ミラン・クンデラのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
冒頭からニーチェの「永劫回帰」を持ってくるあたり、クンデラ氏の「自分の世界の様式」を表現し思索し実行している良作である。
永劫回帰から小説の主題である「存在の耐えられない軽さ」へ落とし込み、物語を通して深掘りしていく作品である。
人生も環境も自然も宇宙もあらゆる森羅万象が永遠に永遠に繰り返され、それらを乗り越える勇気(超人)へ至るとニーチェは言う。ニヒリズムではあるが、もう一度、同じ人生を歩みたいかと問う視点と、一度っきりの人生を全て奇跡的な偶然と捉え、その軽さの中で人生を歩みたいかと問う視点の両者の視点が読者をという「存在」という重さと軽さを同時に味わうことができ、深く思索することができるで -
Posted by ブクログ
ネタバレシュール。皮肉的で滑稽でさえある。でも不思議と、充実感のある満ち足りた小説であるように感じた。それまで一見バラバラに進んでいたいくつかの物語が、山場になってドミノ倒しのように連続して影響を与えているのが面白かった。
クンデラ作品は存在の耐えられない軽さに続いて二冊目だが、もしかして作者は尻の穴がとてつもなく好きなのか...!?と困惑している。‘‘おどけ‘‘で、真面目な雰囲気をぶち壊すために入れられているのはもちろん理解しているのだけど、それにしたって、いや、...。ちょっと捉え方に困る。実はエロとみるかギャグなのか私の心が揺れてるだけなんだ。面白い。
スペクタクル、というテーマは現代的だ -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初のうちは面白く読んでいて、付箋なんかもつけたりしたのだけれど、半分も読み進まないうちに何を読まされているのかわからなくなる。
今は誰の話を、なんの話を、いつの話を読んでいるのか?
物語の大半は理解できないうちに零れ落ちてしまったけれど、なんとか少しでも掬い取れたらいいのだが。
ふと見かけた見知らぬ女性の、軽やかにひるがえる手の動きを見て心を惹かれた私は、その女性にアニェスと名付けて、彼女の家族とその関係性について思いを馳せる(妄想する)。
アニェスの母は、家族や友人たちに囲まれて生きることに喜びを感じる人だったが、アニェスの父や彼女は、人と離れて生きることに安心を覚えるタイプだった。