ミラン・クンデラのレビュー一覧

  • 冗談

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    ミラン・クンデラの初の長編作品である本作。冒頭、故郷の街に降り立ったルドヴィークの目的も過去もまったく見せずに始まるこの物語は、語り手を替え時代を行き来しながら展開し、少しずつ彼と彼に関わる人々の背景や生き様を明らかにしていく。まずこの構成に引き込まれて、一気に読んだ。
    1949年、前年の二月事件によりソ連型共産主義政権が樹立したばかりのチェコスロバキアで、党を支持する学生の一人として時流に乗りながらも、ごく普通の若者らしく恋に懊悩していたルドヴィーク。彼が離れた場所で過ごす恋人の楽しそうな様子をやっかんで書き送ったほんの「冗談」のつもりの葉書が、党、そして大学から彼を追放するに至る運命の転換

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    2021年10月27日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    男と女の物語は地球上どこにもあるけれど、文学上の創作上の高尚とも思える比喩が普遍になって、やっぱり卑近に戻ってきたという感想だ。

     「永劫回帰」などと、のっけから難しいと思わせるのが文学で、トマーシュがドンファンで、恋人となったテレザがかわいそう、と同情するのが普通でわかりやすいのか?

     このふたりのお国がチェコだから運命の歯車が狂ってきた?

     チェコ、遠い国の運命は北朝鮮の拉致事件が明るみに出てしまった今の日本でものすごくよくわかるということ。

     あれかこれか、あのときああすればこうならない。

     と、思っているひとが多いかもしれない。
     
     運命?

     なにがどうなって、こうなって

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    2025年09月11日
  • 不滅

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    今までの小説とは異なり、著名な芸術家の部分的なストーリーである。ゲーテ、ブリューゲル、モーツァルトなどヨーロッパの芸術家が軒並み登場する。チェコの情勢は殆ど書かれない。
     芸術家の人となりを簡単に知るにはいい本であろう。

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    2021年09月07日
  • 笑いと忘却の書

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    7部構成であったが、1部ごとに話が全く異なり、主人公も異なる。幻想的なストーリーがほとんどである。チェコの政治状況も少し含んで書いてある。

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    2021年06月11日
  • 別れのワルツ

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    本人がフランス語で書いた小説である。結末は簡単に推測できるので、推理的な面はない。訳者があとがきで記載しているのは、クンデラは小説にユーモアを入れたかったという。そこで、チェコのユーモアを読み取るためには良い素材であろう。

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    2021年05月27日
  • 冗談

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    存在の耐えられない軽さよりも政治的な小説である。ソルジェニーツィンの収容所群島とおなじような小説である。フランス語の作者の手直しを翻訳したものであり、かなり厚い本であった。チェコでの個人の冗談の手紙がどのように政治的に判断されたか、ということが、大西の神聖喜劇に通じ、日本も同じ歴史を辿ってきたことが感じられよう。

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    2021年05月08日
  • 小説の技法

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    ミラン・クンデラの小説を全て読んでから読む本であった。クンデラの小説を自分で解説しているからである。クンデラがフランス語で書いた本ということであるが、フランス語と英語の翻訳の小説は適当に部分を省略したり、文章をバラバラにしたりしている、と書いているが、チェコ語が読めないので仕方がない。クンデラについて卒論を書くためには必須の本であろう。

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    2021年04月30日
  • 冗談

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    抒情的な青春時代。
    小さな1つの冗談によって大学から追放されてしまったルドヴィグは、復讐のために生きていく。
    全ての冗談が真面目に受け取られる世界、共産主義体制下のチェコで、クンデラと主人公の青春時代が重ねられる。

    青春はクンデラにとって
    自分のことしか見えなくて、それでもそれが愛だと思う、初々しく未熟な時期らしい。

    青春と愛、憎しみと赦し、復讐。
    復讐の虚しさ、盲目的な人生の空虚さ
    クンデラ作品でも結構好きだな

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    2019年04月21日
  • 不滅

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    ネタバレ

    作中で、作者はエピソード(エピゾード)のとるにたらなさを語っている。だけれど、本作で伝えられているのはそのエピソードの威力にほかならない。私たちの存在を支え、他者に印象を与え、思い出させるのはエピソードであって、私たち個人そのものではない。

    キャラクターの魅力でいうと、ファザコン極めたアニェスの高潔さが好きだし、ヒステリックで自己愛が過ぎる(でも、自分に自信がない)ローラの身勝手さには苛々する。ポールの空しい若さ崇拝や半分意識的な無神経さにも。

    でも、最後にアニェスの仕草でポールをつなぎ止めるローラや、その仕草を嬉しがるポールには、スカッとするような可哀相になるような、不思議な気持ちがした

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    2018年05月28日
  • 別れのワルツ

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    テンポよく読めるけれども、テーマはそこまで軽くない。トランペット奏者は話のきっかけなのであってどんどん存在感がなくなっていく。亡命を計画しているヤクブが主人公に近いのか、ラスコリニコフと自分の比較をする部分は面白かった。にしても医者スクレタ、グロテスクすぎる。

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    2017年03月22日
  • 冗談

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    ・ミラン・クンデラ「冗談」(岩波 文庫)は 「作家自らが全面的に手直しした決定版を定本とした新訳。」であるといふ。これは販売用のコピーなのだらうが、ごく素直に読めば、クンデラのチェコ語原典版からの翻訳と解せる。ところがさうではないのである。訳者解説中にかうある、「〈プラハの春〉も〈ビロード革命〉ももはや遠い過去になった二一世紀の現在、もっぱら一個の古典的文学作品として読まれることを願う岩波文庫のこの新訳は、原著者の強い要望に沿って、八五年のフランス語決定訳を収めた二〇一一 年刊行、フランソワ・リカール監修のプレイヤード版を定本としている。」(525頁)だから決定版で旧訳とは違ふのだといふわけで

