ミラン・クンデラのレビュー一覧

  • 冗談

    Posted by ブクログ

    クンデラさんはこれで二冊目だけど、言いたいことは『存在の耐えられない軽さ』と同じ、かも、し、れな、い。個人的に、コストカさんの叫びで泣きました。また『存在の~』と同じく、直線としての時間を肌で感じる作品。そして円環としての幸せも。

    0
    2016年06月19日
  • 笑いと忘却の書

    Posted by ブクログ

    クンデラの作品の魅力にチェコの歴史が持つ政治的困難さを背景とした恋愛劇という要素があるのだが、これが何より素晴らしいのは恋愛の様相がそのまま政治的メタファーとして機能していることだ。愛し合う二人にも決して対等な関係は成立せず、多くの場合はその力関係と駆け引きに右往左往するその姿は、大国と小国の関係性と何の変わりもない。そして、時に政治は恋愛以上に個人的なものとして現れる。そのような状況に陥った時、人は比喩の重要性に、反語の持つ力強さに、変奏曲の様な多層的語り口の可能性に気が付くのだ。ひたすらに胸を打つ。

    0
    2014年09月23日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    「生きること、生きることには何の幸福もない。しかし、存在すること、存在することは幸福である/人生において耐えられないのは、存在することではなく、自分の自我であることなのだ」ポールとアニェスの関係をゲーテとベッティーナとの対位法的に描きながら次第に既存の物語の手法から逸脱させていく本作だが、それは歴史の非合理さと合わせ鏡となることで不条理な生を浮かび上がらせている。絶望はしても決してその感情には醉わない―そんな場所から書かれた言葉は自分が自分であることの困難さを抱えた者たちにとても深く、重く突き刺さるのだ。

    0
    2014年09月14日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    学生の頃に一回読んでるはずの本。そのときは、これが小説なんだ、と新鮮な驚きを感じたのを読み返しながら思い出した。学生時代はクンデラやマルケスや色々読んでいて、小説って色々あるんだなあ、と驚いていたと思う。
    最近になり、仕事や勉強の本ばかり読んでいてもよくないような、もっというと精神的な休憩が必要な気がし始め、小説を読み返したりしている。いいもんだね。自分の土壌に肥やしと水が注がれるようで。

    0
    2012年02月12日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    クンデラが、これこそ「存在の耐えられない軽さ」だと
    作中で述べる作品、不滅。

    吾が親愛なるゲーテ先生が語る。

    時系列があいまい。出来事がいろんなところで交差する。
    その絶妙さ。そして不滅の存在について。自我について。

    存在は幸なり。自我こそ苦なり。

    0
    2009年10月04日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    クンデラは、女性のキャラクター描写が上手いなぁ。女をよく見てると思う。今回は、勿論アニエスに共感すること多数。なんかもぅ、本当にアイロニック。

    0
    2009年10月04日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    あるひとつの仕草を発端に作者の中に生まれでた、虚構の人物のはずの「アニェス」が、読み進めているうちにどんどん「存在」してくる様はまるで魔法のようで、いつのまにか「不滅」の世界に呑まれている自分に気付きます。
    「存在の耐えられない軽さ」よりも好きな本です。

    0
    2009年10月04日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    クンデラの小説で一番好きなのがコレ。話を一言では言えないけど、エピソードに頼らない小説の力を見たような気がしました。

    0
    2009年10月04日
  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    難しいから、なかなか理解出来てないとは思うけど、読めてよかった。
    愛ということについて普段深く考えることはないがトマーシュとテレザのやるせなさは感じられた。
    共感するというよりはそんな考えもあるのね、と思った。
    時間経ったら再読しようと思う。

    0
    2025年07月31日
  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    冒頭からニーチェの「永劫回帰」を持ってくるあたり、クンデラ氏の「自分の世界の様式」を表現し思索し実行している良作である。
    永劫回帰から小説の主題である「存在の耐えられない軽さ」へ落とし込み、物語を通して深掘りしていく作品である。
    人生も環境も自然も宇宙もあらゆる森羅万象が永遠に永遠に繰り返され、それらを乗り越える勇気(超人)へ至るとニーチェは言う。ニヒリズムではあるが、もう一度、同じ人生を歩みたいかと問う視点と、一度っきりの人生を全て奇跡的な偶然と捉え、その軽さの中で人生を歩みたいかと問う視点の両者の視点が読者をという「存在」という重さと軽さを同時に味わうことができ、深く思索することができるで

