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20世紀末。パリ郊外の城に滞在するため車を走らせるクンデラ夫妻。速さに取りつかれた周囲の車は、まるで猛禽のようだ。クンデラは、18世紀の小説に描かれた、ある貴婦人と騎士が城に向かう馬車の旅、そしてその夜の逢瀬に思いを馳せる。一方、城では昆虫学会が開催されていて…。ふたつの世紀のヨーロッパの精神を、クンデラならではの、重さと軽さ、哲学と冗談、夢と現実世界が往来する。それまで母語であるチェコ語で書いていた小説を、初めてフランス語で執筆したことでも注目される作品。
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Posted by ブクログ
嫌いではないけど、苦手。色んなことが錯綜する物語は、場面変化についていけず、あたふたしながら読む。本当に錯綜しているのかも理解できていないくらいの、翻弄され具合。だけど、所々の描写がとてもグッときて、全然理解できていない割には嫌いじゃないを通り越して好き。読書に分かりやすさを求めるのだけど、自分の知...続きを読む的世界を広げるために、読みたくなる理解できなさ。私の知的世界はまだまだとても小さいことを実感。
シュール。皮肉的で滑稽でさえある。でも不思議と、充実感のある満ち足りた小説であるように感じた。それまで一見バラバラに進んでいたいくつかの物語が、山場になってドミノ倒しのように連続して影響を与えているのが面白かった。 クンデラ作品は存在の耐えられない軽さに続いて二冊目だが、もしかして作者は尻の穴が...続きを読むとてつもなく好きなのか...!?と困惑している。‘‘おどけ‘‘で、真面目な雰囲気をぶち壊すために入れられているのはもちろん理解しているのだけど、それにしたって、いや、...。ちょっと捉え方に困る。実はエロとみるかギャグなのか私の心が揺れてるだけなんだ。面白い。 スペクタクル、というテーマは現代的だなと思った。インターネットという不特定多数または身近な見知った顔ぶれに自分を”魅せる”ためのツールがそれを助長させているようにも考えた。非倫理的な言動がここ数年でさえも、厳しく取り締まられるようになったと感じるが、モラルの柔道は一部の自分が正義だと信じて疑わない活動家なんかによくみられる気がする。 ひっかかったのは快楽主義のくだりだ。幸福と快楽の概念が混ざっているように思う。日本語の問題なのか、もとからいっしょくたにされているのか。澁澤龍彦の調教済な私のあたまの問題なのか。それによって「お願いだ、友よ、幸福になってくれ。私にはなんとなく、私たちの唯一の希望が、君の幸福になる能力にかかっているという気がするのだ。」の解釈が変わる。希望はおそらく快楽主義の理想のことだ。けれど冒頭で快楽主義は苦しみを遠ざけることだという。悲惨さのなかになげだされた人間、とあるから快楽は前提として苦しみが必要なのに。 きっと重要なのは一度きり、明日はない、というところなのだろう。ドゥノンの小説のほうも読んでみたい。
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ミラン・クンデラ
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