あらすじ
天才科学者フランケンシュタインは生命の秘密を探り当て、ついに人造人間を生み出すことに成功する。しかし誕生した生物は、その醜悪な姿のためフランケンシュタインに見捨てられる。やがて知性と感情を獲得した「怪物」は、人間の理解と愛を求めて懇願する。「おれは妻が欲しい。友も欲しい……」だが拒絶と疎外の果てに悲劇は起こる。若き女性作家が書いた最も哀切な“怪奇小説”
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Posted by ブクログ
1818年の作品
200年前ですよ!
圧巻!
そりゃあ残るわ、200年残るわ
そして間違いなくこの後の200年も残るわ
名作過ぎて震える
圧倒的に面白いのねこれに尽きます
そしてとんでもなく読みやすかった
訳者の小林章夫さんの力量に脱帽です
ご本人も触れていましたが、古典ものにありがちな注釈を極力廃して、本文の中で片付けようとしてるところがこの読みやすさに繋がってるんだと思う
ほんともうありがとうね
ありがとう『光文社古典新訳文庫』!
はい、本編!
やはりいろんな捉え方ができると思うんだけど、闘いよね
もう「苦悩」VS「苦悩」の闘い
怪物を生み出してしまった「苦悩」と怪物として生み出されてしまった「苦悩」の闘い
途中不幸自慢みたいなことにもなっとるけども
そん中で結局「人間」てなんなのよ?って考えさせられます
わいはこの不幸自慢に生み出した側の天才科学者フランケンシュタインの「身勝手さ」みたいなんをずっと感じていて腹立たしかったんだけど、この「身勝手さ」こそ「人間」なんだなとも思うわけね
今世界を悩ます問題の多くは「人間」の持つ「身勝手さ」の現れであるんじゃないかな〜って
この世界には多くのフランケンシュタイン博士が住んでいて、その「身勝手さ」が戦争や差別や環境破壊みたいな「怪物」を生み出している
そして最後にはこの物語と同じ結末を迎えるじゃないかな〜って思ったりします
結末?知りたかったら読んでみればいんじゃね?
Posted by ブクログ
それまで頑張ってつくってきたものが、作ってる最中には醜くとも耐えられたものが、生命を宿した瞬間に耐えられない醜さになって逃げ出した
この瞬間に全てがある
この一点が素晴らしい
他は、確かに悲劇的だし、名も貰えぬ怪物の悲劇たるや同情を禁じ得ない
でも、そこはもしかしたら想像力のなかでつくれるものかもしれない
でも、この、命を宿した瞬間に、目の前にあったものの意味が変わる、見え方が変わる、受け入れられなくなる、というのは、命とはなんだ、ということを凄く捉えている
例えがよくないかもしれないが、例えば、最近だと人間そっくりのラブドールがあるが、それはラブドールである限り人間そっくりだけども、もし生命を宿して話し始めたとしたら、その瞬間に化け物にしか見えなくなるだろう
この意味の変化を捉えたということがこの本のもっとも凄いところではないだろうか
ここが一番、不自然でもあるんだけど、そのぶん、ものすごくリアルだと感じる
それ以外は、ピクチャレスク、とか、美と崇高、とか、この時代らしい描写を数多くみたりするのも楽しみだし、怪物がどのように学び成長していったか、というところに、当時の人間による人間理解の仕方が反映されてたり、という面白さはあるが、展開は予想できる範囲だったりする
Posted by ブクログ
積ん読の中からフランケンシュタインを読む。原作がホラーではないことは知られてるが、では何なのか。驚くべきことに全編船乗りが姉宛に書いた手紙なのだ。話は見た目で仲間外れにされる泣いた赤鬼のアンハッピーエンディングであり、怪物を作ってしまったヴィクターの後悔と家族が悲劇に巻き込まれていく葛藤の話でもある。仲間に入れて欲しいという怪物側の社会的欲求と彼の存在自体がリスクと考える人間の保守思想の衝突はヨーロッパの難民問題のようではないか!メルケル首相的視点で見ればヴィクターがおかしいがそう考えるのはきれいごとかというジレンマ。これは人造人間ものの古典的SFなのだ。
Posted by ブクログ
その名を知ってる人はかなり多いと思うが、実際この小説を読んだ人は少ない。私ももちろんその中の一人だった。
