文春文庫作品一覧

非表示の作品があります

  • ミカ×ミカ!
    3.9
    『ミカ!』で大活躍の双子、ミカとユウスケが、中学生に。「女らしいってどういうこと?」ある日“オトコオンナ”といわれるミカが、ユウスケに聞いた。ミカは、人気の男子に告白して「もっと女っぽい子が好き」と振られたらしい。恋におち、スカートを穿いて、変化してゆくミカに戸惑うユウスケ。しかし、ユウスケにも告白してくる女の子が現れた! その上、前作で離婚した父さんまで恋をしてる? 芥川賞作家が、中学生の日々を爽やかに描く『ミカ!』第2弾。
  • ミカ!
    3.6
    小学生の生活って大変だよ。ぼくはユウスケ、六年生。双子のミカは喧嘩じゃ無敵のオトコオンナだ。女はイヤ、男になりたい! 生理とかおっぱいとか、全部イヤや──と言ってる。母さんが家を出た。友達がぼくの悪口を言ってた。父さんは女友達がいるみたい。こっそり飼っていた「オトトイ」が消えた。友達のコウジはなんとミカが好きらしい……でも父さんは言う。子供には幸せになる権利があるんや。だからきっとぼくらは大丈夫。第49回小学館児童出版文化賞受賞作。
  • ひとひらの雪(上)
    4.0
    1~2巻600円 (税込)
    妻子ある建築家・伊織祥一郎は、部下である笙子と4年に及ぶ愛人関係にある。妻子とは別居状態だが、仕事は順調で業界での名声も得て、それなりに満足のいく生活をしている。そんなある日、亡き友人の妹で、美貌の人妻・霞と15年ぶりの再会をはたす。ふたりは惹かれあい、人目を避け情事を重ねてしまう。現代的な魅力をもつ笙子と和服美人の霞、ふたりの間で揺れる伊織だが……。快楽と不倫の深淵に漂う、おとなの愛のかたちを描いて評判を呼んだベストセラー。
  • 耳袋秘帖 妖談しにん橋
    3.5
    深川で、西国雄藩の藩士と石川島から戻ったばかりの無宿人が相次いで不審な死を遂げた。二人とも、満月前後の夜に「四人橋(よにんばし)」を四人で渡り、自分の影だけが消えたと言い残していた。そして、そのことがあった一両日中の死だった…。四人で渡ると死人が出る“死人橋”の噂は、江戸の町に一気に広まった。なぜ影が消えるのか? 裏にうごめく悪の正体を、赤鬼奉行・根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)が解き明かす! 新「耳袋秘帖」シリーズ第三巻。
  • 極北に駆ける
    3.8
    エベレストをはじめ、五大陸最高峰を制覇した植村直己の次の夢は、犬ぞりによる南極大陸横断だった。犬ぞりを乗りこなすため、彼は地球最北端のイヌイットの村・シオラパルクへ単身、極地トレーニングに向かう。マイナス10度が暖かく感じるほどの過酷な環境と、自分たちとよく似た顔の植村を快く迎え入れる村人との暖かい交流。そして覚えたての犬ぞりを駆って、ひとりで三千キロの氷原を走りきった冒険の記録。解説は、シオラパルク在住の猟師・大島育雄氏による。
  • 日々是作文(ひびこれさくぶん)
    3.8
    31歳の私に、10年後の私をこっそり教えてあげたい──。離婚して仕事もお金もなく、実家に寄生するしかなかった31歳。直木賞を目標にかかげて、胃痛に苦しみながらも、必死で作品を生み出しつづけた30代中盤。念願の直木賞を受賞した38歳。ずっと一人で生きていくと思っていた矢先の、39歳での再婚。幸せな生活のはずが、うつ病で入院してしまった40歳。絶品の恋愛小説で読者の心をゆさぶる著者も、様々な葛藤を抱えながら生きてきた。心に沁みるエッセイ集。
  • 僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由
    4.1
    高校を中退したのち、大検を経て大学に入学した著者が、「社会に出て働くこと」について、自分と同じように不安や違和感を抱えながら生きる、同年代の8人を取材する。「将来浮浪者になるかも」と思っても、働く気力が湧かないM島。入社1年目で転職を考えてしまうT田。引きこもりから脱出すべく、14年間もがきつづけるN澤。都会の忙しなさになじめず、石垣島で海人(うみんちゅ)になることを選ぶY太……。彼らの葛藤を、21歳の同じ目線で伝えるリアルレポート!
  • 自殺──生き残りの証言
    -
    「こんなに切ったのに何で死ねないんですか……」「何で血が止まっちゃうんですか?」自分の手首を、もう少しで切断するくらい切り裂いた男性が、治療にあたった医師たちに言った言葉だ。救命救急医療センターで、自殺を図って死ねなかった未遂者たちに取材した異色のルポルタージュ。なぜ人は自殺を企てるのか、なぜその方法を選んだのか、本当に死ぬつもりだったのか、自殺する瞬間は怖いと思うのか……。自殺未遂者の肉声を基にその心理を解きあかす!
  • 暗鬼
    3.5
    両親、弟妹、祖父母に98歳になる曾祖母。いまどき珍しい8人家族に嫁いだ法子を待っていたのは、緑あふれる広大な屋敷、何不自由ない暮らし、家族全員の歓待と、心の底から自分を大切にしてくれる夫だった。しかし、近所で起きた心中事件に家族が関係しているという疑念を抱いた法子は、疑心の闇にはまっていく。家族みんなが何か隠している。そして私を殺そうとしている──これは私の妄想なの!? やがて暴かれる、呪われた血の絆で結ばれた家族の真実とは!?
  • パーネ・アモーレ イタリア語通訳奮闘記
    4.0
    家族で食卓を囲んでいたら、突然、テレビ局からの電話。法王のクリスマス・メッセージが英語でなくイタリア語で送られてきた! 通訳はいないのに、オンエアまであと20分! 電話で必死に音声を聞き、訳した紙を持って6歳の息子がFAXまで走る…聖夜の椿事を始め、最強のイタリア語同時通訳が明かすエピソード満載。地方名門女子校の優等生がシモネタ好きの妖艶な(?)イタリア語通訳になるまでのストーリーと、著者をシモネッタと名づけた米原万里の名解説も収録。
  • くうねるところすむところ
    3.6
    梨央、30歳、弱小就職情報誌の編集者。目下、恋にも仕事にも行き詰まっている。ある日、酔っぱらった勢いで建設現場の足場によじ上った。上ったはいいが、腰がぬけて下りられなくなって、トビ職の徹男に助けられる。強い筋肉と温かい体。徹男に一目惚れした梨央は、勢いで工務店に飛び込んで就職。だがそこは、亭主に逃げられ、やむなく社長になった郷子がぶちキレる寸前で、大混乱の職場だった。女ふたりの行く末は、そして恋に超うしろ向きな徹男と梨央はどうなる?
  • 潜入 在日中国人の犯罪シンジケート
    -
    在日中国人の犯罪は計画的で巧妙、凶悪だ。まず狙うのは、出稼ぎホステスやオーバーステイの中国人といった、警察に駆け込めないワケありの身内。その標的を食いつぶした今、ターゲットは手近で無防備な日本人に。人身売買、ピッキング窃盗、パスポートやクレジットカードの偽造…帰国した残留孤児が、実は日本人ではなかったという驚くべき「偽家族」の実態や、それに絡む蛇頭のビジネスの手口も暴く。長期潜入取材を敢行して犯罪の裏側を暴きだした、戦慄のリポート!
