざるを得ない立場にあった。
アメリカンドリームならぬジャパンドリームを夢見てやってきたネパール人。
馬車馬のように働きネパールの家族の元に送金するも、彼らの故郷に還元されるどころか過疎化・高齢化は著しく進む。ネパールでは国内産業が「海外への出稼ぎ」に依存していることからも、この悪循環から脱却することは個人の意志ではどうにもできず、なかなか難しいのかもしれない。
自宅近くのインドカレー屋にはつい先日も訪れたばかりだ。いつ訪れてもガラガラなのに何年も潰れてないあの店...本当のところは私には何もわからないが、あの店の見方が以前とは変わってしまった。
Posted by ブクログ
audibleで聴いて、日本で頑張っている彼らを応援したくなり、早速お気に入りのインドカレー店に行ってきた。
人が人を呼び、コピペしたようなインドカレー屋が増えていった背景を知った今、改めてその店の内装や豊富なメニューを見るとインネパのカレー屋の中では拘り派なことがわかった。
ネパール人は、自国には仕事がなく、内戦もあったことから出稼ぎ率がとても多い。
おもしろいのは、日本に行く前にインドで働く、インド経由パターンが多いという。
インド人はカースト制に根差した考え方からの風習として1つの仕事しかやらない特性があるのに対して、ネパール人は柔軟性がありなんでもやるし、宗教上の食材のタブーがなく、給与も安く、インド人と言葉も通じるからインドで重宝されるらしい。
そこからインド人に連れられて日本に行ったり、日本の飲食店からのオファーを受けたりするという。
前半はなるほどと思える内容でとてもおもしろい。
ところが後半はインドカレー屋の闇に迫っていき、家族の抱える問題を知ると切なくなり、まさかのインドカレー屋の本で泣いてしまい自分でもびっくり。
もちろん日本人の飲食店だってみんな必死に経営していると思うけど、外国で逞しく働く彼らに敬意を感じた。
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