この小説を読んで一番驚いたのは、実はFrankensteinは化け物の名前ではなくてそれを作った創造主の名前だってことだ。生まれつきから親とも言える創造主から恐ろしく思われ、一生をかけ愛情の欠片すら貰えなかったこの有名な化け物には名前すらいない。
この名前のない化け物はもちろん小説の物だが、実は彼のように社会に敬遠され自分や周りを苦しめる物は山ほどある。もちろんその原因が化け物にだけあるとは限らない。彼らを融和できない社会の方に問題があるかも知らない。ただ重要なのはそういう葛藤が世の中に確実に存在しているということだ。
この小説を読みながらむかし読んだことあるある記事を思い出した。敏感な話しになると思うが、韓国では東南アジアとのハーフの社会不適応が社会問題化としてる。基本的に韓国人は自分と異なった外見を持つ人を難しがる。それだけではなく、通計をみると大学などの進学率で韓国人とハーフは極めく高い差が見られる。教育現場では既に何年前からこれを警告していた。その異質的な差のゆえ社会に融和されなかったFrankensteinの化け物が苦痛を味わったことと同じことが身近で起こるかもしらない。主人公のFrankensteinは結局それを解決できず皆を不幸に追い込んでしまった。我々はそれができるか。私には知らない。
古典が古典である理由、それは何百年が経ってもそれらは読者たちにいろいろ考えことを投げてあげるからだと私は思う。Frankensteinはいい古典小説だ。
Posted by ブクログ
フランケンシュタイン
あまりに有名な固有名詞でありながら
それが怪物の固有名詞ではないと
全然しらなかった!
この年まで、何から
フランケンシュタインの自分のイメージを
作り上げてだのだろう?
手紙を通して
話は展開していく
切なく、悲しい
最後、つまらない終わり方だったら嫌だなー
と思ってたけど
最後の最後まで、切なく、きれいな文章だった
強いて言えば、旅の途中の情景のへんや
繰り返される、感情表現のいくつかは
読んでいて、すこしだるくなる
それを、味わって読むものと思えば
5点。
最後の解説で、作者メアリー・シェリー
についての系譜も載せられていたけど
お子さんやご主人を亡くしたりと
大変な人生を歩まれており
彼女自身も、興味深いと感じました。
Posted by ブクログ
探検家の手紙から始まる物語。
探検家がフランケンシュタインに出会い、その話を書き記すというのが序盤だった。
正直、出だしは全く惹かれない。失敗したかなと思った。
探検して、氷に阻まれて進まない……なんだそれ。と。フランケンシュタインの語りも、最初は人が次々に出てきてよく分からない。でも、怪物が出てくるあたりから面白いと思い始めた。
最終的に怪物が、いろんな人を殺し続ける……という狂気に陥るのだけど、ちゃんと堕ちていく過程が描かれているので、共感しやすい。で、思う。
これ、毒親と毒親に育てられた子供の話じゃないか。……そーいえば、名著でも、そんな話があったような…なかったかな。
愛情を注がれない事がどれだけ人を、歪に変えていくのか。
怪物と言われるものも、最初は『何も分からない無垢なるモノ』
その見た目から、周囲に怯えられて迫害されて、どんどん狂気を育てていく。
フランケンシュタインの『生命を作りたい』という感覚には一切、共感できないケド。
でも、『生命を作りたい』は普通に考えれば、大半の人が『子供をもつことが幸せ』と考えてるのと同じものなんだろうなと思う。
それらも含めてやっぱり『毒親(親になれない親)』の話なのだろうなと。
最終的に怪物は、創造者であるフランケンシュタインを憎んで、周囲の人を殺していく。そして、最後に創造者に「自分を追いかけさせる」ことにする。怪物を追いかけて殺す事がフランケンシュタインの役目になる。
なぜ、怪物はフランケンシュタイン(創造主)を殺せないのか。というのも『親だから』の一言に尽きる。
最後にはフランケンシュタインは怪物を殺すことなく、死んでしまう。
怪物も一人で誰もいない場所へ行って、死ぬことに決めて物語が終わる。
殺し合うほど憎み合いながら、殺すことは出来ない。