  • ニッポン貧困最前線 ケースワーカーと呼ばれる人々
    4.2
    格差社会と言われる前から、低く深いところで「見えない貧困」は渦巻いていた。生活保護の第一線に立つのは、地方自治体のケースワーカーだ。政府からは予算を削られ、マスコミには不正受給/不適切な対応と叩かれる狭間で、彼らは貧困層とじかに向き合ってきた。都内のK福祉事務所、札幌の母親餓死事件の真相、炭坑閉山から親子代々の受給も目立つ福岡・田川のケース。矛盾を抱えながら、必死に制度を機能させてきたケースワーカーの生々しい現場を紹介する。
  • シモネッタのデカメロン イタリア的恋愛のススメ
    3.8
    巨漢の50代イタリア人男性が、日本出張のたびに、清楚な素人女性のお持ち帰りに成功する理由とは。セクシーなエリート・エンジニアがつく、妻にバレバレの嘘とは。既婚イタリア人女性がセックスしたいと思っている相手のトップは? 通訳歴30余年、アモーレ(愛)の国イタリアで、著者が見聞したおかしな夫婦や恋人たちのエピソード満載。愛の向こう側に豊かな文化が見えてくる、人生を楽しみつくすオトナのエッセイ集。解説にかえて、故・米原万里さんとの対談収録。
  • 裁判長! これで執行猶予は甘くないすか
    3.6
    ベストセラー『裁判長! ここは懲役4年でどうすか』待望の続篇は、さらに生々しい人生ドラマたっぷり。缶コーヒー万引きで男泣きするショボいオッサン、流れ弾にも気を使うバランス感覚溢れたヤクザ、トロさん初の本格的な≪電波系≫…。みなさんスゴい罪状の被告人のくせして、法廷での悲喜こもごもや顔つき、態度、思わず笑ってしまう弁明に人間臭さが滲み出る。法廷での「ヤル気あんのか?」な裁判官までもメッタ斬り。「裁判員制度」導入の今こそ必読の爆笑傍聴記!
  • 耳袋秘帖 妖談うしろ猫
    3.6
    若い頃は無頼の限りを尽くして悪の道にはまりかけ、しかしいまは「赤鬼」の綽名を持つ南町奉行の根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)。その奉行のもとに、商いの評判が良かったもろこし屋の主人、伝次郎が殺されたとの知らせが寄せられる。現場近くでは、「かのち」という謎の書き付けを残して失踪した大店の若旦那が目撃されるが…。奇談集「耳袋」を千編も書き記した根岸肥前守(=歴史上実在の人物)が、江戸の怪事件を解き明かす好評シリーズ、新展開の第一巻。
  • 北緯四十三度の神話
    3.5
    「大事な人の死は、たぶん決して忘れることはできません──」ラジオの深夜番組DJをしている快活な妹・和貴子と、卒業後も大学で生物工学の助手として働く勤勉な姉・菜穂子。姉妹は中学時代に両親を事故で亡くし、祖父母に育てられた。北の街を舞台に、対照的な2人の微妙な距離が丁寧にたどられていく。ふたたび大切な人の死を経験したことをきっかけに、ボタンを掛け違ってしまった、それぞれの想い。その行き着く先は──。清冽な感動を呼ぶラスト。
  • 忍者群像
    4.5
    わが手にかけたはずの明智光秀が「生きていたぞよ」と聞いた忍びの小五郎。噂がまことなら、今度こそ討ち果たして忍びの名誉を取り返さなくてはならない。しかしその道筋は意外な方へ(「首」)。潜入先で忍びの正体を見破られ、恐れ入って寝返った寅松。だが、その寝返りを自分の味方に知られ…(「寝返り寅松」)。歴史の裏で活躍した「忍び」同士の因縁の対決、哀愁、恥、名誉など、非情な宿命の中で熱い血をもって生きる姿を描く。全七篇。
  • 心にナイフをしのばせて
    3.7
    神戸で「酒鬼薔薇」事件が起こったのが1997年。その28年前、そっくりな事件が東京近郊であった。同級生を殺し、その首を切断した加害者は、当時15歳の少年。息子の死から40年近く経ったいまも、被害者家族は事件を重く引きずっている。歳月は、遺族を癒さないのだ。一方、犯人の父は、約束の賠償金をほとんど払わぬまま死亡。犯人は“立派に更生”し、なんと弁護士として成功をおさめていた。被害者家族に光を当て、司法を大きく動かした、執念のルポルタージュ。
  • とっぱくれ
    3.0
    喧嘩に明け暮れ、若くして極道の世界に飛び込んだ“とっぱくれ”(はねっ返り者)村上ギイチ。組織内でひたすらてっぺんを目指すが、自分を拾ってくれた兄貴分の美山と「親」である松原の極道者としての生き方に隔たりが見えはじめ、二人の間で微妙な立場に立たされる。「極道者がのしあがっていくのに必要なのはゼニと力。せやけど一番大事なのはハートや。男の気骨を大事にせえ」。正念場でギイチが選んだ道は…! 不器用だがまっすぐに生きる、一人の極道者を描く!
  • 厭世フレーバー
    3.9
    突然父親が失踪し崩壊寸前の須藤家は、残された5人揃ってダメ人間。14歳の次男は、熱中していた陸上部をやめ進学もしないと宣言。女子高生の長女は夜の街をウロウロ。27歳の長男は、会社を辞めたことを隠して肉体労働。あとは酒浸りの母親に、ボケ始めた爺さん…。みんな現実にムカつきながらも、心に折り合いをつけて生きている。章ごとに、代わる代わる本音や家族には言えない秘密を告白。そしてまさかの事実が明らかに! 家族の絆をポップに描いた快作誕生。
  • 永遠も半ばを過ぎて
    4.0
    ユーレイが小説を書いた? 三流詐欺師が写植技師と組み出版社に持ち込んだ謎の原稿。これが文壇の大事件に……。 2004年に52歳の若さで逝去した中島らもさんが遺した傑作。1997年には、本作を基にした映画『Lie Lie Lie』(監督・中原俊 出演・鈴木保奈美、豊川悦司、佐藤浩市ほか)も公開。
  • 耳袋秘帖 妖談ひときり傘
    3.3
    雨の中あでやかな傘の群れが舞うと、死体がひとつ――「ひときり傘」が引き起こす連続殺人事件が江戸の町を震撼させる。一方、明日の天気を奇妙なほどぴたりとあてる女おせんが誘拐されて……。毛の雨が降り、川が血の色に染まり、雷の糞が取りざたされる江戸の天変地異に根岸肥前守が挑む! 書き下ろし妖談シリーズ第6弾!
