ミラン・クンデラのレビュー一覧

  • 存在の耐えられない軽さ

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    愛と性は別であると考えて、短期間に複数人の女性と交際を繰り返すトマーシュ。浮気と本気の線引きがあり、彼なりの優先順位がある。トマーシュの強さとテレザの弱さのアンバランスの描写が、読んでいて苦しかった。
    生き方の異なる2人が居れば、弱い方が耐えられない気持ちになるのは自然なことだと思う。
    親しい人から、自分は替えがきく存在なんだと感じた瞬間に私は冷める。だからテレザに共感はできず私はサビナに憧れる。自分を大事にしてくれる人を見つけ、自分の居場所を自分の力で見つけて生きたい。
    男女の性の価値観の違い。それによって生じる問題が政治的抑圧を背景に展開されていて物語に惹き込まれた。序盤以降は読みやすかっ

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    2025年08月28日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    著者のミラン・クンデラが巧妙なのは、同じ人間の中に「重さ」と「軽さ」を同居させていること。

    トマーシュは政治的信念については妥協しない重厚さを持ちながら、恋愛においては徹底的に軽やかだった。
    彼の性的な「軽さ」は、一人ひとりの女性との関係に深い意味や責任を求めない。でも、それは彼なりの一貫性でもある。
    興味深いのは、彼がテレザとの関係においてだけは「重さ」を感じていたこと。テレザは彼にとって唯一、軽やかに扱えない存在だった。
    つまり、トマーシュは自分なりの価値基準を持っていた。政治的信念は重く、性的関係は軽く。そのバランスが彼という人間の核心だったことだ。そして、その矛盾を抱えた姿に、どこか

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    2025年08月01日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    静謐な文体で紡がれる哲学的小説。

    自分という存在、そして今生きているこの人生は耐えられないほど軽いのか。それとも重いのか。この先ずっと、自問自答しながら生きていくことなりになりそう。
     


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    2025年07月16日
  • 不滅

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    『存在の耐えられない軽さ』もそうだけど、男女の物語と哲学的なメタテキストが混然一体となって踊るような構成で、細部の言葉遣いを味わいつつも引っ掛からずに読める滑らかな文章で綴られている。その読書感覚は独特で、クンデラ以外では読んだことがない。現実世界と小説の境界を溶かそうとして敢え無く現実世界に呑み込まれてしまうような切なさを感じる。

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    2025年01月08日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    存在の耐えられない軽さ、素晴らしい本だったな
    久しぶりに読後の余韻を深く感じている気がする
    人生の必然性と偶然性、私たちはどちらに導かれていくのかそしてそのどちらに抗って生きいているのか
    何も求めずにはいられない人間が自分がこれさえあれば生きていけるというものは何なのか
    第二次世界大戦でドイツの侵攻によって、その後もプラハの春で自由化の動きをみせるがソ連の軍事介入によって制圧されたチェコスロバキアの時代の中で語られるからこそこの物語がもつ哲学がとんでもないメッセージ性を持っていた気がする

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    2024年12月22日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    動乱のチェコで繰り広げられる、心震える男女の愛。

    愛や誤解が招く幸も不幸も全て描き、読者に、世界にそれを問う。「Muss es sein?」

    「一度は数のうちに入らない」が、人生に二度はない。そんな人生を我々はどう過ごすべきか。一瞬一瞬を大切に、重く扱い生きるのか。それとも過去を捨て軽やかにに生きるのか。

    答え合わせのない暗中模索の人生のゴールは見つからないかもしれない。けれど、その日を信じて、僕らは「そうでなければならない」行動を続けるしかないのである。

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    2024年11月07日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    私がこの作品を読もうと思ったのは「プラハの春」以後のプラハの雰囲気を知るためでした。この作品ではプラハの知識人たちが負うことになった苦難の生活の雰囲気をリアルに知ることでできます。また、この作品の中盤以降は特にこうしたソ連による支配に対する著者の分析が小説を介して語られます。これはかなりの迫力で息を呑むほどです。

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    2024年08月18日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    ネタバレ

    プラハの春とは、1968年のチェコにおける民主化・自由化運動である。作者のクンデラはこれを文化面で支えた作家だった。だが、この運動はソ連の介入によって鎮圧され、その後「正常化」の時代が始まる。この時代にクンデラは数々の弾圧を受け、1975年フランスに亡命した。これが本作の背景として描かれる。
    この作品は風変わりな小説である。小説家はふつう、登場人物の行動をあれこれ解説したがらない。むしろ、解説のいらない文章を書くのが小説である。ところが本書では、作者であるクンデラ自身がたびたび表に顔を出す。これは恋愛小説に仕立てたクンデラの思想であり、あるいは思想について書かれた恋愛小説である。

    外科医のト

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    2024年05月04日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    大大大好きな本。昔は恋愛とか自意識に責められ辛くて読めなかったが、やっと22歳になって読めるようになった。

    地獄のような生活から出てくるこのタイトルがすごい。

    結局この本は同じことをいろんな例えで言っているのだ。人生は一回きりでやり直しも繰り返しも起きない。もし何かが一回しか起きなかったのであらば、それは起きなかったことと同じ。こんなに耐え難く辛い人生も、実は1回しかないし、耐え切れないほどの軽さだったのだ。

