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Posted by ブクログ
副題に「絶滅メシとリアルな日本」とあるので、
ちょっと変わった雰囲気の街を巡るガイド本か
な、と思ってしまいまたが全然違います。
国道354線は群馬県高崎市から栃木県の南を通
って、茨城県の霞ヶ浦へ抜けていく北関東を横
断する道です。
この沿道に共通するキーワードは「移民の街」
です。
もちろん日本は表向きは移民を受け入れていな
いですが、バブルの頃の不法滞在者や最近では
技能研修生など、形や名称を変えて日本人の人
手不足を補ってきた歴史があります。
そのような人たちがそのまま日本に住み着いて
いる場所がこの沿道なのです。
その国籍は、イラン、バングラディシュ、パキ
スタンそしてベトナムなど多岐にわたります。
それらの街を訪れ、歴史と日本来訪の実態を余
すことなくルポするノンフィクションです。
訪れる街で共通して聞かれる言葉は「日本は人
手不足と言うけれど、日本の若者は働かない。
ブラブラしているだけ」です。
「大丈夫か?ニッポン」と心配になってしまう
一冊です。
Posted by ブクログ
日本の中にいる外国人労働者が、なぜか関東のある国道沿いに集まっている…パキスタン人の中古車ビジネスや、在日タイ人がお寺を建てていることは他の本で読んで知っていたが、この本はそれをどんどん深掘りする。
茨城の農業が技能実習生の存在なしにはもうたち行かないほどであること、入国管理の基準がコロナ禍の中で状況に合わせて労働力を確保するために調整されたようであること、パワフルな若いベトナム人は労働力として頼もしい一面、トラブルもよく起こること、日本人農家側にも人を雇うためのルールがよくわかっていないところもあるなど、双方の状況をものすごく考察されている。
どれが正解で間違いで、どれが良いもんで悪もんで、というのは単純にはつけられないけれど、
茨城に住むタイの人々が自分達のお寺でお祭りを行うに当たって、回りの家に1軒1軒挨拶に回って、地域の人もお祭りに来てください、少し人が集まってうるさくなるけどすみません、と言って回っているのは穏便に付き合っていくためのひとつの解決策ではないかと思う。
すぐにそれで打ち解けるわけではないけれど、少なくとも相手が普通の人だと思うのと、訳のわからない奴らがわらわら集まって騒いでる、と思うのでは全く気持ちが違うのだ。
日本人が働かない仕事がそこにあるから、外国人労働者がそこに集まるのだ、と書いてあった。
いま、外国人労働者は身の回りでも多く見るようになった。彼ら彼女らも、日本に夢を抱いて来ているはず。それを信じずに、人間として扱わなければ、彼らが非行に走るのも無理はないだろう。
外国人からの日本的アプローチも地域社会に溶け込むために必要な一面で、日本人が外国人を人として受け入れることも必要なことだろう。
Posted by ブクログ
群馬、栃木、茨城をまたぐ国道354号線沿いのエスニック料理店を取材した定食・食堂ガイド本と思いきや…出稼ぎ、技能実習といった移民問題のリアルな現実をしっかり取り扱っている明るいドキュメンタリー。
不法滞在や劣悪な待遇が放置されるなどの問題も避けて通れないが、取材対象の人達は明るく、エネルギッシュなため悲壮感はなく、したたかに逞しく生活して、長い時間をかけて地域にも根ざした人達の姿がある。エスニック系のレストランだけでなく、農業や介護、中古車販売などに携わる人達も取材対象だ。
労働力不足を補うために「見て見ぬふり」をしながら移民制度をいじってきた日本の政府とそれを悪用する一部の雇用者、その制度の抜け穴の中で生き抜いた人達。色々問題がありながら「持ちつ持たれつ」の構図もある。そんな中でも「入管」が非常に威圧的で評判が悪いということが印象に残った。今度入国管理局に関する本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
最近、友人に教えてもらった西川口のガチ中華って言うのかな?フツーの中華料理店では出会えないようなディープな料理にハマっています。ちょっと想像を超えたメニューとインパクトの強い美味しさ、クセになりそうです。味もそうですが、ほとんど日本語が通じない店員さんや、周りのテーブルで話されている中国語もトリップ感を誘ってくれるのです。そしてなんでこの街にこんなお店が集結している不思議にもくらくら来ます。この本を読みながら、その店のこと思い出しました。北関東に南米から来た人やアジアからの技能実習生が多いことは、なんとなく知っていました。しかし、国道354線ってすごいことになっているのですね。東京にいるだけではわからない現在の日本の実像が354という補助線でCTスキャン映像のように浮かび上がりました。もう一本の線は、バブルから始まる外国人受け入れの政策の歴史のタイムラインです。場当たり的な海外からの労働力確保の施策が結果的に人種のパッチワークをつくっています。今回も外国人技能実習制度が廃止され、育成就労制度が創設されることは、どんな社会へ繋がるのでしょうか?労働力ってまとめられちゃうけど、そこには生きる、話す、繋がるって人間の暮らしを持ち込むことであり、その基本の基本は、食べるってことになると思います。そういう人とのコミュニケーションは、この本に登場する絶品メシを楽しむことから始まるのかもしれませんね。それにしても大好きなパクチーの生産の現場のことなんて考えたこともなかった…食べることは生きること、食べることは繋がること、そんなことを思いました。国道354線、すごいです。
Posted by ブクログ
北関東の国道354号線を軸に、日本で暮らす外国人や外国にルーツのある人のリアルな生活の様子を取材した1冊。
西から東へ向かっていく構成で、それぞれの土地で、そこに住む人たちに話を聞いてゆく。いわゆる「日本人」目線ではない、これまで、あまりスポットが当たってこなかった、その土地ごとの現代の1つの生活誌のよう。きれいごとではない、まさにその土地の現実の一端が取材されていて面白い。
さまざまなルーツを持つコミュニティが集まっているからこそ、さまざまな料理店を含むお店がたくさんある。旅してみるのも楽しそうな地域だなと思う。それとともに、自分の住む地域も、こういった人たちに目に見えない形で支えられているので、ふだん意識していないところに目を向けていくと周囲の世界が変わってみえるかもしれないなと思いました。
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