  • ちがうもん
    3.0
    自分の気持ちがうまく言えない。もどかしい、くやしい。そんなことが、こどものとき、ありませんでしたか? これは、あなたの物語です。 1960年代、まだダサかった日本。関西の田舎町。3歳の少女はなぜ「特急こだま」の玩具を買ってもらったのか。4歳の少女はオバサンが何をしているのを見たのか。6歳の少女は夏休みにどんな初体験をしたのか……。こどもだったからこそ鮮明に焼きついた記憶。大人のためのリアルな童話とも言うべき短編集。
  • 祭ジャック・京都祇園祭
    3.0
    十津川警部「祭り」シリーズ、遂に電子化! 「祇園祭を爆破する」――。手紙は十津川警部を陥れる罠だった。京都に向かった十津川を待ち受ける犯人の奸計。警部は爆破犯に仕立てられ京都府警に捕まり、直子夫人までが誘拐される。絶体絶命の窮地にたたされた十津川警部。犯人の異常な悪意の裏には何があるのか? 好評の十津川警部「祭り」シリーズ、第3弾。
  • タイニーストーリーズ
    3.7
    短篇の名手・山田詠美による宝石箱のような小説集。アメリカ人兵士との恋愛を描く「GIと遊んだ話」から、街に立つ電信柱がその心情を語る「電信柱さん」まで21種のまったく異なる感情の揺らめきが、それぞれにまばゆい光を放つ。恋愛小説、性愛小説、家族小説、戦争小説、喜劇、悲劇とあらゆる小説のエッセンスがぎっしり詰まった、小さくて最高にリッチな1冊。ささやかなのに心をとらえて離さない、極上の物語たち。
  • 自白 刑事・土門功太朗
    3.5
    “アメリカ淵”と呼ばれる渓谷で発見された女性の全裸死体。手がかりは仏(ほとけ)が身につけていたネックレスただひとつ……。警視庁捜査一課の土門功太朗は、徹底的な地取り捜査で未知の犯人ににじり寄る。やがて浮かんだ容疑者。息詰まる取調室の攻防。懐かしの昭和を舞台に、男たちの渋い仕事っぷりを描いたノスタルジー刑事小説。「落としの達人」といわれた男の、迫真の事件簿シリーズ開幕!
  • 神苦楽島(かぐらじま)上
    3.5
    1~2巻597円 (税込)
    「浅見光彦シリーズ」、『神苦楽島』の舞台は淡路島。秋葉原で若い女性の不審死に遭遇した浅見光彦は、出張先の淡路にて日本神話、民俗、古くからの習慣が絡み合う、不可解な殺人事件に巻き込まれる。やがて政治家の陰謀まで見え隠れし、事件の背後にある組織に光彦は戦慄(せんりつ)するのだった──。
  • 院長の恋
    3.8
    「ぼくはこの病院を捨てるよ。何もかも全部捨てる。オレはマキと北海道へ逃げる。決心したんだ」。「よく見ておきなさい。あれが恋という病気よ」。人望ある52歳の病院長が陥った恋の病。若い恋人に振り回され、次第に常軌を逸していく姿が、秘書の朝子の目を通して描かれる表題作ほか、旧家の一人娘の意外な男遍歴が明かされる「離れの人」、妻をなくした謹厳実直な男が家政婦に生活を乱される悲喜劇「沢村校長の晩年」他、円熟の傑作ユーモア小説五篇。
  • 萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ
    3.6
    1~11巻591~719円 (税込)
    北関東の紅雲町(こううんちょう)で、コーヒー豆と和食器の店を営む大正生まれのお草(そう)さん。彼女は、常連たちとの会話から街で起こっている小さな事件に気付き、ひとり捜索に精を出す。ある日、とあるマンションの一室で虐待が行われていると気づいたお草さん。ひとり捜索まがいのことを始めるが…。悩む人たちの心に彼女の言葉は届くのか? 行動するお婆ちゃん探偵・お草さんを主人公に「老い」と「家族」を正面に据えて描く、期待の新鋭のミステリ短篇。
  • 陸軍特別攻撃隊(一)
    5.0
    特攻作戦の全貌を綿密な取材と膨大な資料を駆使して明らかにした入魂の大作。 ベストセラー『不死身の特攻兵』の鴻上尚史氏もリスペクトする戦史小説の金字塔! 菊池寛賞受賞。 レイテ決戦に執着する大本営が縋った特攻作戦。 9回出撃しても生還した“不死身の特攻隊員”佐々木友次伍長。 特攻隊を置き去りにして敵前逃亡した冨永軍司令官。 特攻隊は“志願”と一般に思われているが、これは全くの間違いで、本人の意思を無視した強制であった。 「体当り機」は機首に“死の触覚”の起爆剤がついており、爆弾は機体に固着させ、投下装置がなく、体当りをせざるをえないように造られていた。 この非人道的な“棺桶飛行機”の体当り効果のウソをあばく。 (*荒垣秀雄氏の解説は収録していません。)
  • 暗殺春秋
    3.0
    研ぎ師の勝蔵は剣の師匠・奥山孫左衛門に見込まれ、暗殺者の裏稼業を持つようになる。九寸五分の匕首で次々に悪党を消してゆく中で、次第に現れる闇の権力者・一橋治済の影。治済と老中・青山忠裕の陰の争いに巻き込まれていく勝蔵もまた、いつしか殺しの悦楽にはまり、のっぴきならなくなっていく……。 解説・井家上隆幸
  • 風葬
    3.8
    釧路で書道教室を開く夏紀は、認知症の母が呟いた、耳慣れない地名を新聞の短歌の中に見つける。 父親を知らぬ自分の出生と関わりがあるのではと、短歌を投稿した元教師の徳一に会いに根室へ。 歌に引き寄せられた二人の出会いが、オホーツクで封印された過去を蘇らせる……。 密漁、マフィア、拿捕……桜木ノワールの原点というべき作品、待望の文庫化!
  • 病院で死ぬということ
    4.4
    末期ガンの患者たちの闘病と死に立ち合って思った。 一般の病院は、人が死んでゆくのにふさわしい場所だろうか。 医療者にまかせるのではなく、自分自身の意思と選択で 自分の死を迎えるにはどうしたらいいのか。 人間らしい、おだやかな時間と環境の中で生き、そして最期を迎えるために―― 人間の魂に聴診器をあてた若き医師の厳粛な記録。 「ホスピス」の思想を広く知らしめる契機となった名著。 解説・柳田邦男 ※この電子書籍は、1996年5月に刊行された文春文庫を底本としています。
  • 錆びる心
    3.6
    「家出するなら夫の誕生日にしようと心にきめていた……」 人間のダークサイドを炙り出した作品集。 十年間堪え忍んだ夫との生活を捨てて家政婦となった主婦。囚われた思いから抜け出して初めて見えた風景とは。(錆びる心) 劇作家にファンレターを送り続ける生物学教師の“恋”を描いく。(虫卵の配列) 荒廃した庭に以上に魅かれる男の内面に秘められたもの。(月下の楽園) 魂の渇きと孤独を鋭く抉り出した六つの物語。 解説・中条省平 ※この電子書籍は1997年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 東大生はバカになったか 知的亡国論+現代教養論
    4.2
    学力低下や教養教育の欠如など、高等教育の崩壊状況を徹底検証した「知的亡国論」。 日本の教育制度の欠陥を、東京大学や文部科学省の歴史に求めながら、日本を知的亡国の淵からいかにして救うかを論じた「東大法学部卒は教養がない」など四本の東大論。これらはのちに著者の代表作『天皇と東大』へつながる。 体験にもとづいた「立花臨時講師が見た東大生」。 現代における教養とはなにか、その教養をどのようにして獲得すればいいのかを論じた「現代の教養-エピステーメーとテクネー」。 四部にわたって構成された「知の巨人」による教育・教養論。
  • 消えたなでしこ 十津川警部シリーズ
    4.0
    選手は全て実名で登場! 壮大なる誘拐劇 米国遠征から帰国したなでしこジャパン21人が消えた――。十津川警部は一人難を免れた澤穂希選手と協力しながら捜査を進めていく。
  • 不良妻権
    3.4
    老眼にもやさしい土屋のユーモアエッセイ。文字が大きくなりました 30万のCDプレイヤーを買いたい。手に汗握る妻との交渉の結末は? ほか「可能性に生きる男」などビジネスにも最適な60篇!
