ロブ・グリエのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
往来堂書店「D坂文庫2015春」からの一冊。
選者の「初期のオースターが好きな方は是非」というコメントを見て迷わず手にした。そして、内容はそのコメント通り。と言うか、この作品がなければオースターのNY三部作はなかった、と言える内容。
寒い冬、自転車、跳ね橋、路面電車、運河…丁寧に綴られたこの街が何ともいい雰囲気を醸しだしている。そして、ある事件の犯人を追ってその街をひたすら歩く捜査官。ミステリーの要素ももちろんふんだんなのだが、その街の描写と、捜査官の揺れ動く心と行動の描写が、本書をミステリーの枠から飛び出させている。
冒頭の選者のコメント通り、オースターの初期作品が好きならば必ずや満足を覚え -
Posted by ブクログ
ネタバレ『柔らかく、軽く、もろい消しゴムで、こすっても変形せず、しかし、消しかすは埃のように 細かく、さらに簡単に割ることができて、その割れ目が真珠の貝殻のようになめらかに 輝くもの。友人の家で数か月前に一度見たことがあったが、友人はそれをどこで手に入れたか覚えていなかった。ヴァラスは似たものを容易に手に入れることができると思っていたが、それ以来、いくら探しても見つからない。一辺が二、三センチの黄色っぽい立方体で、各は―たぶん使用したせいで―わずかに丸くなっている。一つの面に製造会社の商標が記されていたが、消えかかって、良く読めなかった。ただ、真ん中のふたつの文字、「di」だけは判読できた。』
『「 -
Posted by ブクログ
ロブ=グリエといえば、昔『去年マリエンバードで』は観た、
が、その脚本を書いた人だという以外、知識なし、でも、
某誌を捲っていて、この本の広告が目に留まったので購入。
脚本も手掛けた人――という先入観のせいかどうか、
小説なんだけど、何だか台本を読まされている気分だった(笑)
いろんな人物が出てきて、時間が前後に行ったり来たり。
構造主義だのヌーヴォー・ロマンだのと言われても難しいことはわからないけど、
これは倒叙ミステリの一種かもしれない……ぐらいに考えて読んでいったら
そこそこ面白かった。
被害者と犯人が序盤で明らかにされており、
探偵役がいかにして「正解」に辿り着くか、あるいは辿り着けな