    この軽さは実は幸福なのである。


    最後に好きな言葉。
    ⚪︎
    地球が爆弾で震撼しようが、祖国が毎日新たに侵略され略奪されようが、すべての隣人が連行され処刑されようが、これらすべての

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    2024年01月03日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    タイトルからかっこいい。
    一回読んだら終わりという作品ではなく、生涯傍らに置いて節目に読み返せば、また違った印象をうけそう。哲学的で?な箇所も味わい深い名作。

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    2023年09月18日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    「人間というものは、ただ一度の人生を送るもので、それ以前のいくつもの人生と比べることもできなければ、それ以後の人生を訂正するわけにもいかないから、何を望んだらいいのかけっして知りえないのである」

    ご冥福をお祈りします。

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    2023年07月13日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    10年おきぐらいに気になって読み返し、そのたびに新たな発見がある。
    哲学的ながらも文学として心地良いテクストで、気がつくと没入して読んでいる。
    人生の最後にどういう心境で読むことができるか、自身の価値観が映し出される名作。

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    2023年04月30日
  • 不滅

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    まさに自由奔放
    時間は真っ直ぐ進まなく、現実/虚構の区別も曖昧。
    けれども、それぞれの「エピソード」が、複数の主題と結びついていき、壮大な人生の小説となる。

    ■「不滅」「顔」「イメージ」
    2020年代現在、当時よりもより一層、(一般市民の)私たちにとって身近に潜むテーマなのではないか。
    私たちは片手一つに収まる電脳世界の中で、ほぼ四六時中イメージの生成に勤しんでいるし、さらにそれを不滅の世界にいとも簡単に残せてしまう。
    そして、あまりにも多い顔たち……。

    ■アニュスが意図もせず、死によって他者の中にあるイメージを強く刺戟したことを考えると、
    きっと私たちは不滅にならざるを得ないのだと思う。

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    2023年03月29日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    存在の耐えられない軽さ

    1.動機
    読者レビュー「読んでみたら?の外国文学」にあったためです。
    外国文学は、年に一冊読むか?読まないか?です。
    結論、出会えてありがとうございます の書籍となりました。

    2.舞台
    ソ連に侵攻されたチェコが舞台です。
    著者の故郷です。
    チェコが開放されて、解禁となった著書であると後書きにありました。

    3.主人公
    外科医。応援でたまたまチェコへ。
    外食先のレストランで1人のウェイトレスと出会います。
    そのウェイトレスは、彼が読む書籍が、自身と馴染みのある同じ書であったため、彼に惹かれます。
    そして、2人は、ソ連侵攻後に、夫婦となります。

    4.書籍より
    「人生の

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    2023年03月19日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    何度も読みたい作品

    オススメされて読んだが、この小説をきっかけにミラン・クンデラにはまった。
    数年経ってもう一度読んだとき、今と違う感想を抱くんだろうと思う。

    是非手にとって読んで欲しい

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    2023年01月31日
  • 笑いと忘却の書

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    クンデラの作品の魅力にチェコの歴史が持つ政治的困難さを背景とした恋愛劇という要素があるのだが、これが何より素晴らしいのは恋愛の様相がそのまま政治的メタファーとして機能していることだ。愛し合う二人にも決して対等な関係は成立せず、多くの場合はその力関係と駆け引きに右往左往するその姿は、大国と小国の関係性と何の変わりもない。そして、時に政治は恋愛以上に個人的なものとして現れる。そのような状況に陥った時、人は比喩の重要性に、反語の持つ力強さに、変奏曲の様な多層的語り口の可能性に気が付くのだ。ひたすらに胸を打つ。

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    2014年09月23日
  • 不滅

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    「生きること、生きることには何の幸福もない。しかし、存在すること、存在することは幸福である/人生において耐えられないのは、存在することではなく、自分の自我であることなのだ」ポールとアニェスの関係をゲーテとベッティーナとの対位法的に描きながら次第に既存の物語の手法から逸脱させていく本作だが、それは歴史の非合理さと合わせ鏡となることで不条理な生を浮かび上がらせている。絶望はしても決してその感情には醉わない―そんな場所から書かれた言葉は自分が自分であることの困難さを抱えた者たちにとても深く、重く突き刺さるのだ。

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    2014年09月14日
  • 不滅

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    学生の頃に一回読んでるはずの本。そのときは、これが小説なんだ、と新鮮な驚きを感じたのを読み返しながら思い出した。学生時代はクンデラやマルケスや色々読んでいて、小説って色々あるんだなあ、と驚いていたと思う。
    最近になり、仕事や勉強の本ばかり読んでいてもよくないような、もっというと精神的な休憩が必要な気がし始め、小説を読み返したりしている。いいもんだね。自分の土壌に肥やしと水が注がれるようで。

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    2012年02月12日
  • 不滅

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    クンデラが、これこそ「存在の耐えられない軽さ」だと
    作中で述べる作品、不滅。

    吾が親愛なるゲーテ先生が語る。

    時系列があいまい。出来事がいろんなところで交差する。
    その絶妙さ。そして不滅の存在について。自我について。

    存在は幸なり。自我こそ苦なり。

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    2009年10月04日
  • 不滅

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    クンデラは、女性のキャラクター描写が上手いなぁ。女をよく見てると思う。今回は、勿論アニエスに共感すること多数。なんかもぅ、本当にアイロニック。

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    2009年10月04日