  • 十二月八日と八月十五日
    3.0
    開戦と終戦の日。人々は何を考えたか 太平洋戦争開始の1941年12月8日。終戦の玉音放送が流れた1945年8月15日。人々は何を考え、何を発言し、何を綴ったか。
  • 大人の説教
    5.0
    日本人の美徳はこれだ! 文庫オリジナルエッセイ 大人の見識を取り戻せ! プロの技には金を惜しむな! 口当たりの良い意見に満ちた現代に風穴をあける、爽快オリジナルエッセイ集。
  • おらんくの池
    -
    元気なお父さんが、日本を明るくする! “おらんく”とは土佐弁で「おれの家」のこと。愛する故郷・高知から上京して40年。21世紀の江戸に暮らす山本家は今日も大騒ぎ。効果的なセールストーク、道中疲れを治す秘伝、贈り物の極意――生きていく上で役立つ“一力流格言”はきっとあなたの心に届くはず。「週刊文春」連載の爆笑日常エッセイ第1弾。
  • 藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩
    4.0
    街をゆっくり歩けば、いたるところで歴史の痕跡と出会う。隣り合う東郷平八郎と山本五十六の墓、パリで出会い日本でも隣組だった藤田嗣治と島崎藤村、今も残る引き出しのないマッカーサーの執務机、川端康成が海を眺めた地……。藤原正彦・美子夫妻が、多磨霊園、番町、本郷、皇居周辺、護国寺、鎌倉、諏訪を歩き、日本の歴史に出会うちょっと知的な散歩日和。
  • キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇
    4.1
    IWGPシリーズ初の文庫書き下ろし作品が登場! マコトの親友にして池袋の王様、タカシはいかにして「氷のキング」になったのか? 誰にだって忘れられない夏の一日があるよな――。高校時代のタカシにはたったひとりの兄、タケルがいた。スナイパーのような鋭く正確な拳をもつタケルは、みなからボスと慕われ、戦国状態の池袋をまとめていく。だが、そんな兄を悲劇が襲う。タカシが兄の仇を討ち、氷のキングになるまでを描いた特別長編。
  • ニューヨークの魔法のじかん
    4.4
    摩天楼の大都会の街角で、ふと訪れるやさしい出会い――魔法のじかん。粋な英語とともに、全話読み切りエッセイで贈る、ベストセラー「ニューヨークの魔法」シリーズ第5弾。野球音痴の著者のヤンキース取材、ジーター選手とのおかしなやりとり、著者がFBIと疑われるなど、シリーズ最強の珍行動満載。震災ボランティアでの心温まる出会いを綴った東北編も特別収録。文庫書き下ろし。
  • ディアスポラ
    3.8
    “事故”により日本列島が居住不能となり、日本人は世界中の国々に設けられた難民キャンプで暮らすことを余儀なくされた。チベットのラサから2000キロ離れたここ、メンシイにも日本人の難民キャンプがある。国連職員としてキャンプを訪れた“私”の目に映ったのは、情報から隔絶され、将来への希望も見いだせないまま、懸命に「日本人として」生きようとする人々の姿だった――。3・11に先駆けること10年、破滅的な原発事故で国土を失った日本人を描き、日本人のアイデンティティを追究した予言的傑作「ディアスポラ」をはじめ2篇を収録。
  • お別れの音
    3.5
    大学の食堂で働く雪子は、毎日わかめうどんばかり頼む女学生を自分の娘のように眺めていた。だが彼女が付き合っているらしい男が気に入らず、ある日思わずある行動に出てしまう…(「うちの娘」)。日常の中ですれ違っていく、忘れられない人たち。そのすれ違いの中で、かすかに揺らぐ感情を掬いあげる佳品6篇。芥川賞作家にして、最年少川端賞作家が描く奇蹟。
  • 明治宮殿のさんざめき
    4.0
    皇居の中を隅々までご案内! 「みやび」と「モダン」が無理なく同居する明治宮殿。NHKドラマ「坂の上の雲」の宮廷シーンの時代考証を担当した著者が、明治宮殿の十二ヶ月を絢爛豪華な「宮廷絵巻」として軽やかな筆致で再現。ツイッター感覚で和歌を詠む天皇陛下、姉さん女房の皇后、女官、侍従職出仕まで、息遣いを伝えてくれる。
  • 疑惑
    3.9
    雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだ――。妻の名は鬼塚球磨子(おにづかくまこ)。彼女の生い立ち、前科、夫にかかっていた高額な生命保険について、稀代の悪女“鬼クマ”と断定しセンセーショナルに書き立てる記者と、孤軍奮闘する国選弁護人の闘い。球磨子は殺人犯なのか? その結末は? 桃井かおり、尾野真千子らが熱演した名作推理サスペンス。明治の藤田組贋札事件を描く「不運な名前」併録。
  • 着ればわかる!
    3.7
    セーラー服に自衛隊、ゴスロリに茶摘み娘、そしてAKB! 本物を着てみて分かった「あちら側」女子の気持ち 何を着るかによってその人の性格や心構えは変わる。“あの服”を纏う彼女はどんな世界を生きているのか? 女子の心理を鋭く読み解いて世間を震撼させてきた著者が「わからないなら、着てみよう」の精神で果敢に挑む18着。特別編「AKBになる!」も収録の傑作エッセイ。イラスト・森伸之
  • 鬼平犯科帳の世界
    3.6
    『鬼平犯科帳』の主人公・長谷川平蔵は実在の人物。その生みの親、池波正太郎氏が直接に語るシリーズのエピソードをはじめ、登場するほとんどの人物を網羅した「鬼平犯科帳人名録」と「鬼平一家WHO'S WHO」、平蔵たちが活躍した18世紀に、実際ひとびとがどんな暮らし方をしていたかを詳細に紹介する「市井事情Q&A」、「鬼平の時代」、「江戸ショッピング案内」──と、何から何まで<鬼平>と<江戸づくし>でお届けする、「鬼平事典」の決定版。
  • 縮尻鏡三郎(上)
    3.4
    拝郷(はいごう)鏡三郎は、もと勘定方勤めで順風満帆の役人人生……だったのだが、いささかの仔細あって、クビとなった。かつての上司の尽力あって、今は八丁堀近くの“大番屋”の元締として再就職を果す。大番屋とは、江戸の仮牢(かりろう)兼調所(しらべどころ)。持ち込まれる相談ごとは、町人の釈放嘆願から天下の将軍さまの悩みごとまで。ハテ、どうしたものか? と悩むうち、強運と顔の広さ、いや鏡三郎の能力なのか? いつしか見事解決に至る。
  • ちょいな人々
    3.4
    1巻590円 (税込)
    「カジュアル・フライデー」に翻弄され、慣れないファッションの冒険に乗り出した課長の悲喜劇を描いた表題作、大真面目で奇矯な発明が世の中を混乱させるおもちゃ会社の顛末「犬猫語完全翻訳機」と「正直メール」、熱狂的阪神ファンが彼女の実家に結婚の挨拶に行くと、彼女の父は熱烈なる巨人ファンだった…「くたばれ、タイガース」など、ブームに翻弄される愛すべき人々を描くユーモア短篇集。あなたの溜まったストレスに効く1冊!
