幾つかの事例をふまえて、パワーハラスメントの解説と打開方法、解決事例を紹介されている。
僕の経験からは、職場はパワハラ被害者を護ってはくれない。むしろ、(結果的にではあるが)『パワハラ』をしている側を養護する。
もちろんパワハラを推奨しているのではなくて、パワハラが起こっているのに信じたくないだけ
...続きを読む、加害者の方が役職が上、という事なかれ主義で、結局は被害者が泣きを見る。
パワハラが起こっても職場としては対策に力を入れているフリて、「証拠がない」「思い違いでは?」と言っているのである。
著者は弁護士さんで、数多くの労働事件に関ってきておられる。
パワハラの定義としては一般的には『職場において、地位や人間関係で優位にある立場の者が、弱い立場の者に対して、精神的又は身体的な苦痛を与えることによって働く権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為』と定義されているらしい。つまり、”これこそがパワハラだ”というものは明確に規定されておらず、解釈による。
職場への信頼が揺らぐ場合は、弁護士や労務局への相談などが、良いらしい。
ただし、やはりメモなり記録があった方が良いらしい。
録音も有効だということ。民事の裁判ではこっそり録音したものの証拠として有効だということ。
盗聴器や録音機を買わなくても、iPhoneなどスマホがあれば簡単に録音できるので、こういった記録方法も可能だろう(本書ではそんなこと触れられていないけど)
職場の方にこの本を見せたら、「ウチのことを書いたらこの本よりももっと面白いもの」が書けるよ・・・と自虐的に言っておられた(解決事例ではないけども)。
「パワハラはあってはならん」という方の行為がパワハラなので、困ったもんである。
パワハラに関して、結局はどのような行為も信頼関係によるんだろうな。
今の時代、身体的苦痛を与える事例は少ないかもしれないけども、精神的苦痛においては、特に。
何でもかんでもパワハラ扱いされてはかなわないだろう。
反面、これ完全にアウトだということに関しても職場は動こうとしないのも現実だろうな。そこが腹立たしい。
----------------
【内容(「BOOK」データベースより)】
数多くの労働事件に携わってきた弁護士が、豊富な実例に基づき、パワーハラスメントの実態、法的な視点、具体的対策などに触れ、今後の社会のあり方を考える。
————————
【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
笹山/尚人
1970年北海道札幌市生まれ。1994年、中央大学法学部卒業。2000年、弁護士登録。第二東京弁護士会会員。東京法律事務所所属。弁護士登録以来、青年労働者や非正規雇用労働者の権利問題、労働事件や労働運動を中心に扱って活動している
————————
【目次】
はじめに
第1章 言葉の暴力 ――― パワハラの典型例
第2章 パワハラ判定の難しさ ――― 「証拠」はどこにある?
第3章 長時間労働はパワハラか? ――― 「名ばかり管理職」事件
第4章 そもそも、「パワハラ」「いじめ」とは何か ――― 法の視点で考える
第5章 パワハラのパターンI ――― 労働契約を結ぶ際の嫌がらせ
第6章 パワハラのパターンII ――― 再び、言葉の暴力を考える
第7章 パワハラのパターンIII ――― 仕事の取り上げ、本人にふさわしくない仕事の強要と退職強要
第8章 「退職強要」をどう考えるか ――― 「見極め」が肝心
第9章 では、どうするか ――― 問題を二つに分けて考える
第10章 精神疾患を発症した場合の労災認定 ――― 文字に残すことの重要性
おわりに
---------------