「家出するなら夫の誕生日にしようと心にきめていた……」
人間のダークサイドを炙り出した作品集。
十年間堪え忍んだ夫との生活を捨てて家政婦となった主婦。囚われた思いから抜け出して初めて見えた風景とは。(錆びる心)
劇作家にファンレターを送り続ける生物学教師の“恋”を描いく。(虫卵の配列)
荒廃した庭に以上に魅かれる男の内面に秘められたもの。(月下の楽園)
魂の渇きと孤独を鋭く抉り出した六つの物語。
解説・中条省平
※この電子書籍は1997年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
Posted by ブクログ 2021年11月29日
「OUT」以来の久しぶりの桐野夏生さん。
短編6篇の登場人物がそれぞれ心の内で悩んだり怒ったり決意したり、その決意が鈍ったり…その辺にいる人間らしくて、各々の話にどっぷりハマりこんで読めた。
特にジェイソンが気に入った。ジェイソンに変貌した自分を知るにつれ落ち込む主人公。ラスト、妻さえいてくれたら...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年08月29日
これを読んで好きな小説家が増えた。『柔らかな頬』のときも感銘を受けたが今回もそうだった。日常の中でふっと訪れる狂気。それは何も特別ではなく、他者の眼差しで冷ややかに見つめる自分自身も同じ狂気に染まっていた、といった安住のなさがある。こと「安住のなさ」にはいくつか在り方があるのだが桐野夏生の場合のこれ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年10月07日
現実にありそうな世にも奇妙な物語。
初めての桐野夏生の本だったが、するすると読ませる巧みな文章を書く作家だと思った。
感情の描写も巧く、震えるほど共感した部分が所々あった。
様々な人生を垣間見れておもしろかった。
桐野夏生の長編にも挑戦してみたい。
虫卵の配列 ★4
羊歯の庭 ★4.5
ジェイソ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年09月29日
桐野夏生さんの短編小説集。
はじめ把握していないまま読み始めたのだが、収録作は作者デビュー翌年の1994年から1997年で、大ブレイクする『OUT』(1998年)より前の、初期の作品群だ。
これらは多彩で、どれも面白く読める豊かな短編小説である。なるほど、松本清張の作品のように、それぞれに心理的な劇...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年02月11日
全6編の短編が収録された桐野夏生氏の短編小説。文庫の発刊は2000年なので、もう15年も前の作品なんですね。
桐野夏生さんの作品は初めて。『OUT』や『東京島』からダークなイメージを持って読みましたが・・・、まんまでした(^-^;
ボキャブラリーがないのでちょっと違う表現かもしれないですが、『世に...続きを読む