怪物といわれるものを作った後悔はあっても、怪物にしてしまった後悔を持つことがないフランケンシュタイン。なんていうか……あまりにもリアルな毒親家庭の図を読まされている気分になった。最終的に怪物は『自分だけを追いかける親』を手に入れている。
子供が必死で自分だけを見てと言うのと同じだな……と思いながら読んだ。
最初に戻る。最初は探検家の話だった。
探検家の方は探検を諦めて帰る……というオチになっていた。
そして、探検家には帰りを心配している家族がいる。平和で幸せな探検家の家族と、憎しみと恨みで拗れた家族。
その対照が、ますます怪物とフランケンシュタインの影を際立たせているのかな。
Posted by ブクログ
⚫︎受け取ったメッセージ
人間らしさとは
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
天才科学者フランケンシュタインは生命の秘密を探り当て、ついに人造人間を生み出すことに成功する。しかし誕生した生物は、その醜悪な姿のためフランケンシュタインに見捨てられる。やがて知性と感情を獲得した「怪物」は、人間の理解と愛を求めるが、拒絶され疎外されて…。若き女性作家が書いた最も哀切な“怪奇小説”。
⚫︎感想
いろいろなテーマが含まれている
・科学至上主義の暴走
・外見の美醜が持つ圧倒的な力
・内面と外面
・創造主と被創造主のパワーバランス
・愛とは何か
非常に悲しい物語である。
本能として、似て非なるものが最も恐ろしく感じてしまうのだと思う。彼がロボットでもなく、人間でもないという見た目のみに、人は恐怖する。人の心を持つが故に悲しみは憎しみへと増大する。彼はコミュニケーションの第一歩も踏ませてもらえない。
「人を見た目で判断してはいけない」とは言うものの、情報を得る場合、五感の割合は知覚が83%であるという。いかに直感的に人が視覚で物事の判断しているかがわかる。
彼が、創造主であるフランケンシュタインにだけは愛されたいと願ったがそれも叶わず、産み出してくれるなと訴えた。まさに今、現実世界でも生きるのが苦しくて同様の気持ちを持って生きながらえている人は居るだろう。特に親に拒否されるというのは耐え難いことであろう。
フロムは「愛することは技術であり、努力である」というようなことを「愛について」で説いている。外見の良さというものは、いとも簡単にファーストステップをクリアする力がある。これは致し方ない事実である。しかし、愛することが技術であり、努力であるならば、そこにまだ希望はある。
Posted by ブクログ
怪奇小説、恐怖小説ではなく、科学者の悲劇の物語でした。怪物を作った科学者は責任を感じ、自らの手での処分を追求し迷宮に入り逡巡する。一方で 怪物は社会性を獲得すべく努力するも容姿で世間から拒絶され、絶望と怨念を抱く。結果、数々の悲しい出来事が発生。科学者と生み出された怪物は分かり合えず、救われない。親子関係、科学者と科学技術の隠喩ともとれますが、お互い幸せを求めていたはずが、同じ社会には存在できなかったんですかね。
Posted by ブクログ
小説として折々の表現方法が織り込まれており、綺麗な作品であった。怪物を産み出してしまったフランケンシュタインの苦悩も一人称で色濃く表現され、怪物自身が述懐する場面では誰にも理解してもらえない悲しみとぶつけざるを得ないどす黒い感情も表現される。怪物にも主人公にも同情心が生まれ、正義がどこにもない物悲しい物語であった。
科学技術の発展が人間の力を越えてしまうことへの危惧ともとれる。作家論に当てはめれば主人公は夫のシェリーのような部分があり、イギリス文学史の中でも一種のランドマークのような要素があるように感じている。
Posted by ブクログ
原作はこんな話だったのか、と初めて読んでみておどろいた。フランケンシュタインって怪物じゃなくて、怪物を創り出した科学者の名前だったんですね。
船長ウォルトン→フランケンシュタイン→怪物 の入れ子構造で物語が進みます。
Posted by ブクログ
フランケンシュタインの原作。怪物を作り出したフランケンシュタイン博士の苦しみと、知能と優しさを持ちながらも醜悪な姿のため恐れられ人間を恨むようになった怪物の悲しい話。
Posted by ブクログ