  • 秘密
    3.7
    (おかしい。いつもとはちがうような……)居間へあがったとたんに、宗春は感じた。独り暮しの、棲み慣れた家だから、どのように些細な変化、異常があっても、するどい宗春の勘のはたらきは、それを見逃すはずがない──。はずみで家老の子息を斬殺してしまった宗春は、名を変え、身分を変えて江戸へ逃れたが、しだいに討手はせまる。一方で、身を隠す暮しのうちに、宗春は人の情けと心意気を知った……。円熟の筆で描く傑作長編時代小説。
  • 私の釣魚大全
    3.9
    餌のミミズの話にはじまって卓抜なる文明批評に到る、釣魚エッセイこれぞ決定版! コイを抱き取る名人まあしゃんの話、カジカをハンマーで捕る話、根釧原野で“幻の魚”を釣る話、井伏鱒二氏が鱒を釣る話、遠くはバイエルン・チロル・メコン河で魚を釣る話、古代人の釣りを体験する話……釣魚を語って、卓抜な文明批評とユニークな自然観をも繰り広げ、その多彩な描写と、無垢なる愉しみにはまず類がない。1969年刊行の原本に大幅に加筆して、図版を加えた決定版。
  • 私本・源氏物語
    3.9
    「どの女も新鮮味が無うなった」「大将、またでっか!?」ウチの大将・光源氏の君は御年17歳。好奇心はちきれんばかりの色けざかりの遊び好き。花の如き美貌の貴公子であらせられるが、女にモテすぎて、もはや恋愛傾向がアブノーマルになりつつあるのが悩みの種。さて今宵もまた、大将のおなご漁りの橋渡し役にひと肌脱ぐとしますか……。世間をよく知るオッサン家臣「ヒゲの伴男」が、庶民目線で無敵のナンパ師「光源氏」の恋愛ライフを語る。お茶目な源氏物語!
  • エベレストを越えて
    3.9
    「私にとって、良い山とはひとつの極限を意味している」──若き日、北米、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南米と冒険の旅を続けた植村直己は、1970年、日本人として初めて世界最高峰に立ったことで「世界のウエムラ」となった。その後、彼は垂直から水平へ、エベレストから南北両極圏へと関心を移したが、極限という意味で、エベレストこそ植村にとって至上の“良い山”であった。五回にわたるエベレスト行の総決算としてつづった本書は、登山家・植村の<山への遺書>となった。
  • 連合赤軍「あさま山荘」事件
    3.8
    動員された警察官のべ十二万人、集まった報道陣は六百人、負傷者二十七人、そして死者三人。テレビ中継の視聴率は、史上最高を記録。厳寒の軽井沢の山荘で、いったい何が起きているのか? 人質、牟田泰子さんの生存は? 警察官の発砲は許されるか? 十日間にわたって繰り広げられた、戦後警察史上最悪の事件の一部始終を、水もおにぎりも瞬く間に凍るという現場で指揮をとった著者が、メモを基に克明に再現した臨場感あふれるノンフィクション。話題の映画化の原作。
  • 平時の指揮官 有事の指揮官 あなたは部下に見られている
    4.1
    ビジネスマン諸氏、たとえひとりでも部下を持つのならば本書は精神、実用の両面から特効薬となるであろう。質のたかい組織がもつ普遍の法則がここにある。政治家も官僚も経営者も、誰ひとりとして結果の責任をとらず、問題を先送りしつづけてきた姿が世紀末ニッポンのありようだ。人が組織を管理運営するということは如何なることなのか、そして部下を持つということは……。『海軍次室士官心得』『部下から見た監督者論』をもとに、危機管理問題の第一人者が語る管理職の心構えとは。
  • 波の塔(上)
    3.5
    男は駈け出しの若い検事・小野木喬夫。女は……はっとするほど美しい、謎のひと。おたがいの身の上も知らず、偶然に出会った二人は、会うたびに惹かれあっていくが、女は決して自分のことを語らない。悲しい予感がつきまとう恋がひそかに深まっていくのを、ひたと見つめる若い娘たちの瞳があることを、二人は知らない。ついに決心して旅に出た恋人たちを運命は翻弄する。たびたび映画・テレビドラマ化されたこの作品は、香り高い恋愛にサスペンスが加わった、異色の恋愛小説です。
  • もうひとつの青春 同性愛者たち
    4.3
    高校教諭、床屋、会社員……さまざまな経歴と個性の、20代7人の若者の、ただ一つの共通点は、同性愛者。「変態」でも「性風俗業者」でもない、東京近辺でありふれた生活をおくる同性愛者たちを通して描かれるいまの日本は、驚くほど“異性愛的規範”に満ちている。アメリカ・サンフランシスコでの取材と比較して描かれる、わたしたちが住む社会の「異質さを受容しない均質さ」は著しい。しかし苦難のなかから、ほの明るい光も差してきて──魂をえぐる、同時代ノンフィクション!
  • 東大落城 安田講堂攻防七十二時間
    4.0
    その日、日本中がテレビに釘付けになった。催涙ガス弾と放水にけむる安田講堂の時計台、顔をタオルで覆い、ヘルメットを被った学生たちが屋上から投げ下ろす人頭大の石塊、火炎ビンに灼かれた機動隊員の苦痛に歪む顔……その時、作家・三島由紀夫から緊急電話が! 時は「あさま山荘」事件の起こる3年前、昭和44年1月だ。全国民が注視した東大安田講堂の攻防戦に、警視庁の警備第一課長として臨んだ著者が、当時のメモを元につづった迫真のドキュメント。文藝春秋読者賞受賞作品。
  • 緋(あか)い記憶
    3.8
    生まれ故郷の古い住宅地図には、あの少女の家だけが、なぜか記されていなかった。あの家が怖くて、ずっと帰らなかったのに。同窓会を口実に、ひさしぶりに故郷を訪ねた主人公の隠された過去、そして彼の瞼の裏側に広がる鮮やかな“緋色のイメージ”とは、一体何なのか……。直木賞受賞の傑作ホラー。表題作ほか、選考委員の激賞を受けた「ねじれた記憶」など、粒よりの七篇を収録。痺れるように怖いのに、とてつもなく懐かしい――高橋克彦ならではの独自の世界を満喫できます。
  • 霊長類ヒト科動物図鑑
    4.1
    本作品は、著者が航空機墜落事故で急逝した年に刊行された。「一週間に一度は飛行機のお世話になっていながら、まだ気を許してはいない。散らかった部屋や抽斗のなかを片づけてから乗ろうかと思うのだが、いやいやあまり綺麗にすると、万一のことがあったとき、『やっぱりムシが知らせたんだね』などと言われそうで…」飛行機に乗る恐怖を綴った「ヒコーキ」も収録。何気ない日常の一コマを鮮やかに捉えた、向田邦子ならではの名人芸が堪能できる珠玉のエッセイ集。
  • 黒の回廊
    3.8
    海外旅行が高嶺の花だった昭和40年代のこと。女ばかりの豪華ツアーが日本を飛び立った。全25日間ヨーロッパ周遊! しかしアンカレッジ空港での無気味な買物、コペンハーゲンの奇妙な事件を経て緊張してゆくツアーの人間関係に、添乗員は息詰まる不安を抱く。ロンドンでの衝突から、スコットランドで遂に殺人事件が発生する。各地のさまざまな風物を背景に、本格的な犯人探しの謎を秘めながら、その解決をアルプスの麓にゆだねた推理長篇。
  • 空の城
    5.0
    名の通った中堅クラスだが、トップになれない──その焦りから石油部門へ進出を急いだ巨大総合商社が、冷酷な国際商戦の渦に巻き込まれて、またたくまに膨大な赤字を抱え、ついに倒産。渦中にいた四千人の社員の何人が、その無残な敗北を予測しえただろうか? 一方、仕事は放任、熱狂的な陶磁器マニアだった社主が見ていたものは……。石油という国際的な商品の“魔性”に命運を賭けた大企業の野望と挫折を、徹底した海外取材をもとにリアルに描く、《小説・安宅産業の崩壊》。
  • 南朝迷路
    3.2
    女性誌の取材で隠岐を訪れた、推理作家のチョーサクと編集者のリサは、偶然“後醍醐天皇の隠し財宝”にまつわる殺人事件を耳にする。被害者が隠し財宝を追っていたとすれば、訪れる場所は……歴史を辿って吉野へ向かう二人に迫る謎の宗教団体。チョーサクとリサは長年の友人、塔馬双太郎(トーマ)に助けをもとめ、トーマは隠岐─吉野─長野─青森を結ぶ南朝の謎を解くため、東北の奇祭「火流し」のある村へ向かった……「パンドラ・ケース」で活躍した3人が、新たな謎に挑む!
