それまで頑張ってつくってきたものが、作ってる最中には醜くとも耐えられたものが、生命を宿した瞬間に耐えられない醜さになって逃げ出した
この瞬間に全てがある
この一点が素晴らしい
他は、確かに悲劇的だし、名も貰えぬ怪物の悲劇たるや同情を禁じ得ない
でも、そこはもしかしたら想像力のなかでつくれるもの
...続きを読むかもしれない
でも、この、命を宿した瞬間に、目の前にあったものの意味が変わる、見え方が変わる、受け入れられなくなる、というのは、命とはなんだ、ということを凄く捉えている
例えがよくないかもしれないが、例えば、最近だと人間そっくりのラブドールがあるが、それはラブドールである限り人間そっくりだけども、もし生命を宿して話し始めたとしたら、その瞬間に化け物にしか見えなくなるだろう
この意味の変化を捉えたということがこの本のもっとも凄いところではないだろうか
ここが一番、不自然でもあるんだけど、そのぶん、ものすごくリアルだと感じる
それ以外は、ピクチャレスク、とか、美と崇高、とか、この時代らしい描写を数多くみたりするのも楽しみだし、怪物がどのように学び成長していったか、というところに、当時の人間による人間理解の仕方が反映されてたり、という面白さはあるが、展開は予想できる範囲だったりする