【作品に感じた色】
曙光のような不明瞭な色
夜明けに差し込んでくる太陽の光、曙光。
赤、青、黄、緑、白、黒・・・どの色にも例えられない不明瞭で、神々しい色。
そんな曙光を浴びた時のように、少しずつ心に温かい光が広がっていくような作品である。
【感想】
浅倉先生の『君の名残を』は、私の大大大好きな作品のひとつ。しかし、他の作品は読んだことがなかったので、新たな感動に出会うため、最近、先生の作品をいくつか購入した。そのうちの一冊が『四日間の奇蹟』である。
物語の最後に収録されていた解説文の表題には、「出会えたことに感謝したくなる傑作」と書かれていたが、まさにその一言に尽きる。
『君の名残を』にも言えることだが、デビュー作である本作も、情景描写が物語に美しく調和されていた。
先生の紡ぎ出す文章は、ぱぁっと目の前に景色が広がる。肉眼で見ているのと遜色ないほどだ。そして、いつのまにか溜息が出るほどの神々しく綺麗な景色に心が奪われている。次第に涙が溢れてくるのだ。
特に、奇蹟の前日、敬輔と千織が目にした夕空は圧巻の美しさだった。一方、ヘリコプター、閃光、雷鳴・・・から受けた衝撃と光景は、今も脳裏に焼きつき、心が痛む。
また、本作には、私達の慣れ親しんだクラッシック音楽がいくつも溶け込んでいる。
「新世界より」第2楽章、「月光」、「亜麻色の髪の乙女」、「別れの曲」は、読前、読後どちらでも構わないが、一度聴いてほしい。登場人物の心情が流れこみ、より深く、この物語が持つ優しさに触れることができるはずだ。
なお、本作の魅力は、登場人物達が交わす言葉にもある。
作中、古代ギリシャの悲劇をルーツに持つ「天は自ら助くる者を助く」について、真理子が敬輔に知っているか問う場面があったが、その言葉についての真理子の解釈は印象的だった。
他にも考えさせる言葉がたくさんあった。
以上のように、本作はたくさんの魅力を持っている作品だ。それに加え、心も癒してくれる作品でもある。涙の先にほのかな希望の光が感じられ、その光は少しずつ広がっていくのだ。
多くの感情をもたせてくれた、この本との出会いに感謝している。
【心に残った言葉】
「天は自ら助くるものを助く、ってフレーズ、知りません?〔中略〕天に神様がいて、というふうじゃなくて、だから主語は天ではなくて、周囲でも環境でもいいんだと思うんですけどね、つまり自分でなんとかしようとしない限り、人は決して救われない、そういうことを言っているんだと思うんです。」(p.181)
「信じるということは、人間の脳に与えられた偉大な力の一つだぞ。」(p.371)