  • 尾崎豊 夢のかたち
    5.0
    尾崎豊は26歳で世を去った。1992年4月25日未明に、民家の軒先で瀕死の姿で発見されたとき、彼は全裸で、全身に傷を負っていた。全力で走りつづけ、自ら傷つき、周囲を傷つけつづけたその軌跡。少年少女の代弁者にまつり上げられ、プロダクションやレコード会社に裏切られ、覚醒剤に救いを求めて破滅していった“カリスマ”の孤独な肖像を、彼自身の言葉、スタッフ達の証言、ファンの声によって浮き彫りにする。NYでの生活、死後の署名運動の経過についても補筆。
  • 新宿歌舞伎町 マフィアの棲む街
    3.8
    新宿歌舞伎町。銃と麻薬が簡単に買え、世界中から娼婦が集まり、外国人マフィア同士の抗争でひっそりと人間が消える。深夜の街の主人公は、ヤクザにホステス、街娼、密入国者。彼らへの単身取材は難航した。腕時計にナイフがつき立てられ、銃口をつきつけられる危険なインタビュー。麻薬密売人、無国籍売春クラブ、拳銃密売──ついにつかんだ衝撃の事実。闇世界に潜む中国人、コロンビア人、イラン人に肉薄し、警視庁を震撼させた戦慄のハードボイルド・ドキュメント!
  • 中国てなもんや商社
    4.1
    アフター5はお稽古事に食べ歩き。そんな甘い考えで入社したのは、日中貿易が中心の大阪商社。ところが中国から到着する製品は「首の入らないTシャツ」「子どもサイズの大人服」「雨が降っても開かない傘」。納期が遅れると「工場が竜巻で崩壊」とファクスが届き、現地では宴会の乾杯で潰されそうに……。華僑の上司にしごかれ、中国出張で格闘しつつ見えてきた日中ビジネスの深い闇と希望の日々を赤裸々に描く著者のデビュー作。映画化原作の、元気が出る爆笑ノンフィクション。
  • だりや荘
    3.5
    両親の事故死を機に東京を引き払い、信州で暮らす病弱な姉・椿のそばへ越してきた妹・杏とその夫・迅人。両親の気配があちこちに残るペンションを引きついで、3人のおだやかな日常が始まった。椿にはやさしい男友達・新渡戸さんがおり、ある日働きはじめたゾクアガリの青年・翼もペンションに新風を吹き込んでくれる。しかし、そこでは優しさに搦めとられた、残酷な裏切りが進行していた。精緻な描写と乾いた文章が綴るいびつな幸福。うつくしくて痛い愛の行方は……。
  • 裁きの終った日
    3.7
    大富豪が殺された。一族が固唾を飲んで見守るなか、高名な犯罪研究家が事件を解明しようとした…まさにその時、いきなり「私が殺した」と名乗り出た娘婿が、ナイフで研究家の心臓を一突きに! この公開殺人を皮切りに、あらゆる登場人物の欲望と打算が渦巻きだす。仕事の失脚工作、浮気の復讐、秘めた恋…そんな中、事件について黙秘をつづける娘婿は、果して真犯人なのか? 赤川ミステリー初期の傑作長篇にして、100万部突破の大ベストセラー、待望の電子書籍化!
  • 本朝金瓶梅 お伊勢篇
    4.2
    姦婦おきんに続き、今度は裕福な饅頭屋の後家、そして人妻お六も妾にした西門屋慶左衛門。江戸一の色男の評判は高まるばかりだが、なんと自慢の魔羅が役に立たなくなったからさあ大変。四国のお殿様が愛用しているという噂の強壮剤を手に入れるため、お伊勢参りにかこつけて妾二人と旅に出たが…地獄の沙汰も金次第、重い荷物は運ばせ、宿は選りすぐり、美少年の陰間や「筆おろしの神さま」まで飛び出して、色欲全開の東海道中絵巻! 豪華絢爛な新・官能時代小説、第ニ弾。
  • 月島慕情
    4.0
    「あたし、あんたのおかげで、やっとこさ人間になれたよ」吉原の年増女郎・ミノにふってわいた結婚話。しかし、身に余る幸せに浸る間もなく、思いもかけない真実が叩きつけられる。ミノが選んだ道とは…。過去をかかえた女の、哀切あふれる恋を描いた表題作「月島慕情」。ワンマン社長とガード下の靴磨きの老人の生き様を描いた、傑作「シューシャインボーイ」。ほか、市井の人々の優しさ、矜持を描いた珠玉の短篇集。著者自身が創作秘話を語る「自作解説」も収録。
  • ドラママチ
    3.6
    私が欲しいものは、子ども、周りからの称賛、愛する男、自分にふさわしい華やかな仕事、やる気、人生を変えるドラマチックな何か。でも現実に私の目の前にあるのは、単調な生活に、どうしようもない男、中途半端な仕事、むずかしい性格の義母……。高円寺、荻窪、吉祥寺と、東京・中央線沿線の生活感あふれる「街」を舞台に、毎日ほんの少しの変化を「待ち」のぞむ女たちは、あなたにも、きっとどこか似ている。ほのかに射す明るさが心揺さぶる、8つの短篇。
  • 放火魔
    3.5
    同じ車両の乗客が2人とも殺人犯である確率は1億分の1……。新宿発村上行の快速「ムーンライトえちご」で隣合わせた女性客。彼女の紙袋から漂う怪しいにおいの正体とは(「危険な乗客」)。振り込め詐欺、連続放火、交換殺人etc.日常の裂け目に潜む犯罪を描く、人気シリーズ「――者」スピンオフ短篇集。
  • 君たちは何のために学ぶのか
    4.2
    “ファーストクラスに乗る人が機上で読む本”として紹介された本書。他人と違うことを強みに、変化の激しい社会を生き抜こう!と「ミスター円」こと榊原英資先生が、グローバル化が進む新しい時代の生き方を若者向けに説く。まずは世界経済の巨大なマーケットの原理からはじまり、激動の時代を生き抜くためにはどのように学び、何をすべきか。学校では教えてくれない、実践的勉強法とサクセス術をわかりやすく指南する! 高校生のための特別なサマースクール「次世代リーダー養成塾」を主催し、彼らとこれからの生き方を考えてきた著者。ビジネスエリートやあらゆる大人にとっても、今すぐ実践したくなるエッセンスがつまった名著!
