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Posted by ブクログ
苦手だったパウロ・コエーリョ。寺山修司好きの女子に「女性が男性に読んで欲しい猥褻な本」という不純な動機で読み始めたが人生の示唆に富んでいて凄かったの一言。一度整理しないと他の本を読めないので、一旦レビューしとく。
この本はエロ本であると同時に聖書である。堕ちながら高まっていく相反する世界を描写していく。特に、自意識に悩んでいたり、自己否定している人には赦されると思う本だと思う。性描写に眼が行きがちで、たしかに生々しいが、それは鞭を打たれるキリストを描写するのと同じ如く、ただの状態をある意味正しく表現したに過ぎない。
相反する要素は、実は表裏一体であり、それに気づき学ぶことは身を持ってしないとわからないが、この表現力の豊かさによって読者は主人公に起きることを客観的、そして主観的に感じることが出来る。
僕は、この本を読み終えて、赦されたと思った。読後感に救いがあった。
もちろん、主人公がサディスト側に回る伏線の回収が無かったり、道の真ん中で突然、主人公が一人でオーガズムに達するとか、最後が救いがたいほどメルヘンチックだったりするのだけれど、結果は他者のためであり、過程は自分のためにあるなど、いささか極端で、だからこそ分かりやすい。
誰にも勧める本ではないけれど、僕の中ではすごくよかったとしかいえない一冊。
Posted by ブクログ
題名の『11分間』の意味は?
この小説の主人公は、ブラジルの若い女の子。
ひょんなきっかけからスイスに渡り、売春婦になる。
1年だけ。1年だけと決めて彼女は売春婦を続けるうち恋をしてしまう。
その恋の結末はイコール小説の結末なので書くのを控えるが、『11分間』というタイトルの意味は書こう。
その売春婦をしている彼女は言う。
一晩の彼女の相場は350スイスフラン。
いや、一晩は正しくない。一人のお客で350スイスフラン。
一晩というのは大袈裟だ。実際は45分で350スイスフラン。
服を脱いだり、親しげなそぶりをしてみせたり、他愛もないことを話したり、また服を着たりする時間を差し引けば正味の時間は11分くらい。11分で350スイスフラン。
11分。世界は、わずか11分しか、かからない出来事を中心として、そのまわりをぐるぐる回っているのだ(文中より引用)
この本の主題 それは、まさにセックスと愛なのだが、娼婦のような職業が彼女のような生温い態度で勤まるのかどうか疑問だし、簡単に足を洗える環境と本人の強い意志があるのかどうかもわからない。
けれど、コエーリョは、主人公を理知的な向学心のある女性として描こうとしているし、彼女は特殊な売春婦だったのかもしれない。
11分というのは、個人差があり、性差によっても意見は異なるのかもしれないが、
「11分の出来事を中心として世界は回っている」と書ききるコエーリョは潔い。
売春婦という職業は人の最古の職業のひとつとされている。
このブラジル娘は就業期間が短く高級娼館で働いているので、職業的悲壮感はあまり伝わってこない。
そのあたりコエーリョのペンの力なのだが、
この小説は、主人公の日記と挿入された文章によって構成され、その文章の方が日記のように感じるのはなぜだろう。
どちらにしても『11分間』という斬新な発想がこの小説の主題を貫いていることには間違いなく、愛の実在感は俗なるものを聖なる手触りに変化させる必然性をコエーリョは描きたかったのか。
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