いゃ〜、面白い短編小説集だった。200ページ程度の本に、21編の短編小説が収められている。更に、門内ユキエさんの素敵な挿絵もふんだんに収載されており、平均すると、1編が8ページ程度の、本当に短い小説の集まり。
どれも味のある小説ばかりだけれども、私の好みをあげれば、「キューバからの二通の手紙」「一番
...続きを読むよく守られている秘密」などの少し洒落た小説と共に、「アフリカの流儀」「アミーナの買い出し」「父祖の地への旅」といった、主人公のパートナー(たぶん、作者の実際の妻がモデル)であるアミーナの祖国であるウガンダでの姿を描いたものだ。
特に、主人公が初めて、アミーナのウガンダへの里帰りについて行く「アフリカの流儀」が好きだ。私の妻はタイ人、私がタイで勤務していた時に知り合い結婚した。妻はタイでもバンコクではなく、地方、それも相当に田舎の出身だ。この小説を読んで、私が初めて妻の里帰りに付き合った時のことを思い出した。アフリカに流儀があるように、タイの田舎にはタイの田舎の流儀があり、その中で生き生きとしている妻の姿を見るのは、悪くないなと感じたことをよく覚えている。
この小説集は、ANAの機内誌「翼の王国」に連載されていたものを単行本にしたもの。そういう本に連載されていた小説なので、読むと旅行に出かけたくなる。