  • オリンピック雑学150連発
    -
    4年に1度のスポーツの祭典・オリンピック。実は……〈聖火の生みの親はヒトラーだった?〉〈55年かけてマラソンを「完走」した日本人ランナー〉〈『シャーロック・ホームズ』の作者、コナン・ドイルは審判を務めていた〉〈アジア初のメダリストはインド人〉〈太古、選手もコーチも全裸だった〉……など、紀元前8世紀にその源流を発するオリンピックは、ロマンと謎に満ちあふれた意外な逸話に彩られていた! 近年の印象深いエピソードも満載し、観戦の予習・復習に必携の一冊。五輪取材経験豊かな著者ならではの、オリンピックトリビア決定版!
  • 野菜畑で見る夢は
    4.1
    「日経ヘルス」誌で、健康誌史上初の連載恋愛小説として話題騒然! 耕し、種を蒔き、慈しむ。野菜たちが教えてくれる恋の育て方とは?――同窓会に参加するため帰郷したまゆみは、別れた彼と再会する。プロポーズを退けて東京で働くことを選んだ彼女と、故郷で教師をしながら野菜畑を育てる彼。終わったはずの恋が10年の時を経てふたたび芽吹く……。恋愛小説の名手が描きだす、野菜のようにみずみずしく、栄養と幸せ満点の、3組の恋の物語。「空豆のコロッケ」「イタリアのおっかさん風、アラビアータ」「おばけかぼちゃパイ」など、おいしいレシピも満載!
  • 味憶めぐり 伝えたい本寸法の味
    3.5
    「極上の店には共通項がある」――少年時代に夢中だったハヤシライス、新入社員の頃に大人の作法とともに教わった高級寿司、直木賞の夜の奇跡のカツサンド。人気時代小説家が30余年かけて編み出した、プロの心意気と味が映える『本寸法』の店の見つけ方と付き合いの極意。築地市場の喫茶店や下町の定食屋、ちょっと気のきいたお寿司屋さんや銀座のレストラン、さらには京都のB級グルメや高知の懐かしい味覚まで。人生を豊かにしてくれたあのお店の味を、思い出とともに美味しい文章で綴った、お腹がすくエッセイ集!
  • こじれたふたり
    4.8
    SMクラブの女王様など異色の経歴の持ち主である著者が、恋愛風俗を鮮やかに描く! 虫にしか興味のない大学教授に亡父の面影を重ねて身悶える女子大生「かげろう稲妻水の月」、ロハスなヌーディズムに目覚めた同僚がハタ迷惑にせまる「素っ裸の王様」、花粉症治療のためにマス寿司をどか食いする彼「虫のいどころ」(オール讀物新人賞受賞作)――ちょっぴりフェティッシュな趣味や性癖に振りまわされる大人の恋の短編集。
  • 夏目家順路
    3.2
    北海道在住の元ブリキ職人の夏目清茂、74歳。ある日、若い友人とスナックで1杯やっていたところ突然脳梗塞の発作を起こし、昇天。その死を悼む娘・息子、遠い昔に別れた元妻、そしてさまざまな友人・知人たち……。葬儀の日まで、そして葬儀の際に彼らが思い出す清茂の姿は、機嫌がよく、優しく、世話好きで――謎の部分もあった。清茂の葬儀を中心に、いくつもの人生が追憶と回想の中で交差する。『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞した著者の傑作長篇小説。
  • 身体にきく 「体癖」を活かす整体法
    4.6
    『骨盤にきく』の著者が贈る整体メソッドの決定版! 人は骨盤のタイプによって、最適なリラックス法や疲れ方のパターンが全く異なります。身体の声をよくきき、本来の癖“体癖”を活かすと、本当にその人にとって効く健康法となるのです。倦怠感、頭痛、腰痛、不定愁訴……そんな症状とはさようなら! 本書では、人が無意識のうちに「ゆるもう」とする共鳴作用を利用し、体操でもストレッチでもない、究極の整体法を図解満載で提案します。
  • 睡蓮の長いまどろみ(上)
    3.4
    イタリアのアッシジで、42年前に自分を捨てた母・美雪に身分を隠して再会した順哉。帰国後、喫茶店のウェイトレス・千菜がビルから飛び降りる現場に遭遇する。自分と父を捨てて家を出た母の事情が次第に明らかになる一方で、死んだはずの千菜から手紙が届くようになる。一体なぜ? 謎が謎を呼び、ミステリアスに物語は展開する。人間の宿命を問う畢生の巨篇。
  • シモネッタの男と女 イタリア式恋愛力
    4.2
    人生には、前世からの定めとしか思えない運命的な出逢いがある。──イタリア語通訳として長年活躍する著者が出会った、年齢も国境も超えた忘れがたい6人の男女。イタリア美容界・女王の素顔、和製カサノヴァの正体、ギリシャ彫刻さながらの美男の逆玉の輿の顛末……彼らの人生をたどり直し、著者ならではの洞察力と共鳴力で、奥深い真の姿を鮮やかに描ききった珠玉のエッセイ集。“シモネッタ”の名付け親、米原万里さんに捧げる感涙必至の追悼エッセイを収録。
  • ここがおかしい日本の社会保障
    3.7
    生活保護より低い最低賃金額から、祖父母が孫の年金保険料を支払う実態まで、でたらめすぎる日本の社会保障制度を一刀両断! 「パラサイト・シングル」や「希望格差社会」といったキーワードを創出してきた気鋭の社会学者・山田昌弘さんがずばり問題の本質に迫ります。
  • 夫の悪夢
    4.0
    武士道を唱え、天下国家を語る毅然とした数学者──そんな夫にとって妻の書いたエッセイは、まさに悪夢でしかないのではないか!? 『国家の品格』で世に広く知られた藤原正彦教授の夫人が綴る、ユニークすぎる夫の実像、義父母となった新田次郎・藤原てい夫妻の思い出、イケメン息子3人の子育て奮闘記、英国での思い出など。ユーモアと品格ある文章で綴られた極上のエッセイ集。抱腹絶倒、思わずほろりとする家族のクロニクル!