「みんな惨めなやつを嫌うのだ。」
最初のイメージの、科学が生み出した醜悪で残酷な化け物のホラーではなく、愛を求め、でもその醜さから誰からも愛されない哀れな生き物の悲劇。あの化け物は名前すらないのね。なぜか感情移入してしまう…
有名なでもストーリーを全然知らない本を読めてよかった。
Posted by ブクログ
なかなか読むのに時間がかかりました(笑)
しかし大学でこの話について学んだ後に思い返すとやはり面白い作品であるということがわかります。知識がないまま読むと少し退屈してしまいそうです。
Posted by ブクログ
大学2年の秋学期のある授業でフランケンシュタインについて学び、日本語訳を読みたいということで購入した。
風景描写も綺麗で、何より読みやすかった。
怪物の、人の懐にうまく入るような巧妙な話術に幾度となく同情させられたが、何より、愛情を探して苦労していた怪物が、最後の頼みの綱であるド・ラセー一家に逃げられ、絶望している姿を容易に想像でき、可哀想だとさえ思った。
書簡体小説であり、当時の思想(啓蒙主義)や産業革命に影響を受けた作品ぽい。文中によく出てきた『失楽園』『老水夫行』も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
ここまで救いようがなく、胸糞悪くも悲しい物語は見たことがない。途中で吐き気がするくらい重たい。あと主人公の被害者面がウザイ。でも教科書に載せるレベルの必読書だと思う。詳しい感想は数度読み返したあとに。
Posted by ブクログ
訳者曰く、「フランケンシュタインは怪物のことだと思っている人が多い」。かくいうこの私も、この本の110頁目にくるまで、ずっとそう思っておりましたぞ…。それはさておき、とっても読みやすい訳文。解説も多面的で、参考になりました。
展開には若干のぎこちなさも感じたけれど、科学者の社会的責任とか、人間の孤独とか、今日にも(今日だからこそ)十分通じるテーマゆえに、読み継がれてきたのだろう。作品自体よりも、この作品を19世紀前半に書き上げた作者メアリー・シェリーに、より興味をそそられた。
Posted by ブクログ
この話を19歳で書きかげたという衝撃。
特にヨーロッパのあちこちの風景、私にギリ想像できるくらいの国境移動がすごいので、これを十代の日本生まれ日本育ちの私が読んでいたとしたらピンときていなかったと思う。
フランケンシュタイン博士の無責任さにはびっくりしてしまうが。自分の創造物をとにかく怖がりすぎ。もうちょっと、ちょっとだけ愛着持ってくれよ。。
怪物の人間への期待が裏切られてしまうところの悲しみ。
Posted by ブクログ
一般にはホラー小説ないし映画として認識されており、自分もそう思っていたが、むしろ18世紀ヨーロッパを舞台にしたSF小説というべきだろうか。
フランケンシュタイン氏が創造した醜悪な見た目の「怪物」が、人の愛を受けられず、復讐のために殺人を繰り返していく。しかもバッドエンド。
多くの人と同じように、自分も「フランケンシュタイン」が怪物の名前だと思っていた。フランケンシュタイン氏の「子」だと考えればおかしい訳ではないが…。
Posted by ブクログ
大学ビブリオバトル関東Cブロック(?)で紹介されていたので、読みました。
フランケンシュタインという言葉のイメージからはかけ離れた印象の作品です。全編回想録だし。
Posted by ブクログ
怪物とそれを生み出したフランケンシュタインという男との決闘の話。
話としては、怪物かわいそうじゃん!主人公の勝手な興味から勝手に生み出されて、最初は愛されようとするんだけど、その醜さからみんなに拒否されて、だったら自分を生み出した男を不幸にしてやれ!と悪行に手を染めざるを得ない人生。周りの人が怪物を見て恐怖を感じるのは仕方ないにしても、フランケンシュタインくん、君だけはやっぱり怪物に対する義務を果たさなければならないってことに最初から気づいてるべきだったんじゃないかね?っていうか、生き物を生み出すって、相当の覚悟がないとだめだよね…
それ以外では、ネイティブアメリカンがかわいそうだとか、昔の時代でも斬新な目線を持ってる作者なんだな〜と思って、そういうとこは楽しめた。
