ユーザーレビュー 消しゴム ロブ・グリエ / 中条省平 ヌーヴォー・ロマンの旗手、ロブ=グリエの代表作。殺人事件発生の報せを受けて運河の街にやってきた捜査官ヴァラス。しかし肝心の遺体も犯人も見当たらず、人々の曖昧な証言に右往左往する始末。事件の結末は宿命的とも言える形で終わりを迎える。微妙に変化させた同じようなシーンを意図的に入れたり、やたら細部を緻密に...続きを読む描いたり、回想、妄想が入り組みながら、時間経過が混乱することなく読ませてしまう力量は流石。冒頭と結末の時刻が同じというのがこの物語のポイントで、ここに描かれた物語が24時間の出来事というのが解ります。読んでいる間、モノクロの映画、或いはウォーホルの絵のようにずらりと並んだモノクロ写真を見ているようでした。 Posted by ブクログ 消しゴム ロブ・グリエ / 中条省平 往来堂書店「D坂文庫2015春」からの一冊。 選者の「初期のオースターが好きな方は是非」というコメントを見て迷わず手にした。そして、内容はそのコメント通り。と言うか、この作品がなければオースターのNY三部作はなかった、と言える内容。 寒い冬、自転車、跳ね橋、路面電車、運河…丁寧に綴られたこの街が何と...続きを読むもいい雰囲気を醸しだしている。そして、ある事件の犯人を追ってその街をひたすら歩く捜査官。ミステリーの要素ももちろんふんだんなのだが、その街の描写と、捜査官の揺れ動く心と行動の描写が、本書をミステリーの枠から飛び出させている。 冒頭の選者のコメント通り、オースターの初期作品が好きならば必ずや満足を覚える一冊。 Posted by ブクログ 消しゴム ロブ・グリエ / 中条省平 『覗くひと』より数倍読みやすい。 ヌーヴォーロマンの先駆けとしても実験的な探偵小説としても素晴らしい作品。 描写された事物がたんなる記号に過ぎないという点ではとりわけ物理トリックをメインとした探偵小説的でありながら、作者=犯人、読者=探偵の関係性が保たれていない点では反探偵小説的である。 Posted by ブクログ 消しゴム ロブ・グリエ / 中条省平 世の中「かっこ良ければ全てがオッケーで、後はまあ」みたいな物が沢山あって、要するにだねー、何を選ぶことにより人それぞれの生きるセンスに直結してしまったりするんですが、うちの姉だったらキンプリ(ジャニーズ)で、自分だったらこの作者が作ったヌーベルバーグ映画なんかと思うんですけども。物事は全てが多方向に...続きを読む存在してるから、人はやいのやいの言う。だが、もう皆年寄りになったことだし、もう全てを肯定して生きよう。何一つ心を動かされなくとも、キンプリかっこいい。それだけ言うとけ。後は考えるな。 Posted by ブクログ 消しゴム ロブ・グリエ / 中条省平 ヴァラスはなぜそうせざるを得なかったのか? キーワードは運河。腕時計。そして「計画もなく、方針もなく、不可解で、おぞましい、初冬の一日」…… Posted by ブクログ ロブ・グリエのレビューをもっと見る