【感想・ネタバレ】裏面:ある幻想的な物語のレビュー

あらすじ

巨万の富を持つ謎の人物パテラが中央アジア辺境に建設した〈夢の国〉に招かれた画家は、ヨーロッパ中から集められた古い建物から成る奇妙な都に住む奇妙な人々と出会う。画家はこの街の住民となり、数々の奇怪な体験をするが、やがてパテラの支配に挑戦するアメリカ人の登場と時を同じくして、恐るべき災厄と混乱が都市を覆い始める。幻想絵画の巨匠クビーンが描くグロテスクな終末の地獄図。作者自筆の挿絵を収録。

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Posted by ブクログ

寝てる時に「今絶賛悪夢見てるんですけどね」っていう時ないですか?箱の中に電気点いてて、影絵見てるような?
不快で恐ろしくしんどいけど、中距離競争みたいな感じで、いつか終わるのは、あらかじめわかっている。その悪夢のテンションと言うのでしょうか、座標と言うのでしょうか、周波数と言うのでしょうか、雰囲気そのものなんですよね。悪夢だから友達が変幻自在に、夢の国を創造し、君主になることもなんら特別に不思議なことではない。

最近よく、幻想、幻想って安易に聞くけど、本来の幻想的ってこういう作品のことだと思うわ。

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2019年02月10日

Posted by ブクログ

19世紀後半のボヘミアに生まれた画家が
20世紀初頭に執筆した小説に自ら挿絵を添えた作品。
作者の分身とも想像される
ミュンヘン在住の「画家」が
旧友クラウス・パテラの招きを受け、
莫大な財産を相続した彼が中央アジアに築いたという
独立国へ妻と共に赴いたが、
待っていたのは理想郷の面白おかしい生活と
到底呼び得ない暮らしだった――。

画家は「国王」パテラに、
かつての学友の誼で招待されたはずが、
行ってみると特別待遇を受けるわけでもなく、
街の治安もよいとは言えず、
妻はストレスで精神を病んでいく……という、
まるで楽しくないストーリー(笑)。

作者が描きたかったのは
外界と隔絶したパラダイスの美ではなく、
その世界が腐臭を放ちながら崩壊する
カタストロフだったらしい。
伝染病によって市民が眠り込んだ隙に
様々な動物が好き勝手に暴れ出し、
それをきっかけに「王国」が膿み爛れていく様子が
これでもかと詳述される様は圧巻。

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2017年10月08日

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