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「発音体感」つまり言葉の語感の大切さに着目した画期的な日本語論である。日本語はなぜ美しいのか。実は、母音を主体に音声認識する言語は、世界的にみても日本語とポリネシア語のみであり、その他の欧米及びアジア諸語は、すべて子音主体で音声を認識している。日本語は希有な言語なのである。本書は、この日本語の特殊性をふまえて、情緒の形成という観点から、ある固体の脳が最初に獲得する言語である母語の重要性と早期英語教育の危険性を説き、風土と言語の関わりから言葉の本質に迫っていく。【目次】第一章 母語と母国語/第二章 日本語の危機/第三章 母語形成と母語喪失/第四章 脳とことば/第五章 母語と世界観/第六章 ことばの本質とは何か/第七章 ことばの美しさとは何か/第八章 ことばと意識/結び――日本語への祈り
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Posted by ブクログ
人工知能エンジニアとして自然言語解析の専門家、2018年には『妻のトリセツ』がベストセラーになった著者が 「発音体感」という言葉の語感に着目した日本語論
心に残った内容 感想
① 母国語とは語感と情景がしっかりと身体感覚に結びついている
「朝よ、おはよう」と赤ちゃんの頃から声をかけられて抱きあげられていたら、日本の風土のまぶしい朝日と活動が始まる躍動感を経験の中で認識する
朝の「あ」はノドも口も開ける開放感、「さ」は舌の上に息を滑らせて口元に風を作るSの組み合わせ
「おはよう」は第2音の「は」に弾むような感覚があり
親と赤ちゃんは同時に爽やかな空気と朝の光と語感を感性の情報としてインプットしている
情景と語感が一体化している発音体感の例として、擬音語・擬態語
カラカラ・クルクル・コロコロ サラサラ・スルスル・ソロソロ タラタラ・ツルツル・トロトロ
Kは固く乾いた感じの固体 Sは空気をはらんで滑るような感じの気体 Tは水分を含んで粘り気がある感じの液体
Kはノドの奥をいったん閉じて、その接着点に強い息をぶつけて音を出すノドの破裂音で
口の中を早く突き抜け、唾液と混じらない乾いた音
擬音語だけでなく、硬い キツイ、キリ、剣、かたくな など意味と語感が結びついているものも多い
ケンスケ・キイチ・ケイコ・小林・加藤などイニシャルKには強くて速くてドライなクラスのみんなから一目置かれているイメージ
クヨクヨは? YaYuYoは二重母音の特殊な構造で緊張を緩和するゆらぎの優しい音
ヒヤヒヤ・すやすや・そよそよ・くよくよはすべて揺らぎの意味を含む
Hは気管をこする息の音、大量の音をノドにぶつけて喉元が熱くなるほどで体温を感じる音
ヒヤヒヤは熱さ・冷たさ・緊張を緩めるゆらぎがある
Sは息を滑らせて、前歯でこすって音を出す口の中の風の音だから爽やかで涼やか
切ない・寂しい・颯爽・すっきり・スピード・スポーツなどの外来語も日本語のSの語感に合致しているので定着した
Tは上あごに舌をつけてはがすときに音を出すので最も濡れてねばる感じ
タラタラ・たっぷり・たらふくなど豊かさ充実感を表す言葉が多い
3人姉妹「ミカ(仕切り屋の長女)・ミキ(個性的な次女)・ミク(内気な末娘)」語尾の母音の違いでイメージが違ってくる
② 母音を主体に音声認識する言語は世界的に見て 日本語とポリネシア語のみ、言語脳・左脳で言語を認識
その他の欧米、アジア諸国はすべて子音主体・アラビア語は最も子音に頼っている言語で砂漠の民は悠長に大きな口を開けて母音を発音しない
子音を骨格として認識する世界の大多数の人たちは母音を音響効果音として右脳で聞いている
自然の音の音響波形は母音と似ているので、風や雨、小川のせせらぎ・木の葉のこすれる音や虫の音を歌声のように聞き、自然と調和し会話しながら生きてきた
一方、子音語族は自然の音は語りかけてくるとはとらえずに自然と対峙して、統制を取り、または保護するという発想になる
③ 潜在意識で母音骨格をつかむ日本人は、話しているうちに相手と融合してしまう
合意が得られていなくても、なんとなくわかり合えた気になってしまう
合議制という名前の下でお互いの落としどころを探り合っている
子音語族の人たちは、相手との境界線がある
それを超えて理解し合うには権利と義務について話し合う合議制が合っている
確かに日本語は音の響きだけでイメージをとらえることができたり、和歌や俳句の短い言葉で広い世界を表現する文化が合ったり、気持ちを汲み取ったり、共感するのが得意な言語だと思う
そして、主語を言わずにぼかしたり、自分の意見なのか世間の味方なのか立場をあいまいにする会話も多い
親しい間柄ならそれでも済むが、ビジネスや公式の場所、あるいは日本語が母国語以外の人には、もっと詳しく説明しないと伝わりにくい
長い歴史の中で土地を追われたり、母国語を奪われることなく、日本語をはぐくんでこられた事に感謝しつつ、違う文化や言語体系を持つ人たちとも言葉で分かり合えるような柔軟性を身につけたいと改めて感じた本
Posted by ブクログ
「私の長年の疑問を、この本が答えてくれた」。
そんな気がします。
日本語を母語とする私たちは、日本語の言葉を発するとき、
息の流れを体感し、
そして言葉そのものにストーリーを頭に描いているのですね。
「なるほど!」という実感を、得ることができました。
著者の黒川さんは、「脳とことば」の研究者。
人工知能の開発にも携わった方なのです。
言語学一筋という研究者と、
また違ったアプローチがこの本でなされているのが
とても新鮮でした。
「おはよう!」は、日本に風土に似合った朝のあいさつ。
「Morning!」は、イギリスの風土に似合った朝のあいさつ。
日本を母語とする人にとって、日本語は美しい。
イギリス語を母語にする人にとって、イギリス語は美しい。
風土に似合う、言語があるのですね。
その中、日本語の特異性にも触れたあったことも
見逃せません。
この本から、お互いの風土に根ざしたことばや
文化、習慣を
お互いに尊重していきたいな、と感じさせてくれました。
Posted by ブクログ
# 日本語は美しい。そして未来への祈り
## 面白かったところ
- 著者の文字からあふれる日本語愛が感じられて素敵だった
- 「英語を子供に習わせるか」の問いに対する著者の意見が、かなり納得の行くもので面白かった
## 微妙だったところ
- 特になし
## 感想
日本語の美しさは、ひらがな一文字にすら埋め込まれている色や情景から始まる。
そんな印象を受けた一冊だった。
「あさ」という言葉と「morning」では連想される景色が異なる。こんな感じで日本語の美しさを綴っており、新たな視点を日本語に対して持つことができた。
いつも読んでいる論評や専門書とは違った文化性の強い一冊だが、たまにはこういう本も良い。
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