ユーザーレビュー 裏面:ある幻想的な物語 アルフレート・クビーン / 吉村博次 / 土肥美夫 寝てる時に「今絶賛悪夢見てるんですけどね」っていう時ないですか?箱の中に電気点いてて、影絵見てるような? 不快で恐ろしくしんどいけど、中距離競争みたいな感じで、いつか終わるのは、あらかじめわかっている。その悪夢のテンションと言うのでしょうか、座標と言うのでしょうか、周波数と言うのでしょうか、雰囲気そ...続きを読むのものなんですよね。悪夢だから友達が変幻自在に、夢の国を創造し、君主になることもなんら特別に不思議なことではない。 最近よく、幻想、幻想って安易に聞くけど、本来の幻想的ってこういう作品のことだと思うわ。 Posted by ブクログ 裏面:ある幻想的な物語 アルフレート・クビーン / 吉村博次 / 土肥美夫 19世紀後半のボヘミアに生まれた画家が 20世紀初頭に執筆した小説に自ら挿絵を添えた作品。 作者の分身とも想像される ミュンヘン在住の「画家」が 旧友クラウス・パテラの招きを受け、 莫大な財産を相続した彼が中央アジアに築いたという 独立国へ妻と共に赴いたが、 待っていたのは理想郷の面白おかしい生活と...続きを読むは 到底呼び得ない暮らしだった――。 画家は「国王」パテラに、 かつての学友の誼で招待されたはずが、 行ってみると特別待遇を受けるわけでもなく、 街の治安もよいとは言えず、 妻はストレスで精神を病んでいく……という、 まるで楽しくないストーリー(笑)。 作者が描きたかったのは 外界と隔絶したパラダイスの美ではなく、 その世界が腐臭を放ちながら崩壊する カタストロフだったらしい。 伝染病によって市民が眠り込んだ隙に 様々な動物が好き勝手に暴れ出し、 それをきっかけに「王国」が膿み爛れていく様子が これでもかと詳述される様は圧巻。 Posted by ブクログ 土肥美夫のレビューをもっと見る