  • 黄金の猿
    4.0
    森の中にある瀟洒なホテルのバー「黄金の猿」に集う男と女。新婚の夫婦、兄と妹、愛人たちに囲まれる退廃的な女、物欲しげな男たち。裏の林を夜毎に若い女が歌い、徘徊する。激しくぶつかり、やがて溶け合う思弁と肉体の蠢き。繰り広げられる愛と性についての妖しい対話──。男女の心の襞を磨き抜かれた言葉で描く「黄金の猿」3部作をはじめ、珠玉の全4編を収録。いま最もスリリングな日本語の使い手による、日本文学の最前線。
  • 四とそれ以上の国
    3.6
    高松の親戚にひきとられたきょうだいの一人が人形浄瑠璃に魅せられる。塩祭の夜にきょうだいたちに何かが起こる(「塩」)。列車の旅をする英語教師(「峠」)や海沿いの巡礼路をゆく巡礼者(「道」)、渦潮に魅せられたトラック運転手(「渦」)や逃げ出した藍と追う藍師(「藍」)。四国を舞台に、現実と異世界が交差する、五感に響く物語世界。
  • 孤独について 生きるのが困難な人々へ
    3.7
    孤独を全身で味わった哲学者が孤独を礼賛する 戦う哲学者が、誰一人からも理解されない偏った少年時代、混迷極まる青年時代を振り返り、助手時代の教授による壮絶なイジメ地獄までを実録する。 そして、ようやく「孤独を楽しみ、孤独を磨きあげ、孤独に死のう」という積極的孤独を選びとるまでの思索を描ききった。 この哲学的自分史の凄絶ぶり、また深遠さは比類がない。 解説:南木佳士 ※本書は2008年11月に刊行された文春文庫の電子書籍版です。
  • コルシア書店の仲間たち
    3.9
    かつてミラノに、懐かしくも奇妙な一軒の本屋があった。そこに出入りするのもまた、懐かしくも奇妙な人びとだった。女流文学賞受賞の筆者が流麗に描くイタリアの人と町。(解説・松山巖) ※この電子書籍は1995年11月に刊行された文春文庫を底本としています。
  • ペット・セマタリー(上)
    4.1
    2019年、リメイク版映画が公開! 競争社会を逃れてメイン州の田舎に越してきた医師一家を襲う怪異。モダン・ホラーの第一人者が“死者のよみがえり”のテーマに真っ向から挑んだ、恐ろしくも哀切な家族愛の物語。
  • 秋の花火
    3.5
    今度の恋は、低く静かな旋律 人生の秋を迎えた男と女が、生と死を見すえつつ、深く静かに心を通わせる。 閉塞した日常に訪れる転機を、繊細な筆致で描く短篇集 彼の抱えた悲しみが、今、私の皮膚に伝わり、体の奥深くに染み込んできた――。 人生の秋を迎えた中年の男と女が、生と死を見すえつつ、深く静かに心を通わせる。 閉塞した日常に訪れる転機を、繊細な筆致で描く短編集。 表題作のほか、「観覧車」「ソリスト」「灯油の尽きるとき」「戦争の鴨たち」を収録
  • 風味絶佳
    3.8
    作家生活20周年におくる、恋愛小説の最高傑作 「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」。恋の妙味を描く珠玉の6篇。20年目のマイルストーン的作品集。谷崎賞受賞作 70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。 ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。
  • 蝶

    4.4
    三島由紀夫、中井英夫、澁澤龍彦らの系譜を継ぐ“美の幻視者”皆川博子の一頂点を示す珠玉の短篇集! 男がインパール戦線から帰還すると、妻は情夫と同棲していた。二人を銃で撃ち下獄した男は、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に特攻帰りの下男とともに暮らす。ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて……。戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作ほか、現代最高の幻視者が綴る、詩句から触発された8つの短篇。 「空の色さへ」はポオル・フォル、「蝶」は別所真紀子、今井豊、音羽和俊、「艀」「龍騎兵は近づけり」は横瀬夜雨、「想い出すなよ」はロオド・ダンセイニ、「妙に清らの」はハインリッヒ・ハイネ、「幻燈」は薄田泣菫、「遺し文」は伊良子清白の詩歌が引かれている。 解説・齋藤愼爾
  • 恋愛仮免中
    3.6
    人の数だけ、恋の形はある。 奥田英朗、荻原浩、原田マハ、窪美澄という実力派の直木賞・山本賞作家に、新鋭の中江有里を加えた、豪華執筆陣によるアンソロジー。テーマは“恋愛”。 28歳の彩子は、付き合って3年の恋人が相談もなく会社を辞めたことにショックを受ける。女友達は条件のいい男を紹介してくれ、彩子は恋人との別れを考え始めるが……。(奥田英朗「あなたが大好き」) 16歳の僕は、夏を海で過ごすためにばあちゃんの家に来た。夕暮れの砂浜で、その人は子守歌を歌っていた。……とても悲しそうな声で。(窪美澄「銀紙色のアンタレス」) 1969年、中学生だった僕と彼女は50年後に一緒に宇宙に行く約束をした。その年まであと4年のいま、彼女は病院のベッドの上にいる。(荻原浩「アポロ11号はまだ飛んでいるか」) 生まれも育ちも京都の善田は、半年前に妻を亡くし、会社を追われ、タクシー運転手となった。ある日、ボストンから来た老婦人をタクシーに乗せ京都を案内することに……。 (原田マハ「ドライビング・ミス・アンジー」) 両親が離婚したミサトは、クラブを経営する母親行きつけの美容院のシャンプーボーイと、偶然海の家で会うが……。(中江有里「シャンプー」) 人の心が織り成す、甘くせつない物語を集めました。
  • たまさか人形堂物語
    4.0
    1~2巻580~722円 (税込)
    OLをリストラされたことをきっかけに、祖母の形見の零細人形店「玉阪人形堂」を継ぐことになった澪。 押しかけ従業員で人形マニアの冨永くん、高い技量を持つ謎の職人・師村さんに助けられ、なんとかお店を切り盛りしている。 「諦めてしまっている人形も修理します」 こんな広告をみて、今日も傷ついた人形を抱えたお客さんがやってくる。 人形と大事な思い出を修理すべく、三人の活躍が始まる。ほのぼのミステリ。 【目次】 毀す理由 恋は恋 村上迷想 最終公演 ガブ スリーピング・ビューティ
  • 対談 中国を考える
    3.5
    古来、日本と中国は密接な関係を保ってきた。だが現実には、中国人は日本にとって極めて判りにくい民族なのではないか。ぶつからないためには理解すること、理解するためには知ること――両国の歴史に造詣の深い司馬遼太郎と陳舜臣という二人の大家が、この隣人をどのように捉えるべきか、長い歴史を踏まえて深く思索する中国論・日本論。
  • 手掘り日本史
    3.8
    日本人の底の底には無思想という思想、簡単に言ってしまうと美意識があるのではないかと思う――日本人が初めて持った歴史観、庶民の風土、「手ざわり」感覚で受け止める伝統的美人、義経という人気者、幕末三百藩の自然人格。歴史小説に新しい地平を開いた国民的作家が、、自らの発想の原点を解き明かす。評論家、江藤文夫による司馬への聞き書きに、さらに司馬自身が手を加えて完成した、対談ともインタビューともエッセイともひと味違う、不思議な読み応えの一冊。司馬文学を読み解くための良質なサブテキストともなっている。
  • あめふらし
    3.7
    夢かうつつか、現実とも異界ともつかぬ和風幻想譚 死者のタマシイを拾ってきてはつなぎ止め、河を渡らせない〈あめふらし〉。そんな男が摩訶不思議な仕事の数々を引き受けてきて……
  • 江戸の備忘録
    3.9
    なぜ信長は殺されたのか? 教育パパ家康が子どもたちに学ばせたものは? 江戸時代の教育事情は?  『武士の家計簿』『無私の日本人』など、著書が続々と映画化されている気鋭の歴史家が、広く、深く、日本史を見わたせるような歴史のトピックを厳選。かろやかな語り口を楽しむうちに、いつのまにか日本の歴史のたどり方が身につくエッセイ集。

最近チェックした作品からのおすすめ