    0
    2025年05月13日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    長い。プールサイドで見た老女のひと仕草だけからよくもこんなにつらつらと描けたものだ。不滅とか顔とか、存在論的な単語がモリモリ。

    0
    2025年05月05日
  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    哲学的で難解で、最初はおもしろくないなと読み始めたけど、中盤を越えたあたりから気付くとこの世界に入り込んでいた。存在の重さと軽さ、愛と性は別物であると複数の女性と浮気する外科医トマーシュ、やがて再婚する相手であるテレザと切れないサビナの人生もまた自分の存在について心を掻き乱す。テレザの愛犬カレーニンの最後の章は涙が出た。カレーニンだけがこの苦しさを癒してくれた唯一の存在だったから。

    0
    2025年01月27日
  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    愛とは何か。存在とは何か。
    当時の歴史的背景を知らないので理解が及ばない箇所も多かったが、読むたびに味が出てきそうな作品。

    0
    2025年01月15日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    5章以降、私のことかと思った
    文章の連なりから受け取る感覚も、鋭い洞察も特別あるわけではないが、形式が持つ何かを感じた

    0
    2025年01月13日
  • 緩やかさ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     シュール。皮肉的で滑稽でさえある。でも不思議と、充実感のある満ち足りた小説であるように感じた。それまで一見バラバラに進んでいたいくつかの物語が、山場になってドミノ倒しのように連続して影響を与えているのが面白かった。
     クンデラ作品は存在の耐えられない軽さに続いて二冊目だが、もしかして作者は尻の穴がとてつもなく好きなのか...!?と困惑している。‘‘おどけ‘‘で、真面目な雰囲気をぶち壊すために入れられているのはもちろん理解しているのだけど、それにしたって、いや、...。ちょっと捉え方に困る。実はエロとみるかギャグなのか私の心が揺れてるだけなんだ。面白い。
     スペクタクル、というテーマは現代的だ

    0
    2024年07月08日
  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    すごい時間かかってしまったので、覚えていたり、いなかったり。
    最初からいきなり哲学っぽいのが来てびっくりしたけど、そこを乗り越えてからは面白かった。

    架空の登場人物でありながら、本当にいそうな厄介さを持った人たちがこねこねと考えながら関係を続けていくのを読み進めていくのがおもしろい。
    境遇も性格も似通うところはほとんどないのに、まず「わたし」がいて、わたしの支配の及ばぬところの、「あなた」がいる、そのままならなさについてあれこれと考える端々にたまにものすごく共感してしまう感じがあった。かも。

    0
    2024年03月14日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    とりあえず一読。

    安易に整理をつけようとすると、作者から嗤われそう。
    もう何周か読んできちんと書きたい。

    0
    2023年11月28日
  • 存在の耐えられない軽さ

    Posted by ブクログ

    これは、恋愛小説なのか?哲学書なのか?
    本書は今までに読んだことないジャンルの小説と感じた。
    登場人物の心情を事細かに語る恋愛小説が展開されていくのですが、途中著者が主人公の心情がもう理解できないとのコメントを吐露するのです。
    メタ恋愛小説的な構造が展開され、読者である私は虚をつかれるのです。
    最初から哲学書として本書を読んでいたら、また違った心構えで読めたかもしれません。

    0
    2023年10月25日
  • 小説の技法

    Posted by ブクログ

    カフカベタ褒め。
    役所を幻想的なものとして見たカフカはやっぱりどこかイカれてる。
    存在の耐えられない〜読みます。
    小説家らしく小説でしか表現できないものを追求してるその姿勢に、身を引き締められる。
    小説家は自らの実存を作品に見出す。
    テーマと物語のバランスが往々にして崩れている作品はよく見る。テーマ語りとは逸脱行為だということを自覚する必要がある。
    上手ければいいと思うけど。

    0
    2023年10月17日
  • 不滅

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最初のうちは面白く読んでいて、付箋なんかもつけたりしたのだけれど、半分も読み進まないうちに何を読まされているのかわからなくなる。
    今は誰の話を、なんの話を、いつの話を読んでいるのか?
    物語の大半は理解できないうちに零れ落ちてしまったけれど、なんとか少しでも掬い取れたらいいのだが。

    ふと見かけた見知らぬ女性の、軽やかにひるがえる手の動きを見て心を惹かれた私は、その女性にアニェスと名付けて、彼女の家族とその関係性について思いを馳せる(妄想する)。

    アニェスの母は、家族や友人たちに囲まれて生きることに喜びを感じる人だったが、アニェスの父や彼女は、人と離れて生きることに安心を覚えるタイプだった。

    0
    2022年12月13日