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    2015年02月08日
  • 不滅

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    人々がまるで戦場で死ぬように車で死んでいるけれど、しかし現代人の誇りである自動車を禁止するわけにもゆくまい。惨事のかなりのパーセンテージは、無謀な運転手の酩酊に責任を帰するべきだけど、しかしフランスの遠い昔からの栄光である葡萄酒を禁止するわけにはゆくまい。公共の場所での酩酊の一部はビールによるものだけれど、しかしビールも禁止するわけにはゆくまい、というのは市場の自由に関する国際条約の違反になるだろうから。

    ↑この皮肉めいた冷静な言い回しがとてもいい。


    自我の単一性を開発するには二つの方法がある、足し算的方法と引き算的方法である。

    嘘をつくな、真実を言え、はある人間が他の人間を対等とみな

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    2015年01月08日
  • 別れのワルツ

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    軽やかに踊ることで別れを告げる相手は一夜限りを共にする相手なのか、それとも二度とその地を踏まぬと決意した祖国に対してなのか?クンデラにしては比較的オーソドックスな形式で描かれた5章‐5日間の協奏曲。ダンスのパートナーが次々と入れ替わるように、対比的な会話が次々と交差し、愛という観念は決して留まることなくその印象を変えていく。そして嫉妬や後悔、情念といった感情を精緻に明晰に切り取ってしまうクンデラならではのその筆力が、普遍的な恋愛物語を悲劇と困難に直面した歴史のメタファーとして成立させているのだろう。

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    2014年09月16日
  • 別れのワルツ

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    8人の男女を中心にして語られる、ある田舎の温泉地での5日間の出来事。
    次々と視点を変えて紡がれる物語はとてもテンポが良くて、まるで本当のワルツのように、くるくると回るように進んでいく。
    そして彼らが描く円の中心には何があるのかと言えば、それは死と、生と、愛、罪、罰、そして一夜の情交のように儚い喜びである。

    男と女は、どうしてこんなにも分かり合えない。

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    2014年01月21日
  • 不滅

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    ネタバレ

    【概要・粗筋】
    「私」がプールサイドで友人を待っているときに見かけた初老夫人の魅力的な仕草から生まれた主人公アニュス。彼女の愛と悲しみと戦いの人生を描く物語(粗筋を書けるほど理解できていない・・・)。


    【感想】
    非常に難解な小説。断片的に理解はできるものの、一読しただけでは大まかにも把握はできなかった。それでも、語りの巧妙さから600ページものの長さを感じないほどどんどん読み進めてしまうほど不思議な魅力を持っている。

    この小説の主要人物はアニュスを中心とするその家族たちなのだが、そこにゲーテやヘミングウェイ、実在の人物なのか架空の人物なのかわからないアヴェナリウス教授、ルーベンス

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    2011年06月19日
  • 不滅

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    うまくいえないですが、この人の小説に、シンクロする瞬間があります。それがなんとも心地よくて読んでしまう。文化も歴史も違う国の人なのに、それを感じつつも同化する瞬間。いろんなシーンが交差しながら、最後はしゅっとさりげなくまとまるあたり、心地よく読みました。

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    2010年03月12日
  • 不滅

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    小説の醍醐味を教えてくれる作品。クンデラは一貫して人間とは何かを問い続けています。彼は自らの知性によって、一人ですくっと立っている人なのでしょう。

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    2009年10月04日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    ​『チ。』の魚豊先生の生涯ベストの本とのことで(更新された?)手に取ってみました。

    哲学系かな?と思ったら、ストーリーが展開されて掴めるような掴めないような、不思議な読書感。
    ハッとするような、書き留めておきたいような核心を突く部分があったり、気が抜けない面白さがありました。多分本質は掴めてない気がする…。

    知ってるか知らないか、の
    オイディプースの話興味深かった。

    いいなと思ったところ↓
    P112 
    「人がまだ若いうちは、人生の曲はまだ出だしの数小節のところなので、それを一緒に書き、(トマーシュとサビナが山高幅のモチーフを交換したように)そのモチーフを交換できるが、もう年がいってから出

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    2026年01月27日
  • 誘拐された西欧、あるいは中欧の悲劇

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    「存在の耐えられない軽さ」の著者ミラン・クンデルによる。
    ローマ帝国の時代から東西冷戦など、ヨーロッパの中心にあるがゆえ翻弄された中欧。
    日本にいるせいか、アイデンティティはなかなか意識しにくい。

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    2026年01月04日
  • 存在の耐えられない軽さ

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    ネタバレ

    プラハの春に参加していた作者が、(おそらく)自身の経験を元に、その時代の中で愛し合う男女を描いたクンデラの代表的な小説。トマーシュとテレザの深いけど苦しい愛、トマーシュとサビナの良好で軽い愛、フランツとサビナの始まりと破局、他にもトマーシュと元妻、息子等、人間関係が多岐に渡って描かれている。
    特にトマーシュとテレザの愛は多面的に描かれていて読み応えがあった。本当に愛しているけど、トマーシュは女漁りをやめられないし、テレザもそれは分かっている。読んでるこっちは「そんな男やめなー?」て思うけど…
    一人ひとりの人間の精神の深さ、意外性が緻密に描かれているところは好きなんだけど、比喩が多いしそれが私の

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    2025年12月24日