Posted by ブクログ
200年前の作品とは思えないプロットと壮大なテーマを扱う作品ではある。怪物が科学者の下に現れ、それまでの出来事を語るシーンまでは物語にかなり引き込まれた。しかし残念ながら作品の序盤で語られている最悪の結末に向かっていく路線が完全に見えた、作りかけていた怪物の伴侶を壊したあたりから作品への興味を失う。友人クラーヴァルとの旅行シーン等話の筋から脱線する感情描写に加えてや科学者の延々続く疲弊描写に退屈した。話の核となる怪物の語るエピソードが思慮深く興味深いし、感情移入するが故、怪物に寄り添えない科学者の偏見と稚拙な行動に興ざめしてしまう。
とはいえ、悲劇的ラストにしなければ凡作に終わった気もするが。
科学者の行動に正当性をもたせると共にもう少しスピーディーな展開を望みたいところ。
良い点をもう一つあげるならとても読みやすい文章であったこと。これは訳者によるところかもしれない。
Posted by ブクログ
1818年に出版されたメアリーシェリーの作品で若い女性が怪物の話を書くと言うことで読んでみたかった作品でした。フランケンシュタイン博士が怪物を見出したんですが、その生み出したところが私にはよくどういった状況なのかははっきりつかめませんでした。生み出したことで博士は喜ぶんじゃなくて、醜い怪物を恐れて避けて消そうとすることで、怪物もまた博士の身の回りの人を消し去ろうとして何のために生まれてきたのかなあって言うふうに感じました。理解されないことへの悲しさやフランケンシュタインが、神様の域を超えて生物を見出したことへの罰何かが描かれているのかもしれないんですけれども、もう少し怪物と仲良くできなかったのかなあなんて考えたりしちゃいました、。
Posted by ブクログ
自分のイメージするフランケンシュタインは、漫画「怪物くん」の主人公の従僕「フランケン」である。なんの映画か覚えていないが、「フランケンシュタイン」が雷の電気を注入して生を得るというのも記憶にある。しかし、原書では怪物を指すのでなく創造した学者、しかも若い人物の名前だった。ホラー小説というより、社会性、孤独の悲しさの面を感じた。犯罪者の一部にもかような人がいて、社会に馴染めず、社会から疎外され、自暴自棄に陥る。どのように矯正させるか、受け入れるかも長年議論されてなかなか進んでいないかのようにみえる。2023.6.25
Posted by ブクログ
読書会の課題図書に上がったので、読んでみた。誰もが指摘しているように、私もフランケンシュタインは、怪物の名前だと思っていた。しかし、本当の怪物は、彼の方かも知れない。自分を天才と驕り、神をも超える存在として、作り出した怪物を醜さゆえに捨てる。腹心の友や、心清らかな妻まで殺されるところは、なんとも悲しい気持ちになる。
Posted by ブクログ
書簡体小説。ヴィクター・フランケンシュタイン(創造主/父)と怪物(子)の物語。陰鬱な読後感。怪物ができるまでの過程で、周りの誰もヴィクターの行動を不審に思わなかったのか。救いがないというよりも救いようがない。途中まで生命倫理・AI・クローンの問題に思いを馳せながら読んでいましたが、だんだん壮絶な親子喧嘩を見せられている気分になりました。風景の描写は詩的で素晴らしいと思います。
Posted by ブクログ
怪物の肉体の創造主は、フランケンシュタインであるが、精神の創造主はなんであろうか。生まれた時は空っぽのこころのだった人造人間は、その醜さから創造主に捨てられて、すべての人間に忌み嫌われることによって憎悪を心中に溜め込んでいく。怪物を怪物たらしめたのは、我々人類ではないだろうか。
現代社会に置いて、虐待や育児放棄などにより愛情を受けず育った人間がいる。中には「怪物」のように殺人や脅迫を行うものもいる。しかしそんな彼らの核には愛への希求があるのではないか。
さらに創造主フランケンが自然科学の知識だけに偏り過ぎていたという点も興味深い。科学技術の発展が目覚ましく、一方文系的な知識が軽視されている昨今の社会に通ずるものがあるように思える。
21世期の読者として、愛の欠乏があるいは知識の偏りがどのような結果をもたらすのかを考えさせられた。